大名達とFaceTime

俺はまず、どの順番でFaceTimeをかけるか頭の中で整理をした。
まず、早急に捕まえなくてはいけないのは武田信玄で、次に浅井長政だ。
武田信玄は江戸に向かうし、浅井長政は名古屋に向かう。
前田と上杉はフロンティアの開拓がある程度進んでからしか動けねぇ。

「よし、まずは信玄からだ。遙の身分は信玄の実子だし、信玄を急がせたから、捕まらない可能性もある。早急に連絡しなければならねぇのは信玄だ。遙、かけてもいいか?」
「うん、いいよ?」
「わぁ!私もお館様と話したいな!」
「美紀、お前も後ろから覗き込め。信玄も喜ぶはずだ」
「うん!」

俺は、すぐに信玄にFaceTimeをかけた。
呼び出し音が20秒ほど流れて、信玄は応答した。
信玄は満面の笑みだった。

「政宗公、連絡をお待ちしておった、かたじけない。此度の夢の中で、政宗公が、世界の平和のために覇権を握ると聞き及び、遙を我が娘として武田の正当な血筋を与えて、誠に良き事をしたと思い、この信玄、感激の極みじゃ。しかも、政宗公の江戸城の留守をお任せ下さるとの由、この信玄を信頼して下さり感無量である。礼を言う。世界の民の平和のためならば、この信玄は何でも致そう。政宗公は心置きなく江戸を離れてもこの信玄が必ずや江戸を守り抜く。片倉殿にも伝えたが、幸村を既に凧を使って、伊賀と甲賀に霧隠才蔵とその右腕をそれぞれ派遣致した。凧を使えば今日中にも幸村は甲斐に帰還するであろう。幸村が持つiPhoneでこの信玄がFaceTimeで直接長達を甲斐に来るよう説得し、今宵は甲斐のわしの屋敷にて伊賀と甲賀の長達の歓待の宴じゃ。伊賀と甲賀の忍の長を伴い、明日には江戸入りする予定じゃ。この信玄も親衛隊の騎馬隊であれば、遅くとも明日の夕方には江戸入り出来る予定じゃ。少しでも早く出陣したいであろうが、遅くなりかたじけない。政宗公と伊達領の守りの布陣を敷いた後、長達の説得に当たる」
「いや、そういう首尾になってるなら明日に江戸入りでも全然構わねぇ。どうせ今日は忙しいからな。流石は甲斐の虎だぜ。動きが早くて的確だな。これで心置きなく江戸を離れられる。感謝してるぜ?」
「政宗公と遙にした事を思えば、この程度では詫びても詫びきれぬ。他にもこの信玄に出来る事があれば、何なりとお申し付け下され」
「恩に着るぜ!」
「父上、ありがとうございます!」
「うむ!遙も政宗公の城でそこまで元気になって嬉しい限りじゃ!お主、そのような幸せそうな顔をするおなごであったのだな。政宗公が惚れ抜くのも仕方のない事じゃ。誠、美しく聡明で可愛らしいおなごじゃ。政宗公が7年も忘れられないのもよう分かる」
「ああ、遙は本当に綺麗で可愛いからな!マジで信玄には感謝してるぜ!」
「礼には及ばぬ。わしは、美紀にも感謝しておる。お主は遙の命の恩人である。美紀の元気な顔も見られて嬉しい限りじゃ。佐助とは上手くやっておるか?」
「はい、お館様!政宗の許しを得て、外国のイタリアという国で婚儀を挙げる事になりました!佐助は、今、政宗の遣いでイギリスのエリザベス女王の所にいます」
「そうか!そうであったか!それは誠にめでたい事じゃ!エリザベス女王の事も夢の中で聞いた。佐助の忍術が政宗公のお役に立って誠に嬉しい限りじゃ。政宗公の文をイギリスまで佐助が凧で届けたのであろう?」
「ああ、そうだ、信玄。猿飛と紫苑には俺の文とiPhoneをエリザベス女王に届けてもらった。それが全ての始まりだから、猿飛には感謝してるぜ?正直、婚儀のお膳立てだけじゃ足りねぇくらいだ。だから、遙が考えた案でもあるんだが、イタリアにいるローマ法皇という、キリスト教の世界最高権力者の下でキリスト教式の婚儀を挙げる事になった。俺と遙もいち早くそこで婚儀を挙げる。猿飛と美紀に俺がお膳立て出来る最高の婚儀の舞台はこれだけだからな」
「それは誠か!?流石は政宗公じゃ!まさか、世界最高権力者のローマ法皇の下で婚儀を挙げられるとは!!佐助も喜ぶであろう!あやつは外国に憧れておったからのう!美紀も佐助と幸せになるが良い!」
「お館様、ありがとうございます!」
「猿飛の好きなロミオとジュリエットの舞台にも行くぜ?あいつには望む事、何でもしてやりてぇからな!」
「誠、佐助がそのように大切にされて、政宗公にお仕えするよう手配した甲斐があるものじゃ。主が幸村の時よりも大切にされておる。佐助もますます政宗公をお慕いし、より一層忠義を尽くすであろう。八王子と吉原についても佐助の忍隊と黒脛組が治療に当たると聞き及んだ。忍隊のみなも喜ぶであろう。此度の手配にはわしも本当に驚き、また感無量である。政宗公には礼の言葉もない。政宗公の婚儀に参加出来ぬ事だけが心残りじゃ」
「それについては心配すんな!流石に日本国内でも婚儀を挙げねぇ訳にはいかねぇからな。江戸の青山に婚儀用の教会を建てさせた。そこでキリスト教式を挙げる。教会には祭壇に向かって長い通路がある。それを婚儀の時はバージンロードって呼ぶんだが、花嫁が入場する時は、祭壇に向かって父上と一緒に祭壇で待つ花婿の所に、一歩ずつゆっくり歩いて行くんだ。遙の父上は当然信玄だな。信玄には折を見てそこで遙と歩き方の練習をしてもらうぜ。だから、信玄も俺達の婚儀には参加出来るから安心しろ。花嫁と一緒の主役だ!エリザベス女王も伊達家の重臣達も全国の大名達もみんな参加する盛大な式だ。重臣達と大名達はその正室も参加だ」
「何と!?そのような盛大な婚儀があるのであるか!!流石は天下一の伊達男じゃ!そのような晴れの舞台にこの信玄が政宗公と遙に次ぐ主役になれるなど、感謝しても仕切れぬ。幸村は呼ばぬ方が良いであろうか。遙の事が心配じゃ」
「遙、どうする?」
「うーん、幸村も姫様も呼んであげて?もし仮に幸村が怖くなったり、憎くなったら、また小十郎と美紀に拳と蹴りを入れてもらったらすっきりするし、父上も妹姫と一緒に攻撃してくれるから大丈夫!政宗がきっと抱き締めててくれるし」

