「政宗、遙!私、部屋に呼ばれるの、ずっと待ってた!呼んでくれて、超嬉しいっ!政宗の部屋、すっごく趣味いいねっ。私、全部聞いたよ?ラクダのF1には死ぬほど大爆笑しちゃった。何せ遙にF1教えたのは私だからね!遙ほどは世界史詳しくはないけど、一応世界史も日本史もやってるよ。キリスト教の学校だったのも同じ。F1については私の方が詳しいから、競走馬の名前と騎手の名前を付けるのは私も手伝いたいな!解説と実況は私に任せて!佐助とノリノリでやるから!」
俺はまた笑わされた。
ラクダのF1!
あのオープニングテーマで実況解説付きだったら、俺はマジで呼吸困難になる。
でも、美紀の解説の腕前は武田道場で実証済みだ。
「Okay、分かった。お前にはF1の計画に参加させてやるし、実況解説も武田道場で実証済みだから、やらせてやる」
「やった!競馬の並び順を決めるための予選も開催するね?競走馬の並び順をサーキットの内側からフロントロー、セカンドローって名前付ければ、競馬なのにF1が再現出来ると思うんだ。競馬馬の数は歴代名パイロットから選抜で、何頭走らせるか決めてからゲートを設計したらそれっぽくなると思うな!サーキットの設計も私に任せて!多分、市街地じゃ狭くて危ないし、凝ったサーキットが作れないから。実際のF1を元に競馬馬が走れそうなサーキットを設計するよ。これでも理系だから。イギリスはエンクロージャー中で牧場が余ってるはずだから、全サーキットを作って試しに走らせたら安全性が確認出来る上に、騎手と馬の選抜も出来ると思うよ。それから騎手の名前を決めて競走馬の名前も付ければF1を再現出来る。どう?」
俺は美紀のアイディアに本当に驚いた。
遙のF1より更にもっと現実的だ。
「美紀、流石だね!そこまでは思いつかなかったな!ゲートの内側からって最高だ。選抜方法もいいね!」
「でしょ?でしょ?それだったらパドックも作れるでしょう?それでね、ゲートに競走馬を入れる所から、The SquareのTRUTHをかけてアゲアゲで行こう。私が頑張ってナレーションするから。予選の状況に合わせた解説を入れて煽って行くね!まずは入りは、F1グランプリーイン、モナコっ!って感じに入るのが鉄板だね!」
「美紀、モナコグランプリだけは止めろっ!遙にヘアピンカーブで死ぬほど笑わされた」
「えー?政宗、嬉しそうだったよ?美紀の意見に賛成!TRUTHに合わせて、解説が終わると共にゲートに待機する感じにして、音楽止めるのはどうかな?で、旗の合図でゲートが開いて一斉に走り出すの。F1と同じ旗ね。実況の馬の距離は競馬と同じ何馬身差で表現して、マシンの性能は馬の筋肉のつき方で表現する。競馬とF1の融合だね。どうかな?」
「いいね、いいね!よし、それで行こう!政宗、どう?」
「マジでF1で競馬だな。あははっ!面白そうでいいじゃねぇか。よしその手で行く。昨日の夜から、遙とエリザベスで打ち合わせしてたんだが、長曾我部もエリザベスと顔合わせしてな。お前を呼ぶまで遙とまた打ち合わせをしていた。長くなるが、お前は知っていた方がいいから、よく聞け」
「うん、分かった!超楽しみ!」
俺は昨晩3人で練った計画と、長曾我部が俺のマブダチで、エリザベスと話で盛り上がり、先程まで路上ライブの計画やらしていた事を美紀に全て話した。
美紀はゲラゲラ笑いながら聞いていた。
「あははっ!遙の本領発揮だね!遙って本当はすごく面白いからね。路上ライブもいいじゃん!それに元親が案外ロマンチストで笑えた。海賊だから、ロマチストかもね。世界が更にいい方向に変わるのは大歓迎だよ!私も政宗にお願いがあるな」
美紀はそこで真剣な顔になった。
俺は雰囲気に飲まれて頷いた。
