離れたくない、離したくない
※パラディン設定
「なぜか泣きそうになった」の続き
凜とした立ち振る舞い、男に引けを取らぬ武芸、そして細やかな気配り。
騎士として非の打ち所がない彼女は常に私の側に控えていた。
そんな彼女が初めて私の側を離れる。
そうさせたのは他でもない私自身だ。
全てはエイリークを守るために。
だが、何かが引っかかる。それが何か、分からない。
「ご武運を」
出立の時、彼女の口から発される言葉に強烈な違和感を覚えた。
彼女は私への武運を祈る側の人間ではない。
私の隣で果敢に戦い、私の背中を任せられる数少ない、腹心。
「……エイリークを頼むぞ」
「……はい、お任せ下さい」
どこか悲しげな表情が目に焼きついて離れなかった。
ゼトの掛け声と共に、行軍を開始する兵達。
愛馬に跨がり手綱を引く。
「行くぞ、カイル、フォルデ、セシル!」
いつもの癖で名を呼びかけ、如何に彼女が側にいることが当たり前になっていたかに気付く。
だが、今更気付いたとて、もう遅い。
全ては自分の招いた事態。
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