フグパーティー

俺は、まだみながエリザベスに自己紹介をしていない事にはたと気付いた。
長曾我部とお銀の事は知っているが、伊達陣営と焔の自己紹介がまだだ。
俺はざっくりと、みなの紹介をする事にした。
その頃にはてっさが食べられる程度には仕上がっているはずだ。

「ベス、今から、俺の側近達と、猿飛の右腕について、お前に紹介する。俺の側近は、全員で3人いて、俺が幼い頃からの側近だな。伊達三傑と呼ばれている。特に、シェイクスピアの隣に座っている、片倉小十郎は、俺の守役で、俺の教育係だった。小十郎って呼んでくれ。俺より10歳年上だ。笛の名手でな、その腕を俺の父上に見込まれて、俺の守役に抜擢されたほどだ。戦では軍師の役割を果たし、日本最高の軍師でもある。趣味は畑仕事で、それも天才的に極めていて、今日の野菜は全部小十郎が育てた物だ。俺が天然痘で右目を患って、右目が飛び出ちまった時も、典医ですら肝を潰して治療が出来なかったのを、切り取って傷口を縫ってくれたのも小十郎だ。小十郎は俺の命の恩人だな。よろしく頼む」
「Oh, my God!マサの教育係で軍師で命の恩人なの!?相当優秀なのね!!是非笛も聞いてみたいし、お野菜も楽しみだわ!小十郎、よろしくね!」
「Yes, your majesty!この小十郎の笛でよろしければ、リハーサルの時にお聞かせ致します。以後、お見知り置きをよろしくお願い申し上げます」

小十郎が軽く頭を下げると、エリザベスはにこにこと笑った。
次は、成実だ。

「よし、次は伊達成実だ。俺そっくりの顔してるのが、成実で、俺の従兄弟だ。趣味や好みまでそっくりの、双子みたいな従兄弟だな。俺より一つ年下だ。伊達三傑の1人だ。戦ではしんがりを務めていて、こいつほど頼りになるしんがりもいねぇな。俺が右目を失った後、明るく元気付けて遊んでくれたのは成実だ。俺の幼名は梵天丸って言うんだが、成実はずっと餓鬼の頃から俺を梵って呼んでたから、いまだに梵って俺の事を呼ぶ。遙と出会うまでは、ずっと成実と女遊びを派手にして遊んでたぜ?成実の嫁の登勢は、心臓が弱くて夜伽出来なかったから、余計だな。遙と美紀が治療してくれて、やっと登勢も夜伽出来るようになるから、これからは成実も登勢一筋だ。下ネタが大好きで、人をおちょくって乗せるのが上手いな。俺は成実のノリが好きだけどな。俺の秘密は絶対的に守る男だが、俺が初恋したなんて言ったら大爆笑して、きっとネタにし続けたから、成実にも遙との恋は言えなくてベスに打ち明けてた。成実もいいやつだ。よろしくな!」
「あら、双子だと思ってたら、従兄弟だったのね!成実、よろしくね!」
「ああ、よろしくな!お前と梵のニックネームはウケたぜ!俺はお前の事をエリザベスって呼ぶからな!シゲなんて呼ばれたら、俺は爆笑しちまうから、そのまま成実って呼んでくれ」
「分かったわ!お嫁さんが治って良かったじゃない!遙と美紀ってすごいのね!これから幸せになってね!」
「Thanks!お前、本当にいいやつだな!気に入ったぜ!」

成実も嬉しそうににこにこと笑った。
次は綱元だ。

「次は綱元だな。伊達三傑の最後の一人で、鬼庭綱元という。俺より18歳年上で、戦では腕も立つが、政治能力に優れているから、国内の徴税と官僚の指揮を任せている。伊達家の事になると石頭だが、ノリは成実の次くらいにいい。糞真面目な小十郎を焚き付けられるのは、綱元だけだ。嫁にラブラブで、40過ぎてもまだ子供が欲しいらしい。綱元には忙しい仕事ばかりさせてるから、なかなか一緒に遊ぶ機会もねぇな。今回は、USJとディズニーは一緒に行くぜ。USJとディズニーってのはとても楽しいテーマパークの事だ。後でゆっくり教えてやる。綱元もよろしくな!」
「綱元ね!官僚の統括なんてすごいじゃない!お嫁さん一筋なのもいいわね!よろしくね!」
「Yes, your majesty!どうぞ、お見知り置きをよろしくお願い申し上げます」
「最後は焔だ。猿飛の右腕で、遙が甲斐で天然痘の治療中に配下に置いた。正直、猿飛より優秀だな。もっとも最難関な伊達の偵察を担当してたのが焔だったからな。焔の得意分野は心理戦で、催眠術も使える。昨日、遙が、遙の世界のトップレベルの知識を与えた所、すごい政策を思い付いたから、俺の宰相として任命する事にした。条約の条文を考えるのは焔だ。猿飛の幸せを誰よりも望んでいるから、猿飛の騎士団長への就任も、忠誠の儀式も、婚儀もとても楽しみにしている。紫苑も参加したかったら一緒に見るといい。焔もよろしく頼むぜ!」
「あら、佐助の右腕なの!?かなりのgood looking guyねっ!私達の同盟と条約は貴方に任せたわ!」
「お任せ下さい、your majesty。最善を尽くします」

