18.Lost Angel(R18)

「お前ぇが感じていた証だ。女は感じて男が欲しくなるとこうして濡れる。身体が疼くのも、お前ぇが俺を欲しがってるからだ。先に断っておくが、初めての時は酷く痛む。初めてじゃなくても、何度も男に抱かれないと、初めのうちはしばらくは酷く痛む。それが怖かったら、俺はここで止める。お前ぇを傷付けたくねぇからな」

仄香は迷うように瞳を揺らせて、そして答えた。

「止めないで…。今だって身体がどうしようもなく疼いて辛いのに…」
「分かった。お前ぇの望む通りに責任は取る。ただし、無理はするな。辛過ぎたらすぐに言え」
「うん…」

愛液を指に絡めて、前をゆるゆると愛撫すると、恥ずかしそうに頬を染めながら、仄香はあられもなく喘いだ。

「やっ!何っ、これっ!?ああっ!はぁっ!」
「身体の外では、女が一番感じる所だ。一度イカせてやる。そうじゃないと、辛いだろうからな」
「ああっ!でもっ!怖いっ!おかしくなりそうっ」
「大丈夫だ。こうして抱き締めてても怖いか?」

仄香の身体を浮かせて、背中に腕を回し、抱きすくめた。
仄香は、俺の背中にしがみつき、軽く爪を立てた。
高みに追いやるように指を動かすと、呼吸を乱して食い込むくらいに爪を立てる。

「あっ、こじゅうろっ、はあっ、ああっ、ああっ!ヤダっ!変っ!あんっ、ああーっ!!」

身体を弓なりに反らして、仄香は震え、荒い吐息を吐いた。
ナカからまた熱い愛液がとろりと溢れる。
仄香は茫然とした様子で荒い呼吸を整えていた。

「はあっ、はあっ、気が遠くなるほど気持ち良かった…。もしかして、あれがイクって事…?」
「ああ、そうだ。初めての時は、女は痛いだけだからな。抱かれ続けてるうちに、男と一緒にイケるようになる。今日のお前ぇにはまだ無理だな。怖かったら、ここで止める方がお前ぇのためだ。痛いのはイヤだろう?」
「ううん、最後までしたい…。小十郎ならいいの…」

俺は溜息を吐いた。
本当に仄香が俺の女になるつもりなら、ここで処女を奪って、何度も抱きながら時間をかけて、身体を重ねる悦びを教えてやれる。
でも、仄香は今夜限りのつもりだろう。
それなのに、処女を奪うのは酷だ。

「じゃあ、条件を出す。俺に抱かれたかったら俺の女になれ。お前ぇだけは、大切にしたい。無責任には抱きたくねぇ。抱くからには責任を取る。だから、俺の女になれ」

仄香は少し悩んでいたが、やがて頷いた。

「小十郎の隣りを堂々と歩けるようになるまで時間がかかると思う。最初は小十郎のお部屋でだけデートしたい。それでもいいなら、小十郎の彼女になる。だから、抱いて…」
「上等だ…。俺もまだ誰にも見せびらかしたくねぇからな。お前ぇは宝石の原石だ。俺が磨き上げるつもりで大切にしてきた宝石だ。仄香、愛してる」

何度か柔らかいキスを繰り返して、身体を離すと、俺も裸になり、手早く避妊具を着けた。
そして、仄香に覆いかぶさって、頬に手を当てて、真っ直ぐに見つめた。

「気を変えるなら今のうちだぞ。本当にいいのか?」
「うん…。小十郎に抱かれたいの」
「分かった。身体から力を抜け。絶対に力むな」

耳元でそう囁いて、緊張を解すために何度も耳元にキスを繰り返した。
俺自身、信じられないほど緊張していた。
ずっと焦がれて止まなかった仄香がこうして俺の腕の中にいる事すら夢のようなのに、仄香の初めての男になれる。
仄香とやっと一つになれる。
緊張のあまり吐息が震えそうだった。

そっと仄香の濡れ切ったそこに自身を当てて、ゆっくりと少しだけ腰を進める。
途端に仄香は苦痛に眉を顰めた。

「っ…!!」
「力を抜いて、息を吐け。息を止めたら余計に痛む」
「でもっ!」
「大丈夫だ。痛まないように時間をかけるから、大丈夫だ」

優しいキスを繰り返して、指先で首筋から胸へ愛撫をすると仄香の身体からかくんと力が抜けた。
また少し腰を進めると、痛みを堪えるように、仄香は俺の背中に爪を立てた。
顔を背けて眉を顰め、目尻から少し涙が零れている。
呼吸は浅く速く、痛みを必死で堪えているのが分かる。

