「はぁ…。遙様、やっぱりすんげえ美人ッス!」
「また浴衣姿もたまんねぇッス」
「筆頭、いいなぁ…」
野郎共は、遙に見惚れ、口々に遙を褒め称えたが、何だかもやもやする。
「おい、てめぇら、見せもんじゃねぇ!!さっさと部屋に引っ込め!!後で吊し上げだ!!」
「ひぃ!サーセン!!」
小十郎に一喝されて野郎共は、一旦部屋に戻ったものの、今度は後ろから覗いているのか、また感嘆の溜息が聞こえた。
「後ろ姿もたまんねぇッス」
「腰のくびれがこう…」
俺は思わずブチ切れた。
「お前ぇら!!遙の身体を想像しやがったら、ただじゃおかねぇからなっ!!」
「後で、ぶっ殺す勢いで〆てやるから、覚えていやがれっ!!」
小十郎と俺が一喝すると、流石に野郎共も部屋に引っ込んだ。
遙は、不思議そうに俺を見上げていた。
「私って、そんなに褒められるほどなの?」
「ったく、お前は相変わらず無自覚の天然たらしだな。お前は、自分が思っているより、ずっとずっと綺麗で可愛くてセクシーだ。もうちょっとは、自覚しやがれ!」
「うーん、佐助と同じ部屋で寝ても何も起こらなかったけどなぁ」
その言葉に、今度こそ俺のこめかみにぴきりと青筋が立った。
「Hey, 聞き捨てならねぇな。猿飛と寝ただと!?」
「誤解されそうな言い方しないでよ!パジャマパーティしただけだもん!それに、私の身に危険があって不安だって佐助が言うんだもん!ただの護衛!!」
「クッ…ただの護衛…。また女子会か…。何も起こらなかったなら、仕方ねぇな。でも、後でお仕置きだな」
「えー、政宗のお仕置き怖そうだから、ヤダ!!」
「却下だな」
そのやり取りを聞いていた小十郎は、堪えきれずに笑い出した。
「仲のよろしい事で。さぁ、風呂場に着きましたから、ごゆっくり。この小十郎は、野郎共の見張りを徹底致します」
「ああ、頼んだぜ、小十郎」
脱衣所に入ると、俺は遙を抱き締めて、いきなり深いキスをした。
舌を絡めて、優しく吸い上げるようなキスを何度も繰り返すと、遙の脚から力がかくんと抜けた。
その首筋にもキスを繰り返すと、遙は堪らないというように、俺の腕の中で乱れて、甘えたような喘ぎ声を上げた。
「政宗、ダメ…」
「何が?」
「分かってるくせに…」
「そうだな…。続きは風呂場でな」
「もう…。小十郎に聞こえるでしょう?」
「関係ねぇな。仕置きだって言っただろ?ほら、行くぞ」
遙の浴衣を脱がせながら、その身体にキスを落として触れるだけの愛撫をすると、すでに遙はしっとりと濡れていた。
「今晩は、ゆっくりと可愛がってやるから、そんな物欲しそうな顔すんな。すぐに抱きたくなる」
「だって、政宗が…」
「俺がどうした?」
そう揶揄すると、遙は頬を染めて黙り込み、アクセサリーをケースにしまった。
俺もピアスとロケットを外して同じケースにしまった。
そして、手早く着物を脱ぐと、風呂セットを持って、風呂場へと入った。
風呂場で、遙の髪を念入りに洗い、身体も固めのタオルで何度か洗うと、遙はやっとすっきりしたような表情になり、ヘアゴムで髪を結い上げると、温泉に浸かって、しげしげと胸元と腕を見つめて、ホッとしたように吐息を吐いた。
「やっと消えた…。良かった…」
「ああ、俺も嬉しいぜ。俺も髪を洗うから待ってろ」
何度か髪を洗い、ボディソープでごしごしと身体を洗うと久々にすっきりとした。
そして、湯船に浸かると、遙を横抱きにして、つるつるとした、湯の感触を楽しみながら、遙の腕をそっとなぞり、首筋から柔らかな胸の、きめ細かい肌に手を滑らせると、遙は吐息だけで喘いで震えた。
背中もどこもかしこもすべすべとして気持ち良くて、もっと触れたくてたまらない。
「流石、美人湯だな。お前の肌が気持ち良くてたまらねぇ」
「んっ、政宗…。ダメ…」
「何が?」
「だって…いつもより気持ち良くて…声が出そう…」