「まずは、死刑制度の廃止。刑務所と刑務官を育成して、徹底的に犯罪者の反省をさせる。あの日本最悪の地下鉄サリン事件ですら、首謀者のほとんどが反省出来た。ひたすら更生させて、反省文を書かせる。ジャッジは遺族に任せたらいいと思うよ。義経の腰越状みたいに心が打たれるかも知れない。でも、やっぱり死んで欲しいくらいに憎いと思うし、人間の本質なんてそうそう変わらない。宝石の鉱山とか地下資源の採掘の労働に使えば効率がいいよ。死ぬまで働かせて反省させ続ければいい。それが遺族に対する最大の報いだよ。遺族だって死ぬまで重労働で働かせられて、それが政宗の財源になってるって思ったらせいせいするよ、きっと。でも、反省出来ないくらいの重労働はダメ。せいぜい10時間か12時間までで、休憩と食事を与えつつだよ。反省文で冤罪も多分発覚して真犯人を捜査し直せる。政宗、遙、どう思う?」
「美紀、流石だね!それ以上の策は思いつかないな。私も温い死に方なんて許せないし、出来れば更生して欲しい。その上で二度と会いたくない。死刑に値する人間なんて社会に出て欲しくない。再犯が怖いし、犯罪者差別で間違いなくその犯罪者は不幸になるし、再犯の引き金になる。鉱山で働かせるのもいいね。居場所を作るのが大事だ。優秀な刑務官と精神科医が必要だ」
「そうか。お前ぇらがそう言うなら間違いねぇな。俺はどこか感覚が麻痺してるから、美紀の意見に賛成だ。それなら平和的だし得になるな。死刑制度を撤廃させる方向でエリザベスと動く」
「よし、それから、尋問の際の拷問の撤廃。痛みから人間は嘘を吐く。冤罪の温床だよ。魔女狩りと一緒。使うなら嘘発法だな」
「分かった。拷問も撤廃する。魔女狩りの悲劇は御免だ」
「流石、政宗!あとは医療制度改革をして欲しいな。高度医療機関が忙しいのは当たり前だから、労働基準法に違反しても仕方ない。医者の数を増やして質が下がる方が怖いから、厳しい医師国家試験と厳しい大学入試は維持したままでいい。ただし、それなりの報酬を約束して欲しいな。あの重労働で年収1千万なんて全然足りないよ。開業医なんて流行れば楽で定時で上がれるのに年収1億は行くからね。開業医の医療点数は変えて報酬を低くして欲しい。命を預かる手術とかしないのに、それは不公平だよ。でも、1千万は保証して。一応医者だから。早期発見は開業医の手にかかってるからね。あまりにも酷い治療をする医者は医師免許剥奪ね」
「美紀、それには私も賛成。高度医療機関の医者は報われなさ過ぎる」
「分かった、それも考慮する」
「遙と私でモデルケースを作るから安心して。ナースの扱いも同じだな。もう少し給料上げて、700万くらいを保証して。それならやり甲斐がある。それからここからが大事なんだけど、介護士をたくさん育成して、給料をナースと同じくらい保証して」
「介護士?」
「うん。ナースは医師の補助の中間管理職みたいなもんだよ。本当に患者さんに親身になって下のお世話をしたり、身体を拭いたり、料理したり、お掃除したり、人が人らしくあるために働くのは最後は介護士だよ。だから、介護士の数は必要だし、在宅介護から施設での介護までスタッフが必要。私がいた世界での介護士の給料なんてほとんどボランティアみたいなもんだよ。それなのに、にこにこしながら下の世話とかするんだよ?考えられる?きちんと生活の保証をしなきゃ!これが本当のゆりかごから墓場までだよ。財源は官営のアミューズメントパークから捻出すればいい。国民も嫌がらない徴税方法だよ」
「なるほどな。介護士は絶対に必要だな。分かった、すぐにエリザベスと相談する。他には?」
「トリアージの徹底。トリアージとは病の重症度を分類する方法の事。医療機関を低度、中度、高度に分けて診療と治療。本当に重症な患者だけ高度医療機関が受け入れる。そうしたら高度医療機関はそんなに忙しくならない。でも、みんな質のいい医療機関を求めるから、搬送の救急車、籠とか担架には高い税金をかける。重症度に応じて後で返金したらいいよ。トリアージの見分け方は全医療機関で共有」
「分かった、いいアイディアだ。採用だ。他には?」
