Crisis -3-

私がBASARAの世界に来て4日目の事だった。
この世界に来る前日も働いていたのだから、もう5日近く寝ていない。
流石に体力の限界で、時々意識が飛びそうになる。
佐助は顔色も変えず、私がこの世界に来てからずっと、私に張り付いている。
幸村はそれを心配してか、仮眠を取りながらもずっとそばにいてくれた。
眠そうな私を見て、佐助がニヤリと笑った。

「修行が足りないんじゃないの?眠そうだよ?でも、普通の人間より体力も精神力もあるよね。やっぱり忍?」
「普通なら、何人かで交代で患者様を看るからこんなに起きてる事はありません」
「ヘェ〜。君みたいな人が何人もいるんだ。そんなの見た事ないけど」

またこれだ。
ここ数日間私を悩ませているのは、佐助の疑り深い視線と質問だった。
幸村が間に入って、佐助を止めてくれた。

「佐助、その事については、お館様が回復なさってからで良いではないか。お館様の顔色も段々良くなって来ている」
「だって、旦那。これほどの傷、流石に忍の妙薬でも治らないよ?普通なら、腎の臓を病んで死んでしまう」
「ならば尚更良かったではないか、お館様が助かって。遙殿、少し眠ってはいかがか?そなたに倒れられては困る」

幸村は気遣わし気に私を見た。
今、行なっている点滴は、あと1時間半で終わる。
その頃にはまた点滴のバッグを変えなくてはいけない。
それでも、1時間半でも仮眠が取れるならありがたかった。
私は、幸村の言葉に甘える事にした。

「この袋の中の液体がなくなったら起こして下さい。少し眠っても構いませんか?」
「ああ、構わぬ。其れがしがついている故、安心なされよ」
「ありがとうございます」

私はエルメスのバッグを持って、部屋の隅に行き、横になった。
すぐに眠気でうつらうつらと浅い眠りについたその時だった。
誰かが私のバッグを漁ろうとする気配で私は飛び起きた。
バッグの中には政宗の写真と政宗からもらった懐刀が入っている。
見られる訳にはいかない!

「触らないで!!」

そう言うと、佐助が鋭い視線で私を見つめ、口許だけを弛めて笑った。

「何か見られてマズいものでも入ってるの?」
「…命より大切な物が入っています。それを無くしたら、私は生きていけません!!」

何が入っているか、という問いに直接は答えていないけれど、それは真実だ。
政宗や友達、家族との思い出は何にも代えがたい。
絶対に失いたくない物だ。
佐助が少し考え込むような表情をする。
すぐに幸村が飛んで来た。

「ええい、佐助、止めぬか!婦女子の荷物を漁るなど破廉恥千万!遙殿、申し訳ござらん。そなたの荷物は其れがしが命をかけて守る。そなたに命を絶たれては、お館様に申し訳が立たぬ。安心して眠って下され」

幸村は、バッグを挟んですぐ隣に座った。

「はぁ、やれやれ。じゃあ、俺様は仕事があるから行ってくるから。安心して眠ってよ、遙ちゃん♪」

そう言うと、佐助はすっと天井裏に消えていった。
もしかしたら、天井裏から見張られているのかも知れないけれど、幸村の存在が私を安心させた。
私は間もなく深い眠りに落ちて行った。
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