長曾我部元親 -1-

昨日はエリザベスと遙に大爆笑させられて、流石に笑い疲れてしまって、俺らしくもなく、FaceTimeの後、遙を抱く事もなくただ抱き締めてすぐに眠ってしまった。
ぐっすり眠って起きると、遙はまだ俺の腕の中ですやすやと眠っていた。
ちらりと時計を見ると、朝の8時だった。
遙の腕枕をそっと引き抜いて、iPhoneの通知を確認した。
LINEには、たくさんのメッセージが入っていた。
長曾我部、武田信玄、小十郎、成実、綱元、前田、上杉謙信、浅井長政だ。
みんな、俺からの連絡が欲しいという内容だった。
今日は連絡だけで忙しい一日になりそうだ。
江戸湾沖の軍も呼び寄せなきゃならねぇ。
とりあえず、民衆の指揮を執るために小十郎に連絡した方が良さそうだ。
他にも言付けたい事は山ほどある。
後のメンバーは後回しで、話が長くなりそうな、長曾我部とゆっくり話したい。

長曾我部と話すのは、遙を探しに奔走をし始めた前以来だ。
あれだけ毎日やり取りしていて、毎日二人で遊んでいたから絶対に心配しているはずだ。
エリザベスが海の向こうのマブダチなら、日本のマブダチは長曾我部だ。
前田慶次以上のマブダチだ。
だからこそ、内大臣の位も与えた。
日本の領土をどうやって大名達と分けるかの戦略にも一枚噛んでいるほどだ。
日本の政治には長曾我部が欠かせない。
帝への根回しの依頼をしただけで、近況を知らせていないから、多分怒っているに違いない。
あいつと久々に顔を見てゆっくり話したいから、FaceTimeをするつもりだ。
出来るなら、遙を見せたい。
長曾我部は全てを夢の中で知ったはずだから。
俺は遙を起こさないように、小十郎にLINE通話をかけた。
小十郎はすぐに応答した。

