政宗様親衛隊 -1-

猿飛は深い溜息を吐いて、額に手を当てた。

「はぁ…。俺まさかそこまで焔が政宗様に骨抜きになってたとは思わなかったよ…。何か俺一人何も分かってなかったと思うと、情けない事この上ないね…。江戸から帰還する度に俺を遠ざけつつ最低限の報告で俺を絶妙に笑わせると思っていたけど、そこまで政宗様に徹底的にもてあそばれてたなら、焔なら政宗様はどツボだよね。何かやけにくノ一達とのデートをすぐに勧められて忍頭の役目を果たしていたけど、みんな君の帰還を待ちわびていて、俺も面白いからついつい聞いてはいたよ。まさか政宗様に対抗してそこまで盛大に江戸で作戦展開してるとは思わなかった。控えの間まで人払いを徹底しながら、やけに君の帰還後、連帯感が増していて、この飼い慣らしっぷりは流石は焔だって感心してたけど、俺の予想だと何かしでかしてたね?」

すると、ニヤついていた紫苑が挙手をして身を乗り出した。

「左様でございます、佐助様。焔様が展開してらしたのは、猿飛忍隊内での政宗様親衛隊の結成でございます。涼風以外の全くノ一を神レベルに笑わせながら一気に配下に入れて、その日のうちに政宗様親衛隊の基礎が出来上がり、選抜されたくノ一達による予告編で期待度は最高潮の中、控えの間が天井裏まで満員御礼になり、絶対に佐助様にも聞かれてはならない、気配まで殺したみなでの爆笑出来ない辛さを味わいながらの連帯感に満ちた、政宗様の合宿の再現がなされました。すぐに政宗様は神レベルのアイドルの座を獲得なさり、大規模な作戦の展開でお館様への説得メンバーまで数日のうちに選抜されて、固い結束の中、焔様の新しいネタに盛り上がりつつ、来たるXデーをみなで待ちわびておりました。女神伝説が江戸で樹立されてからは、政宗様の女神様は一体どこにいらっしゃるのだろうと、秘密裏に選抜隊による速やかな全国レベルでの隠密行動までご提案なさり、みながこぞって我こそがと沸き立ち、幸村様を巧妙に操って佐助様のご注意を武田の屋敷から絶対に離れないように仕組み、公平にくじ引きで当たったメンバーで1ヶ月もの間の全国規模の探索が行われました」
「はぁ…紫苑が絶対に夢中になる作戦だ…」
「左様でございます。全面的にバックアップさせて頂きました。政宗様親衛隊の二番手でございますから。焔様が江戸で政宗様のネタを溜め込んでいる間の全忍の指揮権は俺支配下でございました。焔様は我らがアイドル政宗様の諜報で忙しいので、代わりに俺が政宗様の好みそうなおなごのイメージ像を、探索に限られた忍数の中、考えられる全パターンを全て念入りに洗い出し、みなで会議まで開いて投票を行い、採用されたイメージ像に基づく探索が行われました」
「はぁ…まあ、政宗様に夢中になる気持ちは俺が一番よく知ってるから、もう何とも言えないよ…。それで?」
「あの政宗様が惚れ抜くおなごならば、絶対に神レベルに目立って輝かしいはずだから、少数精鋭、短期間でも見つかるという想定でございましたが、政宗様レベルに輝かしいおなごはどこにもいませんでした。かなり尾ひれがついていた女神伝説の原点まで遡って考え直さないと、女神像自体が間違っているかも知れないとの合意で、政宗様のお作りになった料亭の諜報で間違いないとみながすぐに頷き、焔様に改めて政宗様のお作りになった料亭についての情報の洗い出しを依頼し、もたらされる情報から女神像の推測をみなで行いました。佐助様を欺き続けるのも限界がありそうなので、時間稼ぎに政宗様が政務の息抜きの間にお話になる、各国のカッコいい民話ならば佐助様は必ず夢中になるとすぐに合意し、語り部部隊を結成し、佐助様に色々と語る戦術を取ってみたところ、騎士についてご自分で調べ出すほどに夢中になって下さったのが、我々一同嬉しくてたまらなくて、ついみなで回し読みをしていた、貴重なロミオとジュリエットという聖典まで動員して時間稼ぎをして女神を探し続けました」
「はあ…。つい面白過ぎて、世界にどハマりして夢中になっちゃってた。政宗様がそもそも英語を推奨してたし、焔まで推奨してた英語をあれだけ聞いてたら流石に俺でも英語が分かるから、江戸湾まで出向いて外国人の諜報を楽しんじゃってたよね。あそこなら手軽に本格的なリスニングが出来るからさぁ。俺も英語分かるじゃんって超感動しつつ、3日くらいリスニングに明け暮れて、ちょこっと話してみたらガチで通じてヤバいほど感動したよ。そのまま宿に泊まり続けて、試しに読んだロミオとジュリエットにはしてやられたよね。これなら市中でみんなが夢中になっても仕方ない、すっごい切ない最高傑作だって大号泣。政宗様には度肝を抜かれたよ。あんな教養見せつけられたら、お館様が熱心な婚儀なんて恥ずかしくてたまらなくて、穴があったら入りたくなったよ。政宗様を満足させるレベルの出来の姫様じゃなかったし、そもそも俺は真田幸村の漢気が見たかっただけに、本気で婚儀騒動について悩み始めてた。俺も本場の英語を読みたかったけど時間がなくて、江戸城下の落書きを試しに読んでみたよね。みんながI love youってコールしてる所を見かけて、ああ、あれがI love youなんだってさり気なく覚えてたし、斬新な読み書きの教え方だなって感心して、思わずみんなでコールの効果について5分ほど打ち合わせしたよね。今、思えば読もうとしなかった方が政宗様と遙のためだったよ」
「お陰で神展開でございました。まさかの落書きとコールの合わせ技で佐助様を一瞬で読み書きまで誘導するなんて、政宗様の江戸城下は神レベルにヤバいと大盛り上がりでございました。片っ端から落書きを是非読んでコールしたいと、満場一致の大盛り上がりでございました。みなの憧れの聖地、江戸城下でございました」
「聖地ねぇ…。はあ…。ある意味あそこは聖地だ。何せ伊達三傑が絶妙に連携しながら鉄壁の防御を固めてるからね。江戸城内部のデザインを一部聞いただけでも相当いい趣味してるし、政宗様のお部屋はあの信長なんて比べもんにならないくらいの、徹底的に計算し尽くされた絶妙に派手ながらシックな和洋折衷の趣味の良さって聞いて、思わず興味が湧いちゃったけど、流石にあの政宗様のお部屋は伊達三傑しか基本的に入れなかったから、俺も好き勝手妄想して楽しむに止まったな。本物が見られた時はあまりの珍しさに思わず言葉を失って困っちゃった」
「政宗様、この紫苑も是非見とうございます」