「周産期医療の地域での高度医療機関での受け入れを24時間徹底。産気づいた妊婦が合併症を起こしていたら、高度医療機関に迅速に搬送しないと命に関わる。助産師、産婆の教育を徹底して、合併症か見分けさせて、必要に応じて救急車を手配して即搬送。新生児の重病に備えて、高度医療機関、もしくはそれに次ぐ医療機関には小児医療センターを併設して新生児の治療に当たる。それで、妊婦の命も赤ちゃんの命も助けられる。それから、産婆の一処置一手洗いを石鹸で徹底。それで大抵の出産では妊婦は死なない。赤ちゃんを取り上げる時の手の汚染のせいで妊婦の死亡率が高い」
「分かった、すぐに言付ける。俺も世継ぎが欲しいから人ごとじゃねぇ。他には?」
「歴史上では長曾我部元親は嫡男を幼くして亡くして乱心するから、全ての予防接種の完了、及び常に医師団を長曾我部の所に控えさせて。政宗と天下を守ってるから元親の力は欠かせない」
「何だと!?分かった。すぐに言付ける。あいつの出陣前に黒脛組を派遣する」
「良かった。それから、上杉主従と前田夫妻にも全ての予防接種と、熱帯性マラリアの治療薬を大量に持たせて。それから、輸血用の血液だな。血液は長持ちしないから、現地で献血を募る必要があるな」
「マラリア?遙が研究したかった病だな。治療薬があるなら安心した。でも、何で輸血なんだ?」
「アフリカ人はマラリアの耐性を付けるために、ごく僅かの人数だけど、赤血球が鎌形に変形している。赤血球って白玉団子と同じ形をしていて肺から取り入れた酸素をもらってエネルギーにするの。でも、鎌形赤血球はその名の通り鎌形に変形してるから十分に酸素を供給出来なくて貧血になってしまう。だから、輸血が必要」
「分かった。医師団を同行させる。他には?」
「熱帯性マラリアの治療薬は完璧じゃない。効かない場合もある。でも、薬は乱用しないで。薬剤耐性マラリアが出来てしまう。医師団に血液を観察させて問診したら1日でマラリアの診断が出来る。こんな事は言わなくても黒脛組なら分かりそうだけどね。この時代なら効く可能性の方か高いけど、蚊が媒介する病気はマラリアだけじゃない。アフリカ睡眠病っていう寄生虫による致死率の高い感染症もある。予防薬も治療薬もない。だから、肌を露出しない強固な防護の服装で臨んで、虫除けスプレーの徹底。蚊取り線香と虫コナーズをバンバン炊いて。顔が出るのは仕方ないかな。あとは各種出血熱に対する防護か。高い発熱で出血している患者には悪いけど近付かない方がいい。予防方法も治療方法もないから。自然淘汰されるのを待った方がいい。あれは致死率が天然痘に並ぶかそれ以上。必ず3m以上距離を置いて。遙、どう思う?」
「美紀の指示は全部完璧だよ。私も政宗に言おうと思ってた。政宗、新大陸発祥の病気対策も黒脛組に練らせて医師団を形成させて?多分、梅毒が大問題になる」
「そうか。天然痘より致死率が高いのは危ねぇな。アフリカと新大陸の感染症対策を黒脛組に練らせて、必要な数の医師団と装備を用意させる。それで、いいか?他に何かあるか?」
「政宗、それで完璧だよ。私もやっと安心した。後は、楽しい話だけしたいな!」
美紀は厳しい表情から、やっとホッとしたようにうきうきと笑い出した。
「美紀、ちょっと待ってくれ。長曾我部の嫡男が心配だから、すぐに医療制度だけ忍に言付ける」
俺は小十郎にLINE通話をかけた。
小十郎はすぐに応答した。
居場所を確かめると、登勢のいる部屋にいるのが分かったので、控えの忍に通話を交代させ、東大病院の黒脛組の頭領にiPhoneを持って行って言付けさせるように命じた。
iPhoneは焔のボストンバッグから出て来た。
これでお膳立ては完璧だ。
「よし、美紀、楽しい話しようぜ?今度は何を企んでるんだ?」
「えへへ。世界を熱狂させてるファッションショーだよ?パリコレなんて比べ物にならないやつ。ランウェイの話聞いたから思いついちゃった。遙なら分かる?」
「パリコレよりすごいって事は、ランウェイが全員スーパーモデルか。となると、ヴィクトリアシークレットしかないけど。…美紀、まさかあれやるの!?斬新過ぎるし刺激的過ぎるよ!?」
「斬新だから、政宗なら気に入りそうでしょ?あれは女の子でも熱狂するからいいじゃない!刺激的でも綺麗なもんは綺麗!!」
