30分くらいしか寝ていないが、身体は随分とすっきりしている。
腕の中の遙は、まだぐっすりと眠っていた。
4時には美紀と交代だから、ここでキスを始めたら、俺も止まらなくなるし、厄介だ。
俺は遙を起こさないようにそっと腕枕の腕を抜いて、iPhoneを手に取った。
遙は余程疲れているのか、目を覚まさなかった。
昔の携帯は片手で操作出来たが、iPhoneは両手じゃないと文字が打てない所だけが不便だ。
俺は小十郎にLINE通話をかける事にした。
すぐに小十郎は電話に出た。
「政宗様、何でございましょう」
「昨日話したホールについてだ。手配はどうなってる?」
「建築させる大工の選定を始めた所でございます。正直、規模が規模ですから、敷地内のどこに建てるか、検討中でございます」
「千鳥ヶ淵の辺りに広い土地が余ってただろ?あそこはどうだ?」
「そうですね。城からは少し離れておりますが、あそこならば三万人規模のホールが建てられそうです」
「よし、それで決まりだ。大工の選定は、ホールの設計図を書かせてオーディションだ。一番理にかなった設計図を書いた集団に依頼する。多分、歌舞伎座を建てた大工が一番上手いと思うぜ?」
「そうですね。芝居小屋を得意とする大工達にまずは設計図を書かせるよう、手配致します」
「Okay. それから、婚儀の時期だが、暑くもなく寒くもない時期がいい。遙のドレスは肩から背中まで露出するからな。長月末から神無月初頭が理想的だ。皐月には間に合いそうもねぇし。梅雨が明けたらすぐに夏だからな。残暑も避けるとなるとその時期しか無理だ」
「左様でございますね。それだけの猶予があれば、ゆっくりと準備も出来ます。長月末を目処に挙式出来るよう、日程調整を致します」
「よし、それから、ドレスについてだが、素材は絹だから、国内で生地を織らせた方がいい。海外の職人を呼ぶか、日本の職人を鍛え上げて国内で仕立てさせる。その方がデザインの変更や微調整が楽だ」
「かしこまりました。正直、型紙さえあれば、日本の職人で十分対応出来ると存じます。仮縫いをする事を考えますと、江戸で仕立てさせるのが間違いございません。型紙につきましては、Safariの情報を元に職人に書かせます」
「流石だ、小十郎!お前は飲み込みがいいな」
「いえ、政宗様には及びません。他に手配する事はございますか?」
「青山の教会の設計図が出来たか確認させろ。遙のお色直しのために、控え室を追加だ。それから、2日分のパレードのルートを考えて、地図に書かせて俺に見せろ。他には、神田明神に根回しだ。神田祭を婚儀の日に開催させろ。何なら来年の神田祭は2回開催でも構わねぇ。あとは、お前と直接会ってから打ち合わせする。遙の仕事中に手術の部屋で打ち合わせだ」
「かしこまりました」
「Okay、じゃあ切るぞ」
「はっ!」
俺は電話を切った。
本当に便利な機械だ。
遙と過ごしながら、これで小十郎といつでも打ち合わせが出来る。
手に持ったiPhoneを眺めていると、いきなり成実から着信があった。
遙を起こさないよう、俺はすぐに電話に出た。
「成実、お前、何の用だ?遙がまだ寝てるから手短に話せ」
「梵、お前、さっき、小十郎に電話かけただろ?何で俺にはかけてくれねぇんだよ!俺だって通話してみたい!ずるいぞ、梵!」
「はぁ!?お前、そんなくだらない事で電話かけて来たのか!?用がないなら切るぞ?」
「梵、待てよ!俺、てっきりお前が夜伽中だと思って邪魔しないようにしてたんだぜ?お前、暇そうじゃねぇか。遙ちゃん、昼寝中なんだろ?お前、溜まってんじゃねぇか?あと半刻ちょいで美紀ちゃんと交代なのにお前、間に合うか?」
「あと四半刻以内に風呂に入るから大丈夫だ。今日は午前中に最高にすっきりしたからな!」
「お前、よく午前中だけで足りたな!びっくりだぜ!何発やった?」
「お前が帰った後、昼餉までに5発立て続けだ」
