「オーケストラの楽器の歴史。どこまでこの時代で演奏出来るかなって思って」
「何だ、そんな事か。楽器の事なら俺が分かる。お前は演奏して欲しい曲の動画を探して俺に見せろ。それで判断出来る」
「政宗、そんな事まで出来るの!?」
「お前が恋しくてな。お前、のだめ好きだっただろ?この時代のオーケストラについては一通り調べた。出来る範囲でだけどな」
「そうなんだ…。うん、あのね、メンデルスゾーンの結婚行進曲で入場したらすっごく素敵かなって思って。聖歌隊いらなくなっちゃうけど…」
「結婚行進曲!?そんなのがあんのか!?そっちの方が婚儀にぴったりじゃねぇか!賛美歌なんかより断然そっちの方がいい!」
「うん。結婚行進曲は花嫁の夢だよ?せっかくオーケストラ呼ぶならそれで入場したい。本当は披露宴で使う事が多いんだけど、披露宴でその一曲のためだけに楽団使うのは忍びないから。演奏可能かも分からないし…」
「まあ、そうだな。披露宴ではセッティングが面倒だ。どうせならオーケストラに演奏させる時の方が都合がいい。いずれにせよメサイアは確定事項だし、一度でカタがつくから、教会式で結婚行進曲で入場するか?俺は賛美歌にはこだわらねぇ。よし、それがお前の夢なら今すぐ動画を見せろ。演奏可能か判断してやる」
「うん!」
遙は動画を見つけると、再生を始めた。
とてもゴージャスで盛り上がる曲は、正に結婚式のためにあるような曲で、俺はその情熱的な演奏に聞き惚れながら、動画をよく観察して使われている楽器を分析し始めた。
クラリネットはまだないから、代用するか、それまでに入場を完了するしかない。
クラリネットとオーボエが主役になるまでに多少の猶予はある。
その前に遙が祭壇まで到達する可能性は高い。
というか、間違いなく到達するだろう。
たかだか30メートルのバージンロードを歩くのにそんなに時間はかからないはずだ。
「遙、もう一度最初から聞かせろ。クラリネットが主旋律になるまでの時間を計算する。クラリネットは流石にこの時代にはねぇ。その前までは他の楽器で誤魔化せるはずだ。主に弦楽器が主張してるからな」
「やっぱり政宗はすごいね!一発でそこまで計算出来るんだ!最高だよっ!うん、分かった。最初から再生するね」
俺はiPhoneをいじりながら、何秒でクラリネットのパートに入るか確認した。
「よし、1分46秒か。丁度クラリネットのパートに入る前で切るのがキリがいいな。ここで演奏を切っても違和感はねぇ。問題はお前の歩くスピードだな。祭壇までが30メートルとして、お前の到達の時間を計算してみろ。お前が到達するならこの曲に差し替えだ」
「うん」
遙は電卓を立ち上げて計算を始めて、30秒もかからずに計算を終えた。
「政宗、1歩に1.5秒時間がかかる計算で、90秒後に祭壇の前に着くよ。1歩が50センチの計算で。1歩が2秒だと間に合わない。ちなみに1歩が60センチだったら1歩が2秒弱でぴったり。でも、さっきの動画で花嫁さん、1歩に2秒もかかってなかった。結婚行進曲使える?」
「ああ、使えるな。よし、これで決まりだ!賛美歌は止めだ!相変わらずお前は本当に計算が速いな。それによくそこまであの動画を観察してたな、流石だぜ。お前は本当に出来る女だな。最高だぜ、遙っ!それでこそ俺の女だっ!なら、1歩が50センチの1.5秒だな。お前が祭壇に着いた16秒後に演奏完了か、完璧だ。演奏開始から5秒後に入場開始でも十分間に合うな。よし、その速さで歩け。教会が完成したら、iPhoneで曲をかけながら、ハイヒールを履いてその速さで歩く練習をしろ。そこでドアを開けるタイミングも決める。何ならダメ押しでドレスを着て予行演習だ。あれだけのトレーンの長さなんだ。シルクとはいえ多少は重いしぶっつけ本番でつまずかれたら困る。