俺は遙に手伝ってもらいながら鎧を脱ぎ、着流しに着替えて茶を飲むと、遙は物珍しげに俺の部屋を見回していた。
そして、惚れ惚れとしたような表情で吐息を吐き、微笑んだ。
「やっぱり政宗って趣味がいいね。生粋の伊達男だね」
「そうか?」
「うん。思ってたより和洋折衷で、私の大好きな中世ヨーロッパの雑貨をさり気なく飾ってる。まさかアンティークなテーブルと椅子とキャビネットまであると思わなかった。床は板の間だし」
「ヨーロッパと貿易してるからな。お前が憧れてた羊皮紙もあるぜ」
「えっ!?本当?わぁ…」
うっとりとしたように俺を見上げる遙が可愛くて、くしゃりと髪を撫でると、俺は立ち上がり文箱を持って来た。
中には外国からの書簡が入っている。
文箱を開けるとまた遙は感嘆の声を上げた。
その中から一枚の文を取り出して、俺は遙に見せた。
遙はうっとりとしたような表情でそれを手に取り、しげしげと眺めた。
「わぁ、綺麗な飾り文字。これ、政宗が書いたの?」
「いや、俺じゃない。これは英語だからお前なら読めるだろ。読んでみろ」
「うん」
遙はゆっくりと指で辿りながら文を読み始めた。
そして、段々とその目が驚愕に見開かれる。
「政宗…これって…」
「英国との和議の書簡だ。署名を見てみろ」
「えーと…エリザベス?…まさか…」
「そうだ。エリザベス1世の書簡だ」
「ええっ!?エリザベス1世!?あのエリザベス1世!?ヴァージン・クイーンのエリザベス1世!?」
「そうだ。俺と同じ時代に存在してる。英国には、東南アジアとインドから、綿花、茶、香辛料を輸出し、見返りに紅茶と羊毛と酒を輸入している。これはそれを取り交わした書簡だ」
「すごい…。すごすぎるよ、政宗!それにしても、本当に綺麗な飾り文字。エリザベス1世って狩と飾り文字で有名だけど、本当だったんだ…。こんなの国宝級だよ!」
「そうか?」
「うん、そうだよ!わぁ…あのエリザベス1世の飾り文字が見られるなんて、夢みたい…」
手紙と交互に惚れ惚れと俺を見上げる遙が可愛くて仕方ない。
「惚れ直したか?」
「惚れ直した…。まるで王様みたい…」
「俺は天下人だからな。当然だ。そして、お前は、俺だけの可愛い愛しい姫だ」
そう言って、遙から文を取り上げて抱き寄せた。
やっと、世界一安全な俺の部屋で、こうして遙を抱き締められるのが、嬉しくてたまらない。
もう、別れに怯えなくていい。
死が俺達を別つまで、俺達はずっと一緒だ。
遙を膝の上へ上がらせると遙はそっと俺の首に腕を回し、気だるいキスを交わし始めた。
こうしてキスを交わすと、胸の奥から愛しさが溢れ出す。
本当に、遙が大切で、好きで愛しくてたまらない。
優しく優しく、何度も何度もキスを繰り返す。
その合間に、お互い愛の言葉を交わす。
この瞬間が永遠に続けばいいと思うほどに幸せでたまらない。
「政宗、大好き。今、幸せでたまらないよ」
「俺もだ、遙。愛してる。今、幸せでたまらない。この俺の部屋でこうしてお前を抱き締めるのがずっと夢だった」
またキスを繰り返すと、段々とそのキスが濡れて行き、今すぐ抱きたくて仕方なくなってしまった。
ちらりと時計を見やると、夕餉まで、あと2時間ほどある。
その前に一回抱けるか。
「遙、夕餉は何が食べたい?お前が食べたいもの、好きな物、何でもすぐに手配する」
「えーと、海の魚が食べたい」
「そうか。江戸前鮨でも食べるか?築地からすぐに取り寄せられる。板前もいるしな」
「本当?お寿司久しぶり。もう食べてもいいから大丈夫。マグロのトロをたくさんでしょ、カツオ、ウニ、アワビ、伊勢海老、鯛、ブリ、イワシ、アジ、赤貝もいいな」
