今は夜8時半だ。
エリザベスにダイヤモンドの話をするのを忘れていたから、それもついでに相談だ。
とりあえず、ライブの打ち合わせをするにしても、陰陽座に関しては小十郎がいないと打ち合わせが出来ない。
とりあえず、二の丸に馬を進軍させて、倉の前で馬を降りた。
「あれ、梵?何で本丸じゃねぇんだ?」
「これからライブの打ち合わせだから、楽器がねぇと困る。流石に大型アンプだと音がデカすぎるから、練習用のアンプだな。ギターは好きなのを選ぶ。成実はドラムセットを運ぶのが大変だろうから、野郎共を呼んだ方がいいな。小十郎は笛を用意して、中奥の夕餉の隣の部屋に来い。あそこは広いからバンドのセットが組めるな。バンドの説明をする。綱元は荷物運びに15人ほど野郎共を呼んで来い。バンドには長曾我部も参加だ。楽器のテクニックを願ってやるから。ベスはFaceTimeで打ち合わせに参加だな。ベスには歌唱力を願う。焔は多分楽しいから聞いてた方がいいぜ。先に小十郎と戻ってろ。夕餉が遅くなるがいいか?」
「政宗様、かしこまりました。夕餉の事はご心配には及びません。握り飯と焼き魚で十分でございますから。では、綱元と先に城内に戻り、座卓も用意させます」
「ああ、お前ぇら、頼んだぞ!俺達は倉の中で楽器やらを選んで待ってる」
「はっ!」
小十郎と綱元と焔は城内に戻って行った。
俺は倉のロックを解除して中に入った。
楽器コーナーに行くと、遙は歓声を上げた。
「どれも200万円以上のギターだ!すごーい!どれにしようかなぁ」
「俺はエクスプローラに決まりだからな。長曾我部には楽器のテクニックと歌唱力を今すぐ願ってやる。お銀の歌唱力もだな。お銀も惚れ直すぜ?」
「政宗様、楽しみでございます!」
俺は長曾我部とお銀にバンドの全てのテクニックとアーティストの知識と歌唱力を願った。
長曾我部が叫んだ。
「すげぇ!未来の楽器の使い方が完璧に分かるぜっ!俺はどのパート担当なんだ?」
「ベースだ。好きなベースを選べ。遙のオススメはビリーシーンモデルだ。練習用の小型のアンプを2個選べ」
「まあ、確かにビリーシーンはすげぇからな。じゃあ、俺はそれにする」
「成実はツーバスドラムを選べ。ブラインドガーディアンを演奏するからな」
「マジで!?じゃあ、一番良さげなツーバスドラムを選ぶぜ」
「私はカークハメットモデルとイングヴェイモデルにしようかな」
「じゃあ、俺も追加でイングヴェイだな、部屋でも弾きたいからアンプは2個ずつだな」
「政宗、私もキーボード選ぶね!」
「ああ、是非そうしろ。お銀には赤子の衣装とおもちゃを願ってやるから、好きなのを選べ」
「嬉しいです!心置きなく選ばせて頂きますね!」
俺は小さな一角に子供服と遙の世界のファッションの知識を願った。
ハイブランドの子供服にお銀は大興奮で悩み始めた。
15分ほど悩んで決めると、開けっ放しの扉の外に部下達が控えた。
マイクはスタンドで歌うのが難しいから、マイクはヘッドセットだ。
「お前ぇら、みんな決まったか?」
「うん!」
「おうよ!」
「はい!」
俺は部下達に指示を送り、荷物を全部持たせて小十郎達の待つ部屋へと向かった。
小十郎は茶を用意して待っていてくれた。
成実が部下達に指示を送ってドラムをセットさせた。
俺と遙と長曾我部は、ギターやベースをすぐに弾けるようにそばに置いて、アンプに無線で繋いだ。
お銀は揺りかごに赤子を寝かせて、長曾我部の隣に座った。
俺は茶を啜って、遙に差し出されたタバコを吸い始めた。
「よし、これからF1の表彰式の後の流れの話だ。ライブを行う。ライブの構成があるから、それを説明するために、エリザベスにFaceTimeをするぜ。遙、俺のiPadを出せ」
「うん!」
遙はバーキンからiPadを出すと、俺に手渡した。
スタンドで立てかけて、いきなりエリザベスにFaceTimeをかけると20秒後くらいにエリザベスは応答した。
「ハ〜イ!マサ、待ってたわよ!」
「よう、ベス、待たせたな。これからF1の後のライブの説明会だ。初ライブはヴァチカンの婚儀の後に、サン・ピエトロ広場でやるけどな」
「Really!?それは楽しみだわっ!クイーンみたいな未来の音楽かしら?」