「ははっ!1刻半弱でそれは、すげぇ!流石にその短時間で5発もやったらすっきりだな!」
「まあ、午後も抱こうと思えば抱けたけどな。遙に無理させちまったから、一緒に少し昼寝しちまった。はぁ、この調子なら、夜、なかなか眠れそうにねぇな。ゆっくり朝寝もしちまったし。今晩はまた気絶させるくらい抱いたら、俺も眠れるかもな」
「ははっ!お前らしいぜ!なぁなぁ、梵。お前、いつ記録更新試すんだ?」
「引きこもってからだろうな。もしくは登勢が動けるようになってからだ。夜中から抱いたら昼餉の時間になっちまう。美紀との交代に絶対間に合わねぇ。引きこもったら、大幅更新の6刻にチャレンジしてやるぜっ!」
「6刻か!お前、相当溜まってたし、遙ちゃんの事ラブラブだからな!お前なら6刻行くかもな!それは流石にすげぇ!更新したら教えろよー?」
「もちろん自慢してやるぜっ!」
「ははっ!お前ってやっぱ最高だぜっ!俺もそれくらい登勢を抱きてぇけど、激しいのは無理だろ?どれくらいが激しいっていうのか、いまいち分からねぇ」
「じゃあ、お前、俺の遙の抱き方、参考にするか?流石に俺もいつも激しい訳じゃねぇからな。ゆっくり優しく可愛がってやったら、それであっという間に6刻は行くんじゃねぇか?遙は何度抱いても飽き足りねぇからな!ゆっくり可愛がるのも激しく抱くのも最高に気持ちいいぜ?」
「マジかよ!?なぁなぁ、梵。ゆっくり可愛がるってどんな感じ?お前、遊んでた頃はいつも激しかったから、全然想像つかねぇ!」
「あのな、成実、ゆっくり可愛がるってのはな、まずは前戯だけで半刻から一刻は時間をかける事だ」
「そんなに!?俺、耐えられるかなぁ。すぐに挿れたくなりそう」
「そこは我慢だ、成実。男なら耐えて、前戯だけで女を最高に気持ちよくさせてやれ。女が挿れて欲しいって言い出すまで可愛がれ。お前だって、俺と同じくらいのテクニシャンなんだから、出来るだろ?昔、しょっちゅう女をどこまで焦らすか競争して遊んだじゃねぇか。そこで俺達、テクニック磨いただろ?一刻くらいは女を焦らした事だってあったじゃねぇか。要はそういう事だ。ただし、登勢には愛情を込めてやれ。可愛がるってのはそういう事だ。焦らすんじゃなくて、最高に気持ち良くさせてやれ。望む快楽を全て与えてやれ」
「なるほどな。だったら一刻までなら耐えられるな。で?肝心の挿入後はどうするんだ?」
「挿入後もあくまでゆっくりだ。優しくキスしてやりながらな」
「あくまでゆっくり…。俺、そんなに焦らした後なのに耐えられるかな…」
「大切にしたいって気持ちがあれば絶対出来る。お前、登勢の事、大切だろ?」
「それはもちろんだぜ!」
「だったら、ゆっくり可愛がれ。挿れてもあくまでゆっくりだ。登勢がお前を欲しがったら、そこで一度イカせてやって、登勢が落ち着くまでまた我慢だ。優しく頭を撫でてやりながらな。その繰り返しだな。だったら激しくねぇし、何刻も楽しめるだろ?俺も我慢の限界の時は流石に一発出すけどな。そのまま復活するまで抜かないまま、遙の胸を揉みながらキスしてるぜ?それで割とすぐに復活するから、すぐに次のラウンドだな。でも、あくまでゆっくりだ、いいな?そうやって抱くと、普段の抱き方よりもっと愛しくてたまらなくなるから、気持ちの面でも最高だぜ?幸せでたまらなくなる」
「流石は梵だぜ!お前、よくそんな抱き方、思い付いたな!お前がそんなに我慢するなんて相当だぜ!よっぽど幸せ気分になれるんだな!」
「ああ、そうだ。最高の幸せ気分が味わえるぜ?遙が抱かれるのが苦手だったからな。だからそういう抱き方にした。他の女を抱いたみたいな抱き方したくなかった。大切に大切に抱いてやりたかった。愛しくてたまらなくてな。今の遙は何でも受け入れるけどな。最初のうちは、それは時間をかけてゆっくり可愛がったぜ?時間を忘れて何刻も立て続けにな。そのお陰で全身性感帯になったし、耳元でずっと、愛してる、お前は最高に可愛いって囁いてたから、声だけで感じる身体になったしな!胸まで短期間でデカくなりやがったぜ!触りまくったからな!」