「政宗様、ご連絡を心待ちにしておりました。夢の中で政宗様の未来について全てを聞かされましたから、何も詳しい事はおっしゃらずに結構でございます。最強の軍備とホンダジェットとF1についてもでございます。F1は大変可愛らしくて笑ってしまいました。それから二の丸に出現する倉と婚儀の準備についても把握しております。政宗様の軍勢と成実の軍勢の規模と指揮権についてもでございます。この小十郎が把握しているのはこれで以上でございます。遙様の策にはまたこの小十郎も驚かされました。まさか、政宗様が世界の政宗様になるとは夢にも思わず、大変嬉しく思いました。この小十郎の最大の誇りでございます。政宗様の守役を輝宗様から申しつかった事、この小十郎の最大の誉れでございます。よくぞここまでご立派にご成長あそばれましたね。この小十郎は何も間違っていなかったと思いますと、充実感で胸がいっぱいで感無量でございます。政宗様には感謝してもし切れません。是非、末代まで片倉家で政宗様のオーストラリア、アメリカを含む全てのお世継ぎのお世話をさせて下さいませ。この小十郎もより一層、片倉家の世継ぎの教育に励む所存。どうかこれからも政宗様のお世話をさせて下さいませ」
「ああ、頼んだ、小十郎。お前ほど頼りになる男はいねぇからな。俺と遙をこれからも支えてくれ」
「何と嬉しいお言葉。いくらでもお申し付け下さいませ。政宗様のお言付けは江戸湾沖の軍を呼び寄せるための民衆の指揮でございますね?初めてですから、政宗様が軍勢を沿岸に呼び寄せるのがよろしいかと存じます。成実もでございます。確かにあの規模の軍など、誰もが見るのは初めてでしょうから、大騒ぎになりかねません。江戸城下の全ての瓦版の号外をすぐに手配し、政宗様が世界掌握のために天から最強の軍備を授かったので、これから湾岸に呼び寄せるお披露目があるという風に煽ります。警備の伊達軍で湾岸の守りは固めますので、政宗様は安全に軍を呼び寄せるとよろしいかと存じます。民衆はあくまで遠目から軍備を眺めるように見物客の警備も伊達軍で完全に指揮を執りますのでどうぞご安心下さいませ。そうすれば政宗様の人望もますます高まりましょう。民衆の指揮が完全に執れた時点で政宗様にご連絡致しますので、今しばらくお部屋でごゆっくりとお過ごし下さいませ」
「流石だ、小十郎。話が早いな。その策には俺も賛成だ。是非その手で行け。それから、俺はこれから長曾我部とゆっくり話をしたい。成実には絶対に俺を邪魔しねぇように固く釘を刺せ。あいつは俺が起きるのを待っているはずだ。起きたと知ったら絶対に俺の邪魔をする」
「かしこまりました。成実を呼び出し、見張ってでも政宗様のお邪魔をさせませんのでご安心下さいませ」
「それを聞いて安心した。それから、心置きなくロンドンに出陣したいから、武田信玄に連絡を取って信玄の首尾を確認しろ。俺の留守の守りは武田信玄が行う事になっている。よくよく考えたら、武田の軍勢を江戸の守りに回す必要なんて全然ねぇからな。伊達の常備軍は総計100万人以上はいるんだ。いくら戦艦が大規模でも全部乗せられるはずがねぇ。江戸の守りは足りない分だけ北の軍勢をちょっと南下させて使えば十分だ。軍勢の指揮は信玄と綱元の共同で行えばいい。綱元には政治の指揮も取らせなきゃならねぇから、綱元はあくまで相談役の位置付けだ。綱元には官僚達の指揮を完全に執らせる。信玄は江戸まで自分の守りを固めるだけの軍勢がいれば十分だ。太平の世だから、大がかりな守備も必要ねぇな。最速で江戸に来させる布陣を敷くように言付けるのが妥当だ。LINEかFaceTimeで言付けろ。信玄もiPhoneを持っている。瓦版の手配が終わったら、俺達が留守の間の伊達領を守る常備軍の布陣をお前が考えろ。世界に進出する軍備に乗る規模は合計1万5千人程度だな。戦を仕掛けるつもりはねぇから、護衛としてはそれで十分だ。江戸の守りの常備軍から選抜すれば補える。だから、お前は足りない1万5千人をどう動かすかだけ考えれば十分だ」
「かしこまりました。この小十郎の全知恵を総動員させて政宗様と成実の守りを固めます。信玄公が江戸の守りを固めて下さるなら安心でございます。海上の軍勢の規模は政宗様の軍勢が1万5千人規模、成実が6千人規模でございます。それだけ船に乗れば世界のどこにいても海上は安全でございますね。他には何かございますか?」
「すぐにでも進軍を始めたいから、全国から食料の調達だ。成実と長曾我部と分け合う。長曾我部の軍勢の規模は俺と全く同じだ。成実とは登勢が外出出来るようになり次第ヨーロッパで合流だ。登勢の回復の見込みを焔に見積もらせろ。焔は遙と同じ医療技術を与えられた。俺の掌握している全忍が同じ技術を持っている。魚は漁を行いながら補えるから、大丈夫だ。最初の数日分さえあればいい。漁は長曾我部が手伝ってくれるはずだ。戦艦には冷蔵庫と冷凍庫という氷室が装備されているから食料が日持ちするだろ?足りなくなりそうだったら、西洋が開発した航路の港で調達すれば航海は続けられる。それについては俺と遙の方が詳しいし、俺が指揮を執るから大丈夫だ。とりあえず、ロンドンまで1週間で着くから、出来るだけの食料を買え。ただし民の食料は奪うな。成実と合わせて2万1千人程度なら伊達領内だけでも足りるかもな。今後の航海のために食料を集めるルートを確立しろ。各港に集めておけば回収してから日本を出発出来る。隣国への伝令を使って一気に全国に伝令を飛ばせば2日以内に全国に伝令が行き届くはずだ。長曾我部にも伝令を頼むから、お前は尾張から東までの伝令だけ担当すれば十分だ。日本海には回ってる時間がねぇから、太平洋沿岸の港に運べる領土の国主だけに依頼すればそれでいい。2隻の空母の出発は少し遅らせて、北の伊達領内からの食料を回収させてから出発させる。港に食料が集まる目安は3日後だな。すぐに伝令を飛ばせば間に合うはずだ。伝令には全国に配置した黒脛組を使え。それならもっと早く伝令が伝わる見積もりだ。港に食料を集める指揮も黒脛組に執らせた方がいい」
「政宗様、流石でございますね。遙様の技術を全忍が持ったのはとても心強い事でございます。瓦版の手配よりも優先に食料の調達の伝令を飛ばします。他には何かございますか?」
「登勢の治療に必要な忍以外の忍を俺が作った東大に集めろ。そうだな、全国の監視に必要な数だけの黒脛組を全国に残したまま、江戸にいる黒脛組だけを使うのが妥当だ。猿飛の忍隊も共同だ。東大には遙の世界の東大病院が出現している。竜岡門のそばだ。そこを拠点に全国の病の人間の治療の戦略を練らせろ。指揮は黒脛組の頭領に執らせろ。全国の監視の指揮と共に執らせればいい。遙の世界の治療法で、かなりの種類の病が治せるはずだ。予防接種などの外で行う処置については、指揮は焔に執らせるのが妥当だな。爺やにも早速文を書いて、らい病の治療と身体を元通りにする治療をすぐにでも開始させろ。爺やには世話になったし、泣いて喜ぶはずだ。東大病院までの道中の里の人間の護衛も手配しろ」
「まさか、そんな設備まで与えられていたとは夢にも思わず本当に驚きました。早速爺やへ文も書きます。爺やも泣いて喜ぶでしょう。早速そのように手配致します。他には何かございますか?」
「武田信玄が伊賀と甲賀の忍を全て掌握して俺の黒脛組にするつもりらしい。それぞれの忍の長の説得を甲斐で行うつもりらしいが、それじゃ信玄の江戸入りが遅れる。信玄には説得を江戸で行うように言付けろ。とにかく江戸入りを急がせろ。信玄が全忍を掌握して、全国の監視への布陣を完成し次第、医療技術を持った黒脛組は東大病院に全員集合だ」
「伊賀と甲賀の全忍でございますか!?それは大規模な黒脛組になりますね。とても心強い事でございます。かしこまりました。信玄公へのお言付けの時にまとめてご依頼致します。手配も心得ました。他には何かございますか?」
「全国の大名達にも俺が最強の軍備を天から授かったと伝令を飛ばせ。そうしたら、今後の伝令は戦闘機かヘリコプターで空から出来るから一日もかからずに伝令が飛ばせるようになる。全ての言付けの内容は成実と綱元と共有しろ。いちいち俺が話すのは面倒だ。お前が成実と綱元を呼び出して叩き込め。それから、あいつが登勢と一緒にヨーロッパに何不自由なく来れるようにお膳立てしろ。お前が代々片倉家の世継ぎ達を俺の世継ぎ達の守役にするなら、お前は全ての旅に家族を同伴させろ。旅先でも子作りに励め。畑の世話についてはお前が考えろ。長曾我部とのFaceTimeが終わったら俺達は朝餉を食う。長曾我部との話が終わったらくノ一に命じるから、俺の部屋に持って来させるように手配しておけ。それで以上だ。成実には他の大名達とゆっくり話し終わってから心ゆくまで話を聞いてやるから待ってろと言付けろ」
「かしこまりました。流石は政宗様でございます。全ての手配は心得ました。成実の監視はお任せ下さい」
「ああ、頼んだぞ。じゃあ、切るぞ」
「はっ!」

