TRPGしようぜ!
【1日目 昼】
「(きいっと扉を開いてひらひらと紙を翻し)フランシス、宅配だよ。受け取りのサインちょうだい」
「(食器を磨いていた手を止め扉の方へと顔を上げ)…ああ、アルフレッド。ご苦労様。待っててね、すぐサインするから(布巾とお皿をテーブルに置くとペンを持ってアルフレッドの方へ向かい)」
「……(向かってくるフランシスを見ながらぼんやりと昨晩の美しい紅の光景を思い出し)マシューがいないだけで、静かになっちゃったね」
「…(アルフレッドの元へ歩みを進めていた足を止め)…そうだね。ほかの店員達には長期間休むとは伝えたけど、それでもマシューが居ないことに寂しがってる子が多いよ」
「ああ、ごめんよ。……君が一番つらいことはよくわかってるつもりだ。だから、人狼を早く見つけて捕獲しなきゃ(言葉とは裏腹に何処が倒錯的な笑みが口許を彩るのを隠すように片手で覆い)」
「(止めていた歩みを再開しアルフレッドの元へ辿り着くと肩に手を置き)いや、身内のお前やアーサーだって堪えてるだろう?お前も無理しなくったっていい。…それに、こんな時くらい仕事も休ませてもらったよかったのに」
「(軽く首を左右に振り)動いてた方が、気持ちが落ち着くんだ。……アーサーだって同じじゃないかな。俺たち3人とも、血なんて繋がってないけど本当の兄弟みたいに過ごしたんだ。……悲しみを紛らす手段も似てるんだろうね」
「(肩を竦め苦笑いを浮かべ)不器用な奴らだよ。お前もアーサーも。でも辛かったらいいなよ。…話くらいなら聞いてやるからさ」
「うん、ありがとう。……凄く、嬉しいよ(空色の奥で光が恍惚に歪んで消え)……おっと、仕事の途中だ。フランシス、サインよろしくね(握っていた紙を差し出し)」
「ごめんごめん。忘れてたよ(ペンを差し出された紙に滑らせ)…アーサーは、どんなことをしても人狼を捕まえ…いや、殺すんだろうね(サインを書く為に顔は俯いている為表情は伺えない)」
「そうだろうね。……ああ、けれどそんなことさせたくないな。……あんなに綺麗なものを、この世から失わせるだなんて(ほぼ無意識のように唇から甘ったるい声が零れ落ち)」
「(アルフレッドの言葉に顔を上げ)…アルフレッド?」
「(うっとりとしたまま首を傾げ)ン?どうかしたかい?」
「ああ、いや…何でもないよ(にっこりと綺麗な笑みを浮かべ)アーサーはずば抜けた頭の回転力があるからね。きっと人狼だって見つけてくれるさ」
「アーサーだからね。この村でアーサーに敵う頭脳のヤツはいないさ。……きっとすぐに終わるよ(ふわりと甘ったるい雰囲気が霧散し)」
「うんうん。味方だと本当に心強いね。…人狼にとっては厄介な存在だろうけど(ほうっと息を吐きアイリスを細めたその口元から鋭い犬歯のような歯がうっすらと見える)」
「っつ、(一瞬見えた犬歯のような歯に息を詰めて胸に手を当て)……ああ、夢じゃなかったんだ……」
「(アルフレッドの様子に首を傾げ)…アルフレッド、さっきからお前様子がおかしいよ。やっぱりマシューのことで体調が…(アルフレッドの額に手を差し込み胸当てていた手の手首を掴み)」
「(前髪を上げられて空色の瞳孔が僅かに揺れ動き)いいや、俺は平気だよ。……寧ろ、凄く気分が良いくらいだ(掴まれた手首にじんわりと熱が溜まり)」
「…(アイリスをぱちぱちと瞬かせアルフレッドを黙って見つめていたが額に触れていた手を離し自身の額を合わせ)…ねえ、アルフレッド(手首を掴んでいない手で腰を抱き)」
「フランシス……?(腰を抱かれて不思議そうにフランシスを見つめ)」
「…見てた?(アイリスが徐々に紅い色を含んだぎらついたものへと変わり)」