俺はずっと爆笑が止まらず、成実もヒィヒィ言いながら笑っていて、それに全く動じず調子よく俺を最大限に持ち上げて話し続けながら唐突に俺にねだり始めた紫苑は、猿飛の奥の手のガチの太鼓持ちキャラだと大いに見直した。
こいつなら遊郭での諜報もちょろい。
ようやく笑いが止まって行って、俺はコーヒーを飲んで少し落ち着いた。

「やるな、紫苑。この俺を欺いてそのキャラを隠し通しつつ、影で大盛り上がりを先導し続けたお前は、真の太鼓持ちキャラだぜっ!俺の大好きなキャラだ。俺が褒めてやる。流石に伊達でもそこまでは掴んでいなかった。お前には江戸城をつぶさに見せてやる。俺の部屋も引きこもり部屋以外は見学していいぜ。その絶妙なエアーリーディング能力で俺と遙のラブラブは全て回避して、遙の気を逸らしさえすれば俺の周りにいても構わないぜ?お前が下がるタイミングは全部目で合図してやる」
「この俺の最高の誉れでございます!我らが最強の神アイドルの政宗様のおそばに俺がいられるだけで、瞬く間の伝令リレーでみなで盛り上がれます。何なら天井裏をお許し頂けるのであれば、全員で天井裏に上がり、政宗様のお話はあくまで静かにお聞きしながら、憧れのハイタッチを駆使しながら喜び合い、交代制で様々なお部屋をつぶさに見学しながら守りを固めます。曲者は自動的に排除出来ます。あの政宗様のお話をお伺いする邪魔でございますから、お話に引き込まれていながらも、みな厳戒態勢で無意識のうちに仕留める事に間違いございません」

