貴方のお名前


「…………」


「…………」




お互い無言で見つめ合うこと暫し。


「……ど、どちら様ですか……」


私の口から出たのは、情けなくもそんな質問だった。



聞いた青い服の男の人は、
口元をゆるりと隠しながらほう、と声を漏らした。

丁度良く心地いいその声は質問に答えることは無く。



「そなた、人の子であるというのに俺が見えるか」


「……え?」


「はっはっは、その様子では解っておるまい」


その人はスッと私に顔を寄せ、
まるで秘密の話をするかのように言った。


「俺は人ならざるもの。
この三条宗近が太刀、天下五剣が一振り

三日月宗近の付喪神だ」







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