「何だ?そのヴィクトリアシークレットって?」
「うん、政宗に見せてあげるね」
美紀は自分のiPhoneでYouTubeでヴィクトリアシークレットを再生した。
まずは美しいモデル達のインタビューから始まり、ショーが歌から始まった。
そして、歌に合わせて下着を豪奢にデコレーションしたモデルが出て来て長いランウェイを歩き出す。
下着もすげぇ豪華でエレガントだ。
身体のラインが丸見えでとても綺麗だ。
かっこいいモデルウォークで、エロさを微塵も感じさせない。
むしろ、エレガントでとてつもなく美しい。
ランウェイの終点でのかっこいいポージングのあと、唇だけのセクシーな投げキッスの直後の最っ高の笑顔にすげぇ胸キュンで思わず言葉が漏れた。
「やっべぇ、これ、超胸キュンだな。可愛いし、綺麗でエレガントだ」
「やっぱ政宗なら気に入ると思った!ヴィクトリアシークレットは女の子の憧れだもんね!これで私の時代の下着が流行る!」
「ちょっと、美紀、政宗をときめかせないでよっ!妬けるでしょう?」
「遙、お前には江戸城の廊下を人払いして、俺とお前と美紀だけのヴィクトリアシークレットをやるから大丈夫だ。お前ほど俺をときめかせる女なんていねぇからな。松の廊下なんてどうだ?」
「もう、政宗も私を怒らせないように女の子を褒めるのが上手いよね」
「お互い様だ。これはノリがいいし、女も夢中になるな。絶対にやりてぇな。ヴィクトリアは名前が悪いな。ヴィクトリア女王を彷彿とさせる。エリザベスは語呂が悪ぃから、そうだな…。シェイクスピアズシークレットだな!」
遙はとても嬉しそうな笑顔になった。
「わぁ、流石、政宗!ここでシェイクスピアを持って来るとは思わなかったよ!私の考えた、シェイクスピアの絆条約と結びつくね!」
「流石、政宗!ノリノリで嬉しいな!ヨーロッパ全土のデザイナーを総動員だよ?」
「ああ、分かってる。各国の王に自慢のデザイナーとモデルを用意させたら楽そうだな。コンペだ!」
「政宗、マジで!?それ、めっちゃいいアイディアだよっ!ヴィクトリアシークレットは、色んな人種が出るから、ゲルマン民族全員出場はどうかな?」
「美紀、いいアイディアだ。ルーマニア王国からは古代ローマの血筋を引く人種が呼び寄せられるか。遙、お前、ギリシャのイドラ島は行った事あるか?」
「あるけど、人種か。ミックスだったかな。生粋のギリシャ人ではないよ。確かもう移住も始まってて綺麗な街並みが出来てるけど、オスマン・トルコの支配下じゃないかな。でも、リゾート地だから、挨拶に行けば泊めてもらえるかも。すごくみんな親切だったよ?」
「イドラ島は行ってみてぇな。後でベスに相談する。これならロシアまで巻き込めそうだな。ササン朝のアラビアンナイトは過激だから、子孫のサファヴィー朝ペルシャのシーア派のイスラム教徒まで巻き込めそうだ。アーリア人も顔立ちが深いからな、絶対に似合いそうだ。美女だからな。シーア派の懐柔に使えるな。そうしたら、オスマン・トルコも対抗して乗って来るか。アラブ人もトルコ人も参加だ。これで芋づる式にインドから東南アジアのイスラム教の美女達が集結だな。インド人も美女だから絵になるな。あとは、仏教のカンボジアとタイか。大乗仏教だから、東大寺の坊主を遣いにでもやらせるか。タイ人の笑顔も世界最高だからな!タイ人も美女揃いだ。ついでにハワイ人も参加だな。フラダンスの笑顔が最高だった。投げキッスの後の最高の笑顔が楽しみだ!こうなったら、負けず嫌いの明も乗って来て、芋づる式に朝鮮人も参加か。東アジア同盟が結べるな。最強だ。黒人はエチオピア王国から出場だ。あそこはキリスト教国で、ネグロイドとコーカソイドの混血の特色を持っているから、両者のいいとこ取りで絶対に美女だ!独立国だから、挨拶に行けば参加してもらえそうだぜっ!他にもアフリカには巨大王国がいくつもあるから、ノリノリな黒人美女達が期待出来るぜっ!F1よりも効果的かも知れねぇな。男も女も超胸キュンだっ!美紀、最高だっ!」
遙は呆れたように溜息を吐いた。
