情交
これからするんだ、してもらえるんだ。ずっと待ってたけど、めちゃくちゃ、緊張する。目の周りが強ばり、布団を引っ張って体を隠した。開けっぴろげのシャツのあいだから覗く彼の肢体があまりに美しくて、なんだかこっちまで恥ずかしくなる。
顔と同じく傷ひとつない滑らかな皮膚は、白磁の像みたいに生がない。完璧な左右対称、均整の取れた体。もちろん腹筋は綺麗に六つに割れ、胸筋がほどよく膨れている。鎖骨周りは大きく凹み、臍から腰にかけて少し括れ、腸骨筋の線が股にかけてくっきりと影を作っている。稀に見る抜群のプロポーションだ。やっぱりラムズは七神に作られたんだ、ずるい。膝を立ててぎゅうと体を縮こめる。
どんなにどきどきしても、やっぱりこの瞬間をちゃんと見ないのは勿体ない。上目遣いで彼の一挙一動をじっと眺めた。彼は小声で何かを唱えた。ボウと淡い紫の光が包む。
「……なにしてるの?」
「避妊」
「え? 避妊具は?」
ふつう、男の人は避妊具を付ける。シープルやオークなどの腸を加工した、薄い筒状の膜をペニスに装着するのだ。女側が抗菌作用のある精油を付けることもあるけど、私の店では男側が付けることになっていた。
「魔法かけたから」
そういえば避妊するのに使う魔法があるって聞いたことある。お貴族様は殺精効果の魔法をかけた薬を飲むとか、もっとお金をかけると、専用の魔石や|魔法円《ペンタクル》を使うんだとか……。
ラムズは自分で魔法かけられるんだ。しかも魔石とか、|魔法円《ペンタクル》も使ってないのに……。
「え。でも……。病気になっちゃうから……」
視線を左右に揺らす。娼婦という仕事柄、そういうことにはつい意識が向いてしまう。私が病気を持っていたらラムズに迷惑がかかるし、ラムズが持ってたら、まぁ……それはまだ、いいけど。ラムズからもらった病気で死ぬのは嬉しいし、他の客に伝染るのは……それは困るな。稼げなくなる。
「俺は病気かかんねえし、伝染ることもないから大丈夫」
本当はこんなんで頷いちゃだめなんだけど、ラムズなので許すことにした。彼がかからないならいっか。……それに。チャックの隙間から見えるパンツに目が吸い込まれる。
生でするってこと、だよね。もちろんしたことないわけじゃいけど、ラムズと、──しかも、生で。それに魔法かけたってことは、出してもらえるってこと? 耳がカッと熱を持ち胸が高鳴った。秘部周りが粘ついた液で溢れ、ひくひくと疼いている。
彼は私がどきどきしているのに気づいたのか、ふっと嗤い私の近くに座りなおした。片足を私の体の向こうで立て、腰に腕を回す。
「嬉しいの」
近くなった距離にどきまぎした。一緒に座ってるだけなのに、整った顔がこんなに間近で甘い言葉を囁くと、その破壊力で舞い上がってしまう。
「え、ぁ……や……」
曖昧に視線をずらすと、彼は私の胸にそっと手を添えた。突起をくにくにと弄ったあと、脇、臍、太腿と指が滑り、下の口に触れる。
「やっぱ足りてねえじゃん」
ラムズの声も近くて、そのハスキーな囁き声が耳を濡らした。どろどろの淫花を丁寧に弄られ、いやらしい嬌声が零れる。漏れた声を塞ぐように口付けされ、柔らかな舌が口腔を犯す。脳が甘い快楽でずぶずぶに浸され、すぐに彼のペースに引き込まれた。
「ッつ、ぁん……。きも、ち……ゃ……。」
何度か唇を外され、そのたびに私は空気を求めて荒い息をした。下腹部がさっきまでの強烈な刺激を求めて、また水浸しになっている。ナカに挿った指がこりこりとイイところを押し、快楽の波が襲った。
「ッあ! く、ぃッ、ちゃ、ぁん……?! んーッ!」
無理やり首を曲げられ、噛み付くようにキスされる。イキそうになっていた意識が上の口に戻され、下腹部が焦がれるように疼いた。花弁を捏ねるように擦り、いちばん敏感な部分をわざと外して弄んだ。
「んぁ、んッ! っは……ぁ、あ」
キスをやめるとまた蜜壷に指を入れられる。イきたいのにイかしてくれない。腰を左右に振り、ねだるように指を飲み込もうとした。
「ほしがりだな」
「ね、ぁ……や、」
上目遣いで彼を見上げ、首に手を回してキスをした。すぐに応えてくれ、頭が夢見心地に痺れていく。知らぬ間に布団に体を倒されていて、見下ろす彼の青眼と視線が絡んだ。
「ねが、い……。して。い、いかし、て……、ほし……」