俺はまた爆笑で最高に肩を震わされた。
紫苑の俺の持ち上げ方が絶妙に上手い。
こいつと忍隊を引き連れれば、どこでも半径700メートル単位で俺と遙の身の安全は保障される見積もりだ。
鉄壁の防御の親衛隊だ。
まさか俺が猿飛の忍隊を遙に先駆けてこんなに掌握していたとは思わなかった。
ようやく笑いが止まって、俺は紫苑に問いかけた。

「紫苑、お前の事だから、最後まで大盛上がりをキープしたんだろ?」
「もちろんでございます。そうでなければ今ここに俺はおりません。伊達に俺のキャラを隠し通しながら、我らがスーパーアイドル政宗様の話題で派手に大盛り上がりをするためなら手段は選びません。どんな手でも使います」
「お前のそのキャラ、最高に気に入ったぜ。俺がちゃんと遊んでやるから、みんなに天井裏を許してやる。よし、お前の取った手を是非聞きたいぜ」
「ありがたき幸せ。夢のようでございます。では、武田陣営、政宗様親衛隊の動きについて本邦初公開でございます。神レベルのおなごの探索は政宗様親衛隊で交代体制で佐助様にも隠し通しながら、武田領土ではもちろんの事、少数精鋭で全国レベルで黒脛組を避けつつも行われました。我々の探索は報われました。お館様がまさかのマムシ4匹に噛まれ、それを知った配下の忍達の伝令が俺にも伝わり、すぐに近くの現場に急行し、武田のお家の危機だと大慌ての伝言リレーを行い、江戸の佐助様と焔様を緊急に呼び戻す伝言を飛ばしていた最中の事でございます。突如として神隠しの逆バージョンで見た事もない着物のおなごが現れました。そして医者だと叫んでお館様をお助けする布陣を敷きながら、武田の騎馬隊よりもハイスピードに馬を乗りこなし、あまりのスーパー早い展開を俺達は大慌てで追いかけながら、総員武田の屋敷に集結致しました。この神レベルに早い馬の乗り方だけで、俺達は伊達か上杉の指揮官じゃないと無理だと一瞬のうちに全員同意で結論付けて、総員天井に張り付き表舞台の邪魔をしないようにしながら、まずはおなごの観察でございます。治療に使われる見た事もない道具から、天からの授かり物な事は一目瞭然でございます。神に違いありません。女神に違いありません。このお方こそが、我らが神アイドルの政宗様の見初めたお方に間違いないと、みんなの大きく見張られた目からも、言葉にせずとも全員同意なのは明らかで、一斉に大きく頷き大慌てでまた観察でございます。とにかく情報収集でございます。ますば決め手の伝説の耳飾りからの確認に総員で同意し、つぶさに観察です。全角度から一斉に見つめながら手話で打ち合わせするために、俺と精鋭は天井裏に引き上げて手分けをして両耳の観察でございます。髪が長くて絶妙に髪に邪魔をされながらの同時多発的な観察を徹底。確認出来た耳飾りの情報のすり合わせでございます。左耳に2個、右耳に3個の耳飾りの存在が総員で合意され、ハイパーな数の搭載に流石は女神だスケールが違うと一様に一瞬で驚き、すぐに石の種類の分析でございます。よく分からないけど、一個は伝説の石榴石に間違いないとの確認がすぐに取れ、ダメだ、一個じゃ決め手に欠ける。これは伝説をその目で見た人間でしか確認が取れないとの合意に至り、すぐに伝説を知る人間の確認でございます。俺達の知る限り、成実様、前田慶次、長曾我部様、そして政宗様ご自身と、目でのモールス信号も駆使しながら総員で合意。この作業は遙様の武田の屋敷にご到着から5分の間に行われました。てきぱきと道具の針をお館様の腕に刺した後、幸村様とお館様に了解をしっかりと丁寧に遙様が行なっていた間に当たります。鬼気迫る厳しい遙様の表情にお館様のご状況は只事ではないと俺達はハラハラしながら、とりあえず次の勤め先は政宗様にこの際打診すれば間違いないから、俺達は無敵だと励まし合いながらの観察でございます。