処女を抱くのは初めてだ。
男には分からないこの痛みをどうすれば和らげられるのか、正直分からない。
ただ、俺を受け入れるために流している涙がとても愛しかった。

「小十郎っ…っ…んっ…!!」
「仄香、好きだ、愛してる」

そう囁いて、目尻の涙にキスをした。
それすらに感じたように、またとろりと熱い愛液が溢れ、少しずつ腰を進めた。
熱く蕩けているのにとても狭いそこに、一番俺の感じる所を包み込まれて撫で上げられているような感覚に、どうしようもなく衝動的に奥まで貫きたくなって、ぐっと堪えた。
まだ動いてすらいないのに、息が上がりそうなほどの幸せな快楽で、額に汗が浮かぶ。

「くっ…仄香…」
「こじゅうろっ…!んっ…!辛い?」
「いや、最高に幸せなだけだ。お前ぇをこうして感じるのが幸せでたまらねぇ…っ…!!」

早く奥まで貫きたい衝動に抗って、ゆっくりと腰を進めるのが焦れったくて、胸が苦しいくらいにドキドキと高鳴る。
堪えるのが辛いほどの衝動に苛まれながらも、こうして少しずつ繋がって行く事に、言いようのないほどの幸福感で胸が満たされる。
仄香が愛しくてたまらない。
色々な意味で胸が苦しくてたまらなくなって、俺は仄香をキツく抱き締めて、深く口付けた。
完全に俺本位の、荒々しいキスなのに、仄香は感じたようにくぐもった声で甘えるように啼いて、俺の背中をキツく抱き締め、脚を俺の腰に絡み付けた。
こんな風にお互いの身体が密着したら、もう堪えるのも限界だった。

より一層キツく抱き締めると、そのまま一気に奥まで貫いた。
仄香は、唇を離し、悲鳴のような声を上げて仰け反った。
目尻からぽろぽろと涙が零れる。
可哀想な事をしてしまったという罪悪感と同時に、それを上回る幸福感と愛しさで胸がいっぱいになって、キツく抱き締めたまま、仄香の綺麗な泣き顔を見つめていた。
辛そうに泣いているのに、それすら綺麗で可愛くて愛しくてたまらない。
そして、同時に酷く扇情的な泣き顔だった。
これが処女特有の泣き顔なのかも知れない。

自分本位に動きたい欲求を無理矢理抑えて、俺は指で仄香の涙を拭った。

「悪かった。仄香、辛い思いをさせて悪かった…」

仄香はふるふると首を横に振った。

「謝らないで…。痛いけどっ、辛いけどっ、でも、やっぱり小十郎で良かったって本当に思うの…。小十郎が好き…」
「仄香!」

たまらず、俺は仄香の唇を奪って、何度も角度を変えながら、唇を貪った。
もうこれ以上、想いを抑えられない。
壊れそうなほどキツく抱き締めて、溢れる想いのままにキスを繰り返した。
今ほど心が満たされた事なんて、今までなかった。
愛しくて愛しくてたまらない。
苦しいくらいの想いを全てキスに込めて、華奢な身体を抱きすくめると、感じたように仄香のナカがきゅっと締まった。
俺の背に爪を立ててしがみつきながら、甘えたような声を上げる。
その声がまた可愛くてたまらなくて、俺は衝動が収まるまでずっと荒々しいキスを繰り返した。

ようやく少し落ち着いて唇を離すと、仄香は頬を染めて熱に浮かされたような瞳で俺を見つめた。

「キスってこんなに気持ちいいものなんだって知らなかったよ…。抱き合うのだって…。小十郎に苦しいくらいぎゅっとされると、気が遠くなるほど気持ち良くてたまらない。どうしよう…ドキドキして苦しいよ。苦しいけど、気持ちいいの…。小十郎をすごく近くに感じる。ドキドキし過ぎておかしくなりそう…小十郎…。もっとぎゅっとして…」
「ああ、いくらでも抱き締めてやる。お前ぇが望むならいくらでも」