「(紅くなる瞳に零れそうになるほど目が開き)……っあ、ああ……っ!その、瞳……っ!!(歓喜のあまり声が上擦り)」
「……(アルフレッドの様子に赤紫と化したアイリスを細め)…駄目だよアルフレッド。人の色恋沙汰には首を突っ込んじゃ(敢えて真相を語らず諭すような口調で)」
「ごめんよ、偶然見ただけなんだ……!君たちがそういう関係だなんて知らなかった!あんなに気持ち良さそうに……ッ!ああ、フランシス……っ!!(興奮気味に捲し立てて頬が紅潮し)」
「…(追及することをやめ小さく息を吐き)まあ見てしまったのものは仕方ないね。次からは気をつけること。いいね(腰を抱いていた手を離し顔を離すとアイリスが普段と変わらない淡い色へと戻り)」
「(こくこくと何度も頷き)ああ、気を付けるよ!勿論さ!(隠すことをやめた恍惚の光がフランシスを射抜き)」
「(来訪した時よりも明らかに変化した空模様を見つめ)アルフレッド。ほらサインしたから返すよ(受け取り証明をアルフレッドに返却し)」
「oh,そうだった、忘れてたよ!(サインの済んだ受取書を預り)……フランシス、俺は君の味方だよ。それは忘れないでくれ」
「…。…ありがとう。お前も色々あるだろうけど無理しないでね(優しい微笑みを浮かべながら空色を見つめ)」
「ははっ、無理はしてないさ!……フランシス、素敵な夜を(とろりと空色を蕩かせて妖艶な笑みを見せ)」
「…ああ。お前も夜更かしは程々にね(ぽふぽふと頭を撫でながら浮かべる笑みから犬歯がきらりと光る)」
「(光った犬歯に尊いものを見るかのような視線を向け)……夜更かし、出来たら良いな(意味深に囁くとひらりと手を振って店の扉を明け放つ)」
「…(店を後にするアルフレッドの背中を見つめ)…物好きな猫のこと(くすくすと口元に手を当て面白そうに笑う)」
*
「(ミサの終わった教会の扉を叩き)……イヴァーン、いるか……あ、いないか(片付けをしているギルベルトに気付いて言葉を取り消し)」
「(長椅子の間を掃いていた長箒を動かす手を止め)おん?…なんだ、アルフレッドじゃねえか。イヴァンになんか用事か?」
「仕事だよ。荷物が届いてるからサインもらいたかったんだけど(手のひらに収まる程の小箱と受取書をひらりと見せ)」
「ふーん(肩に長箒を近くの長椅子に立て掛け)急ぎじゃねえならここで待ってろよ。もうすぐイヴァンも帰ってくるだろうしな」
「アー……まあここの配達終わったらちょっと休憩取ろうと思ってたし、お言葉に甘えようかな(荷物を鞄に戻し)……アーサーとキクも戻ってくるのかい?」
「ああ。今晩のことについて俺を含んだ4人で話し合うつもりだから(腕を組みながら溜息をつき)」
「そっか。……ギルベルト、人狼をみつけたらどうするんだい?殺すの?(凪いだ空がギルベルトへと向き)」
「…(きょとんとした表情を浮かべるも意味を理解すると首に下げているロザリオのチェーンを指に絡め)…俺はもう異端審問官じゃねえからな。これでも腐っても神職だしまずは人狼を生け捕りにしてどうしてマシューを殺したのか、その真意を聞き出してえかな」
「(何処か安堵したように笑い)それはよかった。……俺も知りたいんだ、マシューが喰い殺された理由を。どうしてマシューだったのか、知りたいんだ」
「…お前は憎んだりしねえんだな。肉親であるマシューを殺した人狼を(不安そうにアルフレッドを見つめ)」
「……憎んでいるさ。けれど、さっきアーサーたちに釘を刺されて少し冷静になっただけだよ(上辺を飾る言葉が寒々しく教会に響き)」
「そっか。…色々複雑な思いは抱えてるだろうけどよ。ここには現役の異端審問官がふたり居るんだ。人狼なんざあっという間に見つけてくれるぜ(アルフレッドの肩に手を置き)」
