奴はいた



東都国立博物館。

ここは、高校生以下ならいつでも無料で入館できる。

その為私の様な人間には、お財布にも優しい、
入り浸ることは必至の施設だった。

先日までは土偶埴輪のコーナーにある
推しの埴輪のところへ通い詰めていたけれど、
今日からはちょっと変えて刀剣展示コーナーへ
行こうと決めていた。



私が刀剣を好きになったのは小学生の時。

祖父が銀師だったことに加えて、
そこに影響を受けてか叔父が研ぎ師の道へ進んだ
こともあり、それらがダブルで強く影響したのだと思う。

もちろん『美しき日本刀』を定期購読している。






さて、展示コーナーに着いた時に思ったこと。




えっと……なんか女子多くない?



並んでいる女子たちの話を盗み聞きすると、
成る程、刀剣を題材にしたゲームが流行っているらしい。


刀剣らん……ら、らんぶ?
……とうらぶ、と略すらしいそれは、
刀剣がヒトの容をとるらしい。

スマホで調べて見ると、見事に美男子揃いだった。


あー、これは……うん、かっこいいかも。

まあ、私の推しである水心子正秀の縦死が
無いのはちょっと納得いかないけど。









そんなこんなで列が進み、
コーナーに入れるようになった時。



展示ケースの上部に、深い青の布が見えた。




何かと思って見上げた、ら








「……なんだこの人」



なんか青い服の人と目が合ってしまった。





- 3 -

*前次#


ページ: