三人寄れば文殊の知恵 -2-

遙はそこで思案顔になった。
何か素早く計算している。

「政宗、世界史の資料集と世界地図取って来るから待っててね」
「ああ、構わねぇ」

遙は資料集の地図と世界地図を交互に眺めて何か考えている。

「遙、一人で悩むな。それはお前の世界の地図だろう?俺の世界の情勢は違う。海上の情勢についてはベスが世界で一番詳しい。中南米とカリブ海もだ。お前が押さえたい場所があるなら、そこがまだ支配されているかいないか、どこの国が支配しているか、ベスなら一瞬で答えられる。だから、お前の思う戦略を自由に話してみろ」
「そっか、世界最強のクイーンだもんね。んー、とりあえずハワイまで軍を展開するなら、遊んでいる間に一部の軍をカリフォルニアに派遣しようかなって考えた。ハワイより東側には遊べるような島はないから」
「なるほどな。せっかく空母とイージス艦リレーを展開するなら、一部をカリフォルニアに派遣してもいいな」
「その策には私も賛成よ。面倒事は一気に片付けるに限るわ」
「そうだね。とりあえず、遊び続けるには燃料が必要だから、石油輸送用のタンカーをカリフォルニアに2隻出現させる。ベス、イギリスには燃料貯蔵用のタンクはある?」
「ええ、満タン状態だけど、基地のそばにあるわ」
「じゃあ、次に願うのは、油田関連の設備の操作を伊達、テューダー朝の兵に覚えてもらう事かな。コンピューター制御されているはずだから、そんなに人数はいらないはず。合わせて50人いれば多分大丈夫。それでタンカーに採掘された燃料を供給できる。余れば金鉱採掘の人員に回す」
「Okay、すぐに手配する」
「私も手配するわ」
「タンカーの護衛はイージス艦1隻と潜水艦1隻で十分。両方原子力で動くから、空母はいらない。油田採掘の技術者派遣と同時に、金鉱の採掘の兵も派遣する。数が読めないな。それにどこから食料を調達するかも考えなきゃ。アメリカはまだ未開の地だし、カリフォルニアに先住民のインディアンがいたら困るな。インディアン達はフレンドリーなはずだけど」
「それだったら、私に戦略があるわ。どれだけ採掘に人数が必要か分からなかったら、とりあえず私とマサの、それぞれイージス艦2隻分と潜水艦1隻分の兵力を投入して採掘を開始すればいいのよ。それで合計約1700人の兵力が投入出来るし、そのまま置いてくればカリフォルニアの守りに使えるわ。2隻派遣しても8隻残るから十分よ。空母は全部残るしね。様子を見て足りなければ後で兵力を追加すればいいだけの話。そんなの後からいくらでも出来るから今は考えなくて大丈夫。タンカーの護衛にも回せるでしょう?インディアン達と仲良くするように私とマサが兵士達に叩き込めば大丈夫よ。インディアン達も採掘に協力してくれるかも知れないしね。食料はそのまま南下して、メキシコで調達出来るから何の心配もいらない。イージス艦2隻をそのままカリフォルニアの守りに置いておいて、残りの2隻でメキシコに向かわせる。資金は採掘した金を精錬して使えばいいの。最初のうちだけ私とマサの貯蔵している金を使えばいいわ。スペインが支配しているけど、スペイン人は金に貪欲だから金さえ差し出せば何でも言う事は聞くし、ただでさえアルマダの海戦で私に痛い目に遭ってるから、私の名前で脅せば大抵の言う事は聞くわ。そうね、願うなら全ての兵を養える規模の冷蔵庫と冷凍庫を願えばいいわ。あれは本当に便利ね。そうしたらメキシコからの輸入の回数が減らせる。メキシコでのバッファローの食用について聞いたから、メキシコでバッファローの解体方法を聞き出して、ついでに出来るだけつがいでバッファローを輸入して繁殖させながらカリフォルニアで飼育すれば肉の調達に困らないわね。拠点になる砦を築いた方がいいわ。それはマサに任せるわ。石の砦より木の砦の方が建築は早いはずだから。そこで厨房や食堂を充実させればいいの。1700人分の兵力を養う砦くらいなら、そんなに大がかりじゃないからすぐに出来るわ。それから採掘した金の輸送については最後にまとめて取りに行けばいいの。そこでマサと正確に分け合えば無駄がないわね。流石に戦艦を満タンにするほどの金は取れないと思うし、仮に超過するようだったら、伝令さえ確保していれば何隻派遣すればいいか見積れるでしょう?まずは金属探知機を使って金鉱の規模を正確に見積もって、全兵力を投入して強固な壁を素早く作って囲い込む。木製で十分よ。見積もれた段階でマサが日本から材料を派遣すればいいわ。カリフォルニアで材料が調達出来そうなら理想的ね。日本の砦の壁の作り方を伊達軍の兵士の指導の下行えば素早く出来るわ。そうしたら、陸側の守りにそんなに兵力を投入しないで済むから。メキシコとの交易はあくまで海経由にすればいい。後は様子を見ながらメキシコ国境付近に軍を展開して守る必要があるか考えればいいの。そのための偵察部隊を金鉱採掘に派遣した兵の一部から投入すれば無駄がない。念のため、大砲を持って行っておいて必要に応じて国境付近に配備すればいいわ。それは最初にすればいいの。全て遠隔で無駄なく把握しておきたいから、カリフォルニアの指揮官のiPhoneと軍備の使い方の知識を願うわ。そうしたらカリフォルニアの事は任せきりで心置きなく遊べる」
「はぁ、流石は世界最強のクイーンだ。ベスは本当にすごいね。すごく感動した」
「俺も驚かされたぜ。伊達に無敵艦隊を破ってねぇな。遙に張り合えるなんて、マジですげぇ」