「政宗、いつになく真剣だね?既に世界を掌握してるよ?よくそこまで世界史覚えてるね?感心するよ」
「遙、俺はいつでも真剣だ。美紀、どう思う?」
「政宗、よくヴィクトリアシークレットのコンセプトが分かってるね!この時代の衣装は芸術だから、楽しみだな!ペルシャのシャーが本気を出したモデルが楽しみだな!絶対凄そう!これでほぼ全人種を制覇だ。後は南アメリカのラテン系美女が足りないかな。インディアンとアボリジニもアイヌも琉球人もだ」
「ああ、そうだな。南アメリカを落とすのも時間の問題だ。他の人種も同じだな。今のペルシャはサファヴィー朝だ。支配してるのはアッバース1世で、確かベスと和睦を結んでたな。かなり仲良しだったはずだ。あいつがサファヴィー朝の全盛期のシャーだからな!すげぇ、楽しみになって来た!日本からは俺が作った料亭からの選りすぐりのナイスバディな美女で出場させるか。西陣織とか使ったら綺麗だろうな。絶対に他国には負けないぜっ!」
「やっぱり政宗がいつになく真剣だ。よく世界情勢そこまで把握してるね」
「全部伊達がデザインを回収して、片っ端からお前に着せるつもりだから、俺は超真剣だ!」
「はぁ、もう好きにして。怒る気も失せた。F1より夢中だ。いまだかつてなく生き生きしてる」
「それでね、政宗。ヴィクトリアシークレットは、女の子の祭典だから、ラストは女の子を熱狂させる女子向けライブを開いて、男子も胸キュンさせようかな?」
「やるじゃねぇか、美紀!その案、俺は乗った!どんなライブだ?」
「女の子を熱狂させた、スパイスガールズとブリトニースピアーズの合わせ技がいいな。遙、一緒にスパイスガールズのWannabe歌うよ?」
「Wannabeか。いいよ?」
「是非聞かせてくれ」
美紀はApple Musicを立ち上げてWannabeを再生した。
イントロからいきなりノリノリで女の歌声が掛け合いをするように歌う。
ラップに似てるが、また違う。
私の恋人になるなら、私の友達と仲良くしてね。
恋人関係を長続きさせるためなら、友情は永遠だからね、か。
めっちゃ可愛いのにセクシーだ。
可愛いとセクシーは世界最強のジャスティスだと歌ってるようなもんだ。
よほど歌い慣れてるのか遙と美紀の息がぴったりだ。
俺は思わず笑いながら遙の頭をよしよしと撫でた。
可愛くてたまらない。
正にヴィクトリアシークレットにぴったりだ。
確かに女子向けで男も胸キュンだ。
こんな歌、歌われたら、男は陥落するに決まってる。
最後まで歌い終わって、俺は口笛を吹いた。
遙と美紀は笑っている。
「遙と美紀、最高だぜっ!これ、人数がいるな。そうだな、エリザベスと登勢と長曾我部の嫁と歌え。それならぴったりだ。歌詞もヴィクトリアシークレットに相応しい」
「政宗、よくスパイスガールズの人数分かったね!確かに5人だよ」
「流石、政宗!その案、私も乗った!次はブリトニースピアーズのOops, I did again!だよ?」
「やだ、美紀。あれ、男タラシの歌じゃない!」
「男タラシならお前にぴったりじゃねぇか、遙。お前は天然男タラシだからな!すぐに歌え!」
「もう、そういう言い方しないでよ!」
「甲斐で真田幸村と猿飛佐助の心を奪ったくせによく言うぜ。いいから、歌え」
「分かったよ!」
美紀は笑いながら曲をかけ始めた。
遙らしくなく、男心を手玉に取る歌だが、ヴィクトリアシークレットにはぴったりだ。
俺は似合わなくて笑ってしまった。
遙も美紀も純情だからだ。
やがて歌い終わって俺は爆笑をした。
「似合わねぇ!お前ぇら純情なくせに!」
「えー、でも、ヴィクトリアシークレットにはぴったりでしょ?」
「まあな」
「この後、マドンナのVogueとシンディーローパーのHey Nowで締めたら女子向けライブの完成だね!」
「Vogueは知ってる。あれもヴィクトリアシークレットに似合うな。人種を超えたファッションショーの歌だからな。Hey Nowを聞かせろ」
「政宗、流石、ノリ良いね!」
