ソードワールドしようぜ!

「(ふたりから距離を取ったところで)……逢瀬を頑張るって何ですか」
「多分……意味を理解していないな、フェリシアーノは(苦笑いを浮かべながらキクの方を見つめ)キク、頑張ったな」
「……正直、なんでもない風に装うのは難しかった。……今にも喉が震えてしまいそうで……アーサーさん、貴方が隣にいてくれなかったら私は逃げていたかも(眉根を下げ)」
「まったく……キクはわかってないな(ふうっとため息をついて)」
「わかって……ない?(首を傾げ)」
「キクはきっと俺があの場に居なくてもちゃんと自分の言葉で自分の想いを伝えていたよ。言葉にするのは俺じゃない、キクなんだからさ。…キクはもっと自分がすごいってことちゃんと誇りに持てばいいんだぞ(額に軽くデコピンして笑って)」
「いたっ!(額を押さえ)……私は、貴方がいないと何もできない子供ですよ。……でも、そう。貴方が私を認めてくれるから……私は自分の存在価値を認めることが出来るんです(あどけない笑顔を浮かべ)」
「俺だって、(色々と思い出しながらメガネ越しに伏し目がちに微笑んで)…きっとキクが俺を認めてくれて、見つけてくれなかったら俺はつまらない人間になってたんだ。だから俺もキクに感謝してるし、キクが居ないとダメな子供だろうさ」
「…………えいっ(じっとアーサーの顔を見ると開いていた冷え切っている手でアーサーの鼻を摘まむ)」
「ふおぅ!?(突然摘まれたことで変な声が出る)」
「ふふ。……この話は、終わりにしましょう。ルーカスやアルフレッドが言っていたでしょう?私たちは互いがいないと、駄目になってしまう半人前なのですから(ぱっと手を離し)」
「(摘まれた鼻を擦りながら)……ふふ、そうだな。暗くなってるとあの2人にまた大目玉喰らいそうだ」
「そういうことです。でも、私には貴方が必要です、愛しい私の神様(くすくすと笑みを零し)」
「勿論。俺だって、お前が必要だ……俺だけの、愛しいキク(蕩けるような甘い笑みを口元に浮かべ)」
「アーサーさん……(うっとりとアーサーの表情を見つめると幸せそうに表情を崩す)」

「てめえどう落とし前つけてくれんだああん!?」

「…………ん?(声の方に振り向き)」
「……なんですかこの汚い声は(いい雰囲気を壊されて苛立ちながら)」

「おい、なんの騒ぎだ?」
「お神酒を配っていた女神官に冒険者がぶつかって服に酒がぶっかかったとよ」

「す、すいません!」
「すいませんで済むと思ってんのか!?おうおう、勿論弁償してくれるよなあ……と、おお。あんたなかなかの上物だなぐへへへ」

「……(騒ぎを耳にして冒険者の方へ歩み寄る)」
「……アーサーさん、待って。ここは私が(アーサーの肩を掴むとそっと引き寄せ)」
「っ、だが……!(キクの方を振り向くが前方でどよめく声に前を向き)」

「ぎゃあああなんだこれつめてえええええええ!!(頭からだらだらと樽いっぱいの酒をぶっかけられ)」

「…………(無言で冒険者の頭に酒をぶっかける)」
「……ルーカス、そろそろやめなさい。酒が勿体ない(ルーカスを視界に捉えると溜息を吐き)」
「(空っぽになった酒樽を放り投げ)おお、キク。ええどこに来たな。おめ、マッチ持ってね?」
「!!てめえ何しやがんだ!!(ルーカスの胸倉を掴み)」
「……(溜息を吐きつかつかと冒険者の背後へと歩み寄り)……命は、一つだけとご存知でしたか?(いつの間にか煙管を取り出すと冒険者の首筋に突き付け)」
「(胸倉を掴まれながらも臆することなく睨み)神聖な場所を穢すな、屑が。今すぐその不浄な体を浄火してやる」
「…うん。これは俺が出なくても大丈夫だな(思わず真顔)」

「ひっひぇえ!?(恐怖で引きつりルーカスの胸倉から手を離しその場に崩れ落ちる)」
「おうおう、地べたにそだに水溜りば作って。ええ歳こいてお漏らしか(目を細めて穢らわしいものを見つめるように)」
「ああ、醜いですね。……即刻立ち去れ。そして、二度とこの街に踏み入れるな(吐き捨てるように見下ろし)」
「ち、ちくっ(座り込みながら後退し)ちくしょおおおおおおおお!!(体が動き始めた瞬間に人混みを押しのけるように走り去る)」

