いつだって囚われの身


崩れかけた資材箱の上にもたれかかりながら荒い息を繰り返していると、扉をノックする音が耳に入る。
視線をそちらに向ける前に静かに扉が開くと、そこにいたのは案の定昭弘だった。

「セシル……終わったか」
「昭弘……」
「戻るぞ、抱き上げていいか」

きっかけは、単純だった。私が一軍の日々のお世話で疲弊して動けなかったところを偶然、昭弘が助けてくれたことだった。
あの時はまさか廊下で蹂躙されるなんて思ってもいなくて、声も出せずいつもよりも耐えなければならない状況に、私の身体は限界を超えていて、とても自力で部屋に帰れる状況ではなかった。
あの時の昭弘の驚いた顔は今でも忘れられないけれど、それでも、手を差し伸べてくれた昭弘の優しさに正直救われた。

「昭弘は……こんなこと続けて、いいの?」
「なにがだ」
「ううん、毎度ごめんね……」

今日は、倉庫だった。この間は食堂。
最近は行為も場所もエスカレートしていて、私の身体が持たないことはよく分かっていて、昭弘はいつも探し当ててくれる。
それが有り難い反面、そこまでしてくれる理由が分からない。
どう考えてもこんな関係、いつか絶対に破綻するって分かってる。
もし私が昭弘と同じヒューマン・デブリじゃなかったら、彼はここまでしてくれるのだろうか。

燻りはじめたこの気持ちに気付かないフリをして、抱え上げようとしてくれる彼の身体に抱きつくと、トレーニング後だろう彼の香りに胸がざわついてしまった。



2016/2/8




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