政宗の軍議 -3-

「ベス、お前のやり方は効果的だが、恨みを買うぜ?この話を聞く限り、フェリペ2世はお前に相当恨みを持ってるはずだから、F1で懐柔出来るか微妙な所だ。ローマ法皇を懐柔すれば抑えられるかも知れねぇけど、兵糧攻めの恨みは怖いぜ?食い物の恨みだからな。アルマダの海戦の戦法と戦力については後で聞く。俺の知る限り、イギリスの完全な海上制覇はもっと未来のはずだ。ここは、焔にスペインから何らかの報復がなかったか聞くべきだな。俺の予想だと、何かしらイギリスに報復してるはずだ。スペインが南米を押さてる期間が長過ぎるし、イギリスがアメリカ大陸を押さえるのももっと後だ。何か辻褄が合わねぇ」
「えっ!?そうなの!?」
「左様でございます、陛下。政宗様のおっしゃる通りでございます。スペインはエリザベス女王の死去を待ち、弱体化したスチュアート朝に海戦を挑みます。アルマダの海戦で学んだ教訓から無敵艦隊の再編成を行い、スチュアート朝のイギリス軍を撃破致します。これが、本当のアルマダの海戦の顛末でございます」

エリザベスは息を飲んで目を瞠って固まった。

「ますます、私には世継ぎが必要だわ…。テューダー朝を絶対に存続させなきゃ…イングランドを守れない…」
「やっぱりな、俺の思った通りだぜ」
「政宗、私もそこまでは知らなかった。ごめんね…」
「いや、遙、お前は謝らなくていい。大雑把に世界史を掴めただけで十分だからな。俺の作戦と戦の洞察力をなめんな。これくらい簡単に予想が着く」
「やっぱり、政宗様はすごい…。惚れ直した…。何で政宗様はそんなに素敵なの…?」
「その調子で俺にずっと惚れっぱなしでいろ。お前に俺の伊達男の漢の背中を見せてやる。よし、スペインは個別に懐柔方法を考えて、戦から気をそらし、尚且つ財政難に陥るように仕向けるか。そうしたら、無敵艦隊の増強は出来ねぇからな」

話しながらいい案を思い付いて俺がニヤリと笑うと、みなが一斉に息を詰めて俺を見つめた。

「マサ、貴方の作戦を教えて?」
「ああ、いいぜ。ヒントになったのは、お前が取った文化の輸出によるアイルランドの懐柔策だ。だから、文化でスペインを散財させる。だが、イギリスや日本は敵国として俺達の文化をきっと拒絶する。フィリピンを奪うだけにな。だから、スペインに元々根付いている文化を、俺達が保護してスペイン全土で流行らせてエンターテイメントで熱狂させる。派手に巻き起こさねぇと散財させらんねぇから、派手なpartyを連発するぜ?」
「文化の逆輸入?マサ、やっぱり貴方やるわね!!それでこそ私のbuddyよっ!!それで?何を保護するの?」
「焔、スペインの闘牛の状況は?」
「はっ!西ゴート王国の頃から根付いております」
「それは好都合だぜ。ビゼーのカルメンはいつだ?流石にそこまでは分からねぇ」
「19世紀初頭に人気が出たとお考え下さいませ」
「なるほどな、分かった。まずは、日本、イギリスで同時に闘牛を舞台にしたオペラのカルメンの上演だ。作者はシェイクスピアだ。それを世界的に大宣伝だな。日本ではアレンジをして当然歌舞伎の演目だ。フラメンコ入りの歌舞伎だぜっ!これなら江戸の民も大熱狂だっ!」
「ええっ!?政宗、それ、私の時代に中村勘三郎が初めて取り入れた手法だよっ!BGMもオーケストラの録音流してたよっ!」
「だったら尚更やりやすいぜ。最高に日本、イギリスの民衆達がスペイン文化のカルメンに虜になっている様子をフェリペ2世に見せつけて、俺とベスの二人で迫る。江戸、ロンドンの二大都市の熱狂だけでも有効だな。お願いだから、闘牛場とオペラ座を本場のスペインにたくさん建築してくれよってな!オーケストラもオペラの役者の育成も知恵は貸すから、大規模に抱えてくれよってな。絶対俺達で見に行くからってな。何となくフェリペ2世はプライドが高い男のような気がするから、悪い気はしねぇだろうな。何ならシェイクスピアにも、スペインにインスパイアされて書いたってスペインを絶賛させる。大規模なオペラ座の建築とオーケストラの育成で散財だな。このまま芋づる式で散財させて行くぜ?」
