好きなんだもうどうしようもないくらい
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「抱き締めることで君が救われるならずっと抱きしめていてあげる」の続き
抱きしめられた。
でも、嫌じゃなかった。 人前で泣くことが出来なくなって、ずっと誰にも見られない様に一人で隠れて泣いていた。
それが、鷹王に見つかってしまった。
何故だか分からないけれど、鷹王は抱きしめてくれていた。 鷹王のぬくもりが全ての枷を外した様だった。
押しつぶされそうな程の不安や、怒りを全て吐き出してしまった。 人に抱きしめてもらうなんて、何時以来だろう。
物心ついた時から、毎日生きるために必死だった。
盗賊として、汚いことも何でもやった。それが、生きる唯一の術だったから。
あれ以来、鷹王は私の話を聞いてくれる様になった。
見つからない様に隠れて泣いていても、すぐに見つけて飛んでくる。
そして、いつも抱きしめてくれた。 私はいつの間にか、鷹王と一緒にいる様になった。
居心地が良かったのかもしれない。
家族に等しい傭兵団の皆とは違った、居心地の良さ。
「鷹王は……どうして私の事を気にかけてくれるの?」
私にはとても不思議な問題を問いかけてみる。
鷹王は、きょとんとした顔をして。そして、笑った。 その優しい笑顔に、ちくり、と胸が痛くなった。
見とれてしまった。
「お前さんは、本当に面白いな」
「え……」
どういう意味、と聞き返そうとしたのに。
私の唇は、鷹王に塞がれてしまっていた。
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