寂しくて -1-

夢を見ていた。
繰り返し、何度も見た、政宗との別れの夢を。
それは、あの日の再現だったり、または、政宗が私に背を向け、遠ざかって行く夢だったり、とにかく政宗と離れてしまう夢だった。
どんなに声が枯れるまで名前を呼んでも、政宗は振り返らない。
私の声は届く事なく、政宗は消えてしまう。
せめて夢の中でだけは、優しく微笑んで、抱き締めて欲しいと願うのに、それが叶う事はめったになかった。

今日も、政宗の後ろ姿を追いかける夢を見ていた。
息が上がるほどに一生懸命追いかけているのに、歩み去る政宗には追いつかない。
哀しくて、哀しくて、涙が頬を伝っていく。

「政宗!行かないで!」

そう叫ぶのに私の声は届かない。

「政宗…!」

もう一度叫んだ。
すると、政宗が肩を震わせて立ち止まり、そして、振り返った。

「遙…?」

そう怪訝そうに私の名を呼ぶと、優しく微笑んで、両腕を広げた。
今まで政宗がこんな風に私の声に応えてくれることなんてほとんどなかった。
私は駆け寄り、その温かな腕の中へ飛び込んだ。
息も吐かせぬほどきつく抱き締められて、安心感と愛しさで心の中が満たされていく。
私も政宗をぎゅっと抱き締めた。
温もりをじわじわと感じて、幸せな気持ちになっていく。

「政宗、愛してる。もう、どこにも行かないで」

そう言うと、政宗は言葉で答える変わりに、私の後頭部をくしゃりと撫で、そして、またきつく抱き締めた。
政宗の胸に顔を埋めているから見えないけれど、優しく微笑む政宗の笑顔が心に浮かんだ。

そなたは、渡さぬ。誰にも…!!

その瞬間、そんな声が微かに聞こえたような気がした。
けれども、私は政宗の腕に抱かれている事がただ幸せで、目を閉じるとすうっと意識が遠のき、安らかな気持ちで深い眠りへと戻って行った。
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