遙の口から次々と食べ物の話が出ておかしくなる。
でも、やっとそれだけ元気になったって事だ。
ようやく俺は安心した。
「分かった。すぐに用意させる」
「美紀と佐助にも食べさせてあげたいなぁ」
「お前ならそう言うと思った。すぐに手配するから待ってろ」
俺は小十郎への言伝の文を書き、配下のくノ一を呼び出して小十郎に渡すよう命じた。
そして、遙はまた惚れ惚れとしたように俺を見つめて、甘えるように俺に抱きついた。
遙を膝の上に抱き上げ、キスを始める。
「夕餉の前に、お前を一度抱きたい。ダメか?」
「ううん、いいよ」
遙は恥じらうように頬を染めて頷いた。
キスをしながら、ゆっくりと遙の白衣を脱がせていく。
首筋に鎖骨に胸にキスを落として行くと、遙は幸せそうに甘い吐息を吐いて震えた。
愛しくて愛しくて仕方がない。
あの頃俺が選んだ、オレンジ色の下着と艶めかしく美しい身体が露わになる。
ゆっくりと脱がせて行って、下着姿の遙の身体をしげしげと俺は眺めた。
ああ、本当になんて身体になりやがった。
この上なくセクシーで、そそる。
今すぐ抱きたくて仕方ない。
夕餉前に何発かやらないと堪え切れそうもない。
そっと遙を脱がせた白衣の上に横たえると、俺も手早く着流しと下帯を脱ぎ捨て、遙の上に覆いかぶさった。
もう、俺も欲情に濡れ切った目をしてるのが自分でも分かる。
遙はじっと俺の目を見つめた。
「政宗?」
「遙、悪ぃ。本当は優しく抱いてやりたかったけど、優しくしてやれそうもねぇ。何発かやらせろ。拒否権はなしだ」
遙はさっと青褪めたが、ふわりと笑った。
「ここ、政宗の部屋だもんね。世界一安全な場所だもんね」
「ああ、そうだ。今日は覚悟しろよ?」
言うなり荒々しいキスと愛撫を施していく。
感じたようにくぐもった遙の声を聞くと、もう止まらなかった。
キスを止めないまま、遙の下着を剥ぎ取って、性急に手のひらをきめ細かい肌に滑らせていく。
唇を離し、首筋に噛み付くようにキスを繰り返すと、堪え切れないように遙は啼いた。
「ああっ…ああっ…政宗っ…政宗っ!」
「いい声だ。もっと啼け」
柔らかな胸を揉みしだきながら先を転がすと、狂ったように遙は啼く。
首筋への荒々しいキスをやめないまま、荒々しい愛撫を施し、やがてそっと遙が濡れているか確かめた。
こんな優しさの欠片もない情欲をかきたてるだけの愛撫なのに、そこはもうとろとろに溶け切っていた。
苦しいくらいに今すぐ繋がりたくて、腰が疼く。
「遙、入れるぞ」
「はぁっ…はあっ…もう?」
「こんだけ濡れてれば十分だ。時間が足りねぇ。行くぞっ」
言うなり貫くと、遙は弓なりに身体を反らし、切なげに眉を顰めた。
切なげに眉を顰めるその顔はとても美しい。
「んーっ…はあっ…はあっ…待って…イキそう」
「待てねぇよっ!」
衝動のままに突き上げると、遙はすぐにイってしまったが、待ってやる余裕なんて、全然ない。
やっと、やっと、俺の城でこの世で一番愛しい遙が抱けるのだから。
そうして休む間も与えず遙を高みに追いやったまま、欲望のまま突き上げ続けると、しばらく経って快楽で急激に俺の呼吸も上がって行く。
「あん、やんっ、まさっ…むねっ…!」
「はあっ、はあっ、遙っ、俺もっ、イクっ!」
激しく腰を打ち付けると意識が飛びそうなほどの快楽に、堪え切れない喘ぎ声が俺の口から漏れて、遙の中に出し切った。
でも、全然足りない。
このままじゃすぐに復活しそうだ。
荒い吐息をお互い吐きながら、見つめ合う。
「はあっ…はあっ…全っ然足りねぇな。もうすぐ復活するから、すぐにもう一発だ」
「んっ…はあっ…はあっ…もうすぐ?どれくらい?」