「やるわね…わくわくして来たわっ!それで、次の作戦は?」
「まずはカルメンの土台作りだな。今が丁度スペインのアンダルシア地方で、フラメンコが秘密裏に流行り出した頃だ。それを日英で輸入してフラメンコを盛大に国内全土で流行らせて、イギリスからスペインにフラメンコを逆輸入させたら、フェリペ2世が規制をかけようとしてる所だけに驚くだろうな!フラメンコは最高にcoolだって、スペインはやっぱすげぇって俺とベスでフェリペ2世を褒め称えて、フェリペ2世の前でジプシー達を率いる伊達陣営がギターで歌を歌いながら、大皇后の遙に踊らせて、ジプシー達と俺と成実も次々に踊って行くのはどうだ?小十郎はギター固定だ。ベスのダーリンもいれば人数は足りる。金糸を使った絢爛な衣装でなっ!これをスペイン全土で流行らせて、王室でも流行らせたら衣装代が相当かかるだろうな!ゴールドラッシュの金で日英で流行らせるのは余裕だし、俺にはまだまだ策がある」

エリザベスは大きく目を見開いて口に手を当てた。

「すごい策ね…。オペラ座を大規模に建築させて闘牛場も大規模に展開させたら、スペインは大量に金を使わざるを得ないわ。民衆も軍もエンターテイメントが見たくて戦どころじゃないわ。それこそ、古代ローマの見世物とパンよ。最高ね…。フェリペ2世ならおだてられたら乗るかも。見世物とパンについては私が吹き込むわ。今すぐこの場の全員にフラメンコの最高峰の知識とテクニックを私が願うわね…」

すぐにエリザベスは目を閉じて、この場の全員にフラメンコの最高峰の知識とテクニックを願った。
みなが、声を上げる。

「長曾我部も参加してぇな!ノリノリでカッコいいじゃねぇかっ!遙、お前、これ踊ってたのか!独眼竜が絶対喜ぶから踊ってやれよっ!」
「政宗様、この登勢も成実様の大公妃として援護射撃を致します。焔、私、フラメンコを踊っても構わない?」
「リハビリが終わりましたら少しずつならば構いません」
「分かった、ありがとう。政宗様、私は遙様と共に踊り狂います。薙刀と政宗様と成実様と共に馬で鍛えた運動神経はいまだ健在でございます。亘理御前の名は伊達ではございません。何なら薔薇でも咥えて、この登勢の自慢の目ヂカラで必ずやフェリペ2世を落としてみせます」
「長曾我部、登勢、流石だぜっ!登勢、お前は本当に自分の立場をよくわきまえてる、最高に出来るcoolな伊達の嫁だな。流石は成実が選んだ女だぜ。お前の運動神経が健在で安心した。薔薇を咥えたお前は絶対に超絶セクシーで可愛いだろうな。その超可憐な目ヂカラでキッと見つめられたら、ギャップ萌えでフェリペ2世もめろめろだ。遙の切れ長の伏せ目がちの流し目との合わせ技は最強そうだ。俺も遙にめろめろになって歌が止まりそうだ。よし、それでフェリペ2世を遙と一緒に緩急つけて一発で落とせ。お前ならその自慢の目で落とせる。お前が治って本当に良かった。遙と登勢のフラメンコはフェリペ2世にとってすげぇ効果的だろうな。何せ、世界の大皇后と大公妃が夢中なダンスがフラメンコなんだからな!絶対に保護に走る。ベスまで踊ったら感動されるぜ?お前の目はぱっちりしていてチャーミングだから、ちょっと切なげな表情で床を見つめる感じで踊れば、ギャップにドキッとしてダーリンもめろめろだ。これでフェリペ2世は陥落決定だが、更に追い討ちをかける」