俺と信玄と美紀は大爆笑してしまった。

「わははははっ!遙よ、お主は誠に天晴れなおなごじゃ!お主のためならいくらでも、幸村をお主の目の前で殴ろうぞ。美紀もわしと共に参加するが良い!幸村は殴られるのに慣れておるからのう!いくら殴っても大丈夫じゃ!骨も折れたりしないほどあやつは頑丈じゃ」
「わぁ、お館様、流石!私も全然殴り足りないから、是非またよろしくお願いします!今度はお館様と一緒に全力で殴りたいです!プロレス技も一緒にやりたいです!」

今度は遙も俺と爆笑した。

「あははっ!美紀、最高!是非お願いしちゃおうっかな!絶対に幸村が怖くならないから」
「美紀も遙も信玄も最高に傑作だぜっ!あははっ!俺より小十郎の方が拳と蹴りは強ぇからな。俺は小十郎に殴らせればそれで満足だ。何なら成実も参加させる。また婚儀の時によろしく頼むぜ!それなら俺も遙の事が安心だ。遙の事は俺が抱き締めててやるしな」
「よし!ならば姫と共に幸村にはまたわしの鉄拳を食らわせるゆえ、ご安心召されよ」
「ねぇ、政宗。どうせなら元親にも婚儀前に事情を話して殴らせておいて?あれだけ政宗命だったら、披露宴の後、全軍で武田を攻めかねないから」
「それもそうだな。あいつならやりかねねぇから、先に話して気の済むまで蹴りを入れさせるか。あいつは足技が得意だから、美紀とのタッグの回し蹴りの方がきっといいぜ?美紀も長曾我部と回し蹴りしてぇだろ?お前の回し蹴りは最高にcoolだったからな!」
「ええっ!?元親と回し蹴りが出来るの!?やるやる!超やりたい!歯だけは折らないように伝えなきゃ!まあ、万が一の時は東大病院があるから大丈夫だけど。口腔外科があるから。でも出来るなら一生自分の歯の方が幸せだから、しっかり伝えておくよ」
「頼むぜ!楽しみにしてるぜ!待ちきれないぜっ!じゃあ、他の大名にも連絡しねぇとならねぇから、名残惜しいがこの辺でFaceTimeを切るぜ。また明日、江戸で話そうぜ!」
「うむ!よろしく頼む、政宗公!長曾我部公への根回しも助かる。これで武田が守られる。また遙に甲斐は救われた。礼を申す」
「とんでもないです、父上!父上の鉄拳楽しみにしていますね!」
「遙よ、期待しておるがよい!」
「信玄、長曾我部への根回しは任せておけ!じゃあな!」