「ああ、そうだ。ライブは4部構成だ。第1部はキリスト教をテーマにしたメタルの曲で構成だ。第2部はジプシーが伝承している吟遊詩人の物語とアーサー王物語のメタルの曲で構成だ。ギターが足りないから小十郎もベースかギターで参加だな。ジプシー迫害防止のための第2部だ。第3部は日本文化がテーマのメタルだな。旋律が日本らしくて能にも通じるから、ここで小十郎の笛が参加だ。小十郎は楽器を笛に持ち替える。第4部は伊達とテューダー朝の結束がテーマのメタルだ。ギターにベスのダーリンが参加し、ヴォーカルはベスが担当だ。第1部と第2部のヴォーカルは俺担当で、第3部は全編俺と遙のデュエットだ。ベス、お前は賛美歌得意か?」
「そうね、歌は好きだわ。だから楽団も声楽隊もお抱えにしてるし。どんな音楽も好きよ?アーサー王物語をテーマなんて、イギリスの民話じゃない!最高にcoolだわっ!吟遊詩人の物語もロマンチックね!私もコーラスで参加したいわ!」
「だったらそうしろ。一応お前の歌唱力も楽器のテクニックも願ってやる。手っ取り早く、この場の全員に全てのアーティストの音楽の知識を願ってやる。その方が話が早いし、説明が楽だ」
俺は目を閉じて、ベスの歌唱力と楽器のテクニックと、この場の全員に全てのアーティストの音楽の知識とテクニックと遙の歌唱力もアリアナグランデレベルに願った。
みんなが途端に声を上げた。
「Amazing!!未来の音楽って素敵だわっ!こんなに種類に溢れているのね!メタルってかっこいいじゃない!」
「梵!俺、片っ端からライブやりてぇ!道端でラップもやりてぇ!」
「分かった、成実、後で考えてやるから、今は俺の話を聞け」
「分かった!」
「よし、じゃあ、話の続きだ。第4部の後に、We are the worldに対抗する歌として、ハードロックのStarsを演奏して世界平和の歌で締める」
みんなは、おおおお!と歓声を上げた。
「政宗様っ!伝説のStarsでございますかっ!それならばWe are the worldに対抗出来ます!これならば野郎共も動員せねば再現出来ません!」
「ああ、そうだな、小十郎。野郎共の選抜は成実と綱元に任せた。お前は農業革命で忙しいからな」
「政宗様、ありがとう存じます」
「政宗様、この綱元にお任せ下さいませ。明日中に選抜を致します」
「梵、任せろ!」
「独眼竜、俺もギターやりてぇ!これは超かっこいいぜっ!」
「マサ、私もStarsのギターがやりたいわっ!誰がギターやるの?」
「遙と俺で2人で交互に弾く予定だったが、お前ぇらも弾きてぇなら俺は止めねぇよ。4人で弾こうぜ?ベスもリハーサルしたかったら、ハリアーでロンドンから来いよ。3時間ちょいで江戸には着くし、二の丸を目的地にしたら、ハリアーなんていくらでも停められる。何とか給油しないで来れるだろ?最低限の親衛隊を連れて来ればいいじゃねぇか。俺達みんなで明後日から日本中で遊び回るから、打ち合わせが終わったら、すぐに猿飛達も連れて来いよ。そうしたら夜中くらいには江戸城には着くし、お前の部屋もある。風呂に入れてやるぞ?倉からいくらでも着替えは出て来るから、ボストンバッグだけ持って来いよ。一緒に遊ぼうぜ?」
「Really?じゃあ、すぐに打ち合わせを終えて、江戸城に向かうわ。護衛は佐助と紫苑がいれば十分よ。ハリアーは1人乗りだし10機しかないから、あんまり動かしたくないわ。全部で3機あれば十分よ」
「分かった。それで来い。お前の世話のくノ一の手配は俺に任せろ。全員英語が喋れる。おい、焔、黒脛組に世話をするくノ一と大奥警備のくノ一達を江戸城に呼び寄せるように手配しろ。長曾我部とエリザベスの世話だ。黒脛組の頭領にLINEすれば良い。それからエリザベスはFaceTime中だから、猿飛と紫苑に首尾も言付けろ」
「かしこまりました」
焔はすぐにiPhoneで司令を送った。
「よし、じゃあ、それぞれのバンドの紹介だ。第1部はクリスチャンメタルのインペリテリでキリスト教の歌ばかりでセットリストを構成した後に、メタリカのEnter Sandman、Creeping Death、最後にアングラのNova Eraで締める。堕天使達の救済の、究極の救いの歌だ」
またみんなが、おおお!と盛り上がった。
「遙様、流石でございます!これならば、キリスト教徒も夢中になりますし、Nova Eraは究極の救いの歌でございます!」
「ふふっ、小十郎、ありがとう。これはヨーロッパ向けのセットリストね。イスラム教徒とか、中国向けにはまた別の策があるから」
「左様でございましたか、遙様。この焔がお手伝いする必要もございませんね。キリスト教向けには最高のセットリストでございますね」
