何ですか


「三日月、宗近……」


「そうだ。はっはっは、驚いてしまったか?」


「なんだ、縦死じゃ無いのか……」


「待て、何ゆえそう残念がる」




こんなこと普通では無いし、
普通なら受け入れられないのかも知れない。

でも私は、我が家は元々“そういう事”の多い家だからか、
すっと受け入れられてしまった。


ここからどうしたらいいのか分からなかった私は、
とりあえず彼が何をしているのか聞いてみることにした。


「……えっと、三日月、さん?そこで何して……」


「うむ、目が覚めてしまったのだ。
他は皆まだ眠っている故、
何もする事が無く暇を持て余していた」


……つまり、何もしてなかったと。ええー……

そしてふと、私は彼に既視感を覚えた。
あ、と先程まで調べ物をしていたスマホを見る。



……やっぱり。


「ふぅん……あの、何でこの、
ゲームの中と同じ姿なんですか。
イラストを描いた方も視えたんですか」



そう、目の前の三日月宗近は、
女子たちの話にあったゲームの三日月宗近と
そっくりだった。



「ん?……嗚呼、よく似ているかもなぁ」


彼は私のスマホを覗き込み、
そして展示ケースのガラスに映り込む自分を見てそう言った。


「神とは、信ぜらるることで存在するもの。
その姿は数多の人間が信ずる姿となる。」


突然始まった神様についての解説を私はちゃんと聞き、
へぇ、と相槌を打った。

そんなにたくさんの人がこのゲームに
ハマっているのか……と思ったけど、
そういえば某園子嬢もキャラがかっこいいの
なんのと言っていた気もする。



そんなことを考えていた私は、三日月宗近が
とても楽しそうに笑っている事には
彼に声を掛けられるまで気付かなかった。






- 5 -

*前次#


ページ: