17.Mozart(R18)

俺の膝の上にまたがるように座り、スカートの裾は乱れて太ももの上の方まで捲れ上がっている。
目の前には、Dカップくらいの形のいい胸が、薄手のレースのブラに覆われていて、少し揺れた。
仄香は俺の首に両腕を回し、酔いで潤んだ目で俺を見つめた。

「身体がふわふわして気持ちいい…。暑くてたまらないよ。でも、何だか全然眠くならなくて、その代わり、すごくキスしたいの…。キスなんてした事ないのに、すごくキスしたい。小十郎とキスしたいよ…」

もしかして、お前ぇ、酔ったらキス魔か!?
なまじいい酒ばかり飲ませたから、潰れずに本性だけが出たか!?
仄香のあまりの行動に、背中を冷や汗が伝って行く。
こんな事をされて、そんな目で見つめられたらいくらなんでも理性が崩壊寸前だ。

「キスは初めての男のために取っておけ」
「イヤ…。今、したい。小十郎が初めての人ならいいもん。小十郎ー、好きー。大好き!小十郎…」

仄香が触れそうなくらいに唇を近付けると、チョコレートの香りが少し濃厚になった。
完全に酔ってるな。
下手したら、起きたら全く記憶がないくらいに。
じゃなかったら、こんな大胆な事は出来ねぇ。
酔った弱みにつけ込むのは卑怯だ。
それでも、欲しくてたまらなかった愛しい女に好きだと言われた挙句、こんな事をされて、冷静でなんていられない。
もし、これが仄香の本性なら、仄香の深層心理は、俺を求めてるって事だ。
俺は溜息を吐いた。

「仄香、お前ぇが後悔しなくて、本当に俺が欲しいなら抱くぞ?それでもいいのか?」
「初めては、一番好きな人がいいもん。小十郎が一番好きなんだもん。小十郎は優しいから酷い事しないもん」
「そうだな…。お前ぇが嫌がったらすぐに止める。他の男に泣かされるくらいなら、俺が抱いてやる。ただ、唇を奪われるのは俺の趣味じゃねぇな」

覚悟を決めてそう言うと、仄香の背中に手を回し、ブラのホックを外してブラを押し上げた。
露わになった綺麗な胸の先は固く立ち上がり、柔らかく揉みしだきながら、そこを軽く吸い上げて舌で転がすと、仄香はあられもなく甘い声で喘いだ。

「はぁん、あっ、こじゅうろっ…さっきよりっ、気持ちいっ、ああっ!こじゅうろっ!」

俺の髪をくしゃりと掴み、堪えきれないように淫らに腰が揺れる。
初めてなら十分慣らさないと女は辛い。
俺はたっぷりと時間をかけて、胸と背中を愛撫した。
そして、ソファに押し倒して、腕からブラを外して、俺もシャツを脱ぎ捨てた。
抱き合うなら素肌で早く抱き合いたい。
仄香は眩しそうに俺を見つめた。

「男の人の身体ってこんなに逞しいものなの?知らなかった…」
「いや、俺は特別だと思うぜ?会社でもガタイのいい方だ」
「綺麗でカッコいい筋肉…。どうしよう、すごくドキドキする。苦しいくらいドキドキする。この身体で抱き締められたらおかしくなりそう…。こういうのフェロモンたっぷりの身体って言うのかな。見てるだけでドキドキして苦しいよ」
「お前ぇの身体も綺麗だぜ?ただ細いだけじゃなくて、引き締まってる。御殿下のジムで鍛えてるな?」
「うん、かすがとエアロやってる」
「やっぱりな。ウエストに薄っすら筋肉の筋が出てる。理想的に綺麗な身体だ」

俺は仄香に覆いかぶさると、そっと頬を撫でて、そのまま指先を顎まで滑らせて軽く掴むと、柔らかくキスをした。
次は、軽く唇を食んでほんの少し吸い上げるようなキスをすると、モーツァルトの甘いチョコレートの香りがした。
こんなに甘いキスは初めてだ。
また少し深いキスをすると、仄香は俺の頭を引き寄せ、ねだるように少し唇を開いて、柔らかく舌を触れ合わせた。
吐息や舌まで甘いチョコレートの香りがして、もう止まらなくなった。

仄香の背中に両腕を回し、膝で体重をかけないようにしながら、抱きすくめて、身体が陶酔感で痺れるような濃厚で柔らかなキスを何度も繰り返した。
抱き締めると、仄香は小さく甘えるような声を上げた。
ぎこちなかった仄香のキスも、俺に合わせるように、軽く舌を触れ合わせては、軽く吸うようなキスになって行って、互いの吐息は濃厚なチョコレートの香りがした。
濡れたキスを繰り返すうちに、仄香は甘えるように喘ぎ初めて、それを聞いたらたまらない気持ちになって、息が上がって行った。
ようやく唇を離すと、仄香は軽く息を乱しながら、艶っぽく濡れた表情をしていた。

「チョコレート味のキスだ…。美味しい…もっと…」
「ああ、俺もモーツァルトを舐めてたな。こんなに甘いキスになるなら、またお前ぇに飲ませねぇとな」

絡み合うように抱き合い、また濡れたキスを繰り返しながら、仄香のスカートを脱がせて行く。
すっかり脱がせて、また焦らすように太ももを愛撫すると、たまらないように喘ぎながら、仄香はもっとキスをねだった。

キスだけで、こんなに気持ちいいのは初めてだ。
仄香が誰にも穢されていないから、俺の癖にすぐに染まったのか、それとも元から相性がいいのか、キスにこんなに時間をかけるのは初めてだ。
気持ち良すぎて離れ難い。
こんなチョコレートなら大歓迎だ。
今までで最高のバレンタインチョコレートだ。
こんなにキスを繰り返してもチョコレートの香りが消えない。
もっともっと欲しくなる。
仄香は完全に俺の癖に合わせて、互いに舌を軽く触れ合わせては同じタイミングで軽く互いに舌を吸うと、甘えたような声を上げる。
俺も痺れるような陶酔感に、思わず声が漏れた。
触れ合った肌からも、互いの体温が解け合うようで、気持ち良くてたまらない。
こんなに幸せな前戯なんて初めてだ。
また息が上がって行って唇を離した。

「小十郎のキス、美味しい。チョコレートの香りがまだする。もっと…」
「続きはベッドの上だ。先に行ってろ」
「うん…」

俺はグラスに残ったモーツァルトを飲み干すと、仄香の服が皺にならないよう畳んでソファの上に置き、財布の中からコンドームを取り出して、スーツの下を脱ぐと、仄香の隣りに横たわり、ベッドサイドにコンドームを置いた。
ダブルのベッドは、二人で眠るには俺の身体には少し窮屈だが、女を抱くには丁度いい。
でも、この部屋で女を抱くのは初めてだ。
仄香以外の女を部屋に入れた事すらない。

少し冷たいベッドの中で、仄香を抱き締めて、またキスを繰り返す。
すぐにお互いの身体が温まり、俺は唇を離さないまま、ゆっくりと愛撫をしていった。
大切な女だからこそ、全てが愛しくて、たっぷりと時間をかけたい。
仄香は耐え切れないように唇を離して可愛い声で喘いだ。

「ああ、小十郎っ!もっとっ!」

仄香の髪をかきあげて、耳元にキスをすると、一際大きく喘いで、あられもない声で俺を求める。

「仄香、好きだ。昔からずっと、お前ぇだけを愛してるぜ」

そう囁くと、仄香は頬を染めて、俺の腕の中で震えた。

「知らなかったよ…。恋とか愛とかまだ分かんないけど、小十郎は私の憧れだったよ、ずっと…。今も、憧れてて、小十郎といるだけで安心するの。初めての人は小十郎がいい…。小十郎より素敵な人なんていないから…」