俺と遙は感心しきって言葉を失った。
エリザベスはくすくすと笑い出した。

「ふふっ、伊達に指一本で玉座に座ったままカリブ海を掌握していないわ。そうね、今度カリブ海で一緒に遊びましょう。私もまだ行った事がないから。すごい綺麗な所だって聞いたわ。私が掌握してるから安全よ。それより太平洋でもう少し遊びたいわ。少しずつ西に戻りながら色々素敵な島とか巡って、最終的に日本に行ってマサのお城が見たいわ。江戸は私の憧れよ?少し日本でゆっくり滞在したいわ。あれだけ官僚制をお膳立てしてもらったから、いくらでも遊んでられる。遙、もっと見どころについて教えてくれる?」
「そうか、最終的に江戸にお前が来るなら好都合だな。お前の部屋はすでに城内にあるからいくらでものんびりしてくれていいぜ?日本中色々巡って楽しもうぜ?ハリアーがあるから楽勝だ。俺も武田信玄の首尾が気になるからな。遙、他にお前のおすすめの場所はどこだ?」
「うん、ちょっと世界地図見て考えるね。ニューカレドニアとパラオとタヒチは行きたいし、オーストラリアでコアラを抱っこしたいし、ウェールズストーンも見たいし、グレートバリアリーフも見たいし。オーストラリアには行った事ないからなぁ」
「オーストラリアは開拓後でいいんじゃねぇか?」
「コアラはすごく繊細だから、どう開拓して行くか視察したいし、せっかく世界中の言葉が話せるなら、アボリジニに案内してもらうのが間違いないし、アボリジニの長を味方につけておいた方が友好的に開拓して行けるよ。要するに観光を兼ねた根回し」
「ふふっ、遙、流石ね。コアラって?動物?」
「うん、ちょっと待ってね」

俺もコアラを見るのは初めてで、自分のiPhoneで検索した。
ぬいぐるみみたいで超絶可愛い。
コアラを抱っこした遙の写真が超欲しい。
絶対に可愛い!
むしろ俺とのツーショットが超欲しい。
遙のiPhoneを見たエリザベスが声を上げた。

「Oh, my God!こんな可愛い動物がこの世に存在するなんて思いもしなかったわ!私も抱っこしたいわ!」
「ベス、カンガルーもいるよ?すごく可愛いよ?動画を見せてあげる」

動画を見たエリザベスは声を失って見つめている。

「Amazing!オーストラリアって魅力的ね!カンガルーも見たいわ!すごくcuteね!」
「ベス、オーストラリアを開拓する時は、ヨーロッパの動物の持ち込みは禁止ね。もちろん日本のも。馬なら構わない。羊と牛も大丈夫かな。うさぎは絶対禁止。ヨーロッパに狩の文化がある事はよく知ってるけど、オーストラリアに存在する動物は外敵に弱いから絶滅してしまう。出来れば植物もなるべく持ち込まない方がいいと思う。どうやって農作物を育てて行くか戦略を慎重に練らなきゃ」
「分かったわ。こんな可愛い動物達を絶滅させる訳には行かないわ。フロンティア達に固く禁じるわ。農業の戦略は貴女に任せる」
「お前は本当に色々よく知ってるな。ああ、俺も持ち込まないし、農業の展開はお前に任せた」