本当に小十郎じゃねぇとこんな指揮は執れねぇ。
やっぱり小十郎は世界で一番頼りになる男だ。
代々小十郎の子が俺の世継ぎ達の守役になるのは本当に心強い。

「政宗ってやっぱりすごいね!流石、天下人だ!政宗の司令に感動しちゃった!」

急に遙の声がして俺は驚いた。
まだ眠っているとばかり思っていたし、全布陣を考えて集中し過ぎていた。
にこにこと微笑んでいるのが可愛らしくて、俺は抱き寄せてキスを繰り返した。
長く深いキスを繰り返して、二人同時に甘い吐息を吐いて唇を離した。

「遙、俺はこれから長曾我部とFaceTimeをする。あいつとはマブダチだし、しばらく連絡もしなかったから怒ってるはずだし、顔を見て話したい。それに長曾我部にはお前も見せたい。あいつには随分心配をかけたからな」
「政宗、元親とそんなに仲良しだったんだ」
「ああ、そうだ。海を越えた親友がベスなら、日本の親友は長曾我部だ。今からiPadで長曾我部とFaceTimeするから、夜着の乱れを直せ」
「うん」

俺と遙は夜着の乱れを直して、iPadの前に腹ばいになって横たわると、長曾我部にFaceTimeをかけた。

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