俺はFaceTimeを切った。

「遙、お前、傑作だな!あれなら俺も安心して真田幸村を婚儀に呼べるぜ。むしろ呼びてぇ!」
「政宗、私もまた幸村を殴れるの超楽しみ!元親との回り蹴りも楽しみ!」
「あははっ!美紀楽しそうだね!政宗、次は誰にFaceTimeするの?」
「浅井長政が妥当だな。長曾我部の守りが浅井長政担当だからな。よし、すぐにかけるか。いいか?」
「うん!」
「多分、市と嫡男の顔も見れるぜ?あのツンツンだった浅井長政がデレデレだから、覚悟しろよ?」
「政宗、マジで!?超楽しみ!色々からかっちゃおうっと!」
「ふふっ、美紀、楽しそうだね。私もデレデレな長政楽しみだな!」
「よし、かけるぞ」

俺は浅井長政にFaceTimeをかけた。
20秒ほどで、浅井長政はFaceTimeに出た。
FaceTimeが繋がった瞬間、浅井長政は驚いて絶句した後、囁いた。

「正義が起こした奇跡か…。まさか、政宗様の顔を見ながらこのように話せるとは…」

遙と美紀は必死で笑いを堪えてくすくすと笑っている。

「Hey、浅井長政。俺に連絡して欲しかったのはお前だろ?お前はどれだけ俺の未来について把握している?」
「ああ。政宗様が、この日本だけでなく、大陸を二つ制覇して行くと。未来の異世界で出会った女と子を成して、末代まで3つの国を治めると。それも、あのイギリス女王と共同だと聞いた。長曾我部も政宗様に協力するため、私の援護が長曾我部の領土に必要だと。全ては世界を正義に導くためで、私は選ばれた正義のヒーローなのだと言われた。私は正義のためなら何でもする。何でも言ってくれ」

俺は正義のヒーローという言葉に笑いそうになって何とか堪えた。
美紀はほとんど吹き出している。

「ああ、そうだ。俺はこの世界の正義のために世界に進出する事になってな、マブダチの長曾我部の力がどうしても必要だから、日本で一番の正義のヒーローのお前に依頼する事になった。期待してるぜ、浅井長政?」
「政宗様にそこまで言われると嬉しいものだな」
「よし、じゃあ、まず俺の女を紹介するぜ。こいつが遙だ」
「長政、初めまして。政宗の許嫁で未来の世界から来たの。よろしくね?」
「何と美しい。市と同じくらい美しいな」
「長政様、市、嬉しい…」
「ああ、市。お前は私に美しい嫡男を生んでくれたからな。お前の美しい顔を政宗様の許嫁に見せてやれ。私達の嫡男もだ」
「はい、長政様…」

市は昔はあんなに悲壮で暗かったのににこにこと微笑んでいる。
浅井長政もデレデレで笑える。

「わあ!お市、すごく美人で可愛いね!やっぱりあの信長の妹だね!赤ちゃんも美形さん!」
「遙、マジでお市が明るいし、超美人で可愛いね!赤ちゃんもなかなか見ない美形さんだ!」
「市、とても、嬉しい…」
「市、良かったな!政宗様の許嫁はとても正義感に溢れたいいおなごだなっ!後ろのおなごも。…側室か?」
「冗談じゃねぇな。俺の女は遙だけだ。こいつは遙の親友で美紀だ。俺に仕えてる猿飛佐助の許嫁だ」
「あの猿飛佐助を支配下に置いたのか!?流石は政宗様だ!」
「まあ、猿飛佐助を掌握したのは遙だけどな。だから、俺に仕えてる」
「遙様がっ!?誠に得難いおなごだな。驚いた」
「ねぇねぇ、政宗。長政に質問してもいい?すっごく聞きたい事があるっ!」
「ああ、美紀。何でも聞いていいぜ?俺も興味がある。いいだろ、浅井長政?」
「ああ、構わない」
「あのね、あのね!私、五本槍が見たいっ!正義の戦隊ショーを出陣の時に見せて欲しいなっ!五本槍を正義の味方のスーパーヒーローの長政が率いて、悪と戦う戦隊ショーが晴れの出陣の時に見たいっ!戦国最強砲と、最後の爆撃っ!ってのが、超見たいっ!港で食料を調達する時にでも見せてよっ!とうっ!って」