遙はまたじっと地図に目を落としてしばらく考え込んだ。
俺も地図を覗き込む。

「そうだな、ハワイから南下してタヒチに行って、せっかくだからフィジーに寄って、ニューカレドニアを通って、オーストラリアに上陸かな。それから北上してパラオに行って、出来れば琉球王国と交流してから江戸に帰還するのが最短ルートか。パプワニューギニア、思ってたより大きいな。フィリピンより大きいのか。オーストラリアの開拓が始まったら、挨拶に行って姉妹国にするか。ソロモン諸島やパプアニューギニア辺りはドイツの支配下だったはずだ。海の名前がビスマルクだから間違いない。それから、フロンティアを派遣するのはニュージーランドもだ。まだ未開の地だし、あそこは気候的にも土壌的にも牧羊に適してる。南半球だから季節も逆だし好都合だね。オーストラリアの王が支配すれば良い。せっかくならモアイ像も見たいな。ルートのどこに入れようかなぁ。モアイを探さなきゃ」
「遙、すごいわね!そんなに観光地に溢れているのね!一つずつ掌握したいわ!マサ、覚えてられた?遙が考えている間に画像を見せて?」
「Okay、いいぜ」

遙はまだしばらくモアイを探している様子だったので、遙が言った通りにiPhoneで画像検索をして次々にエリザベスに見せて、それからウィキペディアに書かれている概要を説明した。

「Amazing!どれも魅力的ね!珊瑚礁にハマりそうだわ。特にニューカレドニアの珊瑚礁は見事ね!ニューカレドニアは外せないわ」
「ああ、俺もこんなに綺麗な景色を見るのは初めてだぜ。これは、珊瑚礁を傷付けないように沖に戦艦を停めなきゃならねぇな。ホンダジェットを下ろせるギリギリの大きさの浜辺を探して上陸するか。出来ればヘリコプターでゆっくり旋回して上空からの景色も見てぇな」
「全く同感よ。この景色は後世まで守り抜かなきゃいけないわね」
「政宗とベスが自然保護の観点で同意してくれて嬉しいな。ニューカレドニアは世界で一番天国に近い島って言われているからね。元はフランス領だったはずだよ。モアイは南米に近いのが分かったから諦めた」
「Okay、いいわよ。そのうちスペインとポルトガルから南米も奪うから、そのついでに寄れるわよ。ニュージーランドについても手を打つから安心して。新しい牧羊地をゲット出来るのが嬉しいわ」

俺は南米と言われて、前々から南米の金銀をスペインとポルトガルから流入させようとしてた計画の実現を思いついた。
じっと地図を眺めて戦略を練る。
決め手は香辛料だ。
香辛料さえタダで手に入ればすぐにでも作戦開始出来る。
香辛料を栽培出来て、尚且つ独自の文化を持たない国じゃないと実現不可能だ。
簡単に言えば、植民地を奪って解放すればwin winだ。
ざっと東南アジアの地図を眺めて植民地を探すとすぐに見つかった。
更に地図を俯瞰して見ると、恐ろしい事に俺は気付いて思わず目を見開いて息を呑んだ。
これはすぐにでもエリザベスと話し合うべき作戦だ。

