何がそんなに



「はっはっは。のう、娘」



声を掛けられてようやく思考を止めた私は、
彼がガラスのケースから降りて隣に立っている事に
初めて気づいた。


「……何ですか」


あれれー?何だか嫌な予感がするぞー?


「そなたはまこと、をかしき娘よ。
のう、付いて行かせてはくれまいか」


はい来たーそういう無茶振り。
私はやっぱりそう来たか……と頭を抱えたくなった。

目の前の青い彼は、
断らせてはくれないだろう目で
私を覗き込むように見つめる。

あーもうヤダヤダ、だからこういう、
質問してるように見せて決定事項を
言ってくる人……人?って嫌なんだよ。


「……どうせ、断らせてくれないんでしょう、もう」


少し諦めたようにそう言えば、
彼は呑気にはっはっと笑った。


「話の早い娘で助かる。よいな?」


もはや問いかけではなくなった言葉に
私はとうとう頭を抱えながら、
はい、と答えるしかなかった。





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