路上ライブの相談

コーヒーを淹れ終わって飲み始めた頃に、朝餉が運ばれて来て、朝餉を食べ始めた。
長曾我部と話すと話が尽きねぇ。
エンドレスに話せる。
成実と違った意味でノリがいい。
成実は陽気な腹黒だが、長曾我部の明るくて無邪気な所もまたいい。
本当に俺の空白の7年間を支えてくれたのは、長曾我部とエリザベスだ。
4人で話せて本当に良かった。

「ねぇ、政宗。何か音楽聞いていい?元親に乗せられてノリノリになっちゃった。ノレる曲かけていい?」
「ノレる曲か。いいじゃねぇか。俺も何だかノリノリだ。もうすぐヴェルサイユ宮殿に出陣だから尚更だ。何てバンドだ?」
「陰陽座」
「陰陽座は初めてだな。日本のバンドだろ?ジャンルは?」
「日本のバンドで、メタルだよ?政宗が帰ってから、よく聞いてた。すごく演奏が上手くてテクニカル。テクニカルなツインギターを多用するから、相方がいなくて寂しくて弾いた事はないな」
「テクニカルなツインギターか。今の俺なら弾けるから丁度いいな。是非聞かせてくれ」

俺達はあくまで食べながら会話をしていた。
遙がiPhoneで陰陽座をかけ始めた。
メタルながら、今まで聞いた事のねぇジャンルの節回しだ。
すげぇ伝統的な日本らしい節回しだ。
俺の時代で通じそうな旋律だ。
こんなメタルが存在するなんて知らなかった。

「これ、coolじゃねぇか。すげぇ日本らしい」
「うん、そうだね。歌詞も面白いよ?」
「そうか、楽しみだ」

すぐにソプラノの女性ヴォーカルと男性ヴォーカルの掛け合いが始まって、俺は歌詞に聞き惚れた。
何と言うか、平安末期の幽玄的な耽美な感じの歌詞だ。
俺の好む新古今和歌集と能に通じる物がある。
流石は名前が陰陽座だ。
もしかしたら、陰陽道をテーマにした曲をもあるかも知れねぇ。
かなり面白い発想だ。
伴奏の旋律がとてつもなくテクニカルながら聞かせどころをわきまえているのがまた気持ちいい。
これなら、遙とツインギターを弾きつつ、デュエットまで出来そうだ。
すげぇ気に入った。

「気に入ったぜ。俺ならこのヴォーカルより上手く歌える。ギターを弾きながらな。こいつ、クセが強すぎだ」
「このヴォーカリストの名前は瞬火って言うんだけど、もっと後の時代になると完全にクセがなくなって、すごく上手くなるよ?ベースを弾きながら歌うの」
「そうか、後で聞かせてくれ。お前、これギター弾きながら歌えるか?出来るならお前とデュエットしてぇな」
「ギター弾きながらは歌った事はないけど、女性ヴォーカリストの黒猫に憧れて、黒猫みたいに歌える所までは練習して部屋や美紀とのカラオケで熱唱してた」
「分かった。後でギター弾きながら歌ってみろ。何て曲だ?」
「雨に叢雲風に花」
「妖刀村雨か。coolじゃねぇか。今は朝餉中だから、雨に叢雲風に花が終わったら、他のも聞かせろ」
「じゃあ、同じアルバムの羅刹をかけようかな」
「羅刹か。純日本だな。いい名前だ。是非聞かせてくれ」
「うん」

しばらくして、雨に叢雲風に花が終わった。
最後までテンション上がる名曲だった。
次の羅刹も楽しみだ。
羅刹が始まった。
イントロのソロギターの節回しがまるで小十郎の笛の節回しそのものだ。
俺はすぐにノリノリになった。
それからすぐにメタリカ並みのスピード感溢れる旋律が始まった。
これはいい!
2回目のサビが終わると能の合いの手が入って顔を顰めた。
発声が軽すぎる。