俺と遙は声も出せずに、肩を震わせながら笑った。
五本槍は傑作だった。
秀吉の七本槍をもじって、戦隊モノにしたのが戦の時に笑えた。
遙の世界で偶然日曜の朝に見た番組を思い出したら余計に笑えて、刀を持つ手が震えて、とりあえず、野郎共に攻撃させて、最後の自爆で小十郎と大爆笑して見ていた。
あの後、五本槍が撤収して行ったのがまた笑えた。

「美紀がそこまで私の正義の戦隊ヒーローショーが好きなら喜んで見せるが、政宗様、出陣とは?食料調達とは?」
「ああ、説明してやる」

俺は、ロンドンでエリザベスと合流して、ヴェルサイユ宮殿に出陣し、ローマで会合を調停した後、太平洋を掌握しながら周遊する話をした。
浅井長政は感心しきったように俺を見つめた。

「そのような晴れの舞台ならば、港で是非正義の戦隊ショーを披露しよう。私も全力で留守の長曾我部軍の指揮を執る。正義の名の下に」
「ああ、浅井長政。これは、世界平和をかけた、究極の世界一の正義をかけた戦いだからな。目一杯張り切れ!」
「ああ、もちろんだ。私を頼ってくれてとても嬉しい。まさか、究極の世界一の正義を支えられるとは光栄でしかない。政宗様、感謝する」
「長政様、世界一、かっこいい…」
「どんどん、私に惚れ直せ、市。次は姫を頼む。市によく似たとても綺麗な姫だ。姉上もきっと喜ぶ」
「長政様、市、頑張る…」

すっかり前田夫婦並みに夫婦仲が良くなった浅井長政が微笑ましい。
俺も嫡男にベタ甘になりそうで恐ろしい。
隣の遙と後ろの美紀がくすくすと笑っている。
美紀が、俺の耳元で囁いた。

「長政がデレデレで超面白いんだけど!しかも五本槍の戦隊ショーだよ?私、本物見たら笑い死にそう!」

たまらなくツボを刺激されて俺も笑ってしまった。

「よし、浅井長政。お前は長曾我部と連携をして、西の海を守れ。お前の五本槍、期待してるからな!じゃあな!」
「ああ、任せておけ、政宗様。では!」

俺はFaceTimeを切った。

「美紀、お前、笑わせんなっ!最高に傑作だったぜっ!」
「あははっ!美紀、超面白かったよ!私も五本槍の戦隊ショー見たいっ!長政が元親の言ってた通りデレデレで超ウケたっ!」

俺達はしばらく爆笑をして、やがて笑いが止まって行った。

「よし、この流れだと、次は前田利家だな。濃姫が前田預かりだからな」
「え!?政宗、そうなの!?」
「ああ。濃姫は魔王の子を孕んでいたからな。流石に妊婦は殺せなかったぜ。あいつは姫を生んだ。もうじきお前の世界で1歳半だな。美人で可愛いって聞いたぜ?」
「濃姫の赤ちゃんなら美形だね!楽しみだな!」
「きっと見せてくれるぜ?遙、もう少し肩を寄せろ。FaceTimeかけるぞ?」
「うん」

前田利家にFaceTimeをかけると驚くような速さで応答された。

「政宗様!慶次からずっと想っていたおなごと再会出来たと聞いて、連絡を心待ちにしてたぞ!誠、めでたいなっ!」
「犬千代様、誠、おめでたい事でござりまするっ!政宗様の想い人を見せて下さるのではと思い、今か今かと犬千代様と待ちわびておりましたっ!まあ!何てお美しいそして可愛らしいおなごでござりましょう!そのお方が遙様でござりまするね?何とも知性に溢れた、誠、天下人の政宗様にお相応しいお方と存じ奉りまするっ!流石は天下一の伊達男にござりまするっ!今度、是非このまつめに料理を振舞わせて下さりませっ!」
「まつ、それはいい考えだ!まつの料理は最高に美味いからな!」
「まあ、犬千代様ったら!昼餉も腕を奮いますゆえ、楽しみにしていて下さりませっ!」
「俺はまつの美味いメシが毎日食えて幸せだなぁ!」
「犬千代様っ!」
「まつっ!」

前田とまつは頬をぴったりと寄せ合って抱き合った。
ハイテンションに遙の事を褒めていたと思えば、結果的に2人の世界に入って行ってしまった。
前田夫婦は相変わらずだ。
遙がいなかった時は羨ましくて仕方なかったが、今なら全然負ける気がしない。