「それでか!俺も登勢で試してみる!胸までデカくなるなんて最高だな!俺も揉みまくろうっと!その上最高の幸せ気分だなんてたまんねぇな!」
「だろ?その調子だ、成実!あくまでゆっくり全身可愛がれ。ナカに挿れてもゆっくりだ。それなら、お前も6刻に届くかもな!」
「よし、俺も6刻にチャレンジしてやるぜっ!そんなにゆっくりなら登勢の負担にもならねぇしな!あとは俺が我慢出来るかが問題だ」
「とにかく我慢だ、成実。大切に思う気持ちさえあれば絶対出来るから安心しろ。それに、ゆっくりやるのも案外すごく気持ちいいぜ?長時間楽しめるしな!お前も登勢の事がもっと愛しくてたまらなくなるから、絶対に試してみろ。超絶おすすめだ」
「マジで!?だからお前、遙ちゃんの事そんなにラブラブなんだな!分かったぜ、梵!Thanks!超、参考になった!またお前に電話するぜっ!」
「ああ、いいぜ?1ヶ月後が楽しみだな!」
「もちろんだ!楽しみでたまらねぇ!じゃあな!」
成実はようやく電話を切った。
その瞬間、遙のiPhoneのアラームが鳴り出した。
時計を見ると、午後3時だった。
すっかり成実に乗せられてしまって話し込んでしまった。
もう風呂が沸いてるはずだ。
「遙、起きろ、遙…」
「うーん…」
耳元で囁くと、遙は唸りながら何度か寝返りを打ち、ようやく目を覚ました。
「遙、とりあえず、アラームを止めろ。止め方が分からねぇ」
「あ、うん」
遙は、俺にアラームの止め方を説明しながらアラームを止めた。
「よく眠れたか?」
「うん、まだ眠いけど、多分お風呂に入ったらすっきりすると思う」
「風呂の仕度は出来てるはずだぜ。着替えを持って風呂場に移動だ」
「うん」
俺の部屋に移動すると、俺の着替えは用意されていて、遙はバッグから着替えを取り出した。
「はぁ、そろそろお洗濯したいな。でも、洗濯板じゃ下着が型崩れしちゃうしなぁ。つけ置き洗いだけで十分なんだけどな。お洒落着用の洗剤を出せばいいか」
遙は、洗濯用洗剤をボストンバッグの中から出した。
「政宗、女中さんとかいるの?」
「一応いるぜ?俺には近寄らせないよう、小十郎が配慮してるけどな。女中に洗濯させるつもりか?女中は口が軽いから俺は賛成しねぇ。やらせるなら俺付きのくノ一達だな。あいつらなら信用出来る」
「うん、分かった。くノ一を呼んでくれる?」
「分かった。おい、入れ」
「かしこまりました」
すぐに襖の向こうに控えていたくノ一が部屋に入った。
「聞いての通りだ。遙から洗濯の方法を聞いて、頭に叩き込め。遙、お前は洗濯して欲しい服を全て出して、説明しろ」
「うん」
遙は洗濯物をまとめると、端的に洗剤の使い方と水の量、衣服の扱い方を説明した。
「遙様、かしこまりました。お任せ下さいませ。政宗様、風呂の仕度は整っております。風呂場の護衛は天井裏の者と交代し、私は洗濯を致します」
「Okay、頼んだぜ!遙、風呂場へ移動だ」
「うん」
遙はホッとしたように微笑み、俺と手を繋いで風呂場へ向かった。
夜着を脱いで、洗い場で遙の全身と髪を丁寧に洗ってやり、俺も身体と髪を洗うと湯船に浸かった。
「毎日、こんなに楽してていいのかなぁ」
「こんなもんだろ?」
「そっか、政宗にとっては普通なんだね。やっぱり政宗はすごいなぁ」
「お前だって実家にいた頃は楽してただろ?」
「まあ、そうなんだけどね。お父さんもお母さんも医者で忙しかったから、家政婦さん何人か雇ってたもん」
「家政婦…女中の事か。流石は如月家の末裔だな。あの世界にしたら、いい暮らししてたんだな、お前。立ち居振る舞いも他の奴らより綺麗だったしな。やっぱり俺の嫁はお前しかいねぇな」
「私のご先祖様は、このお城にいるの?」
「一応いるが、お前を手に入れた今、必要ねぇな。美紀もいるなら尚更だ」