「ベス、これだけの軍備が手に入ったんだ。せっかくお前と合流するし、帰り道にお前と俺で作戦を展開して、スペインからフィリピンを奪わねぇか?成実も長曾我部もいるから大規模な作戦を展開出来る。後々は島津に守りを固めさせるように手配するから大丈夫だ。とりあえずの守りは長曾我部に持ちこたえてもらって、島津との交代と共に長曾我部は日本に引き上げればいい。スペインからの解放と共に、見返りに屯田兵になったら永久的に守ってやる約束をすれば簡単に支配下に置ける。俺はインドや東南アジアの国々の政治を尊重して専制支配はしてねぇから、全部貿易は毛利の銀と伊達の絹と麻だ。もしフィリピンが直轄地になれば、わざわざ商売をしなくても、ここで全ての農産物の生産が可能だ。交易してる国々から苗を手に入れて生産させれば実現可能なはずだ。多分、気候的に茶と綿花は無理だけど、インドとの交易に絞ればいいだけの話だ。後でインドを懐柔する策を考える。フィリピンは小さな島まで入れたらかなりの領土だ。日本より広いかもな。気候的に俺が貿易してる国々と変わらねぇはずだからな。俺の読みだと、フィリピンで香辛料の生産が可能なはずだ。お前と統治すれば、お前も香辛料を俺に頼らなくてすむようになるぜ?それに、ここで生産した香辛料をスペインとポルトガルに高値で売りつければ、お前と俺の懐に大量の金銀が入って来る。手っ取り早くスペインとポルトガルの勢力を削げるぜ?それもタダでな。スペインとポルトガルが勢いを失ったら、南米が手薄になるはずだ。ただえさえスペインは神聖ローマ帝国に搾取されている。あそこはハプスブルク家同士だからな。国内が疲弊してるだろ?その時に一気に南米を奪えばいい。多分これが南米を奪う最短ルートだ。そうしたら、全アメリカ大陸とニュージーランド、オーストラリア、フィリピン、日本の沿岸で一つの線が描けて太平洋を囲む事が出来るから、太平洋を制覇出来る。誰も太平洋に入れねぇ。わざわざ細かい島々を焦っていちいち姉妹国にしなくてもいいし、末代までかけてゆっくり交流していけばいい。これで世界の半分が一気に俺とお前の代のうちに手に入るぜ?多分この読みで間違いねぇ。太平洋の水産資源が独占出来るな」
「はぁ、マサ。貴方もやるじゃない!貴方はやっぱり私の見込んだ最高のbuddyだわ!まさかフィリピンを押さえるだけでそんな事が出来るだなんて、思いもしなかったわ。香辛料が永続的にタダで手に入る上に世界の半分が手に入るなんてね!貴方の読みに私も賛成だわ。これは絶対に私が貴方と合流している間に展開しなきゃいけない作戦だわ。それも早急にね。どうやってスペインから奪おうかしら」

俺とエリザベスはしばらく戦略を頭の中で考え込んで沈黙した。
どうやったら最小被害でフィリピンを手に入れられるか。
遙に戦を見せたくねぇだけに、どうやって作戦を展開して行くか悩む。
しかし、フィリピンはスペインの圧政下にいるから絶対に解放しなきゃならねぇ。
地図をじっと眺めて考え込む。
気付いたら、遙もじっと地図を見つめていた。

「インドネシアはオランダ領?前に政宗に地図を見せてもらった時、インドネシアがよく分からなかった。ただの時代の前後だと思って流して見てた」
「だから、遙、分からねぇ事はちゃんと俺に聞けって言っただろ?」
「遙の言う通り前はオランダ領よ。でも2ヶ月くらいよ?今はインドネシアは現地の人の独自の文化が繁栄してるわ。確か3つのイスラム王国があるはずよ。確かにオランダが本土を武力で制圧して圧政を敷き始めたけど、マサの兵がすぐに守りに入って、海上のオランダ人は日本と共同でイギリスが蹴散らしたわ。同時に3国が鉢合わせたの。オランダはイギリスに張り合ってたから、オランダの動きに合わせて私は兵を派遣したの。マサの国の兵にはイギリスが攻撃しないように日の丸の国旗を掲げるよう言付けてあったし、私の部下達が日本の船に会っても攻撃しないように叩き込んであるから、東南アジアで鉢合わせした時に上手くマサの国の船との戦いは避けられた上に、日本イギリス合同でオランダ船を蹴散らしたのよ。マサが上陸作戦をそのまま行ってインドネシア人の解放をしたから、安く香辛料を手に入れられるのよ。海上からの援護が受けられなかったらオランダも弱いし、マサが次々に兵を派遣したからね。安く手に入れた香辛料を私との貿易に使ってるの」
「え!?そうなの!?すごいっ!ちなみに今、西暦何年?」
「今は西暦1584年だ。あの時はベスの援護が受けられてラッキーだった。だが、フィリピンは俺が兵を派遣する前にスペインに押さえられてたから、スペインの植民地だ。もう随分と長い事植民地だぜ?正直海峡でスペインが何かしでかさないか守りを固めるので精一杯で、フィリピン奪還までは手が回らねぇな。インドネシア人を屯田兵にして支配下に置けば良かったが、東南アジアやインドの守りを固め始めて初めての戦だったから、そこまでの支配制度が整えられなかった。何せ、天下統一の初会議後まだ数ヶ月くらいの初めての兵の派遣での戦で、俺が国内の政策にかかりきりだったから、あらかじめ簡単な指示を島津に送っておくので精一杯だったからな。タイミングが悪かった。安く香辛料が手に入るだけでありがたかった。ベトナム、ラオス、カンボジア辺りは独自の文化が繁栄してるな。インドはムガル帝国だ」
「そうなんだ。フィリピンの今の情勢が良く分からないから、ぶっつけ本番になるけど、多分領土がこの規模なら簡単に落とせると思うよ。全ハリアーで通信を共有しながら作戦を一気に展開して行けば、最小被害でフィリピン全土を恐怖に陥れて、すぐにスペインが降参するという読みで正しいと思う。仮に怪我人が出ても、私と美紀と佐助で緊急手術が出来るから大丈夫なはず。この作戦は絶対に展開した方がいい。この戦は私は止めないよ」