「お、お二人共ありがとうございました」
「……いいえ、お安い御用です(我に返ったのかアーサーの反応を気にするようにちらちらと視線を動かし)」
「……祭りに浮かれて悪酔いする奴ば居るがまったく。人の気も知らねえで(ちっと舌打ち)」
「あ、ルーカス司祭。あけましておめでとう。今日もお仕事か?(キク達の元へ歩み寄る)」
「今日も仕事だ。おめらはデートけ?新年早々いちゃついてんなあ」
「い、いちゃ…(かあっと顔を赤らめ)」
「別にいいでしょう、迷惑を掛けているわけではないのですから(ぷいっと顔を逸らし)」
「迷惑とは言ってね、自意識過剰だな。しかし…(地面に染み込んだ酒の水たまりを見つめ)もったいねえない」
「まあまあ、流血沙汰にならなかったのなら酒樽の一つや二つ、安いものですよルーカスさん」
「?(見知らぬ顔に首を傾げ)」
「(ミストラルを指差し)ミストラル。このタリアーヘ教会の最高司祭」

「ご無沙汰しております、最高司祭殿。……あの呼び出し以来、でしょうか(軽く会釈)」
「ご無沙汰しておりますね、キクさん。アーサーさんも(くしゃりと顔の皺を寄せながら微笑む)」
「……(とんとんと頭を指でノックし)…あ、ああ。ミストラルさん。お久しぶりです」
「しかし忙しいくせしで挨拶回りとは相変わらずマメだな、ミスト坊」
「その呼び方はおやめ下さいルーカスさん。皆さんのお顔を見て回らないと気が済まない質なのですよ。……それに」
「それに?」
「(にやにや)」
「?どうしたんだルーカス司祭。何を笑ってるんだ?」
「ミスト坊は、ある女性に会える口実ば作る為にお礼周りと銘打って律儀にま…むごむご」
「そそそそそそんなわけないじゃないですか!!!なにをごっ、ごごごご冗談を!!(ルーカスの口を手で覆い)」
「おや、最高司祭殿も人の子でしたか。……はて、その女性とは?(意地悪そうに笑みを浮かべ)」
「隠すことないじゃないですか。で、相手は?(興味深そうに見つめ)」
「あらあら、最高司祭様がこんなところにいらっしゃった」
「!!!!(わかりやすいほどに体を大きく震わせ)」
「ほう、彼女ですか(くすくすと笑い)」
「(ミストラルの口塞ぎから解放され)…おう、あけましておめでとさん。ラナ」
「あけましておめでとうございます司祭様(丁寧に頭を下げ)…あら、あなた方はマリアリリィでよく見かけるお2人ですわね」
「アーサーです、はじめまして。ラナ……さんでいいですか?」
「キクと申します(軽く会釈し)……ご婦人。我々をご存知でしたか」

「すぅー……はああ(ルーカスの後ろに隠れ胸元に手を押さえ深呼吸の繰り返し)」

「ええ。私、フランソワちゃんの作る料理が好きだからたまにマリアリリィの食堂でお食事させてもらっているんですよ(上品に微笑み)」
「そうだったんですか。ラナさんは参拝には誰かとご一緒ですか?」
「(くすくすと笑いながらレースの施された手で口を覆い)情けないことに私、この年にして独身なんです。…高望みしたからきっとバチが当たったんでしょうね(ミストラルをちらっと見つめて)」
「!!!(ぱくぱくと口を開閉)」
「……最高司祭殿、脈ありですよ。当たって砕けてきなさい(肘でミストラルの脇を小突き)」
「ら、らららラナはんっ!!」