遙様の治療が始まってすぐの事でございました。かなりの上空で機動力全開で佐助様がご到着。聞けば江戸からの帰還中に知らせを受けたと目での伝令。その笑顔の形相に俺達は戦慄。ダメだ、疑い深くて融通利きそうで実は一番頑固な佐助様の尋問モード全開っぷりに、これは絶対誰も止められないから、女神様の危機だと俺達は一瞬で大慌てをしつつも、総員武田名物、縁の下の力持ち陣形に従わざるを得ない状況で、佐助様のご指示を仰ぐ陣形に変形。俺は影の政宗様親衛隊隊長としての責任がございますから、佐助様の尋問は適当に聞き流しながら、どう作戦を展開させればいいのかの時間に当てます。とりあえず、治療のお時間を見積もらなければならないと結論付けつつ観察でございます。相当長い治療になる事が判明。まさかの10日超えとのお話に、その間、何で俺達は動けないんだと一瞬でブーイングの嵐を目だけで起こして、また縁の下の力持ち陣形をキープしつつも遙様への援護射撃を速やかに開始。とりあえず、お食事の確保の確認が取れて、後は総員全力の目配せで何とか幸村様に佐助様を止めてもらおうと全力の目配せを開始。あの神アイドルの政宗様なら俺達の目配せを一発で受け止めて、華麗な返しがご期待出来るのにとブーイングしながらの目配せでございます。何で武田の人間はこんなに融通利かなくて上下関係が厳しくて、揃いも揃って鈍感なんだと総員大ブーイングの嵐の目配せでございます。あの神アイドルの政宗様の鉄壁の布陣なら、どんな角度でつついてみても、必ず俺達は派手に遊んでもらえるはずなのにと、本格的に聖地、江戸移住までの決意を含めた目配せのブーイングの嵐でございます。結局幸村様が佐助様を止めて遙様の仮眠を確保して下さったのが、何と4日後の事でございました。あの政宗様の馬ならば、江戸から本州の端にとっくにご到着しているはずの長い時間がかかりました。仮眠を取られた遙様の秘伝のお荷物を佐助様が改めようとなさって総員で止めにかからねばと流石に動いた瞬間、遙様が大激怒。何とお命よりも大切な物が入っている鞄だと知り、つぶさに鞄を観察。特徴は黒い革の大きな鞄で金の装飾付き。あの政宗様がコレクションなさっていると噂の蒔絵の黒い漆塗りの趣味と何か似てる、というか間違いなく政宗様のどストライクの趣味だと、総員目を見開いてモールス信号で大騒ぎ。これは政宗様か遙様のご趣味に間違いないから、遙様と早急に仲良くなってお聞きしないとまずいと決意。何とか伊達にも根回しをして政宗様ご自身にもご確認頂かないといけない、重要案件だと大騒ぎしながらの目配せをしつつ、幸村様にも速やかに佐助様を止めるよう目配せを挟み込みました。流石に正義感溢れる幸村様はすぐに、婦女子の荷物を漁るとは不埒千万と佐助様を退散させて、俺達はやっと一息吐きました。俺達にもギリギリレベルの徹夜からやっと解放されて、輪番で睡眠を取りながら遙様にもごゆっくりお休み頂く布陣にさりげなく変形。ようやく遙様にお休み頂けました。ここで少々の中入りを下さいませ」

俺達は頭を抱えた。
こんなにも俺の情報を正確に掴んでいて、本当に出来る奴らが遙のそばにたくさんいたのに、何で俺に知らせが届かなかったのかと、武田の鈍感さに呆れかえって言葉が出ない。
こいつらこそ生粋の政宗様親衛隊だ。
てきぱきと俺に思い当たり、俺を褒め称えながら大慌てをしていて、適切な陣形を組んでいる様が手に取るように分かる報告だ。
しかも無駄がない。
こいつらは伊達の人間に相応しい。
小十郎よりも機動力に溢れた、全力で疾走しながら同時に作戦を展開して行くスピーディな結論の出し方がガチで俺そのものだけに、こいつらこそが真の政宗様親衛隊だ。
走る砦だ。

