「係りの者が参りますので暫くお待ち下さい」
ウェイトレスは一礼をして部屋を下がった。
間もなく奥の部屋が開いて、また別のメイドさんがやって来た。
メイドさんは大きな包みを手に持っている。
「当店はドレスコードがございますので、お手数ですが、こちらのドレスに着替えて頂けますか?」
「え?あ、はい」
政宗が良家の御曹司だったことを思い出す。
このレストランだって、見かけは普通のレストランだけど、もしかしたら完全会員制のレストランで、良家の子息女が集う場所なのかも知れない。
お洒落をしてきたつもりだけど、きっと、これじゃダメなのかも。
私は促されるままに、黒いドレスを受け取り、そして着替えた。
ドレスの肩紐は片方しかなく、片方の肩が剥き出しになるぴったりとしたドレスだ。
ご丁寧にドレス用のブラジャーまで用意されている。
腰骨のあたりまで、ぴったりとしたそのドレスは、太ももの真ん中よりも上までスリットが入っている。
社交界などでは珍しくもないのかも知れないけれど、こんなドレスを着たことがなくて、ちょっと落ち着かない。
胸元と脚が露出して恥ずかしい。
「こちらの靴にお履き替え下さい」
差し出された靴は、黒いエナメルのハイヒール。
足首をリボンで縛るようになっている。
靴を履き替えると、さらに奥の部屋に通された。
そして、先ほどのメイドは下がって行った。
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