TRPGしようぜ!
【1日目 夜】
「じゃあ、僕はルーカス君の護衛に行ってくるよ。皆、怪我にだけ気を付けて(弓を担いで手を振ると教会を後にする)」
「ああ。それじゃあ俺達もそろそろ巡回して来るか。巡回後は昨日と同様にこの教会に戻ってくれ(手袋をはめ直しながらキクに声を掛け)」
「畏まりました(審問官を示す帽子を被って刀を腰に挿し)……では、御武運を。あとで会いましょう(深く頭を下げるとカンテラを掲げて身を翻し)」
「気を付けていけよ!いつでもここは開けてやるから(3人の背中に手を振り)」
*
「…(3人から離れふと歩みを止め)一旦家に戻るか(自宅のある方へカンテラを向けコートを翻す)」
「……(遠くの木陰からアーサーの様子を伺っていたが向かった方向に気がついて踵を返すと小走りで後を付ける)」
「(自宅へ着き周囲の様子を伺い確認すると鍵を開け扉を開き)…まずは日課のあれを済ませて(小さな独り言を零しながら扉の鍵を閉める)」
「……(扉が閉まったことを確認すると窓際に寄ってそっと中を覗き込み)」
「っ!(カンテラが花瓶にぶつかり派手な音を立てて床へ落ち)…はあ。最悪だ。よりによってカーペットに落ちるとは(カンテラをテーブルに置きその場にしゃがむと散らばった花瓶の破片と花を拾い)水もこんなに零れて染みになって…ん?(花を拾う手を止め)」
「……っ、(動きが止まったことに咄嗟に身を縮めて窓から見えないように体勢を変えて息を殺し)」
「…そういえばパブの厨房の床にも染みがあったな。あんな大きなもの一昨日には無かった…っ!!(はっと何かに気付いてカンテラを急いで手に取ると家を飛び出し)」
「(何かに気付いた様子のアーサーに口端を歪めると後を追い)アーサー……っ!!(命からがらの声音で名を呼ぶとふらついた様子で姿を見せ)」
「!!(聞き慣れた弱々しい声に振り返り)アル!?どうした!!(ふらつくアルフレッドの体を支え)」
「助けて、殺される……っ、追ってくるんだ逃げても逃げても逃げられない!!(アーサーにしがみついて震える声を零しながらも隠された表情は狂気に彩られ)」
「っ!(アルフレッドの両肩を掴み距離を置き)…人狼か!?人狼に襲われたのか!?(怒りと憎悪が滲む光を目に宿し)」
「(かたかたと震えて首を横に振り)わからない!急に……急に襲われて……ッ」
「っっ(アルフレッドの怯える様に怒りがさらに込み上げ)どこだ!?どこで襲われた!?」
「あっ……ち(震える指で自宅の方向を指差し)」
「…(指を差した方向に視線を向け)アル、俺の家に避難してろ。俺はお前を襲った奴を追いかける(両肩から手を離し地面に置いていたカンテラを手に取る)」
「(咄嗟にコートの裾を掴み)お、置いてかないで!ひとりに、しないでくれよ!!(捨てられそうになった仔犬のように大きな空色を潤ませ)」
「アル…(潤んだ瞳を見つめると動きを止め顎に手を添えて僅かな時間考え込み)分かった。だが俺の傍からは決して離れるなよ(ぽすんと頭に優しい手つきで手を置き)」
「!!あ、ああ!勿論だよ!!(安堵したような表情の奥に歪んだ笑みが見え隠れしては消え)」
「ん、…悪いなアルフレッド。代わりに俺のカンテラを持っててくれないか?もしもの時に手が塞がっていては困るからな(武器の入っているであろうコートのポケットを叩き)」
「OK,(カンテラを受け取ると周囲を照らすように掲げ)……頼りにしてるんだぞ、お義兄ちゃん(狂気を柔和な笑みで隠し)」
「っ…(お義兄ちゃんという言葉に目を見開くも気を引き締めるようにつり上がりそうになる口角を抑え)ああ。任せておけ。…犯人が行方を晦ます前に行くぞ(コートを翻しアルフレッドの自宅へと駆け走る)」
