遙と甘い雰囲気に包まれて、俺の計画なんてどうでもよくなる。
車の中で遙が俺を煽っていたことなんてどうでもいい。
今まで通り、いつまでも抱き合って、気怠いキスをずっと交わしていればいい。
それでも、俺には許せないことが一つあった。
昨日、帰宅すると、遙は俺を拒んだ。
『嫌っ……んっ……嫌いっ……』
遙が口にした『嫌い』という言葉。
その言葉だけは遙の口から聞きたくなかった。
美紀と一緒にいるところを目撃されたのは誤算だった。
二人でじゃれ合って盛り上がっているところでも目撃されたのだろうか。
迂闊だった。
俺も遙の事を信じられなかったのだからお互い様だ。
それは頭では分かっているのに。
それでも俺は許せなかった。
心が狭いと思う。
でも、譲れないものだってある。
愛すれば愛するほど、裏切られた時の傷は深い。
『愛は痛くて哀しいから……』
いつか遙が呟いていた言葉を思い出す。
ちらりと隣りの遙を見遣ると、目が合い微笑みかけられた。
これからはいつでもこうして俺に微笑みかけてくれるのか?
もう、嫌いだと言って傷つけたりしないのか?
『嫌い』というphraseを思い出すたび、胸の奥が痛む。
もう二度とそんな言葉、口にさせねぇ。
俺は、カクテルを一気に呷ると、遙を部屋に促した。
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