一通り自己紹介が済んだ所で、俺はタバコに火を点けて、ゆっくりと玉露を飲んだ。

「楓、何皿てっさが出来た?」
「4皿でございます」
「じゃあ、唐揚げは竜田揚げにするから、片栗粉をまぶしておいてくれ。天ぷらは俺がやる。俺が2皿ある程度食ったら、一気に揚げ物を揚げて行く」
「かしこまりました」

これで手配完了だ。

「おい、誰か煎茶を淹れてくれ。てっさは喉が乾く」
「かしこまりました」
「よし、楓、誰かに割り箸とてっさのタレと薬味を配膳させて、てっさの大皿を3つ持たせろ。先に食う。大皿2枚目をある程度食ったら、俺は一気に揚げ物を揚げる」
「仰せのままに」

楓はてきぱきと他のくノ一達に指令を出して、割り箸と薬味とタレを配膳させて、てっさの大皿を持って来させた。
みな興味津々に見つめている。

「独眼竜、クエの刺身に似てるな」
「確かにな。でも、遙、おススメだから、きっと相当美味いぜ?じゃあ、みんな、適当に食え。てっさは、4枚ずつくらい、一気に食った方が美味いぜ」
「ねぇ、政宗、時計回りに一周お箸でぐるっと取って食べてもいい?憧れだったんだ!」
「あははっ!それがお前の夢ならそうしろ。まだまだてっさはあるからな。じゃあ、みんな、遙が箸を付けたら、食え」
「うん!いただきます!」

遙はタレにたっぷり薬味を入れると、大皿の周りのてっさを、箸で一周絡めとり、タレに付けて食べて、とても幸せそうな表情になった。

「お前、本当に幸せそうだな!フグをたっぷり用意した甲斐があったぜ。エリザベスもシェイクスピアも遠慮すんな。俺も食う」
「Thanks!」

俺も遙のように、半周フグの刺身を箸で取って食べた。
確かにクエよりも美味い!!
幸せ気分で食べていると、エリザベスとシェイクスピアも感動の声を上げた。
焔も少し食べて感動している。

「政宗様、これは病みつきになる味でございますね!遙様が好まれるのもよく分かります」
「だろ?焔がそんなに喜んでくれて嬉しいぜ!他のメンバーはどうだ?」
「大変美味しいです!このシェイクスピア、このような魚は初めてでございます!!」
「独眼竜、これ、マジでヤベェくらい美味い!!クエより美味い!!」
「なら、良かった!」
「生のお魚ってこんなに美味しいのね!Amazing!!」
「お前もそんなに喜んでくれて嬉しいぜ!おい、もう少しでてっさの追加だ!」
「かしこまりました」

小十郎達も盛り上がっている。
この調子じゃ、全然足りない。

「楓、次のてっさの前に湯引きを持って来い。俺が作ったてっさのタレをよく混ぜて、薬味を飾る感じでな」
「かしこまりました」

煎茶を飲みながらてっさを食べていると、冷蔵庫で冷たく冷やされた、皮の湯引きが配膳された。
フグの量がかなりだから、皮の湯引きの量も相当だ。
ふと、焔が真剣な表情になってエリザベスに話しかけた。

「初めてお目にかかるのに恐縮ではございますが、イギリスにおけるエンクロージャーは、慎重に行って下さいませ。農民の貧富の差が拡大し、貧農達が、女王に不満を持ち、暴動へと走らせます。女王は救貧法を命じますが、手遅れになります」

エリザベスはそれを聞いて、顔色を変えた。
俺はフグをつまみながら、話を聞いていた。

「これからエンクロージャーを推奨しようと思っていたのに、それは困るわ…。この先の未来について教えてくれる?」
「かしこまりました。まずは、現在の第一次エンクロージャーでございますが、農民達から土地を取り上げ、強制的に羊のエンクロージャーを行なっているため、浮浪者が増えて困っていらっしゃるはずでございます。エンクロージャーの展開の主体は富裕農のヨーマンでございますね。末期にはジェントリという強大な力の持った富裕農がヨーマンを使うようになり、富を得るため圧政を敷き、貧富の差がますます拡大し、農民は飢え、エンクロージャーは禁じられる事になります。これが、第一次エンクロージャーの顛末でございます。イギリスにおいて、貴族以外に力を持つ層の台頭でございます」
「それは、困るわ…。かと言って、毛織物はイギリス名産だし、どうしましょう…」

