三人寄れば文殊の知恵 -3-

俺達があっけに取られて遙を見つめていると、遙はまた考え込み始めた。

「お前、前に悩んだらすぐに俺に相談しろって言っただろ?今度は何を悩んでる?」
「うん。私もルイ14世の弟救出作戦に参加したくなっちゃった。ベスと一緒にスクランブル発進したいし、一緒にヴェルサイユ宮殿を進軍したらきっと楽しいし、玉座にカッコよく座る所も見たいし、何より王子がベスに一目惚れする瞬間が見たいし、ついでに私も玉座に座らせてもらいたくなっちゃった。きっと感動するから、全ての模様は小十郎にiPhoneで動画撮影してもらって、後でみんなで動画を見たら爆笑出来ると思うんだよね。紫苑に前方からも撮ってもらおうかな。紫苑には先に凧でパリ入りしてもらってヘリコプター登場の所から撮影してもらえばいいか。佐助はまだロンドンにいるから、ついでに合流出来るでしょう?佐助も美紀もスクランブル発進したがると思うよ?政宗も一緒に出陣したいでしょう?ベスには私達を待ってもらわなきゃいけないから、それで悩んでた」

俺はまた爆笑してしまった。
俺も完全にギャラリーになって、超絶見たい!

「ああ、いいぜ。俺もベスの雄姿が生で見たいぜ!ヴェルサイユ宮殿中にベスの声が響き渡るの面白そうだからな!マシンガンの所では絶対大爆笑する。ハリアーの中では、お前は俺の膝の間に座っていれば大丈夫だ。小十郎と紫苑にはしっかり動画を撮らせる。成実は間に合わねぇけどな」
「ああ、政宗と一緒に見れるの嬉しい!政宗には、私の時代のイギリスの軍服着て欲しいな。あれ、超かっこいいんだ。王子が着るやつ。脚が長くないと似合わないし。政宗に絶対似合うはず。絶対惚れ直す」
「クッ、軍服か。俺も鎧は着たくねぇから、軍服の方いい。どんなデザインか見せろ」
「うん」

遙はiPhoneを俺に見せた。
確かにこれは女心をくすぐるデザインだ。
俺もこれが着てみたい。

「マサ、私も貴方と一緒に出陣したいわ!どうせ王子が私の夢を繰り返し見るのを待たなきゃいけないなら、貴方私と合流しなさい。初スクランブル発進は、貴方と一緒にやりたいわ!ツートップの隊列で飛びましょう。まずはロンドンにいらっしゃい。それから貴方の見てる軍服を見せて?」

遙はiPhoneをエリザベスに見せた。

「あら、マサならこれ似合うわね。遙もペアで着たら、男装の麗人みたいで絶対にかっこいいと思うわ。せっかくヴェルサイユ宮殿に出陣するからおしゃれしましょう。私もドレスよりこの方が歩きやすくていいわ。みんなでお揃いにしたらどうかしら?私もこれ着てみたいわ」
「ベスも軍服着てくれるの!?それだったら、私、着て欲しい軍服がある!」

遙が興奮してノリノリになった。
どんな軍服か気になって仕方ない。

「遙、すぐにお前の希望の軍服を見せろ。気になって仕方ねぇ」
「うん。ヴェルサイユのばらのオスカルの軍服だよ。近衛兵時代の」

俺はまた笑わされた。
夕餉の仕度をしながら、偶然見たベルばらを思い出した。
病みつきになって、遙の留守の間、毎日見ていた。

「政宗、知ってるの?」
「ああ、お前の夕餉の仕度をしながら偶然見たからな。あれはインパクトがあった。病みつきになって毎日見ていた。あれは忘れられねぇな。ベスにオスカルの軍服を見せてやれ」
「うん」

遙はオスカルの画像を表示させてエリザベスに見せた。

「あら、ゴージャスね!晴れ舞台に相応しいわ!私、これにするわ!遙はどうする?私とお揃いにする?」
「ベスとお揃いの着ていいの?なら、美紀もオスカルの軍服にして、みんなで男装の麗人ごっこが出来るね!」
「美紀ね。佐助のハニーの名前ね。いいわ。女性陣はみんなでオスカルでお揃いにしましょう。男性陣はマサとお揃いにしたら統一感あるわね」
「ベスがノリ良くて嬉しいな!すごく楽しみ!みんなで記念に集合写真撮らなきゃ!」
「お前!!」

集合写真にツボを突かれた。
おかしくてたまらねぇ!
壮大な悪戯を仕掛けてる感が、たまらなく俺の心をくすぐる。
出来るなら、用意周到に色々計画を練りこんで、派手な演出をしたら、楽しそうだ!
遙はまた悩み始めた。

「お前、今度はどんな遊びを思い付いた?」
「うん、何か時代劇ごっこもしたくなっちゃった。せっかく政宗、天下人だから、暴れん坊将軍をもじって暴れん坊太政大臣とか、水戸黄門をもじって江戸黄門とか。伊達の印籠で、控えおろうってやるんだよ。このお方をどなたと心得る。恐れ多くも天下の太政大臣、伊達政宗公であらせられるぞ。皆の者、頭が高い、控えおろう!ってやりたいな。人生で一度はやってみたい」