「(アーサーの後を追うように村を駆け抜け)……アーサー、人狼がいたら……殺すのかい?(不意に平坦な声で訊ね)」
「…(アルフレッドの言葉に沈黙を置き)…ああ。マシューを殺し、お前を襲おうとした奴をのうのうと生かすわけにはいかない(冷淡な口調だが言葉の端々に憎悪の色を含み)」
「そう、か……そうだよね(ぴたりと足を止め)……残念だよ、アーサー。わかってくれないなんて……」
「…(アルフレッドの足音が途絶えたことに遅れて歩みを止め振り返り)…アル?」
「あんなに美しいものを殺すだなんて……止めてくれよ、アーサー……(うっとりと天を仰ぎ)」
「アル…お前、なにを言って(信じられないといった表情で本能的に後退りを行い)」
「(アーサーの様子に気付かずに両手を拡げた拍子にカンテラが揺れ)あんなに美しいもの!他には存在しないんだよ!!アーサー!何で君はそれを理解してくれないんだい!?」
「っっ!!(言葉を理解するとアルフレッドに詰め寄り胸倉を掴み)お前言ってる意味を分かってるのか!?マシューは人狼に殺されたんだぞ!?それを殺すなだの美しいだのおかしなことを言ってる自覚はねえのか!!(憤怒や憐憫が混じった悲痛な声で叫び)」
「(気にも留めない様子でアーサーを見下ろし)……あんなに幸せそうに食べられてたのに、不幸なんてことはないだろう?君こそおかしいよ、アーサー(破綻したままの笑みを浮かべ)」
「食べられていた?……お前…まさかマシューが人狼に喰われていたのを…(この場に不釣り合いな笑みを浮かべる空色に映る驚愕した表情を浮かべる自分と見つめ合いながら)」
「素敵な顔だったよ……ああ、俺もあんな風に食べてもらえたら、気持ちよくなれるのかな……(恍惚に輝く空色にアーサーを写し取って口許が歪な弧を描き)」
「(いやいやと子供のように首を左右に振り)アル…目を覚ませ…そんなのお前が見たただの幻覚だ」
「目なら覚めているさ。ああ、とっても心地の良い目覚めだ……俺も知らなかったよ、こんなにも素敵な夜があるだなんて!(無邪気な子供のように笑いながらも狂気を隠さずにアーサーを見つめ)」
「ああ…っ(胸倉を掴んでいた手を力なく離しはくはくと口を開閉させ肩を上下させる呼吸を繰り返し)…んで、どうしてだよ…アルっ!!」
「(空がギラギラと強烈な太陽のような光を宿して甘ったるく笑い)……どうして?そんなの決まってる。狂っちゃったんだ、あんなに綺麗なものを見たら誰だって狂ってしまうよ」
「っっ!!ただ人を捕食する化け物が綺麗だ?ざけんな!!俺は許しはしない!マシューを…お前を狂わせた人狼を絶対に殺す!!(苦渋の表情を浮かべて戦慄する唇を無理矢理動かしながら空色を睨むように叫び)」
「(ギラギラと瞬いていた空がふっと光をなくし)……そうかい、君はあんなにも綺麗な彼を化け物と呼ぶのか。残念だよ、アーサー……君とは分かり合えそうにない(落胆のままに言葉を紡ぎ)」
「アルフレッ…(名前を呼ぶ瞬間口から大量の血が噴き出し膝からその場に崩れ落ちるとアルフレッドの真後ろから赤黒く染まった鋭く長い爪を視界に捉える)」
「(アーサーの吐いた血をまともに受けて顔が紅く染まり)……ああ、ほら……綺麗じゃないか……(うっとりと目を細め)」
「があっ…ッ(激痛の走る胸元を抑えると左胸ががらんどうになり自身の真横に投げ捨てられるようにどくどくと力なく鼓動する臓物を横目で見つめ)…き、ク…ごめ…ッ…(涙が頬を伝うと顎から地面へ零れ落ちた雫が血溜まりに波紋を作ると同時に体が前に傾き血溜まりへとうつ伏せに倒れると動きを止める)」