「(今噛んだような……)」
「(噛んだな)」
「(子供ですね……)」

「はい?(きょとんとミストラルを見つめ)」
「わ、私は、わ、わわ、わたっ……私はっ」
「私は?」
「わっ、私も……好きですよ!マリアリリィのランチは!!」

「なんでやねん(真顔)」
「莫迦ですか(真顔)」
「あっはは…」

「あらあら。そうですか。でしたらまたお昼時に会えるかもしれませんね、最高司祭様と」
「そ、そそ、そうですね(語尾はテンパるあまり裏返り)」
「うふふ。……では私もそろそろ家に帰るとしますわ。それでは皆さんごきげんよう」
「ええ、ご婦人。またお会いしましょう(ゆるりと微笑みを浮かべ)」
「ごきげんよう(ラナの言葉につられるように返答しながら手を振り)……ミストラルさん、大丈夫ですか?」
「はああああ……(ぺたりとその場に座り込みながら俯いたまま)」
「最高司祭殿ともあろうお方が、ご婦人相手に情けない。……しかし、そこが貴方らしい(ふふっと笑い)」
「出来ませんよ。私は神にこの身を捧げた身。そんな私が、彼女を幸せになど出来るはずがないのです。……彼女を想い幾十年は過ぎましたが、いやはやこの想いはなかなかに昇華しきないものですね」
「確かおめ、20代の頃から片想いけ?」
「20代って……えええええええ!?」
「……永い片想いは、まあ、堪えますよね(悟ったように空を見上げ)」
「ですが良いのです。彼女とただ喋られるというだけで私は天にも登る気持ちになれるのですから(小さく微笑み)」
「……その地位を投げ捨てでも、って気はねえのけ」
「(首を左右に振り)私を必要とする人がいる以上、私はこの先もミストラル最高司祭ですよ」
「(ふっと目を細め)……そうですか、自分がそう決めたのならばそれでいいのでしょう」
「(ちらりとルーカスを見つめて)まあ、私も老いには勝てませんからそろそろ有能な誰かに継いで頂きたいのですが…」
「呼ばれてますよ、有能なエルフ殿」
「後継者選びは大変ダナー(棒読み)」

「ルーカス司祭はあまり興味無いのか?」
「荷が重すぎるし、ミスト坊の頭を見てみろ。こうはなりたくねえ(光る頭頂部を指さしながら)」
「残念ながらこれは遺伝です(真顔)」
「遺伝とは悲しいものです(真顔)」
「…えっと、なんかごめん」
「一番残酷なのはおめだ、アーサー」
「なんでだ!?」
「アーサーさんがこの中で一番優しくて暖かいでしょういい加減にしなさい!(力説)」
「害の無さそうに見える顔な奴ほど言葉に鋭利なもん持ってる奴は居ねえってミスト坊が言ってだ(適当)」
「いやいやいや、いやいやいや」
「最高司祭殿は後で私とじっくりお話しましょうか(真顔)」
「私は何も言ってませんよ!?」
「キクはミストラルさんとも仲良しなんだな(微笑ましげに見つめている)」
「いいえ、まったく。時折依頼をもらう程度の仲です(きっぱり)」
「それ、割と仲良しでねえが(ツッコミ)」
「……と、ルーカスさん。そろそろお神酒配りの続きを!」
「ん?ああ、長居しちまったな。そろそろ戻るか。おめらもばかっぷるば程々にな(すたすたと2人から離れ振り返らずに手を振る)」
「失礼致します(ぺこりと頭を下げてルーカスと同じ方向へ歩く)」

「はあ、毎度毎度バカップルと……否定はしませんけれど。……さて、アーサーさん。次はどこへ挨拶へ行きましょうか(穏やかな笑みを浮かべ)」
「(2人に手を振って見送った後、キクの方へ振り向き)……そうだな、アルフレッドやマシューにも挨拶したいんだが…」
「アルフレッド、戻ってきていましたっけ……」
「どうだろうな……っと、んん?この声は」

「キクちゃん、アーサー!(煌びやかな振袖姿で走り寄る)」
「フランソワ?その服は……(美しい装飾の振袖を見つめながら)」
「おや、レディ。あけましておめでとうございます。相変わらず、素敵な淑女ですね(くすくすと笑いながら)」
「2人とも、あけましておめでとう。…これね、この前の依頼主のカグラさんから私宛にいただいたの(ゆったりとした袖を上げながら)」
「あけましておめでとう。……ほう、カグラか」
「はるの暮らしていた場所の衣装でしょうか……ほう、意匠もとても素晴らしい(興味深そうに振袖を眺め)」
「『春高楼の花宴をイメージした満開の桜のように鮮やかで人の心を落ち着かせる貴方に相応しい贈り物を』って手紙を添えられてマナティアさんが持ってきてくれたんだ。うーん。私カグラさんにお会いしたことないけどどんな人なのかしら」
「そうですね……変わった方ですよ。でも、悪い人ではない。寧ろ、我々はお世話になりましたから」
「ああ。落ち着いた人だった。……多少変わってはいたが」
「変わってはいたんだね」
「……うん、まあ」
「変わっている人というのは否定出来ないですからね」

