How to… -3-

しばらく無言で私を見つめていたアニキがすっと顔を近づける。
思わずアニキを凝視していると、アニキは苦笑いを漏らした。

「キスする時くらい、目ぇ瞑れよ」
「あ、そっか。うん、そうだね」

すっと目を閉じると、温かい吐息がかかり。
柔らかい唇がそっと触れて、そして離れていった。
離れていく兄貴の首に腕を回して縋る。

「アニキ、ダメだよ。お休みのチュウじゃないんだから。もっと本気出して!」

アニキは困ったように視線を泳がせていたが、真顔になって私をじっと見つめた。
アニキのこういう真剣な顔、あんまり見たことがないからドキリとする。

「どうなっても知らねぇぞ。覚悟はいいか?」

低い声で囁かれて。
こんなアニキの声なんて聞いたことがないから、思わず緊張する。
アニキ、モテてたけど、こうやって口説いてたんだ…。
ものすごく艶っぽくて、我が兄ながらカッコいい。
身体おっきいし、こうして抱き締められるとすごく安心する。
うん、そりゃ、モテるかも。
流石、アニキ。

「うん…」

頷いて、目を閉じると、アニキの大きな手が私の後頭部にあてがわれた。
さっきみたいに、軽く口付けた後、何度も啄ばむように、柔らかく口付けられて。
何だか身体から力が抜けていく。

このままでいいのかな?
私も何かした方がいいのかな?

ちろりと舌を出すと、アニキが少し顔を離す。

「舌はまだ使うな。余計なことは考えずに自然にしてろ」

吐息のかかる距離で押し殺した声でそう言うと、また口付ける。
啄ばむようだった口付けは、少しずつ大胆になっていく。
柔らかく唇だけで私の唇を食み、時折軽く吸い上げる。
何だかうっとりしてきて身体が熱くなっていく。
アニキの唇の感触が気持ち良くて、思わずそれを追う。
アニキがするように軽くアニキの唇を唇で食むと、アニキがフッと笑う気配がした。

「そうだ。上手い上手い。そんな感じだ」

アニキは私の顎をとらえると、少し上向かせ、唇を強く吸い上げた。
ぬるりとした舌が少しだけ唇に触れて、思わず蕩けそうになった。
何だかわからないけど、身体の中から何かがこみ上げてくる。
熱くて、甘くて。
何故か分からないけど息が上がっていく。

「んっ……アニキっ……」

思わず漏れた声は自分でも驚くほど甘ったるかった。
アニキは一層私を強く抱き締め、深く唇を重ねた。
その時……。

「Honey……。What the hell are you doing?」

がちゃりとドアが開く音と共に、聞きなれた錆を含んだ声が私の背後から聞こえた。
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