俺はまた大爆笑をした。
将軍を絶妙に太政大臣に差し替えている所がたまらなく笑える。
水戸じゃなくて江戸!
俺は有名人だし眼帯が目立つから、絶対にああいうお忍びが出来ねぇ所がまた笑える。

「分かった。江戸に帰還したら、エキストラ募ってどこかでロケやってやるから。小十郎と成実も一緒に演じたらいいだろ?それでいいか?」
「うん!超楽しみ!」
「マサ、暴れん坊将軍って?水戸黄門って?」

俺は事細かに、暴れん坊将軍と水戸黄門についてエリザベスに説明し、俺の位についても説明すると、声も出ないくらいに大爆笑をした。
ようやく経ってエリザベスは笑いが止まって行った。

「私も超見たい!最高にcoolよ!早く江戸に行きたいわ!私もテューダー朝の紋章で水戸黄門やろうかしら。シェイクスピアにシナリオを書かせたらきっと面白いわ」
「お前も俺を笑わせんなよ!テューダー朝の紋章の水戸黄門とか傑作過ぎるぜ!伊達の家紋より面白れぇ!しかもシェイクスピアにシナリオを書かせるとか、笑えて仕方ねぇ!」

遙は声もなく大爆笑をしている。
人生で一番楽しい夜かも知れねぇ。
遙とエリザベスと一緒にいたら、絶対に飽きねぇ。
この調子でF1の計画なんてしたら、俺は呼吸困難で死ぬかも知れねぇ。
遙が大爆笑しながら、息も絶え絶えに言う。

「ねぇ、ベス。ベスってシェイクスピアの演劇のためのホール持ってるよね?」
「ええ、そうよ。よく知ってるわね」
「そこで、シェイクスピア作のテューダー朝の紋章の水戸黄門やって!絶対に面白いから見たい!それ、録画して、開拓した大陸で巨大スクリーンで流そうよ!みんな夢中になると思うよ!合わせ技で政宗の水戸黄門も流そうよ!みんな政宗とベスの事が大好きになるよ!暴れん坊将軍もやりたいな!」

俺はまた声が出ないくらいに大爆笑させられた。
まさか俺が開拓地のお茶の間のアイドルになるとは思わなかった。
それも伊達の家紋の水戸黄門と暴れん坊将軍で。

「あら、面白そうだけど、巨大スクリーンって?」
「うん、こういうのだよ」

遙はBon Joviのスタジアムライブの動画を見せた。

「あら…。これは面白そうね。みんな熱狂してるじゃない。どれくらいの人が入ってるのかしら」
「多分、3万人くらいかな」
「いい宣伝になるわね。是非やりましょう!楽に統治出来るじゃない。貴女やっぱり最高よ!」
「ベス、お前、ノリ良すぎ!」
「ベス、BGMはこれだよ?」

遙が暴れん坊将軍の一番盛り上がり殺陣の所を流し始めて、俺は本格的に呼吸困難になった。

「あら、この役者、cool guyじゃない?BGMも最高にrockね!盛り上がるわ!是非やりましょう。マサならきっとここで噂の六爪流を見せてくれのかしら。見た事ないから楽しみだわ」

エリザベスに煽られて、俺はもう死にそうだ。
六爪流の殺陣!
二人で俺を殺す気か!
俺は、遙の口を手で無理矢理塞いだ。
遙は暴れたが、押さえ付けて、何とか俺は笑いが止まって、深い溜息を吐いて、拘束を解いた。

「お前ぇら、俺をあんまり笑わせんな!呼吸困難で死ぬかと思ったぜっ!ベス、明日、イギリス時間の夜中にFaceTimeしてもいいか?多分夜中の1時頃だ」
「それくらいなら別にいいわよ。聖闘士星矢、読んで待ってるから。どうしたの?」
「お前にFaceTimeで会わせたい男がいる。長曾我部元親っていう、俺の日本でのbuddyだ。あいつも海賊だから、お前と気が合うぜ?あいつもロンドンに行って一緒にヴェルサイユ宮殿に出陣するから会わせたい」
「あら!マサのbuddyなら是非会いたいわ!海賊なら尚更よ。楽しみにしてるね!」
「政宗って、元親と親友なの?」
「ああ、そうだ。話すと長くなるから、明日お前に会わせてやる。ベス、今日はもう遅い。12時過ぎたからな。俺は笑い疲れたから、もう寝る。明日話せるのを楽しみにしてるぜ?」
「あら、もうそんな時間?話してるとあっという間ね。分かったわ。ゆっくり寝てね!Talk to you tomorrow!じゃあまたね!」

エリザベスはそこでFaceTimeを切った。
俺は深い溜息を吐いて遙を抱き締めた。

「政宗、すごく疲れてるね」
「当たり前だ。2時間以上笑いっぱなしだったんだ。俺はもう寝る。明日に響く」
「政宗が夜伽しないって珍しいね。私も笑い疲れちゃった。このまま一緒に寝たいな」
「ああ、そうしろ。また明日、気分が良かったら、いちゃラブな夜伽しようぜ?」
「わあ、楽しみだな!じゃあ、寝る」
「分かった。おい、行燈を消せ」
「かしこまりました」

行燈が消されると、ホッとして、俺は遙にキスをする事もなく、深い眠りに就いた。

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