「遙、合いの手の発声が全然なってねぇ。合いの手は、こうだ」

俺が能の発声をすると遙は頬を染めた。

「政宗、すごく本格的でかっこいい!」
「当たり前だ。伊達に能楽座抱えてねぇし、戦場でも暇したら小十郎の笛と成実の鼓と綱元の太鼓で舞ってたんだ」
「政宗、すごいね!だから成実がドラムやりたがったのか」
「多分な。このギターのソロの掛け合いはいいな。しびれる。俺が歌ったらもっと良くなる」
「わぁ!楽しみだな!せっかくだから、衣装も陰陽座と一緒にしよう?」
「衣装?どんな衣装だ?」
「男性陣は陰陽師で、黒猫は巫女さん」
「はぁ!?そんな低い位の衣装なんて俺が許す訳ねぇだろ!?和装するなら、きちんとした衣装だ。俺は太政大臣だから、当然直衣だ。ギリギリ許せて狩衣だ。小十郎以上みんな公卿だから、当然全員直衣だ。お前も略式の十二単だ。長袴は邪魔だから、普通の袴だな。烏帽子は邪魔だから省略だ。それなら許してやる」
「えっ!?そんなに本格的なの!?絶対直衣の方がいい!」
「そうだろ?じゃあ、衣装は直衣に決定だ。これはマジで成実に勧めてぇな。ちょっとLINEする」

俺は成実に、Apple Musicで陰陽座を全部聞け、超絶coolでやべぇ!とLINEをした。
すぐに成実からすぐ聞く!超絶楽しみ!という返事が来た。
その間に曲が変わり、これがまたすごくツボだ。
これは是非歌いたい曲だ。

「遙、これ、何て曲だ?すげぇ気に入った!幽玄的でダークな平安末期みたいな愛の歌だ。俺の好きな新古今和歌集っぽい」
「政宗、すごいね。よく分かるね。組曲「義経」〜悪忌判官だよ?確かに平安末期がテーマだね。あ!私、政宗に歌って欲しい曲がある!すごくかっこいいよ?」
「何でも歌ってやる。何て曲だ?」
「蒼き独眼」
「What!?俺そのものじゃねぇか!義経の次に聞かせろ」
「青天の三日月って曲もあるよ?」
「それも、俺そのものじゃねぇか!マジで陰陽座気に入ったぜっ!順番に聞かせろ」
「うん」

俺はいつもより早く食事をしながら、陰陽座に聞き惚れた。
聞けば聞くほど俺好みだ。
音感が上がってる分、どうやってギターを弾いたらいいか、身体がすぐに理解して、早く弾きたくてたまらない。
歌詞もすぐに耳に入って来る。
蒼き独眼もすげぇ俺好みの男性ヴォーカル中心だ。
しかも、武士の歌だ。
誓いの縁で遂ぐ、という歌詞が気に入った。
遙との永遠の愛の誓いを暗示しているような表現で、更に俺らしい。
運命の証という歌詞もいい。

次の青天の三日月は、イントロに笛の音が入っている。
いっそ、全曲小十郎に笛を吹かせて、長曾我部にベースをやらせた方がいいかも知れねぇ。
原曲より良くなるはずだ。
草薙剣がテーマの曲だ。
三種の神器の一つだ。
天下人の俺らしくてとてもいい。
晴天の三日月を聞き終わる頃には朝餉を食べ終えた。
遙も食べ終えた所だ。

「おい、膳を下げろ」
「かしこまりました」

すぐにくノ一が現れ、膳を下げてテーブルを拭いて部屋を出て行った。
俺達は食後のタバコを吸いながら、寛ぎ始めた。
冷めたコーヒーをゆっくりと飲む。

「遙、陰陽座、マジで気に入った。義経と蒼き独眼と青天の三日月は毎回やりたいし、ベースは長曾我部に変更だな。陰陽座はずっと小十郎に笛を吹かせた方がきっと良くなる。それから、衣装は全部直衣と十二単だな。仮にキーボードが入るなら、美紀が十二単を着て参加だ。その方が日本らしくていい。俺達のライブの衣装は直衣に固定した方がきっといい。日本の貴族が来たって印象に残せるからな」
「わぁ、政宗、ますます本格的だね!確かに小十郎の笛、よく似合うね。流石だよっ!キーボードが必要な曲もあるし、美紀なら十二単喜ぶと思うよ。でも、どこでお披露目するの?新大陸で?披露宴で?」

陰陽座を完成させる事ばかり考えていて、どこでお披露目するかまでは考えていなかった。
出来れば早くお披露目したいだけに、悩む。
1番早くお披露目出来て、ハワイの王を訪ねた時か。
それか、ローマ法皇だ。
各地の原住民や王にお披露目が直近だ。