「(悼むようにアーサーの傍にしゃがむと命だった臓物を指で撫で)……彼の美しさを知れば、分かり合えたのにね。悲しいよ、アーサー……」
「(アルフレッドの真後ろからするりと現れ血塗れの右腕を払い)相変わらず身内には甘いねアーサー。…ああアルフレッド。こんばんは(犬歯を隠すことなく口元を歪めながらアイリスを妖しく光らせ)」
「やあ、こんばんわ。素敵な夜だね、フランシス(この場に不釣り合いなほどに満ち足りた笑みを浮かべてフランシスを見上げ)」
「…やっぱりあの夜店に居た猫はお前だったんだね。さあ、目的はなに?お前の兄弟を2度も目の前で殺したんだ。本来なら俺を殺したいくらい憎んでもおかしくないけど…(小首を傾げながらアルフレッドの様子を伺い)」
「(空がきらきらと星を帯びたように明るく輝き)俺を食べてほしいんだ!マシューがあんなに幸せそうな顔で食べられていたんだぞ!なんて素敵なんだろう……ああ、心臓を一掴みされて苦痛が幸福に変わるあの瞬間!俺にも味わわせてくれよ!!ああ、肉が足りないなら監禁して食べ頃まで育ててくれても構わないよ!でも人狼に食べられたいんだ!その間に他の人狼に食べられるのは嫌だからその辺は加味してくれると嬉しいな!(一気に捲し立てると血塗れになった手でアーサーだった身体を無意識に撫で)」
「…ふっ(捲し立てるような言葉の羅列にきょとんとした表情を浮かべるが不意に噴き出し)…っはは!驚いた!まさか自分から食べられたいだなんて言うとは思わなかったよ!狂ってるねアルフレッド!家族を奪われた悲しみでついにイッちゃった?(くすくすと無邪気さと残忍さを含んだ上品な笑い声を漏らし)」
「ああ、最高にブッ飛んでる自覚はあるさ!けど、君のあの真っ赤に濡れた姿を見て確信したんだ!!俺が進むべき道はフランシス、君に食べてもらうことだって!!(狂気に囚われたまま幸福そうに笑い)」
「俺に食べられることがアルフレッドの進むべき道?…っ、はは、あはははははは!(幸福そうな笑みに更に可笑しさが込み上げ先程より大声で笑い)…面白い。面白いよアルフレッド。今のお前最高だよ(目尻の涙を拭いながら目の前の狂信者をアイリスの中にとらえ)」
「はははははっ!!(同じように高笑いをするとうっとりとフランシスへ血塗れになった自らの身体を差し出し)さあ、フランシス。食べてくれよ……ちょっと筋肉が多くて固いかもしれないけど」
「…(委ねるように擦り寄る背中に手を這わせ)アルフレッドは、俺が人間を食べているところが好き?」
「?……考えてなかったよ。フランシスが真っ赤に濡れて、マシューが綺麗に笑って食べられているのが最高だったけど……(少し考え込んで顔を上げ)ああ、俺は君が満たされているのが好きなんだ……」
「(アルフレッドの言葉にゆっくりと血濡れのアイリスを細め)なら、俺が人間を食べてるところを間近で見てみない?…俺の食事を手伝ってくれたらお前のもうひとつの食べられたいって希望も叶えてあげる」
「君の食事を?……ああ!勿論さ!俺も食事の準備手伝う!フランシス、この村の人たち全員を君にあげるよ!お腹いっぱいまで食べて良いんだぞ!デザートは勿論、俺だけどね!!(またも一気に捲し立てて紅に濡れたアイリスをうっとりと見つめ)」
「ふふ、いい子だね。それじゃあまずアーサーを振舞ってくれたお礼(背中を這っていた手を腰に回し引き寄せると近付いた唇に軽くキスを落とし)」
「ンっ!!(突然のキスに空色が大きく開き)……俺、美味しいかい?(とろんと目尻を弛ませて笑い)」
「ん、美味しいよ。…けど俺は美味しいと分かっているものは最後に残してじっくり味わって食べたい主義なんだ。どういうことか…分かるよね?(顎を掴み蕩けるような笑みを浮かべる唇に舌を這わせ)」
