神様がまた
ついて行く、とそう高らかに宣言した鶴丸国永は半月前のじじいと
同じように腰に佩いていた太刀を目の前で自分の本体に向けて
ムニャムニャ言い、それをチン、としまった。
「さて、これで俺はいわゆる分霊になったわけだ!
そう言えば、君の名前は君の口から聞かないとな。
名前はなんて言うんだ?」
うきうきを隠しきれない様子で聞いてくる鶴丸に、
私は諦めて答えることにした。
「はあ……千紗です」
「そうか、千紗か!よろしくな!」
心の底から宜しくしたくない。
そうは思うものの、もう仕方がないからいいやと観念して、
こちらこそ、と返した。
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あの後はそのまま他の展示に集中できるわけもなく、
私は見学もそこそこに家路へついた。
「なんで二人も……」
思わずそう溢すと、それを拾ったのは鶴丸だった。
「そりゃあ、君とは波長が合うからな!」
波長?
なんだそれ、と思ったのが無意識で顔に出ていたのか
鶴丸には笑われ、じじいには仕方ないさと頭を撫でられた。
撫でるなその手を下ろせ。
「千紗、人にはそれぞれ生まれ持った波長と云うものがある。
お主はそれがたまたま我らと合っただけの事。
あまり気にするな」
じじいによれば、大抵の人は波長が合うと言っても
ただの霊とだったり人とであったりがほとんどらしい。
しかしたまに、ごくたまに私のように神様と呼ばれる存在と
合う人がいるんだそうだ。
それはもう生まれるときに持った定めであり、
変わることもなければ変えることもできないらしい。
それはあれだね、諦めろってことだね。
知ってしまった事実に頭を抱えながら、
二人のじじい神様の会話をBGMに私は家に帰った。
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