大海原の彼方にはウィンドサーファーとサーファーの群。
浮輪を持った子供達。
やっぱり海は最高だね!
海の家で水着に着替えた私は手を額に翳して景色を眺めた。
じりじりと肌を焼く太陽の熱が気持ちいい。
「Hey, honey!」
この少しハスキーな美声は政宗のものだ。
私は満面の笑みで振り返った。
「政宗っ!」
目が合うと政宗は少し目を瞠り、私の頭のてっぺんから爪先まで視線を動かし、慌てて持っていたパーカーを私に着せた。
あれ…?
政宗だったら、「Honey, cuteだぜ」とか「似合ってる」とか言ってくれそうなのに。
政宗を意識して、少し大人っぽいビキニを選んだつもりだけど似合わなかったかな…?
「政宗…?やっぱりこの水着似合わない…?」
不安げに政宗を見上げると、政宗は少し頬を染めて不機嫌そうに私の頭を小突いた。
「Dumb ass!あんまり肌露出すんな」
「え〜、何で?海だよ?政宗喜ぶかなあって思って張り切ったのに」
小突かれた頭を押さえてむくれながら政宗を見上げると、政宗は「Ah〜っ!」と唸りながら頭をがしがしと掻いた。
こういう仕草、うちのアニキとよく似てるんだよな。
「そりゃ……けどよ……」
「えっ、何?政宗、聞こえないよ」
ボソリと呟かれた政宗の言葉が聞き取れなくて、政宗の口許に耳を寄せると、政宗は更に頬を染めてそのまま私を抱き締めた。
「そりゃ嬉しいに決まってんだろ?俺の女が俺のためにこんなにprettyでsexyに着飾ってくれてるんだから」
嬉しいと言いつついまだ不機嫌な政宗の意図が読めず、首を傾げる。
「じゃあ何でまだ怒ってるの?やっぱり似合わないから?」
政宗は脱力したようにうなだれた。
「いいか?Listen to me carefully. その水着、とんでもなく似合ってる」
「ホント!?やったぁ!」
「But!」
私が手放しで喜んだ瞬間政宗はまた厳しい表情で言葉を挟んだ。
まだ何かあるのかな…?
「周りを見てみろ」
言われて見ると視線を集めているような。
政宗がカッコいいからかな。
私が首を傾げると、政宗は深い溜め息を吐いた。
「俺もだけど、それ以上にお前が注目浴びてんだよっ!分かれよっ!お前、今日、絶対に俺から離れんな。Do you get it?」
「イェッサー!」
私の手を引いて足早に歩く政宗を見上げる。
もしかして嫉妬してくれたのかな…?
ちょっと嬉しいかも!
政宗の腕にしがみついて歩く。
政宗は、ちらりと私を見下ろした。
「政宗、大好き!」
満面の笑みで言うと、政宗は面食らったように額を押さえた。
「お前、それ、反則」
「え〜、何で?」
「こうしたくなるからだ」
言うが早いか、気付けば政宗の腕に閉じ込められ、唇には柔らかい政宗の唇の感触。
少し顔を離した政宗は艶っぽく、少し余裕のない笑みを見せた。
「あんまり俺を煽るなよ。どうなっても知らねぇからな」
また顔を背けて歩き出す政宗は何だか可愛かった。
いつも不敵な笑みを浮かべてる政宗のペースが乱れてる。
こんな政宗、学校じゃ絶対に見られないよ。
やっぱり思い出作りに海に来て良かったな!
私達は、ビニールシートを広げると、ビニールのボートを膨らませた。
勿論泳げるけど、身体を動かすことなくただ波にぷかぷか浮かぶのは楽しい。
私がポンプで膨らませている間、政宗は日焼け止めを塗り出した。
あまり日に当たらないせいか、割りと色白の肌をしているけど、鍛えあげられた筋肉が綺麗についていて、モヤシっ子のイメージは全くない。
うちのアニキと同じくらいいい身体してるなあと見蕩れる。
腹筋とか大胸筋とか、ね。
「Honey, 背中に日焼け止め塗ってくれよ」
「ラジャー!」
政宗から日焼け止めを受け取り、首から背中にかけて塗っていく。
わぁ、背筋も綺麗だなぁ。
こういう広い背中って何だか抱き着きたくなるよね。
意識したらドキドキしてきて、私は思わずそのまま抱き着いた。
政宗は振り返って優しく微笑む。
「やけに積極的じゃねぇか」
「へへっ。何か、デートって感じでいいねっ」
私も微笑み返すと、政宗は嬉しそうに、私の手を繋ぎ指先を絡めた。
「お前も日焼け止め塗らないと焼けるぞ。背中塗ってやるから」
「ん?私はいいよ。家でアニキに塗ってもらったから」
「……huh!?」
政宗は笑顔のまま固まり絶句した。
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