「(意味を理解してこくこくと頷き)ああ、勿論だよ……この村全部食べ尽くした君に食べてもらえるだなんて……夢みたいだ……(唇に触れる生ぬるい幸福感に甘ったるい笑みが零れ)」
「は…(唇を潤すと舌を離し)…ほんと、可笑しな奴(くすくすと笑いながら地面に落ちたアーサーの心臓を摘み)」
「(アーサーの冷たくなり始めた身体を一瞥すると優しく手を振り)……ばいばい、お義兄ちゃん。フランシスに食べてもらう姿……凄く、綺麗だよ……」
「(心臓を一飲みすると喉仏をゆっくりと鳴らし)…お前は損な性格持ちだよ。あっという間に確信に迫り過ぎちゃったからね(ぺろりと血が付着した唇を舐め)」
「損?いいや、俺は知らなかったらただ平凡と生きるだけの配達員さ。……フランシス、君という人狼が俺の人生を変えてくれたんだよ(アーサーの骸を仰向けに変えてそっと目を閉じさせ)」
「…(アーサーとアルフレッドを静かに見下ろし)…そう、お前も、アーサーも。同情したくなるほどにね」
「……同情?俺は今、はち切れそうな程幸せなんだぞ?(見上げてへらへらと笑い)」
「(ふうっと小さく息を吐き)…アルフレッド、家に帰りな。その格好だと村の人達に騒がれるよ。俺はアーサーを運ぶから(アーサーを俵担ぎし町外れの方へ体を向け)」
「(首を傾げるもアーサーの返り血で濡れた身体を見下ろして肩を竦め)そうだね、今日は大人しく家に帰るよ。……フランシス、素敵な夜を(村の外れへと向いたフランシスへ手を振り)」
「ああ。…アルフレッドも、素敵な夜を(振り返ることなく手を振り返し)」
「(ほうっと溜息を吐いて立ち上がり)……ああ、手伝わないと。フランシスがお腹いっぱいになれるように(足取り軽やかに自宅へと歩を進めて鼻唄を歌い)」
*
「(ルーカスの邸宅を守りながら風が変わって顔を上げ)……なに、これ。なんだろう、胸騒ぎがする……アーサー君……?キク君……?……ギルベルト君?」
「イヴァン!!(カンテラを大きく揺らし急いで来たのか呼吸を荒くしてイヴァンの元へ駆け寄る)」
「ギルベルト君?……どうしたの、そんなに息切らせて……(胸騒ぎを覚えたまま首を傾げ)」
「っはあ…は…(肩に乗せていたスコップを地面に突き立て杖代わりのように支えにし呼吸をその場で整え)……っアーサーが(悔しげに瞳を細めてイヴァンを見つめ)」
「アーサー君?……アーサー君が、どうしたの……?(直感的に何かを感じ取るも言葉にすることを恐れて唇を戦慄かせ)」
「(支えにしたスコップを持ったままその場で崩れ落ち)…アーサーが…人狼に殺された(同様に戦慄する唇を動かし力無く答え)」
「っつ!!(理解したくなかった現実を突き付けられて一瞬身体が硬直し)……アーサー、君が……?ッ、キク君!キク君は!?この事知ってるの!?(崩れ落ちたギルベルトの肩を掴み)」
「…(首をゆっくりと縦に振り)教会で落ち合う時間になってもアーサーが帰って来ねえから…キクがアーサーを探しに行って…そしたらマシューが倒れていた街の外れに……っ」
「そん……な……(がくりと膝から崩れ)だって、夕方にふたりは結ばれたばっかりじゃないか……こんなの、あんまりだよ……っ!!(ぼたぼたと大粒の涙が零れて地面を濡らし)」
「…っ(自身の目尻に溜まる涙を乱暴に拭い)…夜が明けたら教会に来てくれ。アーサーもキクもうちにいるから(ふらふらと立ち上がりイヴァンの頭を撫でると努めて冷静に伝え)」
「(涙を流しながら頷き)うん……今晩は絶対にルーカス君を守るよ。もう、これ以上惨劇は起こさせないから……」
「ああ。頼むぜイヴァン。…お前も死ぬなよ(スコップを肩に乗せ俯きながら告げるとそのまま踵を返し教会へと駆け走る)」
