その耳元で政宗が何かを囁くと、遙は頬を染め、政宗を見上げる。
悪戯っぽく政宗は笑うと、遙の頭をくしゃりと撫で、遙を抱き寄せてキスをした。
私は二人の姿を次々にカメラに収めていく。
唇を離して見つめ合う二人は幸せそうで、胸がキュンと疼いた。
政宗ってドSだけど、遙の前だとあんなに優しいんだ……。
何だかそれが羨ましい。
二人はまた手を繋いで少し歩くと、靴を脱いで、澄んだ水が流れる水路の淵に腰をかけて足を浸した。
ぱしゃぱしゃと水を跳ね上げる遙は嬉しそうに笑っている。
そんな遙の笑顔を見て、政宗も笑みを深める。
二人の笑顔が眩しい。
ああ、遙は本当に政宗の事が好きなんだ。
前の彼氏とも幸せそうに笑っていたけれど、何だか違う。
あんなに無邪気に幸せそうに笑っていなかった。
「遙、こっち向いて」
少しくらいカメラ目線の写真もないともったいないから、遙の注意を向ける。
政宗は遙を抱き寄せ、頬を寄せ合って、こちらにフッと笑いかけた。
遙も花が綻んだような笑顔を浮かべている。
シャッターを切って、すぐに写真を確認すると、眩しいくらいの二人の笑顔が写っていた。
「どうだ?いい写真取れたか?」
「うん、ばっちり。でも、折角だからもっとたくさん撮るよ」
「Okay, 期待してるぜ」
ニヤリと私に笑いかけると、また政宗は遙の方を向き、何かを囁いている。
遙はくすくすと笑って、甘えるように政宗の肩に寄りかかる。
政宗は遙の頬をそっと撫でて、笑いながらまた何か囁くと、遙は堪えきれないというように笑い出す。
二人はすっと顔を近づけて。
またキスをするのかな、と思ったら。
おでこをくっつけて、楽しそうにくすくすと笑い出した。
胸の奥が擽られるような気持ちになるほど、自然で幸せそうな笑みで。
政宗もいつものような、ニヒルな笑みではなく、どこにでもいる青年のような爽やかな笑みを浮かべている。
絶対にこれは写真に残しておかなくちゃ。
そう思って、私はすぐにシャッターを切った。
二人はひとしきり笑った後、そっと唇を重ねた。
遙……。
本当に幸せそうで良かった…。
ひとしきり写真を撮ると、私は政宗にカメラを渡した。
「はい、次、政宗が私達の写真撮って。それから、遙にも写真撮ってもらいな」
「ァあ!?何でだ?」
「写真ってね、愛する人に撮ってもらった時に、一番いい表情で撮れるんだって。だから、遙は政宗に撮ってもらった方がいいし、政宗も遙に撮ってもらった方がいい、you see?」
「そうか…。じゃあ、俺が撮るか」
政宗にカメラの使い方を説明する。
私は遙の元に歩み寄ると、じゃれついた。
政宗が怒る。
私は笑いながらも悪乗りして、止めようとしなかった。
全くいい年して何やってんだか、と思うけど。
政宗と遙とじゃれあって。
それがすごく楽しかった。
ひとしきり、遙も政宗もお互いの写真を撮って、撮影会は終了となった。
ぎらぎらとした夏の日差しが眩しくて。
遙の笑顔も政宗の笑顔も眩しくて。
ほんのひと夏だけ。
まるで花火のような逢瀬だけれど。
二人は花火よりも輝いていた。
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