ドレスでのリハーサルの後、場合によっては1歩が60センチに変更だ。その方が余裕がある。リハーサル次第だな。信玄にはお前の速さに合わせるよう言付けておくから大丈夫だ。心配なら信玄には数日前に江戸入りさせて、お前と実際に歩かせる。信玄ならお前のドレス姿を見せても構わねぇ。練習させねぇと、信玄がお前のドレスの裾を踏む可能性だってあるからな。俺もしっかり練習させた方が安心だ。リハーサルにはこの音源を使う。楽団にもこのスピードで演奏させる。信玄との予行演習は、エリザベスの楽団を使って本番さながらに再現する。タイミングの最終確認をそこでして、信玄にも歩き方を叩き込め。お前のポージングもそこで完成させろ。数日あれば間に合うはずだ。そこで何度も練習出来る。それでどうだ?」
「わぁ、流石、政宗!政宗は最高に頭がいいね!分かったよ。そこまで徹底してたら本番安心して歩ける。私もお館様と予行演習したい!」
「そうか、ならそう手配するから安心しろ」
「うん!」
「流石でございますね、お二方。指揮系統がしっかりするとは、この事を指すのですね。恐れ入りました。ところで、政宗様、信玄公とは?」
俺は、教会式の流れを始めから詳しく小十郎に説明した。
その間に夕餉が運ばれて来て、俺は食べながら話を続けた。
一通りの話を終えると、小十郎は微笑んだ。
「なるほど、そういう流れでございましたか。それならば、信玄公に依頼するのが間違いございませんね。この曲に差し替えるのであれば、遙様の入場の際、歌う必要はございません。さくらの野郎共は、くじ引きで抽選に致しましょう。オーディションの手間が省けます」
「ああ、そうしてくれ」
「はぁ、政宗って本当にすごいね。フルオーケストラが無理だから、結婚行進曲は使えないと思ったよ。まさか途中まで有効活用するなんて思いもしなかった」
「俺をなめんな。悩んだらすぐに俺に相談しろ。一緒に考えてやるから。俺も結婚行進曲の方がいい。断然この方が盛り上がる。こんな曲があるなんて知らなかったぜ」
「誠に婚儀に相応しい調べでございました。大変盛り上がるでしょうね。遙様のドレスにぴったりと存じます」
「ああ、そうだな、小十郎。おい、成実、いつまでドレス選びしてやがる!?まだ決まらねぇのか?」
「2着に絞るの、案外難しくてさ。まだ悩んでる。どれも登勢に似合いそう。片っ端から着せたいぜ」
「そんな所まで俺に似てるのか。仕方ねぇなぁ。お前の気持ちもよく分かる。婚儀は長月だから、思う存分悩め。何なら遙に合成写真を作ってもらえ。とりあえず、今は悩みながらでいいから食え」
「Thanks!後で遙ちゃんに頼む!」
「政宗様、なにゆえ成実がドレス選びなぞ…?」
俺は、成実もパレードに参加させる事にした経緯を話した。
小十郎は深い溜息を吐いて呆れた。
遙はくすくすと笑っている。
「ねぇ、小十郎、許してあげて?招待客も着飾るし、きっと美紀もイブニングドレスを着たがるから、登勢ちゃんにも着せてあげて?それに成実は伊達の世継ぎでしょう?パレードに参加するの、すごくいいと思うよ?政宗と成実のダブルの超絶美形な伊達男が並んだら、民衆も大熱狂だよ?女の子達がきゃあきゃあ言うよ?その方が絶対盛り上がる。楽しみだな!」
「はぁ…。遙様がそうおっしゃるのであれば、この小十郎も反対は致しません。綱元もおりますから、護衛は十分務まります。おい、成実、良かったな。遙様と政宗様に感謝しろ」
「うん!梵、遙ちゃん、ありがとう!俺、めっちゃ嬉しい!」
「ふふっ、良かったね、成実。小十郎、美紀にもイブニングドレス、手配してね?」
「かしこまりました」
「ねぇ、政宗。またわがまま言っていい?」
「俺に出来る範囲のわがままなら何でも聞いてやる。今度は何を思い付いたんだ?」
