どういう効果か分からないが普通の写真より綺麗に撮れるようだ。
目鼻立ちがくっきりと撮れる。
元々遙は綺麗な顔立ちをしているが、どんな風に写るのだろうと想像して思わず口許が緩む。
カーテンのようなもので仕切られた機械の中から出ると、急に黄色い歓声が聞こえて俺は顔を顰めた。
「キャー!ねぇねぇ、あの人、政宗に似てない!?」
「うわっ、ホントだ!うっそ、現代パロのコスプレ!?ってか、サーフパンツ萌える〜!」
『現代パロ』?
『コスプレ』?
何だそりゃ?
頭に疑問符を浮かべていると、遠巻きに俺を指差していた女達が近付いて来た。
出会った頃、遙に言われた事を思い出す。
『政宗は有名だから、ゲームになっているの』
こいつらはそのゲームのファンか?
すっと踵を返そうとすると、俺を取り囲むように行く手を塞がれた。
「あの…戦国BASARAの伊達政宗によく似てるって言われませんか?」
戦国BASARA…。
遙が機械を修理に出していた間、俺が見ていたゲームが確かそんな名前だった。
俺や真田幸村が出ているCrazyなゲームだ。
「知らねぇな」
本当は知っている。
でも、それを知られてはならないと本能が告げていた。
「声まで中井さんそっくりだよ!コスプレじゃなくて、もしかして逆トリップ?」
「まさか夢小説じゃあるまいし。私、むしろダテサナ萌えかな」
「私はこじゅまさかなぁ。でも、本当に声まで似てる」
「ねぇ、本当に伊達政宗に似てるって言われませんか?声まで似てますよね?」
女達はやけに執拗に食い下がった。
声まで似ている…。
その時、俺の中で微かな疑念が生まれた。
400年のタイムラグがあるのに、姿形だけでなく、声まで正確に伝わるものなのか…?
俺の時代にはCDなんてものはねぇから、音声を後世まで伝えるのなんて不可能だ。
「悪ぃが知らねぇな。たまたまだろ?」
俺の声を聞いて、女達がまたうっとりしたような熱い視線を送り、「似てる」と口々に呟いた。
早くこいつらを撒いてしまわねぇと。
だが、遙とはぐれてしまう。
視線を彷徨わせていると、女達の向こう側で俺を見つめている遙の姿が目に入った。
遙が口を開こうとする。
遙、頼む!
今だけは名前を呼ばないでくれ…!
俺が遙の名を呼ぶ前に遙が俺を呼んだ。
「Darling!お待たせ!」
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