「ククッ、お前ぇら、相変わらずだな!でも、今の俺は誰にも負ける気がしねぇな!お前ぇら、よく見てろよっ!?」

俺は遙の頭を引き寄せて深く唇を重ねて、長いキスをした。
iPadから、感嘆の声が聞こえて来てしばらく経って満足して唇を離した。

「流石は、語源までになった女遊びの政宗様だな。俺達と愛情表現のレベルが違うな、まつ…。しかも、また絵になるな…」
「左様でごさりまするね、犬千代様…」
「クッ、やっと勝って嬉しくてたまらねぇな!俺達は世界一ラブラブだからな!早速要件だ。お前ぇらはどの程度俺の未来について知っていて、お前ぇらの任務は何だと聞いている?」
「まつ、俺から話す。政宗様が世界平和のためにまずは2つの大陸を平和的に掌握するのだと。そのための兵力を確保するためにローマにてキリスト教徒のリーダー達の協力を取り付け、キリスト教の友愛精神で2つの大陸を全キリスト教徒の力で開拓して行くと聞いた。また、そこにアフリカ大陸の黒人達も参加させて平和な国々を作るのだと。白人と黒人はいがみあっているから、日本人の前田と上杉が合同でキリスト教の白人の牧師と聖歌隊を守りながらキリスト教を布教して行くのだと聞いた。黒人達を乗せる船も護衛の戦艦も十分にある。朝一番に港に呼び寄せた。世界平和のためなら、俺達はいくらでも協力する。留守は政宗様のご親戚に任せなくとも良い。慶次に任せる。あいつも感動してたからな。政宗様のためなら頑張って留守を守るって言ってくれた。あいつが大人になってくれて俺もまつも喜んでいる。政宗様には感謝しても仕切れない」
「そうか、そこまで話を聞いていたんだな。前田慶次が留守を守ってくれるのなら安心だ。俺も奥州から親戚を手配しなくていいし、前田軍なら前田慶次の方が動かしやすいからな。その手で頼む。まだまだ出陣は先だけどな。俺の医師団をつけてやるから、何も心配しなくていい。それに仮にまつが孕んだら、前田慶次を代わりに牧師達の護衛させるから、前田、お前も世継ぎ作りに励め。まつも赤子を欲しがってるだろ?」
「左様にございまする!まつめも濃姫様やお市様のように、可愛らしい赤子が欲しゅうございまする!」

前田利家は顔が真っ赤になった。

「あのなぁ、お前ぇらそんなにラブラブなんだから、前田お前が恥ずかしがってどうする!?夫婦の営みは世界最高の愛情表現だぜ?もっと積極的に夜伽してやれよ。飯を褒めるのなんかより、ずっとずっと深い愛情表現だ!俺だってお前の世継ぎがいねぇと困る。何ならアフリカの護衛は前田慶次に任せるから、前田はまつと子作りに励め。その方が絶対にいい。これは俺の命令だ」
「流石は政宗様にございまする!」
「はぁ…。政宗様にそのように愛情について諭されるとは思いもしなかった。確かにそうかも知れぬな。あの浅井長政がとても幸せそうで、お市様もお幸せになられた。子とは素晴らしきものだ。分かった。全ては慶次に託す。慶次は政宗様とよく遊んでたからな。政宗様も慶次の方が頼みやすいだろう」
「ああ、そうだな」
「だったら、俺は政宗様のご命令に従って、まつと世継ぎ作りに励む」
「犬千代様っ!よくぞご決断下さりました!それでこそ最高の男にございまするっ!」
「まつがそのように喜ぶのであれば、俺も頑張る」
「利家、まつ、私も独眼竜と話がしたい。FaceTimeを私と代わりなさい」
「濃姫様…」

前田とまつは困ったように見つめ合った。

「案ずるな、利家、まつ。ただ姫を見せて挨拶をするだけよ」
「濃姫様がそうおっしゃるのであれば、このまつめも止めは致しません。犬千代様、よろしいでしょう?」
「まつがそう言うなら俺も賛成だ。濃姫様、どうぞ」

前田夫婦は濃姫とFaceTimeを代わった。
幼子の声がする。
どうやら、膝に抱いているようだ。

「独眼竜の隣のおなごが独眼竜を変えたのね。あの女遊びで有名だった独眼竜が7年もの間、操を立てていたと慶次から聞いた。全軍率いて甲斐まで迎えに行った程だとも。正直、上総介様を討たれて生きながらえた時は恥でしかなかったが、今は上総介様の妹、市の嫡男と上総介様の姫を遊ばせるのが何よりの楽しみよ。恐怖と緊張感に満ちた上総介様との生活を考えると、まるで夢のように穏やかな生活よ。独眼竜、礼も申していなかったわね。改めて礼を言うわ」
「濃姫、礼には及ばねぇよ。俺は無駄な命は取りたくなかっただけだからな。そんな事をしたら、遙が悲しむ。だから、俺はあんたを生かした。濃姫の子を遙にも見せてやってくれ」
「独眼竜は本当に懐が深くなったわね。上総介様の姫を独眼竜の許嫁に見せられて嬉しいわ」

