周囲も呆れるくらいお互いに溺れていた。
しかし、それは砂上の楼閣のような恋で。
何かと理由をつけて働かない彼を私が援助してなりたっているようなものだった。
アメリカに住む彼に会うために、長期の休みは必ず私か彼が会いに行き、それ以外は電話かチャットで繋がっていた。
その国際電話代も全て私が持っていたのだけれど。
それでもいいとずっと思っていた。
しかし、将来のことを考えるとどうしても不安で。
彼が変わってくれない限り、私は彼と付き合い続けることは出来ない。
それは許されないことだから…。
だから、私は彼に変わって欲しかった。
いつも一方的に私から連絡するという関係に嫌気が差し。
彼への不信感が募り。
段々と電話をしないようになっていった。
本当は大好きで、ずっとこのままの関係でもいいとも思っていたけれど、彼に変わって欲しかった。
甲斐性のあるところを見せて欲しかった。
そんなある日、彼から私の携帯にメールが来た。
『I miss you. Why didn't you call me?(君の声が聞きたい。何で電話してくれなかったんだよ)』
ちくりと胸が痛んだけれど、私はずっと抱いていた不満をぶつけた。
『I don't have enough money to call you. If you want to talk to me, you call.(電話代がないから。声が聞きたかったらそっちからかけて)』
電話代がないというのは嘘だったけれど、それが負担になっているのも事実だった。
彼の返事はこうだった。
『I can't call you from here. It is too expensive. If I pay you back later, would you call me? I want to hear your voice right now.(こっちからは国際電話かけられない。高すぎて。後で払うから電話してくれない?今すぐ声が聞きたい)』
ああ、またこれだ。
いつか返すから、と言って、いつも先延ばしにして払ってくれない。
彼の優しさと甘い言葉に溺れていつも流されていたけれど、それももう限界だった。
きっと、これも甘い嘘…。
私は溜め息をつきながら、返信した。
『I know that you will never pay me back. Unless you have enough money, I won't call you.(どうせ返してくれないんでしょう?お金がないなら電話してあげない)』
これくらい言ってやらないと この人は変わるきっかけがないだろう。
少し頭を冷やしてもらいたい。
そう思って言った言葉なのに、次のメールで私は冷や水を浴びせかけられた。
『Okay. I will break up with you. You are harsh. I know you don't love me anymore. You don't have to call me ever again. Bye.(わかった。君と別れる。君は冷たいな。もう愛してもいないことが分かった。もう二度と電話もしてこないくていい。じゃあな)』
違うのに…。
愛していないんじゃなくて、愛しているからこそ変わって欲しかったのに…。
私たちの今までの時間は何だったんだろう…?
ただ、愛に浮かれていられればよかった。
でも、それじゃダメなんだ。
私たちは現実の世界に生きているんだから。
それからは何を言っても無駄だった。
私の恋は終わった。あっけなかった。
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