確定消すな  



 
松野千冬
「千冬また喧嘩したの?」「……っす」
 気まずそうに視線をずらして俯く千冬
の顎を掬って無理やり顔を近づける。
「あーあ、口切れてるじゃん」
「こんなの、唾付けとけば治ります」
 顔を赤らめて私から離れようとする千
冬の態度に可愛いなあと思いつつ「ふー
ん」と興味無さそうに呟いてから不意打
ちで血の滲んだ唇に噛み付いた。
「んっ!?ぅんんっ、なぁにひて!?」
 痛みと突然の行動に驚いて後退る千冬
の背中に腕を回して体を密着させれる。
「んぁ……はあっぅ、んっう、うっ」
 切れた口端に強く吸い付き、ざらつい
た表面を湿らせるように舐め、呼吸の仕
方すら分からない初な中学生の苦しそう
に漏れて来る声を聞きながら千冬の唇を
好き勝手に貪ればあっという間に体の力
が抜けて行く。
「はい、おしまい」
 最後に下唇を前歯で甘く噛んでから唇
を離せば、目の前には先程よりも顔を真
っ赤にした千冬が薄く涙を浮かべて私を
見つめるその可愛さに胸が高鳴った。
「な、っんで、?」
 震える声でそう訊いて来る千冬の口元
は私の唾液でしっとりと湿っている。
「唾付けとけば治るんでしょ?だから私
が唾付けといてあげたの」
 もしかして足りなかった?とわざとら
しく訊き返せば首を左右に激しく振って
否定された。



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