「はは、そうだった。俺の義兄さんは凄腕の異端審問官だし、相方も腕の立つカウンセラーだ。君たちもいるし、素敵な夜が来るだろうね(肩に乗る重みに笑みを浮かべ)」
「そう言うこった。まあ用心に越したことはねえからな。ちゃんと寝る時は戸締りしろよ?(ぽんぽんと肩を叩き)」
「勿論さ。戸締まりはきちんとしないと強盗が来るかもしれないからね(肩を竦め)……ん、誰か来るみたいだよ。音がする(扉を指差し)」
「ああ、心配すんな。この足音はアーサー達だろ(聞き慣れた足音に振り返ることなく答え)」
「(扉を開けて近くの長椅子に座り込み)……あっっつい!!(乱暴に汗を拭うとそのまま椅子に寝そべり)」
「イヴァンさんが暑がりなだけの気もしますが……(眉間にシワを寄せて警戒心を解かずに教会内へと足を踏み入れ)」
「…ん?なんだ、アルフレッドも居たのか(コートのポケットに手を入れながらアルフレッドを視界に捉えると首を傾げ)」
「やあ、アーサー。仕事でね。イヴァンに荷物だよ(小さな箱を頭上にひらひらと翳し)」
「ん?(顔をあげるとぱあっと表情が明るくなり)来たんだ!うわ、うわわっ、どうしよう(おろおろと両頬に手を当てて表情がにやけ)」
「ん?んだよ、そんなにいいものが入ってんの?(イヴァンの反応に首を傾げ)」
「えへへ、今は秘密!(いそいそとアルフレッドから小箱を受け取って受取書にサインを記し)」
「…もしかして、昨日言ってた(顎に手を添えながらイヴァンに声をかけ)」
「えへへー(照れ臭そうに笑い)……随分前に注文だけは済ませてたんだよ(アーサーにだけ聞こえるようにこそこそと応え)」
「!お、俺だってわざわざ注文しなくともカークランド家に代々伝わる指輪が…(イヴァンだけ聞こえるようにひそひそと返事し)」
「…あのふたりはなにしてんだ?」
「……さあ?(困ったように笑い)」
「(4人の様子に視線を泳がせ)……俺、会議か何か始まって邪魔なら帰るけど……」
「(はっとした様子で顔を上げ)ああ、悪い悪い。…もうここで会議しちまうか?内輪だけでするならアルフレッドには申し訳ねえが教会から出てもらうか?(内緒話で盛り上がるふたりに声をかけ)」
「あ、ごめんごめん(慌てて佇まいを直し)……アルフレッド君が【人間】であるかの確証が持てない以上、聞かれるのは得策じゃないと思うけど……(ちらりとアーサーの方へ視線を流し)」
「(こくりと頷き)アルフレッド、悪いな。ここからは本職だけで話し合いたい」
「分かってるよ。……マシューの想い、晴らしてあげて(不可思議な笑みを浮かべながらひらりと手を振って教会の外へと出ていく)」
「…(扉が閉まったのを確認するとアーサーの方へ振り返り)なあアーサー。もう少しアルフレッドにも気を遣ってやれよ」
「俺に出来ることはマシューの無念を晴らすことだけだ。…今の俺にはアルにかける言葉なんてねえんだよ(額に手を当て悔しげに目を細め)」
「アーサーさん……(そっとアーサーの肩を抱き締めて首を振り)仕方のないことです。今は少しでも、前に進みましょう」
「悪い。お前だった辛い思いしてたもんな(申し訳なさそうに頭を掻き)マシューの弔いって意味でも一刻も早く人狼をとっ捕まえようぜ」
「うん、早くこの悪夢を終えることがマシュー君への手向けだよね。……さあ、今晩に関する作戦会議しよう(ぱんぱんっと手を叩き)」
「(長椅子にどかりと腰掛け脚を組み)俺とキクはいつも通り夜の巡回でもしておくか。…ただし巡回ルートはある程度変えておく必要はあるな」
「ええ。行動ルートが読まれているかも知れない以上、此方も動きを変えることは必須でしょう」
「僕はまず、ルーカス君の護衛に当たるよ。……彼の占いに頼らないといけない以上、失ってはならない人だ」
