夢と現実の狭間 -1-

いつも夢はいつの間にか始まり、そして色彩や音が鮮明になる瞬間、唐突に終わる。
例えば、会いたくて堪らなかった人の笑顔が綻び、優しく手を差し伸べられた次の瞬間、その手に触れる前に、私は独りぼっちの現実世界に引き戻されてしまうのだ。

夢は優しく、そして哀しい。
折角朧気に形を取った最愛の面影が、霞がかき消えるように儚く消えてしまう。

政宗には夢の中ですら会うのが難しいのに、いつも唐突な別れを伴う。
それは、あの日私が体験した別れの追体験の繰り返しだ。
別れはどんな形でも哀しい。
目覚めて涙を流さない日はなかった。

それでも懲りずに私はいつだって政宗の面影を追い求めた。
例え、こんなに年月が経っているにも関わらず、政宗がまだ十代の幼さの残る、あの頃と変わらない姿で現れても、私だけが年齢を重ねて行っても、再会出来た時の胸に沸き起こる愛しさは、あの頃と変わらなかった。

政宗に会いたくて堪らない。

もう、政宗の面影が形に残っている思い出の品々を手放さなければならなくなった今、これまでにないくらい心細くて寂しくて、夢の中からすら政宗が永遠に消えてしまう気がして。
これで最後なら、儚く消えてしまう前に、もう一度強く抱き締めて欲しかった。
政宗の首筋に顔を埋めて、広い背中を抱き締めて、ただ、愛してると伝えたかった。
温かい肌の香りを胸いっぱいに吸い込んで、そっと口付けを落とせれば、どれだけ癒され、そして幸せな気持ちになれるだろう。
私が「愛してる」と言いたいのは、抱き合って温もりを分かち合いたいのは、政宗ただ一人なのだから。

会いたい。
これが最後でも構わないから、もう一度だけ抱き合いたい。

それが私の最後の願いだった。
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