「登勢、よくお前の綺麗な脚を見せる決心をしてくれた。流石は俺の嫁だぜ。薔薇を咥えたお前のフラメンコは、梵にとって最高の援護射撃だ。俺も自慢なお前の目ヂカラと脚線美は最強だからな。可愛くもなるしセクシーにもなる。俺もお前と遙ちゃんのためにギターを弾きまくって歌うぜっ!梵の歌が不測の事態で止まっても、俺がかぶせて歌ってやるから大丈夫だ。声がそっくりだから楽勝だ!梵は新婚だからまだ遙ちゃんにときめかされっぱなしだろうけど、俺なら登勢の脚線美にも目ヂカラにも動じずに歌い切れるからなっ!幼馴染の夜伽なしの夫婦5年以上は伊達じゃねぇっ!」
「流石でございます、成実様っ!政宗様への援護射撃を期待しておりますっ!心の臓も治りました今こそ、亘理御前、登勢、心置きなくセクシー全開で推して参りますっ!」
「登勢、最高にcoolだぜっ!流石は俺が唯一愛した女だ。褒美にゆっくり口説いて可愛がってやる。梵への援護射撃は全面的に俺に任せろ。お前は遙ちゃんと二人で、緩急をつけつつのセクシー全開でフェリペ2世を陥落させろ。よし、梵、俺も追い討ち方法が分かったぜ。スペインへの最上級のシルクの大量輸出だな?衣装を作るのには欠かせねぇ。金糸なら更に高値でふっかけられるからな!」
「流石だ、成実、大正解だ。衣装のためのシルクを大量輸出して金を得る。ついでに香辛料でも追い討ちをかけて金を得てやるぜっ!これでゴールドラッシュの金の回収をして、更に利益まで上げてやるぜっ!!この金を生産者に還元すればもっと絹の生産高が上がるぜっ!!無敵艦隊の再編成が出来なくなるくらいに、スペインから金を巻き上げるぜっ!!これでスペインは完全陥落だっ!!」
「流石は政宗様でございますっ!綱元に指揮を執らせ、是非大量の絹の練糸を生産致しましょう!」

勝鬨のような歓声の後、拍手喝采が起こって最高の気分になった。
これでスペインは陥落だし、連合国のポルトガルも共倒れで、芋づる式に南米も手に入る。
俺もまさかフラメンコで南米まで片付くとは思わなかった。
念のために登勢を呼んで本当に良かった。
流石は登勢は最高に出来るcoolな女だ。
じゃねぇと、この俺が一緒に遊んで楽しいはずがねぇし、ある意味登勢は俺の最大のライバルだった。

「はぁ…流石は亘理御前だ…。私、登勢ちゃんにも騙されてたんだね…」
「遙様。成実様の性格と政宗様の性格をよくお考えになって下さいませ。このノリの良い伊達男のお二方と一緒に遊ぶ幼馴染は伊達ではございません。この登勢の性格は、全ては敵を欺くためでございます。成実様が本性を隠し通している事を悟り、前に私が出ては差し出がましいので、ついでにこの登勢も本性を隠し通しつつ僭越ながら伊達家ナンバー2の成実様の嫁として政宗様大贔屓の遙様と美紀のお人柄と能力を見極めさせて頂きました。大合格でございますね!お見事でございます!流石は政宗様が惚れ抜いたおなごでございます!登勢も元々軍馬に乗る伊達女でございますから、自分の身体が歯痒くて情け無い事この上ございませんでした。私自身が成実様をご満足させる事が出来ず、成実様もまた遊び人に徹してこの登勢の命をずっと守って来られました。今こそが成実様への恩返しの時でございます。この登勢の全力をかけて、成実様の嫁の務めを果たします。亘理にて引きこもりの身の上だったため、皆様方の前でのいちゃラブにはいささか不慣れで思わず赤面するほど抵抗はございますが、慣れれば何ら問題はございません。リハビリが終わりましたら、二人きりの時は成実様が待ちわびてらした恥じらいつつのセクシー全開でございます!」
「遙ちゃん、そういう事だ。似た者夫婦ってやつだぜ?伊達に俺が黒脛組の裏ルート担当じゃねぇからな。奥州の親戚達を亘理でまとめてたのは登勢だ。だから、梵も俺も江戸に専念出来た。もちろん俺は奥州の首尾の確認を兼ねて長期休暇を取って亘理に帰ってたけどな。だから、長曾我部の嫁の養女縁組も楽勝だったんだ。登勢の従姉妹にしたからだ。伊達家の中でも名門だぜ?梵と俺の幼馴染だから血筋は間違いねぇ。これで誰も長曾我部の婚儀に文句は言えねぇし、準備の手間もかからねぇ。長曾我部にとって格上過ぎず、いい塩梅の血筋だ。登勢の一声だ。小十郎と綱元の一筆の一生のお願い付きだから、親戚達を黙らせるのには最強だ。梵の政治の右腕の嫁の家柄に相応しいだろ?」