「うん。晩餐会でね、余興として、美紀と一緒にバイオリンとピアノの合奏がしたいんだ。ピアノ一台とバイオリン一台だから、他の楽器はなくても大丈夫。ピアノはあのキーボードでいいよ?」
「何だ、そんな事か。ああ、いいぜ?美紀のピアノは最高にcoolだったからな!伊達にはこんなにすげぇ楽師がいるって自慢になるぜ。そんなのわがままのうちに入らねぇ。何ならキーボードじゃなくて本物のグランドピアノを使え。その方が絶対音もいい。長月までなら取り寄せに間に合うから、そうしろ。お前もストラトヴァリウスを弾け」
「わぁ!政宗、ありがとう!その方がいい!美紀との合奏楽しみだな!」
「クッ、あのドレスを着たお前のバイオリンは最高に綺麗だろうな。俺も楽しみだ。そうだな…せっかくオーケストラを呼ぶんだ。少し規模を小さく編成して、晩餐会中も演奏させるか。何ならあの規模なら全部部屋に入るから、編成し直さなくても構わねぇ。それくらいの広間なら城内にある。二の丸に軍議専用の大広間があるから、そこが使える。相当広いぜ?招待客は全てテーブル席にするか。お前もドレスならテーブルの方がいいだろ?」
「わぁ、素敵!うん、テーブルの方が落ち着くから嬉しい!本物のオーケストラのBGMだなんて夢みたい…」
「お前は俺の大切な姫だ。お前のためにオーケストラを用意するくらいちょろいぜ。じゃあ、どんなBGMにするかは、またお前と相談だな。また後で動画を俺に見せろ」
「うん!」
遙は嬉しそうに微笑んで、大喜びで刺身を食べ始めた。
毎日こんなに喜ばれると、俺も嬉しい。
遙をもっと幸せにしてやりたい。
「お刺身、すごく新鮮で、脂が乗ってて美味しいよ」
「築地がすぐそばだからな。特にもうすぐ冬だから、魚も脂が乗っている」
「もうすぐ冬かぁ。あっという間に秋も終わりだね」
「ああ、そうだな。でも、江戸は雪が降らねぇから便利だな。奥州では雪のせいで出来る事も限られてたからな。居城を移して良かったぜ」
「冬の夜空は綺麗だろうなぁ。特に、ネオンも何もないから、綺麗な星が見えそう」
「ああ、そうだな。お前の世界の夜空は星があまり見えなかったからな。後で天守閣に一緒に星を見に行くか?」
「えっ!?本当!?行きたい!政宗と星が見たい!」
「ああ、いいぜ?お前と星を眺めるのは久しぶりだな。あのプラネタリウム以来だ。あの時、キスをしながら星を眺めたな。あの時のお前、最高に可愛かったぜ?またキスでもしながら星を眺めるか。冷え込んで来たから風邪引くなよ?」
「うん!」
思わず遙とキスを交わすと、小十郎と成実の笑い声が聞こえて来て、俺は我に返って視線を移した。
「お前ら、本当にラブラブの熱々。すっげぇ二人の世界に入り込んでて、声すら出せなかったぜ」
「ああ、そうだな、成実。政宗様が毎日お幸せそうで、大変嬉しく思います」
「ああ、ラブラブの熱々だぜ。この世で一番、遙を愛してるからな!もっとラブラブしてやるから、覚悟しろ!前田夫婦なんて目じゃねぇな!俺達の愛に当てられんなよ!?」
成実と小十郎は爆笑をした。
遙は恥ずかしそうに俯いて、食事を再開した。
そして、ハッとしたように顔を上げた。
「ねぇ、政宗?引き出物って、小十郎が手配してくれるの?私達が考えるの?」
「引き出物?遙、引き出物って何の事だ?」
「えっ!?政宗の時代には引き出物ってないの?そっかぁ。じゃあ、それは省いてもいいのかな。何だか悪い気もするけど…」
「おい、遙。婚儀に欠かせないのなら、省けねぇ。引き出物について詳しく教えろ」
「うん」
遙は引き出物について詳しく色々なパターンを説明した。
「なるほどな。簡単に言えば縁起のいい記念の手土産か。遠路はるばる江戸まで来させるから、手土産くらいくれてやる。お車代もだな。全ての税は免除してやる。何なら道中の宿代も全部伊達が出す」