彼は上のシャツを脱いだ。少しズボンを下ろし、パンツの隙間からぎちぎちに膨れた魔羅を取り出した。
「っひ、ぁ。それ、入れる、の……」
店で見たものの一、二、を競う大きさだ。太すぎて、長すぎて、絶対痛い。入らない。ふつうより少し白っぽいそれに紫の血管が這い、それがより歪で恐ろしいものに見せている。
「あー」
ラムズは何か考えごとをするように視線を逸らす。こんなに平然とした顔の男があんなにペニスを張らせているとは思えない。
「絶対いた、ッ?! んぁ、……はぁ、ん!」
彼は何気なく恕張を秘裂に沿わせた。擦るようにゆっくりと撫でられ、それだけで視界がちかちかする。今すぐにでもイきそうだ。気持ちいい、ほしい。イかせてほしい。焦らすように淫茎で蕾や花唇を撫で付け、快をぐちゅぐちゅと植え込んでいく。
「ぁ、な。ね、っは、ぁ……! んッ……! ゃだ、らむ、……じゅ、ぁん……」
彼が動かすのをやめ、気遣うように首を傾げた。
「悪りい、なに。なんか言おうとした?」
「っは……」懸命に息を整え、私の腰を掴む腕にそっと手をのせた。
「やさ、しく、して……ね。それぜった、い……痛い。大きすぎ、はいん、ない」
経験上、どんな大きさなら自分に合うのかはわかる。合うと言っても気持ちいいかはその人の腰使いによるところがあるけど、ともかくあれはダメだ。少しでも激しくされたら血が出るレベルで痛くなりそう。
「大丈夫だよ。痛くねえようにするから」
嘘ばっかり。痛いこと好きなくせに。潤んだ瞳で彼を睨みつける。でもそのあいだにまた膣周りをぐちゅぐちゅと擦られて、すぐさま目がとろんと垂れた。あまりのもどかしさに彼を掴む手が強まり、喘ぐ唇から唾液が零れた。
「ゃぁ、もぉ……ね、ぇ……。イき、そう、なんだ……て、ば」
「さっきイかしてやったじゃん」
「ねぇ、ぁ、ん……。らむず、ぁ、ね……ぇ! っは、あん……ッ! おねが、ッい……」
「お前ほんと」下腹部に焦らしを与えながら、彼は冷たい指先を腹の横にすうと滑らせていった。「小さくて……」体の横に落ちていた掌に指を絡ませる。「こんなに脆くて、玩具みてえ」
彼は体を倒し、私に覆いかぶさった。ちゅ、と小さなキスを落としたあと息を奪った。唾液を絡ませ柔い舌が私のそれを弄ぶ。喉の奥へ舌を入れ犯され、彼の唾液に溺れる。そのとき硬い魔羅の先が膣口にあてがわれた。ぐちゅ、と蜜壷に肉棒が侵入する。
「ぁ、ん、んんんんッ! ぁ、んッ! んんぁ〜ッんんッ!」
凄まじい極楽が襲いかかる。喘ぎ声ごと全部彼に呑まれ、待ち焦がれた快感が体を覆い尽くしいっぺんで果てた。脳で白い光が明滅し、体がぐったりと力を失っていく。肩で息をし、落ちそうになる瞼を堪えた。
「っは、ぁ……ん……ゃぁ……。らむ、ず、ね。ちゃ、った……。ぁ……。きもち、ぁ……」
くつくつと笑い、低い声で言った。
「まだ全部入れてねえけど」
ラムズは起き上がると、私の腰に手を当てて蜜口を広げていた竿をぐぃと押し込んだ。強い圧迫感と、襞をぞろぞろと這い撫でる快が押し寄せる。
「っ?! ぁ、ぁぁあ、ああぁぁああッ!」
痺れるような快感が全身を駆け巡り、体が海老反りになった。彼がさらに体を自分のほうへ押し付け、最奥まで一気に貫く。
「ぁん?! やぁ、やッ! な、ぁ……! ぁ、は……ッ!」
ズンッと重い衝撃が出し入れされ、襞がじゅくじゅくと絡みついて咥え込む。酷くゆっくりとしたストロークなのに、体のすべてが持ってかれそうになるくらい、あまりに濃密な陶酔に腰が悶えた。
じっくりと彼の形を植え込むように、胎を重たく突く。肉襞を掻き分けずるずると引っ張られ、溢れだす粘液と一緒に擦った。
「らぁ、む……ず。ゃ……ッ! もち、きも、ち……ッ! ぁん!」
蜜口は彼の精を絞るようにきゅうきゅうと締め付け、それがさらに下腹部の重い快感に変わっていく。すぅと引き、ずんっと奥へ押し付ける。内側を甘ったるい快楽が押し寄せ、ぞくぞくと体が震える。重圧的な抜き差しを繰り返し、深層の子宮口を擦るように男根の先が掻いた。
「っあ?! ぁん、らむ、ず、じゅあ……、ぃ、ぁ! だ、ぃ……すき。く、ぁん、あっ……!」
子宮が降りてきて、最奥の入口にぐりぐりと膨れた竿が突き上げた。
「ぁ?! んああぁ! や、ぁ! ッ! ぁ……」
