とある日の昼休みのこと・・・

『つーきしーまーくーん!!』

「・・・ハァ。」
「あ、矢崎さん…。」

クラス中の視線が矢崎に集まっていることを本人だけは知らない・・というか気にも留めていなかった。

「君も大概懲りないよね。何度来たって無駄だから。」
『いやいや月島くん!もうね、君を一目見た時から私は君しか見えていないの…!ビビッと来ちゃったんだよ!』
「悪いけど僕部活入ってるから毎日忙しいんだよねぇ。」
『全然良いよ!空いた時にちょこっとだけでも時間をもらえれば無理は言わないから…!!』
「進学クラスに入っている以上勉強もしなくちゃいけないし。」
『大丈夫…!!私だって曲がりなりにも進学クラス…。月島くんの苦手分野は私が克服してサポートするから!』
「・・あまり夜遅く帰ると家族心配するから。」
『分かった。きちんと親御さんにも事情を説明しに行くから!息子さんをくださいって挨拶する!』
「ちょちょちょっと落ち着こうよ、矢崎さん!クラスのみんなから注目されてるよ!」
『ごめん、山口くん。今日こそ彼を手に入れなくちゃ。』

山口が矢崎に制止を促すが彼女はどこ吹く風だ。
彼女矢崎澪は宮城県立烏野高等学校1年5組の生徒である。
そんな彼女が毎日昼休みに月島の元を訪れてはこうして口説き文句を吐いているのだ。
クラスの人間から遠巻きに見られるのも当然だろう。
しかし夢中になると周りが見えなくなるだけで根は悪い人間ではないのだ。
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