「10分もかからねぇな。溜まってんだ。このままやらせろ」
「はあっ…はあっ…もうちょっと待って」
「待てねぇな。おい!夕餉を半刻遅らせろ」
俺は天井裏の俺の配下のくノ一に申し付けた。
俺の部屋は黒脛巾組のくノ一に護衛させている。
俺と遙を守るために、それくらいの準備は整えていた。
遙は真っ赤に頬を染めた。
「やだ、聞かれてたの?誰?」
「黒脛巾組のくノ一達だ。俺とお前を守るためにな」
「そっか。天下人だもんね」
「そうだ。さあ、遙、話を逸らそうったって無駄だ。もう一発だ。すぐにやらせろ」
「政宗、待って」
「待てねぇな」
言うなり唇を深く重ねる。
本当に何度抱いても飽き足らない。
先程よりはゆっくりとした愛撫を始めると、遙は上がった呼吸のまま感じる。
胸の先を転がしながら、しばらく濡れたキスを繰り返すと、とんとんと胸を叩かれて唇を離す。
「政宗っ、苦しいっ。はあっ、はあっ」
「悪ぃ」
首筋にキスをしながら、両手で胸を揉みしだき、また先を転がすとすぐに遙は啼き始めた。
「あんっ、まさっ、むねっ!待ってっ、ああっ!」
さっき何度もイカせたばかりだから、遙の身体が敏感になっているのは分かり切っているけど止まらない。
脇腹を愛撫しながら、胸の先を転がして、首筋にキスを繰り返すと遙はまた狂ったように啼き、その可愛く甘い声を聞いてたら、10分もしないうちに復活した。
「やだっ、政宗っ、また?ああっ!」
「ああ、復活したぜ?お前は本当に可愛い。そんな声聞いてて復活しない方がおかしい。行くぜ、遙、覚悟しろよっ!」
「政宗、待って!」
「待てねぇなっ!」
また衝動のままに腰を激しく打ち付けると、すぐに遙は達していやいやと言うように首を振りながら喘ぐ。
「ああっ、まさっ、むねっ、もうっ、無理っ!ああっ!」
「まだまだっ、温いくらいだっ、はあっ、お前の身体はっ、最っ高にっ、気持ちいいっ、はあっ」
さっきイッたばかりだから、俺も今度はなかなかイカない。
遙は何度も達しながら、ぽろぽろと涙を流す。
「遙っ、愛してるっ、はあっ」
「やんっ、ああっ、まさっ、むねっ!」
抗議するように背中に痛いくらいに爪を立てられるが、そんなの逆効果だ。
痛みすら気持ち良くて堪らない。
遙は、待って待ってと繰り返すが、余裕が全然ない。
遙の腰を抱き直して、より一層激しく打ち続けると、俺の呼吸も上がって行く。
「あんっ、無理っ、もうっ、無理っ!待ってっ!」
「あとっ、少しっ、我慢っ、しろっ!」
こめかみから汗がぽたりと落ちる。
いやいやと首を横に振る遙の首筋に顔を埋めながら、達したままのその身体を無理矢理に揺さぶってより一層激しく腰を打ち付け続ける。
遙がまた達して、きゅっと締め付けられると俺も限界だった。
「んーっ!ああっ、ああっ」
「ああっ、遙っ、俺もっ、イクっ!」
さっきよりも強い快楽に眉を顰めながら、長い長い余韻にしばらく身を委ね、何度かゆっくりと穿って出し切ると、ようやく少し満足した。
でも、あと一回は抱きたい。
荒い吐息を整えながら、首筋に埋めていた顔を上げ、遙を見つめると、涙を流しながら、遙は余韻に身体を震わせながら、まだ喘いでいた。
落ち着かせるように、ゆっくり、ゆっくり頭を撫でて、ちらりと時計を見る。
一時間か。
休みなくだったから、そろそろ休ませないと遙が拗ねる。
夕餉前に30分休むとして、これから休憩30分で、あと1時間抱けるか。
優しく優しく遙の頭を撫で続けると、ようやく遙の呼吸が治って行った。
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