「焔の力は必要だよ?焔のダブルチェック、期待してるし。もう夜も遅いから、今日はサン・ピエトロ広場のライブの打ち合わせだけね。また明日、色々考えよう?」
「おっしゃる通りでございますね。政宗様、どうぞ、お続け下さいませ」
「Okay!細かいインペリテリのセットリストは今晩遙と美紀と考えるから、次の第2部のバンドの紹介だ。第2部は、ブラインドガーディアンで全曲構成だ。吟遊詩人の伝承とアーサー王物語の曲ばかりを選ぶ。第3部は全部陰陽座だ。俺がテーマの曲は全部セットリストに入れる。遙が衣装も陰陽座と同じにしたいって言ったから、そんな位の低い衣装なんて着れねぇから、直衣と略式の十二単を俺が提案した。十二単の長袴は邪魔だから、足首までの袴だな。みんな直衣は何着も持ってるし、十二単も何組も届いたから、何の問題もねぇな。美紀も当然十二単だ」
「マジで!?私、十二単着れるの!?」
「当然だ。長曾我部は成実のを着ろ。お前は従二位だからな」
「助かるぜっ!」
「第3部だけのために着替えるのは面倒だから、全ライブの衣装は直衣と十二単だ。日本らしくていい。陰陽座は小十郎の笛があった方が豪華だから、全曲小十郎が笛で参加だ。これは俺の案だな」
小十郎は頷いて微笑んだ。
「確かに政宗様のおっしゃる通りでございます。陰陽座ならば、日本らしく、またこの小十郎の笛にも合います。セットリストが決まり次第LINEを下されば、すぐにでも即興を考えます」
「流石だ、小十郎!」
「小十郎の笛入りの陰陽座なんて史上最強にcoolだぜっ!本家よりすげぇ!流石だ、梵!」
「私も小十郎の笛聞くのが超楽しみ!」
「成実も美紀も楽しみにしてろよ?よし、じゃあ、最後の第4部のバンドの紹介だ。第4部のバンドは、アンベリアン・ドーンだ。ヴォーカリストの声がベスに似てるからな!」
「マサ、流石ね!アンベリアン・ドーンなら歌いたいわ!私に合うメタルなんてあるかしらって思ってたけど、アンベリアン・ドーンならぴったりだわ!直衣と十二単は江戸に着いたら見せて頂戴。ダーリンとの共演が楽しみだわ!歌詞も幻想的で陰陽座と相性いいわね!最高の構成よ!流石、遙ね!じゃあ、私はすぐに大臣に伝令を飛ばして江戸に向かうわ。到着20分前にはマサにLINEするわね!」
「だったら、シェイクスピアも連れて来い。全ての歌詞はシェイクスピアに現地語に翻訳させて、頭上の巨大スクリーンで流す」
「そんな事まで思い付いてたの!?分かったわ。シェイクスピアも連れて行くわ。羽ペンとインクはあるわね?」
「シェイクスピアにiPhoneを与えて、それで書かせろ。そして、ユダヤ人差別はするなと申しつけろ。未来にシェイクスピアがユダヤ人差別の作品を書くからだ」
「分かったわ、そう申しつけるわ。他には何かあるかしら?」
「お前、昼餉は食ったか?」
「ええ、軽く食べたわ。江戸に着くまでくらい、どうって事ないわ」
「よし、じゃあ、ベスはすぐに江戸城二の丸に来い。着く頃に二の丸で出迎えてやる。これから俺達は夕餉だからな」
「分かったわ!じゃあ、急いで江戸城二の丸に行くわね!」
「Okay、じゃあな!」
「Okay!See you soon!」
ベスはFaceTimeを切った。
小十郎達は感心した顔で俺を見つめていた。
ちらりと時計を見遣ると、まだ9時前だ。
これなら夕餉の仕度も間に合う。
ギターとベースは引きこもり部屋に持って行った方が便利だ。
ここで弾いてたら夕餉の時間がなくなる。
「よし、成実、お前はここでドラムを叩いて遊んでろ。セットリストにはお前の意見も聞くからcoolなドラムのアレンジ期待してるぜ?明日にはリハーサルだ。小十郎は夕餉を申し付けて、成実達とここで食え。リハーサルは明日この部屋でやるからアンプ1つは置いて行く。イングヴェイモデルのギターも今晩は必要ねぇな。Starsを弾くのは明日だ。それでいいか、成実?」
「ああ!俺、早くドラム叩きてぇ!ブラインドガーディアンのツーバスが叩きてぇ!ハイスピードなCreeping Deathも叩きてぇ!」
「分かった、それで遊んでろ。小十郎も綱元も焔もいいな?」
「承知!」
「よし、じゃあ、長曾我部とお銀は俺の引きこもり部屋に来い。夕餉を振る舞ってやる。小十郎、荷物持ちの野郎共を6人ほど手配しろ」
「はっ!」
小十郎が大声で申し付けると、すぐに部下が6人現れた。
俺は楽器と機材と、俺達の荷物を全て持たせると、引きこもり部屋に向かった。
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