濃姫はiPhoneを動かして、濃姫の子を映した。
俺も見るのは初めてだ。

「流石、魔王と濃姫の姫だな!超美形だぜっ!」
「本当だ!すごく美形で可愛い姫様!」
「わぁ!超可愛い!!」
「そんなに褒めてくれて嬉しいわ。まだあまり喋れなくて、挨拶も出来なくて悪いわね。姫、母の命を助けてくれた政宗様と遙様よ。お返事は出来るわね?」
「あーい!政宗様、ありがとー!」
「超可愛いな!」
「政宗、すごく可愛い!」
「超美形で可愛い!!」

俺達が和んで盛り上がっていると、濃姫はまたiPhoneで自分の顔を映した。

「私は、上総介様の血を色濃く残すために、浅井長政の嫡男に姫を嫁がせるつもりよ。そうしたら、上総介様の血筋が残るわ。上総介様の忘れ形見をこんなに血が濃く残せるなんて夢みたいよ」
「そうか…。ならば、俺にも提案がある。姫を幼いうちに浅井長政の次男に嫁がせろ。そして、上杉謙信の跡取りとしろ。上杉謙信は出家した身。世継ぎがいねぇ。直江には期待も出来そうにねぇしな。上杉謙信亡き後は北の地が乱れる。魔王の血筋なら、上杉謙信の跡取りとして相応しいはずだ。上杉謙信なら人質扱いなんて絶対にしねぇ。隣国だし、しょっしゅう顔も見に行けるしな。何なら、濃姫も上杉謙信と共に暮らせばいい。そうしたら姫とずっと一緒にいられるからな。上杉謙信には俺から頼んでおく。俺の提案について、あんたはどう思う?」

濃姫は驚いたように目を瞠った。

「姫が父の敵だと伊達に仇なすとは思わないの?上杉は伊達の隣国よ?」
「あの義に篤い上杉謙信に教育を任せればそんな間違いなんて絶対に起こらねぇし、そもそも北と東から伊達がこんだけ牽制してるのに、そんな馬鹿な気起こすはずねぇだろ?誰だって自分のお家の方が可愛い。こうして挨拶してくれたあんたを俺は疑わねぇよ」

濃姫は目に涙を溜めた。

「上総介様の忘れ形見がまさかまた大名になるとは思わなかったわ。本当に感謝するわ。上杉謙信の養子で構わない。だったら私にも提案があるわよ。上杉謙信不在の折には、留守の守りは私に任せて。伊達に上総介様の嫁ではなかったし、美濃の蝮の娘よ?統治なんて慣れてるわ。これで北の海は伊達、上杉、前田、毛利で守れる。毛利は石見銀山のために必死で中国地方を守るから大丈夫よ。独眼竜はどう思う?」

とても魅力的な申し出だ。
これで俺の親戚達を全く動かさないで済むし、濃姫の腕は確かだ。
義に篤い上杉謙信の部下達なら間違いは起こさない。

「よし、濃姫、お前に全てを託した。上杉領は濃姫、お前が前田と共同で守れ。俺はこれからそれを上杉謙信に伝える。他に何か俺に頼み事はあるか?」
「上総介様の命を礎にしたんだから、必ず世界の天下も取って欲しいわ。話したい事はこれだけよ。利家とまつに代わるわ」

濃姫は前田とまつにFaceTimeを代わった。
まつも涙を溜めていた。

「政宗様のお心遣い、このまつめも感動致しました。必ずや、濃姫様をお守りし、浅井の次男と共に濃姫様のお血筋を残しまする。姫様への平和的な教育もこのまつめもしっかりと致しまする」
「ああ、政宗様、俺も協力するから何も心配しないでくれ。濃姫様と姫様については、俺とまつに任せてくれ。流石は天下人だ!」
「天下を治めるなら、これくらいの策は当たり前だ。濃姫のためにも世界の天下をすぐに取ってやるから安心しろ。遙は俺の最高の策士だからな!姫の教育はお前ぇらにも任せた。じゃあ、俺はすぐに上杉謙信に連絡するからな!じゃあな!」