「確かにあいつの占いは当たるからな。俺は教会でもしもの時に備えて人狼に襲われた村人を囲う準備でもしとくぜ」
「矢張いつもの行動パターンですね。……不謹慎かもしれませんが、なんだか懐かしいですね。この作戦会議も(眉根を下げて微笑み)」
「そういえばそうだったな。俺とキクとで偵察、イヴァンが護衛対象につきギルベルトが宿営地を確保…やってることは全く変わってないな(肩を竦めもどこか表情はほぐれている)」
「この陣形が一番成功率高いんだよね。ほら、覚えてる?キク君が護衛に回って僕とアーサー君で偵察に行ったときなんかボロボロでさ……(緊張の糸が解けてくすくす笑い)」
「あー…覚えてるわ。お前らどっちも後衛だってのに組んじまったもんだから帰ってきた時ちょっとした喧嘩してたよな…(当時を思い出しくつくつと笑い)」
「そんなこと蒸し返さなくてもいいだろっ」
「ふふっ、おふたりとも自分は悪くないの一点張りで……(唇に折り曲げた人差し指を当てて上品に笑い)」
「そこまで思い出されると恥ずかしいって言うか……(こりこりと鼻の頭を掻き)」
「こほんっ(わざとらしい咳払いをし)…その後くらいか?ギルベルトが異端審問官を辞めると言い出したのは」
「そう、でしたかね(ギルベルトの方を振り向き)」
「ああ。親父が病で倒れたって手紙貰ってよ。…最初はここに帰ってくることは悩んでて、暫くはそのこと隠して任務出てたらイヴァンにバレてな(イヴァンの方へ視線だけ向け)」
「分かりやすすぎだよ、精細に欠いてるんだもん。剣の太刀筋は荒だらけ、普段見落とさない物証を見落とす。……問い詰めたら白状したから、帰れって初めて怒鳴ったっけ?(こてりと首を傾げ)」
「イヴァンが怒るってのは珍しいな…」
「ええ……声を荒らげるイヴァンさんは見たことがありませんね……」
「うん、人生で初めて怒鳴ったもん。あんなに大声出るなんて自分でも驚き(わざとらしく肩を竦め)」
「あん時はお前らみたく驚いちまったな。けどイヴァンが怒ってくれなかったら俺は親父を看取れなかったって悔いが残ったまま異端審問官してたろうよ。…ほんと、お前には感謝してるぜ。イヴァン(片手を腰に当てながらイヴァンへと微笑み)」
「うふふ、構わないよ。あんなに苦しそうな顔して続けるくらいならいっそ、辞めちゃった方がいい。……それでギルベルト君の心が安らぐならね(無邪気な笑みを浮かべ)」
「そんなイヴァンも異端審問官を辞めたんだけどな(やれやれと肩を竦め)」
「違うよー、僕はこの村に来て居心地のよさに異動命令無視して辞めちゃっただけでーす(ぷくっと頬を膨らませ)」
「だいたい同じな気もしますが……」
「本部が慌ててたぞ。ギルベルトが抜けお前が突然辞めると言ったものだから主戦力が抜けてどうしたものか…てな」
「しかもこれ、持ち出したまま辞めちゃったからね(弓を軽く持ち上げて笑い)……まあ、本当の理由はギルベルト君を放っておけなかったってのが正しいのは間違いないけどね」
「……へ?(初耳なのかイヴァンの言葉に目を見開き)」
「え、ギルベルト君知らなかったんですか?(きょとりと目を瞬かせ)」
「いや、だってこいつ、この村が居心地いいから異端審問官辞めるーって緩い理由だったんじゃ」
「だって、本当のこと言ったらギルベルト君遠慮しそうだったし(横髪を指でくるくると弄び)」
「イヴァンらしいと言うか…(イヴァンとギルベルトを交互に見つめ)」
「(照れ隠しに笑って視線を泳がせ)……あのね、大切な人が苦しんでるのはやっぱり見てて辛いもん。だから、傍にいてあげたいなって」
「そ、…そうかよ(顔を逸らすも項まで紅く染まっている)」
「……えっとね、えーっと……この事件が終わってからでいいんだけど、ギルベルト君に渡したいものがあって。……貰ってくれると嬉しいなー……(視線を泳がせながらも上擦った声を紡ぎ)」