「遠慮しなくていいんだぜ?」
「でもっ!」
「遙、こっち向け」
俺は、遙を俺の膝の上に跨がらせた。
俺の肩の高さまで、丁度豊かな胸が露わになり、ほんのりピンク色に色付いた胸の先を見たら、もう止まらなかった。
遙の頭を引き寄せ、深い濡れたキスを繰り返しながら、遙の胸を揉みしだき、胸の先を弄ぶと、遙はくぐもった声で喘いだ。
唇を離そうとするのを許さず、そのまま愛撫を続けると、遙がぽろぽろと涙を流し始めてようやく唇を離した。
「ああっ!政宗っ…はぁっ…ダメぇ…」
遙は俺の頭を抱き締めて、たまらないように腰をくねらせた。
柔らかな胸が俺の肩に押し付けられて、そんな声を出されたら逆効果だ。
少し身体が浮いた遙の腰を片腕で抱き上げると、そのまま俺は遙を貫いた。
「ああん!政っ…宗っ!!深いっ!ああんっ、ヤダっ!」
そのまま、軽く突き上げながら、また遙の胸の先を弄ぶと、遙はあられもなく喘いで、その声を聞いたら、もう止まらなかった。
喘ぎながら、のぼせたように、全身がほんのりピンク色に染まっていく遙を抱き上げ、湯から上がり、檜の床にうつ伏せにすると、腰を片腕で抱えて、遙の胸を揉みしだきながら、欲情のままに深く穿った。
「あっ…あんっ…ヤダっ…もうっ…もうっ…!」
俺は遙の耳元で囁いた。
「俺を拒むな、遙。イキたかったら何度でもイケ」
遙は、ゾクゾクとしたように身体を反らし、そのままスピードを上げて深く穿つと、嬌声を上げながら背中を反らして達した。
でも、それだけじゃ俺は到底満足出来なくて、そのまま遙の身体を一層強く抱き締めて、己の欲求のままに動いて、意識が白く弾けるような感じがするほどの、強い快楽の中、遙の中に欲望を吐き出した。
風呂場には、互いの上がった息が木霊していた。
俺は、湯で遙と俺の身体を流すと、また遙を抱き上げて、ゆっくりと温泉に浸かった。
段々と快楽の波が引いて行って、遙の額に頬にキスを繰り返すと、ようやく遙も落ち着いた。
「政宗、酷い…」
「お前が可愛いのが悪い。でも、鎌倉の朝を思い出すな」
「そうだね…。あの時も、政宗ったら何度もお風呂で抱くんだもの。私、のぼせちゃったんだから」
「湯あたりするから、そろそろ上がるか?」
「ううん。もう少しだけこうしてたいな…。温泉から上がったら、お水が欲しいな」
「分かった。すぐに用意させる」
それから、俺達は、じゃれ合うように、柔らかなキスを繰り返して、二人とものぼせた頃に風呂から上がった。
乾いた手ぬぐいで、遙の全身を拭き、俺も身体を拭いて、遙に小袖を着付けて、俺も袴姿に着替えてすっきりとした。
脱衣所の外に出ると、小十郎が駆け寄り控えた。
「申し訳ございません。野郎共が政宗様の風呂場に近付こうとするので、蹴散らしておりました」
「Thanks, 小十郎。遙の裸を覗こうなんてする奴は、俺がぶった斬る」
「はっ!そのような事がないように、睨みを聞かせておりましたから、ご安心を。外の警備は猿飛のくノ一に任せておりましたゆえ、間違いは起こりようもございません。では、参りましょうか」
小十郎に先導されながら、遙と手を繋いで部屋に戻るのも大変だった。
「姐さんのうなじ、ヤバいッス!セクシーッス!」
「のぼせた顔も色っぽいッス!ヤバいッス!!」
「お前ぇら、遙に見惚れてんじゃねぇっ!!さっさと部屋に戻りやがれっ!!」
「政宗様、後でこの小十郎が吊るしあげますから、ご安心を。おい、てめぇら、覚悟しやがれっ!!さっさと部屋に戻りやがれっ!」
「はいいっ!!」
部屋に戻って、俺はようやく安心した。
外には小十郎が控えているから、何も問題はない。
「おい、小十郎。水差しと茶を申し付けろ。流石にのぼせた」
「はっ!ただいま、すぐに!」
遙は白衣を消毒すると、タバコを取り出して、呑気にゆっくりとふかし始めた。
