光が消えると、私は草木の茂る山道に立っていた。
ここは奥州…?
政宗の目の前に現れる事は出来なかったらしい。
それでも、政宗の城付近なのだとしたら、それは誤差範囲だ。
問題はどうやって城に入るか、だ。
私はどう見ても怪しい。
早速、これからどうすればいいのか、という問題に私はぶつかってしまった。
そもそも、ここはBASARAの世界なのか。
どうやってそれを確かめればいいのか。
とにかく、ここにこうして立っていたら、山賊にでも襲われるんじゃないかと思い当たって、私は歩き出す事にした。
城がそばにあるなら、見えるのでは。
そう思って当たりを見回しても、鬱蒼とした藪が広がっているだけだった。
とにかく、明るい方角を目指して歩く。
思ったより荷物が重くてそう遠くまで歩けそうになかった。
馬でもあれば楽なのに。
政宗と別れた後、少しでも政宗に近付きたくて、私は乗馬を始めた。
よく人に慣れた馬なら、柵を越えさせる事だって出来るようになった。
いつか政宗が夢見てたように、2人で遠乗りに出かける事も今なら出来る。
早く、政宗に会いたい…。
私は荷物を肩にかけ直して、また歩き続けた。
時計を見ると、歩き出してから20分ほど経っている事に気付いた。
城下町はどっちだろう。
とにかく、人が通るのを願っていたその時の事だった。
「しっかりして下され、お館様!!ええい、佐助は何をしておる!早く、医者を!!せめて、せめて、ここから逃げなければ。ええい、マムシ共め!!」
これは…!!
幸村の声…!?
ただ事ならぬ声音に身がすくむ。
でも、幸村は「早く医者を」と言っていた。
助けなければ…!!
恐怖感はあったけれど、それより医師としての本能の方が先に動いた。
私は駆け出した。
少し走ると、山道に人影が見えた。
近付いてみると、そこでは、10匹ほどのマムシが幸村と信玄公を囲み、更に数匹が信玄公の脚に食らいついていた。
毒でも吸い出そうとしていたのか、幸村の口元は血で汚れていた。
毒を吸い出すのは危険だ…!!
「毒を吸い出しちゃダメ!!私は医者よ!!」
「真か!?お館様を助けてくれ!」
私は頷き、2人の下に駆け寄った。
「お館様を頼む」
私が信玄公の脈を取り始めると、幸村は、槍で次々とマムシを仕留めていった。
そして、私を振り向く。
「お館様の具合はいかがか!?」
「命に別状はありませんが、ゆっくり休める場所ですぐに治療をしなければ厄介な事になります」
信玄公は、額にびっしりと汗をかき、顔色が青ざめていた。
痛みを堪えるように、うめき声が上がる。
「すまぬ、幸村…」
「お館様!!今、其れがしがお助け致します!!」
幸村は声を張り上げると怖いくらいに真剣な眼差しで私を見つめた。
「そなた、馬は乗れるか?館まで一緒に来て欲しい。お館様は、其れがしが責任を持ってお連れ致す」
そう言うと、幸村は信玄公を抱き上げ、共に馬に乗った。
目で促されて、私も馬に乗る。
こんなに荷物をたくさん持って馬に乗った事なんてないから不安になる。
でも、そんな事言っていられない。
信玄公には一刻も早い治療が必要だ。
ちらりと政宗の事が脳裏をよぎったけれど、私はすぐにそれを打ち消した。
「案内をよろしくお願いします」
「うむ。参るぞ!」
幸村は力強く頷くと、馬で駆け出した。
私も必死でその後を追いかけた。
これが、私と幸村の出会いだった。
⇒Next Chapter
しおりを挟む
top