俺はFaceTimeを切った。
遙は感動しきって俺に抱きついた。

「政宗、私、感動しちゃった。政宗はやっぱり古今東西最高の天下人だよっ!愛してる」
「ああ、俺もお前を愛してるぜ。お前が惚れ直してくれて嬉しいぜ」
「政宗ってやっぱりすごいね!私も感動しちゃった!」
「美紀もそう言ってくれて嬉しいぜ。次は上杉謙信だな。上杉も俺を待ってるはずだから、すぐにFaceTimeをかける。いいな?」
「うん!」

俺はFaceTimeを上杉謙信にかけた。
すぐに上杉謙信は応答した。

「かつての猛々しき竜、今は天下人の龍神よ。そなたよりの連絡を心待ちにしておりました。民の義の世界のための世界掌握の戦略について、夢の中で全て聞きました。江戸の城下で噂になっていた知恵の美しき女神の加護を得て戦略を展開して行くと。女神と婚儀を挙げ、その子達が先導して子々孫々と新天地を治めて行くと。争いの起きるヨーロッパの教会の和睦の調停をし、同じ義に溢れたイギリスのエリザベス女王と共に2つの大陸を、和睦で得たキリスト教徒の力を得ながら、原住民達と仲良く開発して行くと聞き及びましたよ。正に世界の天下人の龍神よ。アフリカの争える民をキリスト教の力で平定し、新大陸へと導くという使命をこの上杉謙信に託してくれた事、大変誇りに思います。わたくしの美しき剣と共に必ずやキリスト教の牧師や聖歌隊やアフリカの民を守り抜きます。護衛の戦艦や民を乗せる客船も確認致しました。龍神の命令と共に作戦を開始する心積もりは出来ておりますから、ご安心召されよ。毘沙門天の加護の下、必ずや使命を果たしましょう」
「謙信様、何てお美しい…」

上杉謙信しか画面には映ってはいないが、どうやらかすがもいるらしい。
俺は上杉謙信がほとんどミッションを把握している事に安心した。

「流石は上杉謙信だ。頼りになるぜ。俺の隣にいるのが、女神、遙だ。俺が7年間操を立てて探していた女だ」
「私の美しき剣と同じくらい美しい、知恵と愛の女神よ。そなたと龍神の再会、この上杉謙信もとても嬉しく思いますよ。全ての事は甲斐の虎から聞きました。異世界の未来の世界で龍神と出会ったと。その神の奇跡と龍神との絆にわたくしも感動致しました」
「ありがとう。私も政宗に再会出来て本当に嬉しいよ。政宗に協力してくれてありがとう。かすがの顔も見たいな」
「礼には及びません。そなたの願いならば、わたくしの美しき剣をお見せしましょう」

上杉謙信はかすがにFaceTimeを代わった。

「遙様、私が謙信様の懐刀のかすがだ。私がいる限り、キリスト教の牧師も聖歌隊もアフリカの人々も謙信様も必ず守るから安心だ。何も心配する事はない」
「わぁ、かすが、頼もしい!それに、本当に綺麗だね!美人さんだ!本当に美しき剣だ!謙信様もご自慢だね!今度、謙信様とかすがの全身の写真を撮って、私のiPhoneにLINEで送って!是非見たいなぁ!顔のアップもいいな!」
「そんなに喜ばれると私も嬉しいな。謙信様のお写真ならば私がいくらでも撮る。謙信様も喜んで私の写真を撮って下さるだろう」
「出来れば上杉の兵士に謙信様とかすががラブラブしている動画も撮ってもらって、それも送って?色んな背景を舞台に是非見たいな!」
「何だ、そんなのが見たいのか?いくらでも撮らせるぞ?私の忍隊の方が頼みやすいな。後でいくらでも送ってやるから待ってろ。何ならクラウドに保存するが。私も何度でも見たい。やり方は全て夢の中で教わったから大丈夫だ。謙信様もな。クラウドに保存したらLINEで連絡してやる」
「わあい、嬉しいな!クラウドの方がいい!かすが、ありがとう!」
「じゃあ、そうする。多分、大量の写真と動画になるからな。好きなように閲覧してくれ」
「特に浜辺のラブラブシーンはたくさんお願いね!」
「ああ、任せろ!私も浜辺はお気に入りだ!」

俺と美紀は爆笑した。
あの薔薇が咲くラブラブシーンはマジで笑える。
特に浜辺のやつはガチでやべぇ!

