Outbreak -1-

慶次と出会ってから3日が過ぎた。
信玄公のマムシによる傷は、跡が残ってしまうくらい深いものだけれど、傷口がこれ以上膿むこともなく、もう医療用フィルムのラッピングも必要なさそうだった。
地域の領民を簡単な小屋で診る日々が続いている。
今日も出かけようとしたら、佐助が現れた。

「あ、遙ちゃん。今日は診療所へ行かなくていいよ。患者は帰したし」
「帰した?どういう事ですか?」
「伊達の黒脛巾組が武田の領内に入って来ている。たまにあるから珍しい事じゃないんだけど、君の事を嗅ぎ回られても困るから、今日はおとなしくしててよ。すぐに追い返すからさ。ねぇ」

笑顔を貼り付けていた佐助の声が低くなって、身体が強張る。
何か良くない事を言われるのだと思った。

「伊達とは本当に関係がないんだよね?」

ある、と言ったらどうなのだろう。
武田の姫様を嫁がせようとしている事を考えると、私はやっぱり殺されてしまうとしか思えなかった。
私は首を横に振った。

「私のいた未来の世界では、伊達本家とも交流はありましたが、私がこの世界に来て最初に出会ったのはお館様と幸村さんです。他に知り合いもいません」
「ならいいんだけど。じゃあ、俺は仕事に行ってくるから」

佐助はそう言って姿を消した。
今日は何故か幸村もいない。
一人になったのは久しぶりだ。
私は、首から下げていたロケットの蓋を開けて政宗の笑顔を見つめた。
懐かしくて愛しくてたまらない。
今頃はどんな男前に成長してるだろう。

きっと、会えるよね。

そう心の中で呟いてみても、どうしたら政宗に会えるのか皆目見当もつかなかった。
prev next
しおりを挟む
top