「ふふっ、美紀、良かったね!合わせてあげるからHey Now歌いなよ」
「うん!」
美紀はすぐに曲を検索してかけ始めた。
ラテンのノリの曲だ。
歌が始まって、歌詞を聞き取って行く。
女子はただ、遊びたいだけっていう内容の歌で、サビもみんなで合唱出来る、ラストに相応しい曲だ。
女子の遊び心満載のヴィクトリアシークレットに相応しい。
美紀がよくシンディーローパーの特徴を掴んでいて、上手い。
こいつに歌わせるべきだ。
絶対に盛り上がる。
最後まで聞き終わって、俺は美紀とハイタッチをした。
「よし、これも採用だ。この4曲で行け。ヴィクトリアシークレットは必ずやってやる。後でベスと相談する」
「やった!政宗、これからの予定は?」
「大名達とFaceTimeだ。お前も聞きたいだろ?その間に小十郎の手配が終わるかも知れねぇしな。ところで遙、お前、何で美紀を呼んだんだ?」
「ん?煮詰まったから、美紀なら何かいいアイディアあるかなって思っただけだよ?歌ってるうちにアイディアは出たけど」
「じゃあ、今のうちにアイディアを聞かせろ」
「うん。We are the worldに対抗出来る、世界平和の歌を考えてたら思い付いた。Starsって言うんだ。Dioとイングヴェイが主導した、世界中のメタルとハードロックのヴォーカリスト達とギタリスト達が共演した夢の曲だよ。ジューダスプリーストも歌ってる。耳の不自由な人へのチャリティーの曲なの」
「いいコンセプトじゃねぇか!是非聞かせろ!」
「うん!」
遙は自分のiPhoneでYouTubeを検索してStarsをかけた。
ヴォーカリスト達が次々と交代しながら歌うハードロックだ。
まるでWe are the worldのハードロックバージョンだ。
しかも、有名バンドばかりの共演だ。
これはやべぇ!
「遙、これやべぇな!野郎共も駆り出して大合唱したいぜ」
「でしょう?ギターソロもすごく長いよ?」
「俺、いい事、思いついたぜ?俺達のF1の後の路上ライブのラストはStarsで締めて、ヴィクトリアシークレットのラストはWe are the worldで締める。最高に盛り上がって、世界平和が願えるだろ?」
美紀が最高潮にノリノリになった。
「わぁ、政宗、流石っ!私もWe are the world歌いたいっ!」
遙も興奮してノリノリだ。
「わぁ、政宗、流石だね!それ、すごくいいと思うよ?Starsが演奏出来るなんて夢みたい!」
「クッ、それがお前の夢なら叶えてやる。マジでいい曲だぜ」
俺は食い入るようにStarsの動画を最後まで見た。
ギターソロの掛け合いは遙と二人で何とかなりそうだ。
これは絶対にライブのラストにやった方がいい。
「ねぇ、政宗。政宗と遙と一緒にせっかくなら今、We are the world歌いたいっ!」
「仕方ねぇな。俺もノリノリだから歌ってやる。遙、いいか?」
「うん!政宗と歌うの、嬉しい!」
「よし、じゃあ、曲を流せ」
「やった!」
美紀は素早くYouTubeで検索すると、We are the worldをかけ始めた。
美紀が歌い出して、遙が合わせるように追いかけて歌うので、それに合わせて次のパートを俺が歌った。
メロディは単純だから覚えていたし、歌詞が表示されているから楽勝だ。
そうして、順番に歌いながら、ラストのサビをみんなで歌うと更にノリノリになった。
これはいい気分になりそうだ!
ちょっとブラックミュージックよりのPOPなヴィクトリアシークレットの締めに相応しい!
最後まで歌い終わると、3人で溜息を吐いた。
そして、同時に呟いた。
「最高に気持ち良かった…」
俺は満足して、切り出した。
「じゃあ、俺と遙はiPadで大名達とFaceTimeするから、美紀は後ろから見てろ」
「うん!」
遙は隣の部屋からiPadを持って来て、椅子を俺に寄せると、美紀は俺達の後ろに回って画面を覗き込んだ。
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