俺とエリザベスは驚いて遙を見つめた。

「遙、貴女の考えている作戦について教えて」
「ああ、是非俺も聞きたいぜ」
「うん、じゃあ、確認なんだけど、フィリピンの首都って今もマニラ?総督はそこにいる?」
「ええ、そうよ」
「そうか。多分、ハリアーの爆撃の精度は抜群なはずだから、ピンポイントで攻撃出来るはず。その想定で作戦について話すね。まず、スペインはベスに絶対的な恐怖を植え付けられているからそれを利用して、フィリピン総督に白旗を上げさせるように持って行く。ベスと政宗は隊列を組んで全ハリアーをフィリピン総督の砦上空に現れる。ゆっくりと高度を下げて、一斉にマシンガンで地面を爆撃。その音に驚いて総督が出て来るはず。そこからベスが拡声器を使って、イギリスのエリザベス女王だと名乗ってスペインはフィリピンから速やかに出て行けと命令する。出て行かなければ全土を爆撃すると脅す。そこで怖気付いて出て行ってくれたら最高なんだけど、念には念を入れるよ。とにかくベスは拡声器で脅しながら地面を爆撃。その間に素早くフィリピン全土に残りの全ハリアーをバラバラに展開して、手当たり次第に見つかる砦を使える程度に爆撃して白旗を上げさせて行く。白旗が上がる度に通信でベスに報告。ベスは報告を受けた砦陥落数を総督に楽しそうに告げてまた威嚇射撃。早く白旗を上げろと言い続ける。それをとにかく続ければ全砦陥落前に確実に総督の白旗が上がるはず。白旗が上がった時点でベスからの伝令で全軍再び総督の砦前に集結して隊列を編成。そこで元親がハリアーを下ろして、元親の全軍にフィリピンを守る布陣を敷かせて島津との交代まで監視させればいいんじゃないかな。島津にはあらかじめ作戦の時期を伝えておけば、元親はそんなに長くフィリピンに留まらなくて済むよ。ここで元親以外のハリアーは撤退しても大丈夫。和議を元親が代理で結んでスペインの撤退を見届けたら元親は政宗に連絡。元親の守りの下、フィリピン人の解放を行って代理でテューダー朝と伊達の屯田兵になる確約までさせようか。元親の軍勢の規模から考えると全土に素早く展開出来る見積もりだよ。落ち着いてから改めて政宗とベスがフィリピンに訪れればいいから。きっとフィリピン人に歓迎されるよ?その時に農産物の生産を展開して行けばいいから、政宗は当面は遠隔で命令するだけで済むはず。これなら怪我人すら出ないと思うんだけど、どうかな?」
「はぁ、貴女、やるわね!」
「はぁ、お前、やるな!」

俺とエリザベスが溜息を吐きながら言ったのは同時だった。
確かにこれなら被害は出なさそうだ。
とても遙らしいやり方ながら、最も効果的だ。
スペインにはエリザベスの脅しが一番効果的だ。

「マサ、その作戦で行きましょう。1時間もかからずにフィリピンが落とせそうね」
「ああ、そうだな。下手したら10分で終わる。これ以上の策は思いつかねぇ。はぁ、やっぱり遙の頭脳は神レベルだぜ」

俺は目を閉じて、もう一度溜息を吐いた。
prev next
しおりを挟む
top