仄香の恋愛感情は本当にまだ幼い。
男ばかりに囲まれて、ある意味麻痺してるんだろう。
思春期は女子にばかり囲まれていた。
それは俺だって男子校だったから同じだが、俺は昔から仄香が可愛くて仕方なかった。
初恋の想いを秘めたまま、仄香の面影を求めて何度女を抱いただろう。

その仄香がこうして俺の腕の中にいるなんて、信じられないくらい幸せでたまらない。
例え、翌朝、仄香の記憶に全く残ってなかったとしても、俺に取ってはかけがえのない幸せな夜になる。

愛しくてたまらなくて、もっと俺で感じて欲しくて、俺は愛撫をまた始めた。

細い身体にキスをしながら、手のひらや指先でそっときめ細かい肌に触れていく。
初めての愛撫に戸惑ったように、仄香は焦れたように身体をくねらせた。

「小十郎…。っはぁ、足りないよ…」
「分かってる。でも、可愛いお前ぇの全てが欲しい。指先から爪先まで全部。お前ぇの全てに触れたい。ダメか?」
「ううん、でも…」
「じゃあ、こっち向け」

身体を横向きにさせて、覆いかぶさって、耳の後ろにキスをしながら、背中を指先だけで愛撫すると、たまらないように甘い喘ぎ声が上がった。

「ああん、こじゅうろっ、気持ちいいっ」
「ああ、お前ぇの首筋が弱いのは分かった。ここもな」

耳元で囁いたまま、胸を揉みしだいて、立ち上がった先を指先で弄ぶと、仄香は狂ったように甘く啼いた。
胸への愛撫を止めないまま、首筋に唇を滑らせ、仰向けにさせながら、胸元にキスを落として、口に胸の先を含んで舌で先を刺激すると、先ほどよりも一層甘い声で啼き始めた。
手をゆっくりと、脇腹に滑らせ、太ももを焦れったいくらいにゆっくりと撫でると、仄香は啼きながら身悶えた。

「こじゅうろっ、もう、ダメっ」
「何がダメなんだ?」
「おかしくなりそうっ」
「そのまま狂っちまえ。そうしたら、初めての痛みもマシになる。痛みも感じないくらいにもっと狂わせてやる」

俺は、仄香を後ろから抱き締め、胸を揉みしだいては、先を攻めたて、うなじから背中へと唇を滑らせて行った。
仄香は更に艶っぽい声で啼き、誘うように腰が揺れる。
すぐにでも繋がりたい欲求に駆られるが、もしこれが最後の夜になるのなら、そんな性急な事はしたくない。
仄香の全てに触れたい。

ゆっくりと、背中に跡がつかない程度の強めのキスを丹念に落として行くと、その度に背中を仰け反らせて仄香は感じたように声を上げた。
指の背で、すっと腕を撫でるとそれにすら感じたように身体を震わせる。
だいぶ、感度が上がっている。
身体をずらして、太ももの内側にキスをしながら、細い脚を愛撫すると、啜り泣きのような声が上がった。

「小十郎っ、もう、もう、ダメぇ。身体が変っ!疼いてたまらなくて、狂いそう…。小十郎、助けて…」
「もう少し待て」
「いやぁ…もう、無理…」

俺は、仄香の唇にそっとキスをした。
仄香は俺の頭を引き寄せて、もっと深いキスをねだり、またチョコレートの甘い香りの濡れたキスを繰り返して唇を離した。
そして、そっと仄香の下着を脱がせて行く。
仄香は恥らうように、顔を背けて震えた。
流石に、本当に何も知らない訳ではなさそうだ。
すっかり脱がせると、まだ誰にも穢されていない、そこに指で触れた。
初めてとは思えないくらいにたっぷりと濡れていて、浅い所で指を動かすと、淫らにくちゅくちゅと水音が部屋に響いた。
仄香は驚いたように目を瞠った。

「小十郎、何、これ…?」

戸惑ったように、頬を染めて、仄香は恐る恐る尋ねた。
前言撤回だ、やっぱり仄香は何も知らねぇ。
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