白目を向き、悲鳴にも似た嬌声を上げる。……またイかされた。はぁはぁと呼吸を探し、痙攣する体を強ばらせる。私の顔を、彼が優しく撫でた。汗の滲んだ髪をそっとずらす。
「痛くない?」
「ぁ……ん、ぁ……」
焦点の合わない目をなんとか彼に合わせた。彼が動いていなくても、下腹部で大きく主張する肉楔の存在は明らかで、それだけでもきゅうきゅうと下が疼いた。
「ん、たく。ないッ……」
彼はふっと笑う。
「だ、ぃ……だいす、き。むず。ね、ぁ……。すき」
私が手を伸ばすと、応えるように体を重ね頬に口付けた。そのまま耳元に唇を動かし、低い声で囁く。
「もっと言って」
彼は私の横に手を付き、こちらを眇めた瞳で見つめた。
「ぁ、や……すき。らむず。だい、だぁい、すき。ぁ、らむ、ずぁ、ッ?! ゃ、ね!」
話してる途中なのに、ラムズは摩擦運動を再開してしまった。ぐちょ、ぐちょと男根をぶつけられ、さっきまでの快感が津波のように襲い来る。
「ぁ! す、ぁ……ッ! すき、だい……、す……きぁ、んっ?! ぁあ、や、ぁん!」
容赦なく体を突き上げ、私の膣内の凹凸すべてを完璧にこするように肉杭がなぞり上げた。奥を突く硬い先だけでなく、じゅるじゅると出し入れされるあいだも襞がソレにまとわりつき、最早生き物のように女膣が彼を求めた。
「きも、ち……ぁあん! っあ! や、んぁ! はッ!」
延々と彼に責められ続けた。いくら気持ちよくても、自分で腰を擦りつければ逃げるように違う部分を刺激され、いつも彼のタイミングでイかされる。どろどろの快楽に堕とされ、覚えこまされた絶頂に何度到達してもまたすぐに求めてしまう。
意味がわからない。こんなに気持ちいいなんておかしい。あんだけ格好よくて、キスが蕩けちゃうくらい気持ちよくて、そのうえプレイがこんなに上手いなんてずるい。私のほうが本職なはずなのに、彼に為す術なく蹂躙され手も足も出なかった。自分と一緒にいると決めない限り抱かないと、彼がそう言った意味がわかる気がする。こんなに気持ちいいことされたら、どんな女の子でもぐずぐずになってしまう。
「っあん……と、ゃ、ん……っと。むず、ぁむず。きも、ち……ぁ…ん! すき、ねぇ、だ、ぁ、いすき」
私は始終叫ぶように彼の名を呼び、わけもわからず喘ぎつづけた。
「ああ。俺もだいすきだよ」
細めた眼が静かに滾り、私の頬をなぞった。そのあと蜜壷にぐちゅりと杭を押し込んだ。小刻みに膣内が痙攣し、甘い液ごと彼を締め付ける。
「っあ! く、ぃ、っちゃ、ぁ……! い、やぁ!」
顎を掴み、唇を押し付けた。ぬるりと舌が挿し入り、漏れる嬌声を彼が全部飲みこむ。下腹部からいやらしい音が立ち、壁を擦っていた肉杭が子宮口をぐぃ、と貫いた。生暖かい塊が奥を穿ち、底知れない性感を沸かす。
「ぁッ! んああぁあ! や! ぁッ!」
壊れるように体がぴくぴくと震え、白い瞬きに悶絶する。体の力が抜け、朦朧とする頭で彼を見上げる。
「ぁ、も……。むり、こわれ、ちゃ」
彼は軽く笑い、ずる、と陰茎を引き上げた。それでさえ体に細かな疼きを与え、瞼が小さく痙攣する。遠目で彼のモノを捉えると、どう見ても小さくなったようには見えなかった。
「ぇ……あ。い、ってな、い?」
「出したよ」
「ぁ、え……?」
ラムズに支えられ、体をゆっくりと起こす。どろどろの愛液と混ざって白濁液が下の口から零れている。シーツに池ができるほど濡れていたし、彼の液も多い。
快感でいっぱいになっていたせいで、出されたときの感覚を覚えてない。意味もなく臍の下を少し押すと、こぽッと秘口が精を吐きだした。破廉恥な音に目を瞬き、見なかったことにしようと顔を背ける。
それでも意識はそちらに向かってしまっていて、嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちがせめぎ合った。ラムズに汚された感じがする、嬉しい。今度は飲みたい。
「パメラ」
そっと頭を引き寄せられ、軽いキスを落とされる。
「ラムズぅ、きも、ちかった?」
「ああ」
「……んと?」
私は自分の愛液と彼の白液と、汗や涙でぐしゃぐしゃだった。それなのに彼は汗ひとつかいていなくて、する前とまったく同じ、陶器みたいな体が乱された形跡はない。
「なんも、言わない。きもちい、とか」