「登勢にはあの時、超世話になったぜっ!マジでスピーディだったからな!感謝しても仕切れねぇ!」
「政宗様に全力でお力添え下さっていた長曾我部様だからこそ、この登勢も全力で誠意にお応えしたまでの事。全ては政宗様の天下安泰のためでございます。伊達家安泰のためでございます」
「最高にcoolだ、登勢。お前に頼んで大正解だったぜ。流石は伊達家の嫁だ。それも奥州をまとめる嫁だ。だからこそ武田のあのバカ姫が鼻について仕方なかったぜ。なーんで成実の嫁がこんなに優秀なのに、俺にあのバカがあてがわれるのか、腹立たしいやら悔しいやらで、街道で出会った時は怒りが更に百倍増だったぜ。だからこその怒り大絶頂で突撃しちまった。早く遙を攫いたくてたまらなくなってな!成実にだけは負けたくなかったからな!」
「登勢は病で暇だったから、書物を読みまくって教養は梵に負けねぇしな。それこそ英語なんて梵と俺レベルにペラペラだったし、俺が読めねぇ他の外国語まで読めたからな。別ルートで奥州の登勢に外国語の書簡を読ませて、手っ取り早く梵に要約の文を書かせてたりしたぜ?それくらいしねぇと、ろくに運動も出来ねぇ伊達女の登勢が退屈しちまうし、情報処理の手が回らなかったからな。梵の提案した官僚制も、伊達家配下から官僚共を武蔵と奥州の間から選抜して次々に江戸に送り込んでいたのは登勢だぜ。だから霞ヶ関をスピーディに作れたんだ。江戸だけで人材確保出来た訳ねぇだろ?俺達の戦の間に江戸城下の整備の指揮を執ったのも登勢だ。太田道灌は江戸城の建築をしてたし、梵に色々江戸の街の要望があったから、登勢はその通りに布陣を敷いて、江戸に民達を移民させて発展させていた。俺達は戦とその後始末と引越しと色んな制度を全国に普及させるのと、江戸での官僚の育成に忙しかったから、背後で動かしてたのは登勢率いる親戚の女一同だぜ。だから、会議から天下がたったの2年で安定したし、貨幣の流通もスピーディだった。まさかのまさかで、梵の初恋の女が全部の知恵を梵に授けてたとは思わなかったけどな。まさかのラスボス登場のハッピーエンドだ。俺は遙ちゃんと梵には完敗だ。やっぱどんなに登勢と一緒に張り合っても、梵には一生敵わねぇな」
「やーっと勝って嬉しくてたまらねぇな!遙は世界最高の女だからな!これで登勢にも負けないぜっ!」
「道理で伊達の偵察が大変だった訳でございます。やはり奥州のラスボスは登勢様でございましたか…。登勢様は忍の気配にも非常に鋭く、最難関中の最難関でございました。成実様命で籠絡は決して出来ず、催眠しようにも意思が誠にお強くそれも出来ず、亘理城の女達の教育までくノ一を動員して指一本で徹底していたため、女達も懐柔出来ず、登勢様に近付く事も出来ず、登勢様のお読みになっていた書物も遠目にしか見えず、何とか目を凝らして読んでみても外国語だけに何が書いてあるのか全く分からず、最強の要塞で、伊達家の重臣達も揃いも揃って嫁にラブラブ過ぎて付け入る隙もなく、仕方なく奥州は諦めて南下しつつ江戸を偵察していたものの、成実様と政宗様と綱元様が、絶妙なノリの良さで吹き出しそうで耐えられず、小十郎様の大変真面目な困り顔すらツボにハマって笑いそうで、この焔の方こそ情報撹乱されていた始末で佐助様にご報告できたのは、伊達全領土における筆頭を驚かせよう作戦の新コールの開発状況や江戸城内の野菜の育成状況や政宗様のフルコースのメニューのご報告だけでございました。