その廊下をメイドさんの後に続いて歩いていく。
最後のドアの横には、スツールが置かれ、その上に香水の瓶があった。
「これは、かのグレース・ケリーが愛用していた香水です。お客様にお似合いだと思いましたのでご用意させて頂きました」
「あ、ありがとうございます」
全身を着せ替え人形のように着せ替えられた挙句、ヘアメイクまでされて。
ダメ押しで香水だなんて。
行き届いているというか、なんと言うか。
うん、住む世界が違うな、と思い知らされる。
私は、その香水の瓶を手に取ると、遠くからシュッと吹きかけ、その霧の中をすっとくぐった。
「では、お客様。この先がメインルームとなっております。私はここまでしかご案内することが出来ません。どうぞ、ごゆっくりとお楽しみ下さい」
メイドは一礼をして下がって行った。
この先は、きっと私が知らない世界だ。
どんな子息令嬢がいるのだろう。
私のマナーって大丈夫かしら?
政宗は口は悪いが、ものを食べる仕草などは洗練されている。
どうしよう……。
不安に駆られながらも、私は、ドアをそっと開けた。
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