「お、おい。あの見たことない服を来た女。すげえ美人じゃね?」
「うほお、項たまんねえええ」
「……いい」

「……(条件反射で刀を抜こうとするが普段着でないせいで刀がないことに気付き)チッ、……失礼。少し掃除をしてきます」
「キク、俺も掃除?を手伝おうか(よく分かっていない様子)」
「いいえ、大丈夫。アーサーさんはレディの傍にいてくださいな(優しい笑みを浮かべ)」
「あらあら(くすくすと笑って)」
「???」

「(男三人の前に立ち)随分と、不躾な視線を感じたと思いましたらまあ汚いこと。……みっつ数える前に去らないなら、その飾りを不能にして差し上げましょう(にっこりと綺麗すぎる笑みを貼り付け)」
「はあ?お前何を言って……」
「ひとつ」
「お、おいまて。こいつ確か……」
「ふたつ」
「え、……あっ、お前はっ」
「……みっつ。さあ、去らないということは男としての機能を失いたいのですね。介錯して差し上げますよ(毒々しい怒気を迸らせ)」

「(遠くから聞こえる断末魔のトリオに振り向き)……何か今叫び声が聞こえたような」
「……やりすぎは禁物だよキクちゃん(苦笑いを浮かべて)」
「ふう(ぱんぱんと両手を払いながら二人の方へと戻り)……アーサーさんやレディへ不埒な視線を向ければ当然の報いですよ」
「おかえりキク(優しく微笑みかけながら)」
「ええ、ただいま(花が綻ぶような笑みを浮かべ)」
「キクちゃん、ほっぺ。血がついてる血がついてる(右頬を指さしながら小声で)」
「おや、いけない(セーターの袖で乱雑に血を拭い)」
「?ケチャップか?(やはり分かっていない)」
「ええ、そうです。どこでついてしまったのやら(肩を竦め)」
「(なんで分からないんだろうなあ…不思議)それじゃあ、私はそろそろ礼拝堂に行こうかな」
「礼拝堂?」
「うん、礼拝堂で今厄除けのお守りが売ってるからそれを買おうと思って」
「厄除けですか。……そうですね、最近物騒なこと続きです。レディの身が守られますよう(優雅で芝居がかったお辞儀をしながら)」
「ふふ、ありがとうキクちゃん。自分用と店用に買ってちょっと周りをぶらぶらしてるよ。それじゃあ2人はデートの続き、楽しんでね」
「ええ、レディも楽しんできてくださいね」
「ああ、フランソワまたな」

「……で、アルフレッド達でしたね。少し歩いて探してみましょうか」
「ああ。……この人混みだ。見つかってくれればいいが(キョロキョロと見渡しながら)」

「おおーい!キクー!アーサー!(頭上から声が聞こえる)」

「……別な人が釣れましたよ(頭上を指差し)」
「ん?(頭上高くの屋根を見上げ)」
「2人ともー!あけましておめでとさーん!!(屋根の上に腰掛けて2人に手を振っている)」
「あけましておめでとうございます。青年、珍しい場所にいますね(見上げながら)」
「あんな、ロヴィが高い所から見るお日さんが一番綺麗や言うからここおったんよー」
「と、いうとそこに兄猫が?」
「さっきからずっといるぞこのやろー(ひょっこりと屋根の上から顔を覗かせ)」
「2人ともー!あけましておめでとうー!!(頭上の2人に大声で声をかけて)」
「おう、おめでとうな(にっと笑い)」
「2人はこれからどこ行くんー?」
「人探し中なので、場所は未定ですよ」
「人探し?なんだよ、珍しいな」
「へーそうなん?せやったらここから探したろか?(屋根のレンガをぺしぺしと叩きながら)」
「誰探してんだよ」
「アルフレッドとマシューなんだ」
「ロヴィー、2人にどこにおるか分かるー?」
「あーーーー……あれ?さっき誰かと一緒にそこの通り歩いてた気がするぞ」
「誰か?誰ですか」
「シラネ。でも背丈からして女だった気がする」
「女?フランソワじゃないのか?」
「あー違う違う。フランソワなら俺分かるし。……あーーーうーーーん……この辺じゃあんま分かんねえ匂いだった。けど、悪い奴じゃなさそうだったぜ」
「?うーん、誰だろうな」
「誰だかは会ってみればわかるでしょう。アルフレッドも戻っているようですし……追い掛けてみますか?」
「そうだな。もしお取り込み中ならまた後日でもいいしな。とにかく会ってみないとだな。……ありがとう、アントーニョ!ロヴィーノ!」
「おう、また今度なー(ひらひらと手を振り)」
「またなー(ロヴィーノを真似るような口調で手を振る)」

 




ALICE+