政宗様の作物の苗の輸入は斬新でございました…。驚きのあまり思わず聞いたことのない植物は片っ端から暗記して畑に忍び入り栽培日記まで作成致しました。小十郎様の技のツボはあれだけ観察してもこれだけ知識を得てましても最後まで謎でございますね…。流石は秘密主義の軍師小十郎様でございます。是非全力で小十郎様のお力添えをしていつの日かその秘伝を知りたいと存じます。確かに政宗様と長曾我部様が一番盛り上がって美味しそうだったのはクエのフルコースでございましたね…。あの近海マグロの量も驚きでございました…。政宗様が絶妙に一番美味しい部位を成実様と長曾我部様ご夫婦で様々な調理法で独占してらして、羨ましい事この上ございませんでした。4人によるつぶさな実況解説付きでございましたから尚更でございます。料理の鉄人を見ているようでございました。甲斐の忍にはあれは拷問です。憧れの海の魚の上に幻のクエで、幻の小十郎様の野菜と政宗様直々のフルコースでございましたから、実況解説から察するに相当美味だと見当をつけておりました。料理の手際の良さも抜群で見た目も芸術的に綺麗で、俺も料理の盛り付けの参考に大変なりました。お陰で遙様に大変喜んで頂けました。三つ指までついてのお辞儀は大変光栄な事でございました。全ては政宗様のお陰でございます。長曾我部様が頻繁に海の魚を振舞われていたから偵察が大変でございました。フランス料理もお見事でございました。まさかの貴重なワインをあんなに贅沢に料理にお使いになる事には流石は天下一の伊達男だと驚きが隠せませんでした。政策の作成過程の偵察はお許しになっていため、コンセプトと政策作成過程は先駆けてつぶさに甲斐にご報告出来ましたが、よくよく考えましたら政宗様にいいように宣伝に使われておりましたね…。道理でかすがも風魔も同席して天井裏で仲良く分析や感想を言い合いながら一生懸命聞いていたはずでございます。夜中に何やら政宗様が嬉しそうにやけに綺麗な英語の手紙のやり取りを定期的にしているのに気付き、こんなに心の底から嬉しそうな政宗様は大変珍しく、これは絶対に諜報するべき案件と見定めましてこっそり猛勉強して英語の読み言葉をある程度はせっかく覚えたのに、俺が覚えたのは活版印刷のブロック体だったため、政宗様の文字が小さい上にぎっしりで書かれたとても長い手紙は、相当崩しながら綺麗に飾られ過ぎていただけに全く読めず、まさか遙様の惚気話をエリザベス女王にしていらっしゃったとは夢にも思いませんでした。エリザベス女王のお返事の飾り文字もとてもお綺麗でしたが全く読めませんでしたね…。流石は世界史に残る飾り文字の名人でございますね…。政宗様がまたそれに対抗なさっていたのが、流石は一流の手習いの政宗様でございますね…。遙様が鶺鴒の花押にそこまで憧れるのも納得でございます。あれは最早芸術の域でございます。俺が飾り文字自慢合戦で嬉しいのかと勘違いするほど、政宗様とエリザベス女王が様々なバリエーションの飾り文字で熱心に楽しそうに次々と対抗してらっしゃいましたね…。筆跡が毎回ころころ変わるので学習が追いつきません。あれはお見事でございました…。武田では絶対に解読出来ません。匙を投げて展覧会気分になりました。天守閣の人払いは非常に厳しく、黒脛組まで下がらせて成実様直々に遠くから見張りに立たれ、近付く事も出来ず、相当な機密と勘付き遠目に凧から政宗様が天守閣におられるのは見ましたが、絶妙に政宗様をお守りする十分な距離を置いた上での黒脛組による鉄壁の牽制の布陣が成実様によって敷かれており、天守閣は丸裸なだけにそれ以上凧も近付けられず、まるで無音のバンドのドームスタジオコンサートを3階スタンド最後列で眺めているような気持ちで、全仕草を視力の限りで観察して何とか表情を読みきったのと、確かに石榴石の耳飾りをしていると噂の左耳に必ずと言っていいほど時折手を当てて空を見上げて見つめているので、石榴石教がある程度真実の出来事ではないかという結論に至りました。