騒ぐな!
放課後、昨日断ってしまったから
今日は園子に付き合って例の喫茶店へ行く。
三日月は相変わらずあまりいい顔をしないけど、
鶴丸はそれにむしろ興味津々な様子だった。
ストレートティーを頼んで一息吐く。
なんだか安室さんの視線を感じる気がするけど、
きっと気のせいだと思う、うん。
と、鶴丸の目が安室さんを捉えた途端に鋭くなった気がした。
「へぇ……あの男、嘘が上手いなぁ」
嘘?何言ってるんだ。
そこまで思って、三日月も依然同じようなことを
言っていたな、と思い至る。
もしかして、神様にしか分からない何かがあるのだろうか。
「ああ、三日月のあの表情の意味が解ったぜ」
そんな事を言って安室さんに相変わらず鋭い視線を
送り続ける鶴丸は、それから黙り込んでしまった。
三日月も、そうだろう、とでも言うようにスと
目を細めるだけで、何も言わなかった。
「ねぇ、鶴丸、三日月」
小さく、本当に小さくだが彼らには聞こえる声で
そう問いかけても、ん?と微笑むだけで
またすぐ戻ってしまい話ができない。
……安室さん、何やらかしたんだ?
訳が分からない私の耳に園子や蘭の会話なんて入るハズもなく、
二人のじじいと安室さんを行ったり来たりしていた。
(成る程な、あの男……あまり、千紗には近付けたくないなぁ)
(のう、鶴よ。あのいけ好かぬ小童をよくよく見ておれ)
(ああ、了解した)
そんなやり取りがあったなんて、私は知るはずもなく。
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