仄香の首筋に顔を埋めてキツく抱き締めると、仄香も俺の背中をキツく抱き締めた。
こんな風に抱き合ったら、また抑え難い衝動が突き上げてくる。

「…っ…仄香っ、動くぞっ、力抜けっ!」
「えっ?ああっ!」

少し腰を動かすと、仄香は俺の背に爪を痛いくらいに立てて震えた。

「ああっ!小十郎っ!」
「悪ぃっ!無理ならすぐ止める」

仄香は首を横に振った。

「やめっ、ないでっ!っああっ!…くぅっ…」

涙を流しながら、仄香は苦痛を堪えていた。
少しでも苦痛を和らげてやるために、片腕で抱き締めたまま、耳元にキスを落としながら、指先でそっと愛撫をすると、仄香の身体から少しずつ力が抜けて行った。
そのまま、少しずつ愛撫を激しくしていくと、仄香は焦れたように喘いで、また俺の腰に脚を絡み付けた。
ゴム越しにも熱い愛液が溢れるのを感じて、俺は快楽に眉を顰めた。
そのまま突き上げたい衝動を無理に抑え込むと、堪えきれない荒い吐息が漏れた。
もう、堪えるのが限界なくらいで、情けないくらいに息が上がる。
仄香を壊れるほどに抱きたくてたまらない。

ああ、本当に限界だ…。

「仄香っ、悪ぃ!少しだけ我慢しろっ!限界だっ!」
「え?きゃああっ!ああっ!…っつうっ!…っはあっ」

仄香を抱き締め、揺さぶりながら奥まで激しく腰を打ち付けると、仄香は悲鳴を上げた後、痛みに顔を顰めて息を何度も止めた。
目尻からまたぽろぽろと涙が零れ、仄香は縋るように俺の背中にしがみつき、痛いくらいに爪を立てた。
やっと苦しいほどの衝動が抑えられるくらいまで収まった所で、俺は動くのを止め、仄香をキツく抱き締め首筋に顔を埋めた。
お互いに別の意味で呼吸が完全に上がっている。

俺は、どうしようもない衝動と快楽を堪え切れなくて。
仄香は、引き裂かれるような痛みが堪え切れなくて。

「仄香、悪かったっ!…っはぁっ、はぁっ、お前ぇが欲しくて、堪らなくてっ、っはぁっ、待ってやれなかったっ!」
「ううん、いいのっ!大丈夫だからっ!痛いけどっ、ぎゅっとされると、気持ちいいっ、からっ、っくっ…!」
「こんなに泣かせて悪かった。痛かっただろ?」
「うん…でも、ちょっとの間の我慢だったから大丈夫…。小十郎、キスして…。小十郎のキス、好き…」
「ああ、俺もお前ぇのキスが好きだ」

また両腕で抱きすくめて、濃厚なキスを何度も繰り返した。
何度キスを繰り返しても、まだチョコレートの甘い香りがしている。
互いに貪るようにキスを繰り返していると、仄香のナカが少しずつ解れて行った。
濡れたキスをしたまま、腰を少しずつ動かすと、キツいくらいに狭かったナカが少しずつ俺を受け入れて行って、気持ち良くてたまらない。
仄香は、時折痛みを堪えるように息を止めたが、そのまま構わずキスを続けると、また俺にしがみついてキスに応えた。

こんなに気持ちいいキスも、繋がってこんなに気持ちいいのも初めてだ。
何より、幸せで愛しくてたまらない。

痛まないよう、あまり腰を動かさず、奥に押し付けるように少しだけの抜き差しを続けるうちに、仄香は少しずつ吐息だけで喘ぎ始めた。
唇を離して動きを止めないまま、仄香を見つめると、痛みを堪えるのとは別の表情が交じっていた。
奥に当たるたび、切な気に眉を顰めて甘い吐息を吐く。

「こじゅうろっ!」
「何だ?」
「もっと…奥までっ!っはぁっ…!」
「っ、大丈夫か?辛ぇだろ?」
「ううん、何かっ、奥に当たるとっ、キュンってなって、切ない感じで…っ…気持ちいいっ、ああっ!」
「こうか?」

仄香の腰を引き寄せて、一際奥に押し当てると、仄香は仰け反り、切な気に眉を寄せて甘く喘いだ。

「はぁっ、もっと…はぁっ、気持ちっ、いいのっ…!」
「くっ、仄香、あんまり可愛い事、言われたら止まらなくなるっ!」
「ああっ!だって、だって、小十郎が、奥まで欲しいっ、からっ!」

その言葉を聞いて、何か俺を繋ぎ止めていた理性の糸がぷつりと切れたような気がした。
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