「ああ、いいよ」
「じゃあ、短パンにはき替えるね」
遙は屏風の向こう側に消えて行き、太腿までさらけ出される短いジーンズにはきかえてこちらに姿を現した。
その素肌に猿飛が触れるのだと思うと、苛立ちが募って行く。
遙はそんな俺の様子には気付かず、布団の上に腹ばいになって寝そべった。
「何だ、遙、こんな着物持ってたなら、甲斐でこれ着てたら馬乗るの楽だったじゃん」
「流石に秋じゃ寒いし目立つでしょう?」
「まぁね。んじゃあ、痛くないようにオイル塗ってあげるねー」
猿飛は懐から瓶を取り出して、遙の脚にオイルを塗り始めた。
その手つきがエロくないか目を光らせて監視をする。
遙はリラックスしたように吐息を吐いた。
「何か気持ちいいー」
「遙、相当疲れ溜まってるよ。気持ちいいのは今だけ。今回も覚悟してもらうからね!んもう、こんなに脚浮腫んじゃってさ!徹底的に心臓に向かって流すからね!」
「あんまり痛いのは嫌!」
「我慢しないと、良くなる物も良くならないでしょーが。行くよっ!覚悟しろよっ、遙っ!」
言うなり、猿飛は遙の細い足首から太腿の付け根に向かって強めのマッサージを施して行った。
「痛い!痛いよ、佐助っ!もっと優しくしてよっ!」
「ごりごりに固まってるから痛いの!これ解さないと、脚太くなるよ?」
「それは困る。政宗に嫌われる…」
「だから解すの!そのうち良くなるから我慢、我慢!」
「くぅ…痛いよー」
遙はまるで美紀に甘えるような感じで猿飛に甘え切っている。
確かにこの様子だと、料亭で二人きりでも、本当に女子会だったのだと納得出来る。
俺に嫌われるのが嫌で、痛いマッサージを我慢してるのだと思うと、その健気さがかえって愛しい。
それに、あれだけ遙に想いを寄せていながら、遙にこんな扱いしかされていなかった猿飛の方が哀れに思えて来た。
しばらく、遙は痛い痛いと騒いでいたが、やがて、こりが解れて来たのか、幸せそうな吐息を吐き始めた。
「はぁ…気持ち良くなって来た…。極楽、極楽」
「だから言っただろ?痛いのは最初だけだって。この調子で全身解すからねっ!」
「太腿の前側も解してくれる?」
「いいよー。君は本当によく頑張ったからね」
遙は仰向けに寝そべり、猿飛が脛から太腿にかけてマッサージを始めると、また遙は悲鳴を上げて痛がった。
「痛いっ!痛いよ、佐助っ!何かごりごり言うし!」
「血が滞ってるからごりごりするのっ!んもう!相変わらず手のかかる子っ!」
たっぷり30分ほどマッサージをすると、ようやく遙も痛がらなくなり、気持ち良さそうに目を閉じて幸せの吐息を吐いていた。
「はぁ…脚だけで1時間もかかると思わなかったよ、遙…。これから、大臀筋と上半身解して行くからね!」
「何っ!?猿飛、遙を脱がせるのかっ!?」
「違うよっ!着物の上からだよっ!全身解して矯正したら、最後に足裏マッサージして終わり」
「そうか、ならいい」
そうホッとしたのは束の間、猿飛が遙の尻を指圧し始めて、俺はギョッとした。
「てめぇっ!遙のどこ触ってやがるっ!」
「お尻の筋肉も解さないと腰痛治らないのっ!エロい触り方してないからいいじゃん!」
「はぁ、佐助、気持ちいい…。もっと!」
遙の台詞に、こめかみにぴきりと青筋が立つのが分かった。
「Hey、遙。聞き捨てならねぇな。俺と猿飛、どっちがいい!?」
「それとこれとじゃ話が別っ!だって、腰が痛いんだもん!このままじゃ今晩政宗に抱かれるのなんて、絶対無理っ!政宗、激しいんだもん!」
「くっ…!!」
遙にそうはっきりと言われてしまえば、返す言葉が見つからない。
激しいから、無理…。
ならば、今夜は遙が泣いて俺を欲しがろうが、焦らしに焦らしてやろうか…。
昼間、何度か抜いたから、今晩はまだ持つ。
覚悟しやがれ、遙っ!!
俺は苛つきながらも、猿飛が整体を終えるのを待った。
たっぷり1時間半かけて上半身のマッサージと整体を終えると、遙は心地良さそうに、うとうととし始めた。
「はい、政宗様、遙の整体、終わったよ。お風呂入れてあげて寝かせてあげてねー」
「そう簡単に寝かすかは分からねぇけどな」
そう言うと、猿飛は肩を竦めた。
「まあ、気持ちは分からなくもないかな。好きにしてよ。俺も、この後、美紀に整体してあげるから。美紀も手術頑張ってたからねー」
「佐助、サンキュ!楽しみだなー!佐助の整体、気持ちいいんだもん!」
「ほら、遙。風呂行くぞ。荷物持って抱き上げてやるから、俺と来い」
「このままここで寝たい…」
「ダメだ。お前、仕事から抜け切らないだろ?」
「うん…」
俺は遙のバッグを持ち、遙を抱き上げて、俺の部屋に向かった。
今夜の計画を考えながら…。
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