政宗様が髪で耳飾りを必ず俺からは隠してらしたので、余計に確信致しました。かすがも風魔も一生懸命政宗様の石榴石を見ようと頑張っておりましたが、タイミング良く黒脛組の絶妙な妨害にあい、この焔も甲斐で政宗様にお会いするまで結局は実物を見られませんでした…。もし俺が江戸で見ていたら遙様の耳飾りに必ずや気付きました。特徴的でございますから、すぐにペアだと分かりました。政宗様、残念でございましたね。俺に見せていればすぐに遙様にお会い出来ていらっしゃいましたよ?天下人の政宗様があれほどまでに遙様に操を立ててるとあらば、天下を揺るがす大問題でございますから、俺直属の裏の精鋭を適切に動かしながら、お館様と真田幸村と佐助様の大説得会をすぐにでも開いて姫様の想いもついでに手っ取り早く成就させて、遙様との再会に漕ぎ着けておりました。政宗様の想いを成就させるためなら、この命を懸けて伊賀の掟を破って邪魔者は排除する所存でございました。お館様さえ丸め込めばこの焔の生存率は100%でございましたから、俺も心配なく全力でバックアップするつもりでございました。政宗様、この焔を読み切れませんでしたね?正直、政宗様の熱狂的な大ファンでございました。少しは安心しました。様々なバリエーションの石榴石の耳飾りを江戸で見たから尚更一目で分かります。江戸の民はみんな政宗様の事が大好きで、まるでビッグスターのような大人気で、どんなにソフトに諜報しても、ものすごい勢いでみんな喜びながら我先に俺に向かって政宗様の事をきゃあきゃあ言うだけで、次々に発覚する米沢時代からの政宗様の素晴らしい治世と伊達男伝説と民衆へのキザな名言集と石榴石教と、しまいには民衆の石榴石の耳飾り自慢大会と耳飾りの最新トレンド情報以外のろくな情報も得られませんでした。伊達三傑も大人気で、よくぞこれだけ民衆の心を全てそれぞれのキャラで完全に掌握したものだと感心して、真田十勇士に取り入れるべく、民衆の心の動きの研究のために諜報ついでに取材を思わず配下の忍達を全て動かしながら江戸中で熱心にしていたら、最終的にはすぐに俺の顔が割れて、政宗様の超イケメンでcoolな取材班が来たときゃあきゃあ言われ始めて撤退致しました。あの忍の牽制法は斬新で俺も初めてで慌てての撤退です。政宗様の女遊びの再開かと思って、急いで追いかけてみたものの、全て成実様の女遊びで、近くで見ないと流石のこの焔でも夜では遠目には政宗様と見違えるため、成実様なのかよく確認してから去りましたから、成実様の派手な女遊びの事も全て存じております。成実様も忍の気配に敏感ですから偵察は俺しか出来ません。遠くから気配を消して近付いて目を凝らしてみると、見事に歩くだけで女を引っ掛ける様が後ろ姿は歩き方まで政宗様瓜二つで、成実様には大変情報を撹乱させられ、無駄足を多く踏まされました。女を次々に歩きながら見初めてさっと後日の逢瀬のお約束をして、そのまま立て続けにあらかじめお約束をしていた複数人の女遊びに連続でスケジュール通りに入って、明け方にはさっと帰りながらついでに江戸の監視の首尾をご確認なさって、帰りは道中の夜勤の部下達を褒め称えて労ってハイタッチしながら城にお帰りになるそのお背中は、かつての一目惚れの語源となった政宗様のお背中瓜二つで、流石は伊達家ナンバー2の伊達男の成実様だと大変感心致しました。男にも女にもマメでございます。くノ一籠絡の手間よりずっと効率的で感心しきりでございました。研究の余地がございましたので成実様の目の合図に乗っかって思わず同行しての念入りな偵察と観察と分析でございます。忍の技術ごときでは語源レベルには到底敵いません。