「…(顔は紅いままにゆっくりと顔をイヴァンに向け)し、仕方ねえな!そこまで言うなら貰ってやってもいいぜっ(声が裏返りながらもいつもの調子に戻ろうと必死)」
「(くすくすと忍び笑いを零し)素直じゃありませんね、ギルベルト君?」
「うっ、うっせえ!!(びしりとキクを指差し)」
「お前も締まらないな、イヴァン(呆れた様子で見つめ)」
「べ、別に渡すときにきちんと言い直すからね!(頬を真っ赤に染めながら)」
「……(ちらりと窓の外を眺め)ああ、陽が落ちるのが早くなってきましたね。紅い空、普段なら美しいと眺められるのに……こんなにも胸がざわつくなんて……」
「ふう…(気を落ち着かせるように深呼吸を繰り返し)何事もなけりゃあいいんだけどな」
「うん……ううん、何もないよ。きっと大丈夫、だってこんなにも素敵な村なんだから(首を振って雑念を払拭)」
「ああ。これ以上被害を拡げるわけにはいかない。…速やかに人狼を討伐するぞ(長椅子から立ち上がり襟を正しながら)」
「了解しました、相棒。……必ずや、マシューさんを謀った者へ、天誅を(刀の柄に手を掛け)」
「……(先程のアルフレッドの言葉を思い出しながらキク達を見つめ)」
「……?(視線を感じて振り向き)ギルベルト君、どうかしましたか?」
「いや、何でもねえ。…そうだ、お前ら晩メシ食ってけよ。腹減ってたら色々支障きたすだろ?」
「!!うんっ、ごはん食べるよ!!ほら、アーサー君もキク君もごはん食べよ!!(目に見えてテンションが上がり)」
「そうだな。これから体力勝負だからしっかり食事はとるべきか」
「ではお言葉に甘えて。美味しいものを食べて英気を養い、村を守りましょう」
「おっし。そうと決まればメシの準備だ。イヴァン、皿とか運ぶの手伝ってくれ(袖を捲りながら礼拝堂の奥へと進み)」
「はーい!(嬉々と挙手をしてギルベルトの後に従う)」
「…(ふたりが礼拝堂から出て行くのを確認し)キク、お前に伝えたいことがある」
「(アーサーの言葉に振り向き)……伝えたいこと、ですか?」
「ああ。…キク、確認するがお前は俺を【人間】だと信じてくれるか?」
「何を今さら。……苦楽を共にした貴方のことを、信じております。貴方が【人間】であることに疑いなどありましょうか(きっぱりと言い放ち)」
「ありがとうキク。俺もお前は間違いなく【人間】だと断言出来る。…だが俺達と僅かな時間だが離れていたイヴァンやギルベルトは【人間】と証明出来るかと問われると俺は確信を持っては言えない所もある(眉間に皺を寄せ教会の床を見つめながら)」
「!?(ふたりへの疑いの言葉に瞳を大きく見開くとややあって静かに頷き)……そう、ですね。私たちにとっては否定できない可能性のひとつ。用心に、越したことはないでしょう……(苦しそうに言葉を紡ぎ)」
「(俯いたままゆっくりと瞳を閉じ)…仲間や家族を疑うなんてきっと正気の沙汰ではないだろうな。だがそう言った情を持つ事で俺達は救えた筈であろう命を幾つも喪ったことだって知ってるんだ」
「アーサーさん……(そっと首を横に振るとアーサーの手を取り)終わらせましょう。この悲劇を。そうすれば、また私たちは笑ってこの村で過ごせるはずです」
「キク…(顔を上げ緊張が解れた安堵の表情を浮かべ)…ああ、終わらせよう。俺達の故郷を人狼に奪わせるものか」
「(こくりと小さく頷き)そうです、私たちの大切な故郷をむざむざ人狼に蹂躙されるだなんて。……大丈夫です、貴方がいるのですから。勿論、私も(柔らかな微笑みを返し)」
「(縦に頷くとはっと何かを思い出し)そうだキク。お前にこれを渡しておく(コートの内ポケットに手を入れアンティーク調の大きな翠の石がついた指輪を差し出す)」