「よく分かった、紫苑。お前の報告はこれ以上ねぇくらいに完璧だし、俺に思い当たるまでの推測が機動力に溢れていて最短で確実だ。お前を政宗様親衛隊隊長に正式に任命してやる。今すぐ発動だ、儀式は後でやってやる。猿飛の元忍隊を焔と猿飛以外の全員で政宗様親衛隊の隊員だ。お前ぇらは伊達の、この俺の親衛隊に相応しいってか、そこまで俺の大ファンなら、俺直々に派手に遊んでやらねぇと不憫で仕方ねぇ。おい、お前ぇら、とりあえずの念願のコールをやってやる!行くぜっ!」
「Yeah!!」

既に俺の頭上にわらわらと総員集まり、熱い視線を注ぎながら、紫苑の報告に総員頷いていた気配は把握していたが、とりあえず声をかけてやると、伊達仕様の大歓声が上がって、そのままの勢いで俺はコールを開始した。

「Are you ready, guys!!!?」
「Yeah!!!」
「Put your guns on!!!」
「Yeah!!!」
「Let's!!!」
「Party!!!やったぜ、みんな!!政宗様直々の俺達への夢にまで見たコールだぜっ!」
「流石、政宗様、超カッコいいっ!!」

総員、機動力満載のきゃあきゃあヒューヒューの絶頂の大盛り上がりを見せて、感動の言葉の大歓声が上がった。
伊達軍の野郎共が本気を出してる状態よりも、初っ端から3倍の盛り上がりのレベルだ。
この熱狂ぶりから察するに、いきなり俺がトップスピードで走り出しても絶対について来れるテンションだ。
何せ機動力が命の忍だから、どこまでもトップスピードで走れる。
総員80人で変幻自在に陣形を変えながら走れば、朝から走れば京だって1日で着く。
苦無で曲者を空と地上で撃破しながら疾走すれば、俺の周りは刀2本振り回してさえいれば、身の安全は確保できる、
最強の全力疾走の砦がまさか俺の城内にこっそり眠ってるだなんて全然知らなかった。

「よし、お前ぇら!手始めに派手に遠乗りだっ!どこまでスピードに挑戦出来るか、トップスピードでどこまでも疾走だぜっ!」
「憧れの政宗様とのまさかのトップスピードの遠乗りだーっ!全力で曲者を派手に仕留めながら走るぜっ!!」
「Yeah!!!!」

紫苑が大興奮で煽ると、さっきよりも大きなコールがわき起こった。
この熱狂ぶりから察するに、野郎共の本気の7倍の見積もりだ。
そんなに俺の遠乗りが憧れで夢なら、馬を乗り換えつつどこまでも走るトップスピードの遠乗りをいくらでも開催してやりたい。
我ながらそんなに俺の遠乗りがみんなの夢とは知らなかった。
走る砦だから、どこでも安全だけに、俺の気分次第でいつでも召集かけて遠乗りが出来る。
この規模なら3分以内に城内何をしてても召集をかけられる、機動力抜群の政宗様親衛隊だ。
俺が動き回ってても確実に総員天井裏の速やかな移動で、俺の伝令が1秒以下で伝わる。
それでこその政宗様親衛隊だ。

「それでこその政宗様親衛隊だ。俺の伝令を楽しみに待ってろよ?いきなり召集かけるからな!」
「Yeah!!!」

さっきと同じテンションで大盛り上がりをして、俺は甲斐での紫苑の活躍の顛末が聞きたくなった。
俺が紫苑を見やって頷くと、総員ぴたっと静かになった。
0.5秒前にはあれだけ盛り上がっていたのに全員静粛だ。
この教育の徹底ぶりは俺の黒脛組レベルだ。
好きな時に煽って、黙らせたい時は頷くだけでいい、元が忍だけに最強に便利な親衛隊だ。
全部、目と相槌のコミュニケーションだけで、速やかに俺の意思が伝わる政宗様親衛隊だ。
俺は大満足でゆっくりとタバコを吸い始めた。

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