「(教会へと走るギルベルトの背中を見つめ)死なないよ。……ギルベルト君を守るんだから。それに、アーサー君の分も、キク君を守らなくちゃ」
「はあ、…ふう(呼吸を整え額の汗を袖で拭い)…こんなことで息切れとは、ブランクってのを感じちまうな(教会の扉を開き薄暗い中を歩いていき)キク、帰ったぞ」
「(礼拝堂で冷たくなったアーサーの身体を抱き締めて血で濡れながら泣き腫らした目をギルベルトへ向け)……お帰り、なさい(がらがらに枯れた声を絞り出し)」
「…(痛々しいキクの姿に悲痛な表情を浮かべ)イヴァンにも伝えてきた。夜明けにはここに落ち合って情報交換するが…キク、コートに血が染み付くからアーサーを一旦離してやれ」
「(ふるふると子供のように首を横に振り)嫌です!アーサーさんはまだ死んでいません!!だって!だってあんなに元気だったではありませんか!!血なんて!!血なんて出ていません!!!(錯乱したように取り乱して更にきつく遺体を抱き締め)」
「っ!!(キクと視線を合わせるようにしゃがみ胸倉を掴み引き寄せ)現実から目を逸らすなキク!!アーサーはもう人狼に殺られちまったんだよ!マシューみたく心臓喰われて出血多量で、…っ、もうお前が発見した時には既に遅かったんだよ!!」
「ッッ!!!(息を詰めると堰を切ったように涙が止めどなく溢れ)あっ、アーサー、さ……っ!!なんで、なんで……っ!!どうして……ッ!!(ギルベルトに頭を預けて大声で泣きじゃくり)」
「(キクの頭を優しく撫で)俺だって分かんねえよ…あのアーサーがこうもあっさり殺られて…っくそ、よりによってなんでアーサーなんだよ。お前らが救われねえじゃねえか…っ(つられるように涙をぽろぽろと流し)」
「っ、う……アーサーさん……ッ!う、ぁ……ぁあああっっっ!!!(抱き締めた遺体の髪へと溢れる雫が伝って床へと涙の泉を作り出す)」
「……(ロザリオのチェーンを握り)キク、今日はここに泊まっていけ。部屋貸してやっから」
「(しゃくり上げながら頷き)アーサー、さんの……傍に、傍にいさせてください……」
「……(しゃくり上げるキクを見つめ)…夜が明けてイヴァンが戻って来たらアーサーの検死をするからな(肩に手を置き重苦しい表情を浮かべ)」
「(ぐずぐずと鼻を啜り)わかって、います……アーサーさん……(涙に濡れた瞳で還らぬ人となった恋人を見つめると遺品となった暗器で自らの髪を一房切り)……ギルベルト君、埋葬の際に……この髪を、一緒に……」
「(滑らかな黒髪の束を受け取り)…たしかに受け取った。ちゃんとアーサーの手に握らせてやる。…悪い、俺にはどうお前に声を掛けりゃいいのか(髪を持っていない手で目元を覆い)」
「いえ……構いません。ギルベルト君、すみません……私ばっかりが取り乱して……ごめんなさい、アーサーさん……ッッ!!(耐えていた涙がまた溢れ)」
「…(ゆっくりとその場に立ち上がり)布団とってくる。ここは隙間風が入って冷えるからな(動く気力さえ感じられないキクを察し宿舎の方へ続く扉へと向かう)」
「すみません……すみません、ギルベルト君……っ(震える手でアーサーの頬を撫でながら手を握り締め)」
「っつ!!(廊下に出ると向かいの壁に勢いよく拳を打ち付け)…っくしょおっ!!畜生ちくしょうっ!!!(何度も壁に拳を打ち付けやるせない気持ちを吠え)」
「(廊下から聞こえる派手な音に一瞬だけ視線を向け)……アーサーさん、なんで……どうして抵抗した痕跡が、ないんですか……?こんなの、『彼』を疑うしかないじゃないですか……」
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