「んー、せっかくならご先祖様に医学叩き込もうかな」
「やめとけ。典医って奴らはプライドが高い。そうだな…黒脛組でも鍛え上げて、お前の技術を代々伝承させてもいい。典医はそのままでな。黒脛組は影の存在だからな。歴史もそんなに変わらねぇだろ。何なら猿飛の忍隊と共同でも構わねぇ」
「そっか、そうだよね。典医をクビにする訳にもいかないもんね」
「そうだ。それでお前の存在が消えたら俺は困る。だから、典医はそのままだ。代々如月家に任せる」
「やっぱり政宗は頭がいいね。流石だ…」
「お前ほどじゃねぇよ。お前は天下一、綺麗で可愛い才女だからな。疱瘡の封じ込めだけじゃなくて、治療薬まで作るからびっくりしたぜ」
「ふふっ、政宗に会えない寂しさを紛らわせるために、猛勉強して仕事もバリバリしてたからね。医学には自信あるよ?」
「バリバリ仕事してた割に体力ねぇな。あの程度で根を上げられたら困るぜ」
「だって、甲斐では2ヶ月も2時間睡眠で毎日頑張ってたんだよ?あんなの研修医時代以来だよ。もっと過酷だったよ。政宗と再会してホッとしたら、一気に疲れが出ちゃった。まだ江戸城に着いてから、1週間も経たないんだよ?まだ疲れが取れないよ…。多分、胃潰瘍もまだステージTくらいだと思うし」
「お前、甲斐ではそんな暮らししてたのか!?よく倒れなかったな。後で信玄に抗議してやる」
「ふふっ、そんな事しなくていいよ、時間と労力の無駄。江戸城では何もしなくていいから、本当に楽だなぁ。あとはたっぷり眠りたい。しっかり寝れば、体力も前と同じくらい回復すると思うよ?」
「そうか。仕方ねぇなぁ。今夜もゆっくり寝かせてやるから、早く良くなれ。お前を抱き足りねぇ。記録更新の10時間に手始めに付き合ってもらわなきゃならねぇからな!」
「あと1ヶ月くらいゆっくり寝れば回復すると思うよ?それまで待って?」
「はぁ、1ヶ月か。長ぇな…。分かった。1日3時間で我慢してやる。その代わり5発は立て続けにやるからな!」
「それくらいなら、許容範囲かな」
「よし、決まりだ」
俺は遙を抱き寄せて深入りしない程度のキスを繰り返した。
そうしているうちに、遙の頬がほんのり赤くなっていって、唇を離した。
「お前、のぼせて来ただろ?」
「うん」
「よし、上がるぞ」
俺達は風呂から上がり、着替えると、俺の部屋に戻った。
「遙、何が飲みたい?」
「コーヒーがいいな」
「よっぽど恋しかったんだな。ああ、いいぜ。湯を沸かすから待ってろ」
「うん」
鉄瓶で湯を沸かす間に茶器をテーブルに置くと、遙は水を飲んでタバコに火を点けた。
「はぁ、あっという間に3時半過ぎちゃった。コーヒー飲んで、タバコをもう1本吸うのが限界だな」
「そうだな。俺もこんなに慌ただしくなるとは予想もしてなかったぜ。18時間なんてあっという間だな。遙、湯は温めでもいいか?」
「うん、その方がすぐ飲めて助かる」
「Okay、時間短縮出来るからそうするぜ」
俺は鉄瓶の湯の音を聞いて、沸騰する前に火鉢から下ろしてコーヒーを淹れた。
俺もタバコを吸いながらコーヒーを飲み始める。
「政宗、流石!湯加減ばっちり。もう1本吸い終わる頃に丁度飲み終わるかな」
「あと20分あるから慌てんな。10分以内に飲み終われば十分だ」
「うん」
「俺のiPad、お前のバッグに入れていいか?流石に懐に入らねぇ。荷物は俺が持つから」
「うん、いいよ」
遙はテーブルの上の俺のiPadをバッグにしまって、タバコを吸い終わり、ゆっくりとコーヒーを飲み干した。
俺も丁度飲み終わり、時計を見た。
「あと10分だな。完璧だ。忘れ物はないか?」
「ちょっと待ってね」
遙はiPhoneを白衣のポケットに入れて辺りを見回すと微笑んだ。
「うん、大丈夫」
「そうか。よし、行くぞ」
俺達は登勢の下へと向かった。
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