「ありがとう!これから多分、政宗から謙信様にお願いがあるから、また謙信様に代わってもらえる?」
「ああ、いいぞ」

かすがは上杉謙信にFaceTimeを代わった。
俺は何とか笑いを抑えた。

「上杉謙信、遙にかすがを見せてくれて礼を言うぜ。遙があんなに喜んでくれたから俺も嬉しい。お前に折り入って頼みがある」
「龍神の願いならば何なりと」
「先ほど前田と濃姫と話してな。濃姫が市の嫡男に姫を嫁がせて愛する夫の血を濃く残したいって言っていた。だから、どうせなら、市の次男に幼児のうちに姫を嫁がせて、上杉謙信の世継ぎとしたらどうかって俺が提案したら喜んでたぜ?お前には跡取りがいねぇだろ?直江はあの調子だし、お前も上杉領の行く末が心配なはずだ。濃姫の申し出がなければ俺の近い親戚を上杉の世継ぎとして上杉領を守るつもりだったが、あの魔王の血筋なら強力な守りが期待出来る。治世については俺が指揮を執るし、遙は世界最高の平和主義な策士だしな。絶対に間違いは起こらねぇ。これだけ伊達が牽制してるしな。前田夫婦も姫の平和的な教育を徹底するって約束してくれたし、何より養子縁組後、最も義に篤いお前が教育するはすだから、俺は何も心配はしてねぇ。毘沙門天を信仰し過ぎて出家しないかだけが心配だ。養子縁組の時は濃姫も引き取ってくれ。浅井長政も正義のために役立つと思ったら間違いなく養子に差し出すはずだ。だから、俺の頼みを聞いて欲しい」

上杉謙信は驚いたように目を瞠った後、微笑んで力強く頷いた。

「流石は甲斐の虎があれほどまでに惚れ込み、このわたくしも惚れ込んだ龍神よ。これ以上の義に溢れた策はございませんね。濃姫と浅井の次男につきましては、この上杉謙信にお任せあれ。魔王と濃姫の血筋ならば、上杉領を任せられる器量の持ち主であることには間違いございませんね。これほどの世継ぎはおりません。龍神と知恵の女神の知恵を借りた治世を授けられるのならば尚更のこと。正直、直江の事は心配でたまりませんでしたから、濃姫と龍神の申し出は、誠にありがたく、もったいないことでございます。毘沙門天信仰につきましては、この上杉謙信だけにとどめますのでご安心召されよ。必ずや龍神の役に立つ世継ぎとして育て上げましょう。濃姫の事もお任せあれ」
「お前ならそう言ってくれると思ったぜ!恩に着るぜ!濃姫と姫の事をよろしく頼む」
「全てはこの上杉謙信にお任せを」
「謙信様!私からもお願いがあるな!」
「知恵の女神からの願いであれば、この上杉謙信が叶えましょう」
「ありがとう!春日山城の松茸を季節になったら江戸に送って欲しいな!何なら、みんなで松茸狩りがしたいな!」
「あ!遙、いい事、言ったね!私もみんなで松茸狩りがしたい!」
「あと、蟹漁と春のホタルイカ漁もお願いしたいな!ホタルイカは沖漬けにしておいて。元親とノドグロ釣りにも行きたい!」

俺と上杉謙信は爆笑してしまった。
上杉謙信の爆笑なんて初めて見た。
しばらく経って、ようやくお互い笑いが治った。

「可愛らしいお顔をしているとは思いましたが、発想まで可愛らしい。龍神が愛でるのもよく分かります。美しき剣よ、そなたも共に龍神と女神とその共と一緒に松茸狩りを致しましょう。蟹漁もホタルイカ漁もお任せなさい。西海の海賊とも共に釣りにこの地を訪れなさい」
「ああ、謙信様!謙信様のお望みであれば、このかすがは必ずやお供を致します!一緒に松茸狩りを致しましょう!」
「遙の望みを聞いてくれて、嬉しいぜ」
「謙信様、かすがもありがとう!春日山城に行くの、楽しみにしてるね!」
「いつでも歓迎致しましょう。龍神よ、他にもこの上杉謙信に望みはございますか?」
「また思いついたらすぐに連絡するぜ。今日の所は以上だな」
「分かりました。では、またいずれ」
「ああ、じゃあな!」

俺はFaceTimeを切った。

「遙、お前、マジで傑作だったぜ!俺も来年の松茸が楽しみだ!エリザベスと一緒に松茸狩りがしてぇな!またフルコースで料理してやる」
「政宗、マジで!?政宗の手料理初めてだから、超楽しみ!」
「落ち着いたら、美紀にも振舞ってやる。そろそろ昼餉か。あっという間だな」

俺は、ようやく一息吐いた。

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