「そうだな、一番早くてローマ法皇にお披露目だな。もしくは、ベスと会った時にベスにお披露目だ。あいつなら、気に入るはずだ。ただ、ベスにお披露目の場合リハーサルの時間が取れねぇな。俺達はもうすぐ出陣準備だからな。成実が間に合うか分からねぇしな。だから、ローマ法皇の想定だ。婚儀の暁に礼にお披露目する感じだ」
「なるほどね。それだったら、私にもいい考えがあるよ。ローマ法皇にお披露目の想定のライブの構成ね。第1幕、第2幕、第3幕の3部構成ね。第1幕はキリスト教関連のメタルで構成。クリスチャンメタルのインペリテリを主軸にメタリカのEnter Sandman、Creeping DeathとアングラのNova Eraがラストでいいんじゃないかな。曲調的にも盛り上がるよね?堕天使ルシフェルは神に最も愛されていた天使だったから、驕って神に戦争を仕掛けて大天使ミカエルとの戦いに負けて、ルシフェル軍はみんな堕天使になった。堕天使はみんな悪魔の集団なの。ルシフェルは堕天してサタンとなる。楽園のイブをそそのかして禁断の果実を食べさせた悪魔ね。Nova Eraは堕天使達が神の下に戻ってまた天使となる新世紀の歌だから、ラストに相応しい究極の救いの歌だよ。それが第1幕の構成。政宗、どう思う?」
「堕天使にそこまでの意味があるとは知らなかったぜ。堕天使については文献を読んで、案外キリスト教徒も八百万の神的な発想をするもんだと思ってはいたが、悪魔の別名を持ってたとはな。イブの事までは知らなかった。じゃあ、Nova Eraがラストで良さそうだな。インペリテリはお前に任せる。俺もインペリテリは好きだしな。選んだら後で俺に聞かせろ。ライブの場所は?」
「うん。人が多い方が盛り上がるから、サン・ピエトロ広場で路上ライブがいいんじゃないかな」
「路上ライブか。楽しそうだな。それでいいと思うぜ。じゃあ、次に、第2幕について聞かせろ」
「うん。第2幕は全部、陰陽座。日本文化を伝えるのがテーマ。同じメタルながら、かなり日本的な特殊な節回しをするからね」
「確かにお前の言う通りだ。それも俺は賛成だな。俺と成実も陰陽座を聞くから、これから選曲すればいい。じゃあ、次に第3幕だ。陰陽座だけでも最高なのに、何をやるつもりだ?」

じっと遙を見つめると、遙は嬉しそうに俺を試すように、くすりと笑って答えない。
遙の目を見つめて、こいつが何を考えているのか読む。
第3幕がラストなら、もっと盛り上がるライブを企んでいるのは間違いねぇ。
第2幕までが伊達率いる日本オールスターだから、第3部はテューダー朝との共演という読みで正しいはずだ。
それなら、最後を飾る幕に相応しい。

「遙、お前が考えているのはベスとの共演だな?伊達とテューダー朝の絆の証明のライブ構成だ」
「流石、政宗、大正解!!政宗は私の考えてる事、よく分かるね!」
「当たり前だ。お前の事を愛してるし、俺も伊達男だからな。最高に盛り上がるとしたらそれしかねぇ。でも、ベスに似合うメタルなんて思いつかねぇな。何てバンドだ?」
「アンベリアン・ドーン」
「聞いた事ねぇな。すぐに聞かせろ」
「うん、何曲かかけたいから、政宗、コーヒー飲み終えて、もう一杯淹れて欲しいな」
「ああ、いいぜ」

俺達はタバコを吸い終わり、コーヒーを飲み終えた。
俺が鉄瓶で湯を沸かし始めると、遙はiPhoneでアンベリアン・ドーンをかけ始めた。
キラキラしているところがアングラっぽいが、シンフォニックで壮大なメロディだ。
そこがとてもヨーロッパ的だ。
ラテンのノリじゃねぇ。
ギターもドラムもかなりテクニカルで弾き甲斐がある。
すぐにヴォーカルが始まった。
オペラ歌手のような歌い方が斬新で驚いた。
確かにヴォーカルの声がベスによく似てるから、遙がアンベリアン・ドーンを選んだのがよく分かる。
よほど寂しくてメタルを含んだ色々な音楽を聴きまくっていたと思うと不憫だが、お陰でこうしてライブの打ち合わせが出来るからこれもまた運命か。