「流石、政宗!よく分かってる!政宗ならどんな引き出物を選ぶのかなぁって思って気になったの」
「手土産なぁ…。俺の婚儀だからな。そう簡単に手に入るものじゃ面白くねぇな。何か斬新な物をオーダーメイドするか。それで縁起のいい物か…」
俺はタバコに火を点け、茶を飲みながら考えを巡らせ始めた。
俺と遙にゆかりのあるモチーフの物がきっと記念になるし、俺も記念に手元に置いておきたい。
「お前、確か、俺の誕生日の翌日にBirthday Teaってフレーバーティーを淹れてくれただろ?あれは最高に嬉しかったし美味かった。フレーバーティーの作り方を調べてお前なりにHappy Weddingってフレーバーティーを試作しろ。紅茶は一部で流通してるが、流石にフレーバーティーはねぇからな。絶対に物珍しいし、一点物だ。茶筒に鳳凰の柄を彫らせるか。お前の白無垢のモチーフだから、記念になる。奥州の特産品の桜の皮の茶筒が伊達らしくていい。ワンポイントで伊達の家紋も彫らせる」
「わぁ、流石、政宗!この時代にそれは斬新だね!桜の皮の茶筒がまたおしゃれ!鳳凰の柄もめでたくていいね!Eternal Flameだね!家紋入りなのがまた素敵!うん、頑張ってフレーバーティー作ってみる!」
「よし、まず一点目はそれだな。桜の皮の茶筒は見た目が地味だからな。何かもっと華やかな物を添えた方が見栄えがいい。一点目が茶だから、茶菓子を添えるか。日持ちのする物で見栄えがいい物がいい」
「じゃあ、政宗お気に入りの最中にすれば?あれ、すごく美味しかったよ?最中は日持ちするよ?」
「お前、そんなにあの最中気に入ったか?だったらそれでも構わねぇ。どうせなら、最中の皮を紅白にするか。その方がめでたいし、オーダーメイドだ。皮に伊達の家紋を入れさせるか」
「わぁ!すっごく縁起がいいね!みんなも喜ぶと思うよ?竹に雀の最中なんて、絶対に手に入らないよ!政宗、すごいね!」
「お前がそう言うなら間違いねぇな。だが、何かまだ今ひとつインパクトに欠ける。紅茶も茶菓子も物珍しくても消費したらそれで終わりだからな。残るのは茶筒だけだろ?柄はめでたくても、奥州から取り寄せれば桜の皮の茶筒なんて高級とはいえいくらでも手に入る。もっと珍しくて斬新で、手元にずっと残って婚儀の記念らしい華やかでめでたい品物がいい。それも、日常使い出来る方が、忘れ去られなくていいな。それでかつ、俺とお前にゆかりのある物だ」
「はぁ、流石は政宗だねぇ。そこまでこだわるのか。日常使い出来るのは確かにいいね。それで政宗と私にゆかりのある物かぁ。これはかなり難しいな…。なかなか思いつかない…。そもそもみんな、何を日常使いするの?戦国時代なんて初めてだもん」
「クッ、天才遙でも思いつかねぇか。まあ、お前は天才だから、しばらく考えたらまた何か思いつくかも知れねぇな。ハレルヤコーラスにはびっくりさせられたからな!まさか俺もエリザベスの楽団まで用意する事になるなんて、思いもしなかったぜ。小十郎、お前も何か考えろ。日常使いとなると、遙じゃ思いつかねぇかも知れねぇ。何しろ遙はこの世界に来てまだ2ヶ月ちょいだ」
「はっ!」
俺達はしばらく無言で食事を終えて、食後の茶を飲みながら、まだ考え込んでいた。
「政宗様、大変申し上げにくいのですが…」
しばらくして、小十郎が恐る恐る口を開いた。
「小十郎、お前、何か思い付いたか。流石だな。いいから、言ってみろ」
「はっ!政宗様と遙様の絆の象徴は、信玄公にその絆を証明した、政宗様の懐刀だと存じます。これ以上、政宗様と遙様の絆を証明する物は他にはございません」
