かすれた声で呼ばれたら
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「触れられて巡る予感」の続き
まさに一瞬の出来事だった。
私の体は簡単に抱きかかえられ、今大空を飛んでいる。
あまりにも急な出来事で、何が起こったかよく分からなかった。目に入ったのは、鷹王の胸元だけ。
何か問いかけようと思っても、鷹王は真剣な顔つきで話しかけられる様な雰囲気ではなかった。
ぎゅっと鷹王の服を握って、なるべく真下を見ない様にして地上に降り立つのを待っていた。
ほんの少し飛んでいたと思ったら、小高い丘にある木々の近くにゆっくりと降ろされた。
「鷹王様、一体どうしたのですか?」
「……率直に言う」
鷹王の視線はとても鋭くて直視できない程だった。
まさに睨み付けられている、そんな表現がぴったりなくらい。だけど、この視線には熱が含まれている。
そう感じられずにはいられなかった。私の心の奥底で、じわりと何かがこみ上げてくるのが分かった。
「セシル、お前が欲しい」
「え……?」
鷹王の口から出た言葉が一体どういう意味なのかが分からなかった。
そのまましばらく、私の頭は固まってしまった。この人は、一体何を言っているのだろう?
「え、と。それってどういう……?」
きっと今の私は相当間抜けな顔をしているに違いない。
でも、鷹王の真意がよく分からない。
「分からないか?」
「……よく、分かりません。どういう意味ですか?」
「男として、お前が欲しい。心も、体も、全てだ」
あまりに率直な鷹王の言葉に、私の心臓は弾けそうになっていた。
予想外すぎる出来事に、頭も破裂しそうで。
ただでさえ、鷹王の熱い視線のせいで私の心はおかしくなりかけているというのに。
これ以上、刺激されたらきっと、心臓が止まってしまう。
「私は、鷹王様が嫌いなベオク、なんですよ?」
「俺はラグズである前に、男だからな」
やっとの事で絞り出した問いにさえ、またも予想外な言葉が返ってきて、私には何も返せる言葉がなかった。
鷹王は私を求めている。
体も、心も。 その言葉の意味が分からない程、子供じゃない。
それを意識するだけで心が、破裂しそうで。
いたたまれなくて、恐る恐る彼を見ると、鷹王は私の頬に手を添えて優しく微笑んだ。ずるい。
そんな顔を見せられたら、何も争えないのに。
少しずつ近づいてくる鷹王の瞳から目が反らせなくて。大きな影が私を覆って、太陽の光が見えなくなった瞬間。
私の唇は、彼に奪われていた。
恋したくなるお題 「微エロなお題」
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