あの全ての女に対して後腐れなく一晩で何パターンも遊べるローテーションの組み方と、最高に悦ばせて泣かせず綺麗に捨てる技は只者ではございませんでした…。俺の観察では特に別れ方にマメさが現れておりましたね。確かに堅気の女に惚れられたら面倒極まりない事でございますから、流石のツボの押さえ方だと大変参考になり、己を再確認致しました…。ですから小十郎様は有事の案件の火消しだけで米沢では事足りたのですね。長曾我部様の恋の顛末は全て存じ上げております。全ての長曾我部様の江戸屋敷の会合において、政宗様が護衛の黒脛組まで下がらせたからでございます。引き上げる黒脛組達の意味深な笑みを不審に思いつつ、やっと心置きなく諜報してみたら、俺が恋愛パターンに明るいだけに死にそうなほど笑うに決まってる会合で、長曾我部様の秘密を知るためにも去る事も出来ず、特に3日間に及ぶ合宿は史上最強に傑作で、あれを笑わずに全部付き合うのは拷問のようでございましたが、政宗様の伊達男っぷりとお茶目さはよーく分かりました。女になり切って政宗様が本気で演技をして長曾我部様に口説かれていると思ったら、急に長曾我部様に真顔で真面目に、傷付かない配慮をきちんとなさいながら的確に優しくダメ出しをして、俺も思わず神レベルの流石の掴みで分かりやすいと頷いたところで、すぐに今度は政宗様直々に手本まで見せるとおっしゃって、今度は政宗様が長曾我部様の腰をぐいと抱き寄せて本気で甘ったるい雰囲気で絶妙な距離感で見つめ合いながら囁き声で口説き出すくだりでは、感心するほどキザな伊達男っぷりがたまらなく傑作過ぎて吹き出しそうで死にそうで、俺が吹き出しそうになるとますます政宗様の演技に熱が入り、長曾我部様も目を瞠って気合いを入れ直してますます本気になり、政宗様のお気持ちにお応えしていらして、長曾我部様のご様子までまたたまらなくツボで、正直気配を長曾我部様に悟られないので精一杯で、政宗様には俺の吐息だけの大爆笑は筒抜けだったと思います…。俺の気配に気付いて絶妙に緩急つけて俺の事をもてあそんでいらっしゃいましたから、すぐに政宗様に遊ばれていると気付きました。黒脛組の意味深な笑みはこれだったのだと悟りました。笑いを堪えるのに必死過ぎて、流石に少しは休憩で席を外しましたが、そこで石榴石の秘密を打ち明けられてらしたんですね…。宗教誕生の瞬間の良い所を逃しました。是非歴史的瞬間を見たかったと存じます。3日間もよくもあれだけ続けざまにキザな口説き方ばかりのネタがバリエーション豊富にあるものだと本気で感心致しました。いつか諜報で使ってみようかとネタ帳に全て控えたほどの伊達男っぷりでございました。しかしながら教養が高すぎますし口説き方も斬新で正直使い道に困ります。普通の女をあんな風に口説いたらむしろ不審に思われます。長曾我部様と政宗様は東西アニキと陰で呼ばれていただけの事はあって、あれは先頭に立って漢の背中を見せられる立場の人間にだけ許される口説き方でございますね。俺には決して許されません。忍なのに目立ちます。一度は派手に本気で戦力として華々しく口説いてはみたいけれど、残念ながら相手がおりません。忍であるが故にでございます。政宗様への憧れだけでなく長曾我部様への憧れまでますます強まりました。元々大変頭がキレてノリもいい長曾我部様と意気投合しながら、あれだけ繰り返し長曾我部様に効率よく練習させてらっしゃいましたので、記憶はばっちりでございます。真似る事すら出来ます。政宗様の口説き方の傾向と対策は完璧です。ですから甲斐での政宗様のおっしゃりそうな事は全ておおよそ予測可能でございました。ある意味助かりました。武田が守られました。