「はぁ、あの刀か…。確かにそうだな。遙が命を絶とうとした刀であり、それゆえ遙は俺の下へ戻って来た。信玄もそれで遙が俺の妻だと確信したしな。確かにあれ以上、俺達の絆を証明する物は他にはねぇな。で?あれの複製品を作るつもりか?確かに魔除けになるし、身に着けられるのには間違いねぇが、複製品を作るつもりはねぇ。あれは、遙だけの一点物だ」
「おっしゃる通りでございます。そこで、あの懐刀のデザインを元に、巻き紙を切る小刀をお作りになってはいかがでございましょう?あの懐刀ならば、華やかで伊達らしく、誠にめでたいお品物になるのは間違いございません。また、文を書くのに小刀は欠かせませんから、日常使いをする事が出来ます。小刀を使う度に、婚儀を思い起こさせる記念品となります。政宗様ご自身も、婚儀の後の思い出としてお使いになる事が出来ます。いかがでございましょう?」
「すげぇ!やるな、小十郎!やっぱお前、流石だぜ!伊達に俺の守役じゃねぇな!あの刀のデザインの小刀なら俺も欲しいぜ!漆塗りで蒔絵を散らしてな!それは華やかだしめでたいぜ!これ以上の品物はねぇな。伊達家にしか作れねぇ。よし、その手で行く。正直、遙が命を絶とうとした事はいまだに許せねぇが、どの道真田幸村の事件が防げなかったなら仕方ねぇ。遙が命より大切にしてくれてた懐刀だ。遙の俺への愛の象徴だからな!」
小十郎はホッとしたように微笑んだ。
「政宗様のお辛い思い出の刀でもありますから、正直心配ではございました。遙様にもお辛い思い出がまた蘇るのではないのかと…」
「ううん、私はもう大丈夫。再現動画作るくらいだからね。私も手習い出来るようになったら、その小刀使いたいな。だって、政宗が別れ際にくれた命より大切にしてた懐刀がモデルだもん。婚儀の最高の思い出になるよ!一生大切にする!」
「お前がそう言うなら、大丈夫そうだな。頑張って手習いしろよ?お前の分も小刀作ってやるから。早く俺の文が読めるようになれ。俺もお前からの恋文が欲しい。今度は行書で書け」
「うん、頑張る!」
「よし、いい子だ」
「梵!俺も欲しい!そんな小刀聞いた事もねぇ!登勢の分も作ってくれ!」
「分かったから叫ぶな。もちろん、お前らの分も、小十郎と綱元とその妻の分も作る。美紀と猿飛の分もな。俺の婚儀の記念品だからな!伊達家の重臣達の分はその妻の分まで全部作る。もちろん大名達とその妻の分もな!」
「やったぜ!俺、超楽しみ!」
「いいから、お前は黙ってドレスを選んでろ。小十郎、お前は遙の懐刀の写真を撮れ。それを元に刀匠にデザインさせろ」
「政宗、写真は後で小十郎にLINEするよ。ここに持って来るのが今は面倒。それに、傷が付いたら嫌」
「そんなに大切にしてくれて嬉しいぜ。よし、小十郎、お前は遙からのLINEの写真を保存しておけ」
「はっ!」
「遙、引き出物ってこんなもんで足りるか?他にも何か考えるか?」
「十分だよ!こんなゴージャスな引き出物なんて聞いた事ないよ!全部オーダーメイドの家紋入りだし、極め付けに政宗の懐刀のデザインの小刀だよ?漆塗りの蒔絵の家紋入りだよ?そんなの国宝級だよっ!」
「そうか、なら良かった。じゃあ、考えるのはこれでおしまいだ。遙、茶は足りたか?」
「熱いお茶が飲みたいな」
「かしこまりました。すぐに申し付けます」
小十郎が茶を申し付けると、遙はゆっくりとタバコを吸い始めた。
「ねぇ、政宗?次の痛み止めまで暇になっちゃった。今のうちにメサイア聞こう?」
「ああ、いいぜ?メサイア聴きながらのんびりしようぜ?」
「うん!」
遙はもう一度、初めからメサイアをかけ始めた。
ほどなくして、茶が届けられ、膳が下げられると、寛ぎながら俺達はメサイアに聞き惚れた。
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