「遙、流石だ。ヴォーカルの声がベスと似ている。あいつなら好きそうだしな。問題は歌唱力か。ベスにこれを聞かせて念のため歌唱力を願わせる。あいつのiPhoneはApple Musicは入ってたし、そもそも全てのアプリに今ならアクセス出来る。あと問題なのは、バンドの構成だ。キーボードは美紀がいるからいいとして、これだけツインギターでソロを弾いてるのにリフの刻みが聞こえる。トリプルギターにする必要があるだろ?小十郎に弾かせるつもりか?」
「流石、政宗、耳がいいね。ギターのバッキングは小十郎じゃなくて、ベスのダーリンだよ、政宗。これで、伊達夫婦とテューダー朝夫婦の共演が出来るでしょう?最高の絆の証明だよ?元親が小十郎とベースを交代したら、全部伊達陣営で固められる。ベスのハモりは私がやる。これでも中学高校聖歌隊だったからね。どうかな?」

俺は驚いて目を瞠った。

「やっぱお前、最高に頭いいなっ!これ以上はねぇ、バンド構成だ。その手で行く。正直、今回の旅行だけではもったいねぇくらいのライブ構成だ。もっとやりてぇな」
「だったら、政宗、ヨーロッパのF1の後のお楽しみにこの構成でライブをやればいいんだよ。ヨーロッパの国々はみんなキリスト教だし。全部、サーキットのそばで路上ライブでいいんじゃない?」
「その手があったか!よし、その手で行こうぜ。もうロンドンは遅い時間だから、LINEをベスに入れておく」
「その方がいいね。ついでに付け加えると、ジプシー迫害を防ぐために、ブラインド・ガーディアンを第2部に差し込むといいと思うよ。あれはジプシーの伝承が元になった歌がほとんどだし、すごくドラマチック。後世でホビットや指輪物語が生まれる可能性高いよ」
「お前、ブラインド・ガーディアン、大好きだったもんな。再生回数がダントツだったから、俺もよく聞いてたし、あれを聴いて、アーサー王物語もホビットも指輪物語も読んだし、世界にどハマりした。ジプシー迫害防止になるなら、尚更やらなきゃならねぇな。あれもトリプルギターだし、男性陣で大合唱だな。4人いれば何とかなるか。ブラインド・ガーディアンは絶対にやりてぇな!」
「ふふっ、政宗そんな事までしてたんだね。政宗、本当に読むのが速いね」
「お前の趣味を知れば知るほどどハマりしたからな。超俺好みで更に惚れた。遙、この4部構成で決まりだ。後は楽器の選定だ。ちょっと待て、湯が沸騰している」

俺は、鉄瓶を火鉢から下ろし、コーヒーを淹れた。

「政宗はどのギターが持ちたいの?」
「ジェームズ・ヘッドフィールドのとがった形のギターだ」
「ESPのエクスプローラね。私は使いたいギターたくさんだから、気分によって持ち替えるけど、基本的に政宗と合わせてカークハメットモデルを使おうかな。ベースはビリーシーンモデルにしよう。トリプルギターの時はあれだけバッキングでヘヴィなリフを刻むから、見た目的にもデイブムスティンモデルがいいんじゃないかな。ドラムはブラインド・ガーディアンのドラムが汎用性があっていいな。ギターが夢の歴代メタリカギタリストの共演になるね!」
「それ、いいじゃねぇか!デイブムスティンは初代メタリカのギタリストだもんな!よし、楽器はそれで決まりだ。早く演奏したくてたまらねぇ。お前、他に案があるなら言え。言うなら今のうちだ」
「うん、話しながら、色んな案が出て来たよ。ちょっと頭の中を整理するから待っててね」

遙はタバコに火を点けて吸い始めた。
遠い目をして考え込んでいる。
俺もタバコに火を点けて、ゆっくりとふかした。
夢が膨らんで楽しくて仕方ない。
とりあえず、成実にアンベリアン・ドーンとブラインド・ガーディアンも超絶coolだから、聴いておけとLINEをした。
すぐに、陰陽座が超絶ヤバくてもうちょい聴いてたいという返事があって、他のもマジでオススメだから聴いてみろと返信をした。
だったら聞いてみるとの返信があって、俺は遙に視線を戻した。
遙はどうやら計算が終わったようだった。