遙様への想いも相当なものだと石榴石教の流行り具合から身に染みておりましたので、1分以内に政宗様の取りそうな行動パターンを全て検証致しまして、的中確率最高でA判定の70%の行動パターンを吟味して採用致しまして、更に遙様をお守りする布陣を一生懸命敷いていたら、何やら政宗様が座り込んで話し込み始めまして、まさかの30%の確率での甲斐壊滅かと固唾を飲んで伝令を聞いておりましたが、我々の敬愛する遙様の誠実なご対応に政宗様が涙なさるほど胸を打たれた結果、大ビンゴの読みのセリフが来て、遙様の精一杯の愛のお言葉の後には、予想以上の政宗様の爽やかな大笑顔を勝ち取り、更に想像の遥か上を行っていた、4ヶ国語でのアイラブユーの遙様のラブレターの解読を大喜びしてジャンプして手を振りながら政宗様がお告げになるというまさかの展開に度肝を抜かれ、あの政宗様に相応しいお方はやはり遙様しかいらっしゃらないと、流石は猿飛忍隊が敬愛して止まない最高の主だと、この焔ですら猛烈に感動しながら、政宗様撤退の地響きを聞いておりました!この焔が最悪の戦況で初めて政宗様から一本取った戦でございます。遙様が敷かれた布陣に完全に守られバックアップされていたとはいえ、この焔の最高の誉れでございます。流石、遙様は天下一、誠実でお優しい、策士ながらも直球勝負な伊達女の教養人でいらっしゃいますね…。政宗様を落とすのは伊達っぷりを最大限に発揮しつつの誠実な直球勝負に限ります。伊達のキーワードは一途なロマンチストの読みで間違いないと存じます。政宗様の行動パターンは7年も操を立てていただけにお会いしていなければ、選択に迷い続けたと存じますが、あれだけ伊達男節の口説き方のパターンをリピートしながら3日もほぼ徹夜で聞いていたら、流石にあの難局でも1分以内で分かりました。政宗様ならば絶対に遙様だけには醜態は見せられません。粘りつつも最高の口説き文句を一瞬で考えてタイムリミットを絶妙に計算しながら最高の撤退をなさるはずでございます。俺もまさかあの合宿が俺の運命の出来事とは思いもしませんでした。はぁ…政宗様の偵察は誠に最難関でございました…。まさかの酸欠で俺もこの若さで死ぬかと思いました…。鉄壁の防御でございます…。人間は笑いにとても弱い生き物でございます…。忍の大敵です。流石はエンターテイメントを繰り広げる天下人でございます…。黒脛組の統括者でございます…」

焔の思わぬ盛大な暴露に、俺達は大爆笑をして、猿飛と紫苑までゲラゲラと笑っていた。
計算尽くで最大の秘密を隠し通しながら、自分の言いたい事を明確に言っている事が流石だ。
確かにあの合宿中に焔の反応が面白くて、長曾我部で色々遊んでもてあそんでいた事を思い出したら余計に笑えて来た。
焔がまたすぐにツボにハマって笑いそうになるから余計に面白かった。
長曾我部がナイスな反応をして余計に焔を笑わせていたから、最高に面白かった。
片手間での焔との頭脳合戦は楽しかった。
一度ガチで顔を見てみたかったレベルだ。

よくよく考えたら焔は俺の前では笑い上戸だ。
先読み出来るのを分かっていて、俺が堂々とツボをストレートにど突いて行くから余計に面白いんだろう。
あれは最高に傑作だった。
俺の黒脛組はこんな俺は日常茶飯事だから軽く流して見ているし、焔をからかいながら黒脛組が笑わないように笑ってはいけない大会を裏で華々しく開催していた。
この上なく黒脛組の増強には都合が良かった。
遙の存在を隠し通しながらも俺が泣きたい時は好きなだけ泣ける、俺の直球勝負の鉄壁の布陣で、同時に周囲全体が俺にどハマりして懐柔されて行っていたのだけは流石に予想外だった。
伊達に幼い頃から見張りはいねぇから、俺がどう振る舞えばみんながどう動くか動物的勘でほぼ想定出来たものの、予想以上の効果だった。

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