「まあ……(豪奢な指輪を受け取ると瞳が真ん丸に見開き)これは、とても高価そうな……」
「(キクの手を取り左手人差し指に指輪を通し)お前に持ってて欲しいんだ。これを渡す意味も理由も分かってくれたなら…いや、キクなら分かってくれると信じてる。俺達は共に有る者…【共有者】だからな(手の甲にキスを落とすと柔らかなアンティークグリーンに瞳が彩られ)」
「〜〜〜っ!!(右手で口許を押さえて驚きと喜びに言葉を失い)アー、サー……さん、ええ……ええ、分かります。分かりますとも……嗚呼、神様……今この瞬間に、祝福を……っ!共に有る幸せに、【共有者】で在る我々に、福音を……!(感動のあまりポロポロと涙が零れ落ち)」
「な、泣くなよキク(ボロボロと零れる涙に動揺しながらも指で掬い)…今はこれしか渡せないけど近い将来お前にはマリッジリングをここに贈ってやるからな(左手の薬指に唇を移し)…ん、これで予約完了だ」
「ええ、ええ……!(こくこくと必死に何度も頷き)アーサーさん、仕事以外でも……こうやって共に在ることを選んでくださって……ありがとうございます……(涙に濡れた表情が綺麗な笑みへと変わり)」
「俺こそ。…今まで共に居てくれてありがとなキク。これからもよろしく頼む(はにかみ笑顔を浮かべながら背中に腕を回し抱き締める)」
「勿論です……これからも今まで以上に、貴方の傍で……(抱き締められた温もりに幸福な溜息を吐き)」
「キ…はっ!?(礼拝堂の奥へと振り返るとにやにや顔で見つめるふたりの気配に気付き)」
「あ、続けていいよー(によによと笑いながら手をひらひら振り)」
「お、やっと気付いたか。幸せ絶頂なのは分かるが大概にしとけよー?(扉からイヴァンと縦に並ぶようにして顔を出しによによ)」
「ンッ、ンンッ!(抱き締められながらわざとらしく咳払いをし)……ぬ、盗み見はよくないと思いますが!(ひどく上擦った声で咎め)」
「お、まえら…い、いいっいつから!?(目に見える動揺をしながらふたりを指差し)」
「んー……【共有者】の件辺りから?(上で見ていたギルベルトを見上げ)」
「おう。そんで指輪出してるの見た。つーか俺達はメシ出来たことを知らせようとしてこっち来たらお前らが勝手におっぱじめてたんだろ?(やれやれと肩を竦めながらイヴァンの帽子に顎を置き)」
「そうだそうだー!美味しいごはんが冷めちゃうぞー!(によによと笑ったままに子供のように茶化し)」
「お前らには空気を読む力ってのはないのか!?」
「そ、そうですよ!もっと慎ましやかに……!」
「そんなサービス、僕にはないよ?(バッサリ)」
「空気読むよりメシを食えよメシを(びしゃり)」
「ぐぬぬ……!!」
「よいしょっと(イヴァンの帽子を被り直させながら顎を離し)…ま、挙式やるなら俺達も呼べよな。立会人くらいにはなってやるよ(にかっと歯を出して笑い)」
「あ、じゃあ僕はあれやる!花嫁のお父さん役!(楽しそうに挙手)」
「気が早すぎ…無いこともないが(照れ臭そうに頬を掻き)」
「ええ……そうですね。一段落ついたら、是非とも(恥ずかしそうにはにかみ)」
「ははっ、…んじゃそうと決まればメシ食って英気を養えよな!(腰に手を当てて笑い)」
「やー!(びしっと敬礼のポーズを取り)」
「ふふ……ではアーサーさん、お夕飯にしましょう?(そっとアーサーの手を取って握りしめ)」
「ああ(応えるように手を握り返し)…夜は長いしな。ちゃんと腹ごしらえするか」
「眠くならない程度に、ですね(普段の調子を取り戻してくすりと笑いながら)」
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