「じゃあ、まずは、路上ライブでの演出についてね。演奏する曲の歌詞の現地語に訳した歌詞をバンドの頭上の巨大スクリーンに流す。ローマのオペラ座で取られている手法だよ。翻訳はシェイクスピアに書かせる。どうかな?」
「それ、いいじゃねぇか!音楽での洗脳だな?」
「ふふっ、そういう事。次にブランデンブルク辺境伯領でイングヴェイ・マルムスティーンのオーケストラとの共演のギターのライブを行う。オーケストラはベルリンフィルハーモニーだし指揮はカラヤンだから最高だね。イングヴェイはバッハとパガニーニの影響を強く受けているし、バッハを雇うのはブランデンブルク辺境伯。これで音楽の父、バッハが生まれて、クラシック音楽の歴史の流れが作れるよ?」
「お前、流石だな!それでバッハが生まれたら、確かに音楽の歴史の始まりになるな。イングヴェイに曲を変えてくれ」
「うん、いいよ」

クラシックの荘厳な音色にイングヴェイの華麗なギターが加わる気持ちのいい音楽だ。
確かにバッハによく似ている。

「これ、お前が一人で弾くのか?」
「政宗と交代で弾くのでいいよ?政宗も弾きたいでしょう?」
「お前、よく分かってるな。じゃあ、俺はその時はイングヴェイの衣装を着てなりきるか。その方がオーケストラに合う」
「ふふっ、きっとかっこいいよ?私はドレスを着て弾こうかな」
「Okay、いいぜ。他には?」
「確かヘンデルもブランデンブルク辺境伯領にいて、バッハと交流があったはず。だから、日本ではヘンデルの事を音楽の母って言うよ。欧米では言わないけど。イングヴェイでクラシックの大枠は片付きそうだね。音楽とは少しずれるけど、ヨーロッパのドレスの広がりを保つためにクジラの骨を使うの。そのためクジラの乱獲が起きて、絶滅するクジラもいる。食肉以外のクジラの乱獲の禁止をローマ法皇と政宗とベスの共同で確約させて?自分達がクジラを絶滅させたくせに、後世でクジラ漁の反対運動が起きて、太地の人々を迫害しに来るから。そうだな、新しいドレスのデザインを募って、政宗が選考して、ファションショーだ。もちろんメンズもね。パリコレクションやミラノコレクションを開いて、ランウェイをしよう。どうかな?」
「そんな事が起きるのか。だったら必ずファッションショーもやってやる、任せろ。F1ついでに各地でコレクションをやってやる。ヘンデルも生まれるなら安心だな。ハレルヤコーラスが生まれるな。他には?」
「ベートーベンの交響曲第3番エロイカやショパンの誕生、チャイコフスキーの交響曲の誕生は、シェイクスピアに戦記を書かせて世界的に流行らせよう。ベートーベンはナポレオンの活躍に感動して交響曲を書くはずだし、チャイコフスキーも同じ。ショパンもね。もっと言えばワーグナーもだし、ポルシェ博士もだ。ワーグナーの場合は、映画を作らせらるように仕組んで、BGMをワーグナーに依頼させればいいよ。発想はブラインド・ガーディアンが小説に触発されて音楽作りしてるのと同じね。ジュリアスシーザーを書いたシェイクスピアなら出来る」

俺はまた驚いて目を瞠った。

「それはすげぇ名案だぜっ!全ての戦争や革命の悲劇をシェイクスピアに書かせたら、必ずそれに合わせて音楽が生まれるな!やるな、お前!」
「それから、グリム童話は本当はすごく偏見に満ちていて残酷だから、愛と楽しみに溢れたディズニーを世界的に流行らせて、差別をなくそう。世界中の伝説がかなり網羅されているからいいと思うよ?アメリカが開拓された時点でアメリカ発信という事にしたら、ディズニーがアメリカ発だという歴史上事実と辻褄が合うね」
「なるほどな!確かにあのハッピーなノリだったら、みんな夢中になるぜっ!それも名案だな。他には?」
「他にも片付けたい事はあるけど、まだ考えがまとまらないから、ちょっと休憩。美紀を呼んでいい?」
「ああ、いいぜ。俺も休憩をする。鉄瓶の湯を沸かし直す」

遙は美紀にLINEを送り、俺は水差しから水を足して湯を沸かし始めた。
くノ一に水差しの交換を申し付けている間に美紀がやって来た。

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