Breathless act.2 -3-

車に戻って政宗に告げられたホテルの名前を聞いて私は驚いた。
有名な高層ホテルで、夜景が綺麗な事で評判だった。

ホテルの駐車場に車を停める。
政宗はいくつか紙袋を持ち車を出た。
フロントでカードキーを受け取り、部屋の番号を見ると、かなり上の階で驚く。
確か、上の方はかなりいい部屋のはずだ。
驚き見上げる私にフッと笑いかけて、政宗は私を促した。



部屋に入ると、中は広く、ビジネスホテルとは全然違う。
突き当たりの大きな窓から見える景色が圧巻だった。
オレンジ色の夕陽に照らされて、新宿の高層ビルの窓が夕陽色に染まっている。

「綺麗…」

窓辺に立って眺めると、政宗が後ろからそっと抱き締める。

「先にシャワー浴びてくるからしばらく眺めてていいぜ」
「うん、分かった」

頬に一つキスを落とすと、政宗は浴室へと消えて行った。

夕陽が段々と濃い色になっていって、辺りを同じ色に染めていく。
ビルが乱立する新宿では大きな夕焼け空は見られないけど。
窓ガラスに乱反射する光が幻想的だった。

浴室のドアが開く気配がして振り返ると、バスローブを羽織って濡れ髪を政宗が拭いている。
眼帯が外されている事が何だか酷く嬉しかった。
政宗の傍に寄り、タオルに手をかけると政宗が少し屈む。
男の人にしては少し細い髪を丁寧にタオルドライすると、政宗が気持ち良さそうに口許を綻ばせる。
政宗の頭を引き寄せて右目に口付けを落とすと、政宗は私をギュッと抱き締めた。

「止めろ。お前なしじゃいられなくなる。癖になりそうだ」

咎めるような言葉なのにその声音が酷く優しい。
キスをねだると、政宗はそっと身体を引き剥がした。

「止まらなくなるから今は止めとけ。後でゆっくり可愛がってやるよ。時間があまりないからお前もシャワー浴びて来い」
「うん、分かった」

やっと二人きりになれて政宗と抱き合えると思ったのに、満足にキスすら出来ずに焦れる。
きっと政宗なしじゃいられなくなっているのは私の方だ。
政宗は私の背をそっと押して浴室へ促した。
また焦らすように指先が触れて、政宗が欲しくなる。

もうこれ以上焦らさないで……。

浴室に入る前に、もう一度政宗を振り返ると、政宗は悪戯っぽく笑い投げキッスをした。
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