それを見て、俺は大きな溜息を吐いた。
「湯上りの浴衣姿は流石にやべえと思って小袖にしたが、全く効果がねぇ。お前はもっと自覚しやがれ」
「それを言うなら、湯上りの政宗だって色っぽいよ?誰でもそうなんじゃないのかな?特に政宗は水も滴るいい男だよ?」
「それを言うならお前も特別だ。はぁ…」
俺はまた大きな溜息を吐いて、タバコを吸い始めた。
すぐに小十郎が水差しを取り替えに来ると、遙は湯呑になみなみと注いで、一気に飲み干した。
それを二度ほど繰り返して、ようやく遙はホッとしたような顔付きになった。
「湯あたりでもなさいましたか?夕餉はいかが致しましょう?」
「遙、食欲はあるか?」
「あんまり食べたくないな。のぼせちゃった。お夜食にお菓子が欲しいかも」
「そうだな…。俺も疲れた。湯あたりだな。遙と同じでいい」
「承知。では、この小十郎は、野郎共を吊し上げて参ります。失礼致します」
小十郎が下がって行って、俺達は、ゆっくりとタバコを吸いながら茶を飲み、届けられた菓子を少しだけ食べて、用意されていた布団に横になった。
しばらく、そのまま横になりながら、キスを交わしているうちに、眠くなって来た。
「遙、浴衣に着替えるぞ。このまま寝ちまいそうだ」
「あ、うん」
浴衣に着替えて、また遙を抱き締めた。
腕をそっと撫でると、温泉の効果か、すべすべとしてとても心地がいい。
頬を撫でると、遙はくすぐったそうに目を閉じて、俺の手にその手を重ねた。
ああ、俺の好きな遙の仕草だ…。
そのまま、浴衣をはだけて行くと、遙は困ったように笑った。
「さっきしたばかりなのに」
「お前の肌が触り心地がいいからだ。あの頃みたいに、ただ、裸で抱き合いたい。ダメか?」
「ううん。私も政宗を抱き締めたい」
俺達は、互いの浴衣を脱がせると、キツく抱き合って、互いの肌に手を滑らせた。
遙はくすりと笑った。
「政宗の肌もすべすべして気持ちいいよ?」
「そうか?」
「うん。ずっとこうしていたいな」
「それもいいな」
俺達は、キスを交わしては見つめ合い、またキスを繰り返しながら、飽きる事なく抱き合って、互いの肌に手を滑らせた。
やがて、そのまま抱き合い、今度は見つめ合いながら、ゆっくりと肌を重ねた。
俺の名を呼びながら、背中を滑っていく遙の手が、とても心地良くて、愛しくてたまらない、長い長い言葉では言い表せないほど、幸せな時間だった。
これからは、別れに怯えず、こうしてずっと遙と抱き合える。
そう思ったら、涙が出そうなほど嬉しかった。
遙をゆっくりと抱いた後、まだ抱き合いながら、俺は遠い昔に歌った歌を思い出した。
You were born to be my baby.
And baby, I was made to be your man...
「政宗、まだ覚えてたんだね」
「いや、なんだか急に思い出した。あの歌、好きだったぜ?」
「明日、また幸せなラブソング、一緒に歌おうね」
「ああ、そうだな」
「プロポーズの歌に驚いちゃった。あの曲、Mr. Bigで一番好きな歌だったから。あんな素敵なプロポーズされるなんて思わなかったよ」
「俺は、再会を夢見て、あの日銀座でいつかお前に渡す指輪とネックレスを買ってたんだ」
「そうなんだ…」
遙は、結婚指輪に重ねたエターニティリングを愛し気に見つめて微笑んだ。
「また出会えて良かった。こんな日が来るなんて思わなかったよ。また政宗と愛し合えて良かった。今日は眠りに落ちるまで、ずっと抱き合っていたいな」
「ああ、そうだな」
また俺達は、互いの肌に手を滑らせ、温もりを分かち合い、そしてまたゆっくりと肌を重ねた。
あの頃と同じ、まるで悠久の時を過ごすように…。
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