エリザベスは憂鬱そうに溜息を吐いた。

「まずは、ジェントリの誕生を阻止するために、エリザベス女王に絶対的に忠実な、大規模な円卓の騎士団を結成し、エリザベス女王主導でエンクロージャーを行いましょう。そして、十分な穀物畑と野菜畑を確保した上での、第二次エンクロージャーの同時展開でございます。エンクロージャーで上がった利益は交付税として生活に潤沢なように貧困層の農民に与え、貧農の不満を抑えます。第二次エンクロージャーの主軸は、冬場の羊のエサの栽培でございます。ここで、屯田兵の概念を導入致します。日本で展開されている屯田兵は、兵としてすぐに戦に対応出来る常備軍でありながら、同時に農民でもあります。政宗様がすぐに大規模な兵を動かし、食料もすぐに確保出来るのは、大規模な屯田兵を抱えてらっしゃるからでございます。第二次エンクロージャーは、大麦→クローバー→小麦→カブを4年周期で栽培する事によって、穀物と冬場の羊のエサを得るノーフォーク農法という栽培方法でございます。政宗様がお作りになる肥料と殺虫剤により、爆発的に作物の生産高が上がるでしょう。人口も爆発的に増えます。余剰人口には、毛織物だけでなく、更に出来る限りの農産物を生産させ、黒ビールを作らせましょう。イギリスは世界一の良質な黒ビールの生産に最適でございます。常温で一番美味しく飲めますから、輸出にも最適でございます。輸出すれば国がより一層豊かになります。厳しい品質管理のために、王家専売でございます。それから、より一層の乳製品の生産でございますね。利益は生産者に還元でございます。とにかく、増えた人口分には仕事を与え、浮浪者をなくし、従軍させればイギリス軍は更に強化されますし、女王の人望も高まります」

エリザベスは驚いたような表情で焔の話を聞いていた。

「そんな未来が待っているのね…。これは早急に対応しなきゃならないわ…。黒ビールはとても魅力的よ!浮浪者問題は頭痛のタネだったから助かるわ!是非、イギリスでも屯田兵を展開させるわ!焔の知恵が私も欲しいけど、でも、マサの宰相でしょう?困ったわ…」
「だったら、紫苑に指揮を執らせろ。紫苑は焔と同じ知識を持ってる。焔の方が誘導は上手いが、焔の次に優秀なのが紫苑だな。紫苑が政策を作り、焔が確認して実施すれば問題ねぇ。なぁ、紫苑。今の話、お前なら完璧に分かっただろ?」
「もちろんでございます、政宗様!焔様にご確認頂けるのでございましたら、俺も尚更安心でございます。必ずや、イギリス国内も豊かにさせる所存。エリザベス様、この紫苑に全てお任せ下さいませ」
「紫苑ったら、そんなに頼り甲斐があるのね!!だったら、マサ、私に紫苑を頂戴。国内政策は、紫苑に任せるわ!イギリス人じゃないから、大臣達が納得するか、不安だけど」
「俺からのプレゼントとでも言っておけ。実際に効果が上がれば誰も文句は言わねぇよ。手っ取り早く、この冬の食糧難を回避させて大臣達を黙らせろ。それなら必ず上手く行く。お前の相談役って位置付けで十分だ」
「それもそうね!紫苑は私について来てくれる?」
「Yes, your majesty!政宗様がそうお望みであれば、この紫苑はイギリスに骨を埋めても構いません」
「よく言った、紫苑!エリザベスの事はお前に頼んだぞ!」
「御意!」

猿飛が驚いた表情で聞いていた。

「焔も紫苑もすごくなっちゃって、俺様びっくりなんだけど!?俺だけ置いてきぼり?」
「だって、佐助までスーパーすごくなっちゃったら、私、惨めだもん。だから、佐助にはそのままでいてもらったの」
「なるほどねー。美紀が悲しくなるのは困るから、俺はこのままでいいや。どうせ、焔の策でしょ?」
「左様でございます」
「やっぱりね。俺はこのまま無邪気に美味しい物を楽しむ方が幸せだよ。フグって本当に美味しいねー!このぷるぷるでこりこりの皮も美味い!遙が食べたがってたのもよく分かるよ」

猿飛が幸せそうにフグを食べて、俺は笑ってしまった。
俺ももう少してっさと皮の湯引きを楽しんだら、一気に揚げ物だ。

「政宗様、フグの皮とは、誠、美味でございますね!この小十郎もクセになりそうでございます!」
「そうか、良かったな!楓、これでフグの皮は全部か?」
「いえ、多過ぎますので、明日のために取ってございます。鍋の具材も唐揚げの具材も明日の分までございます。おそらく皆様方が、明日もお召し上がりになりたいと仰ると思い、また本日中では量が多過ぎて最後の鍋までお楽しみになれないため、そのように配分させて頂きました」
「流石だ、楓。みんな、明日の昼餉もフグだぞ!てっさはねぇけどな」
「おおお!!」

みなは歓声を上げて喜んだ。

「ほら、遙。てっさなら4人前軽く食べれるんだろ?俺も食うから好きなだけ食え。あと2皿あるぞ」
「うん!幸せ!」

遙はまた箸で一周てっさを絡め取って幸せそうに食べていた。
俺も同じように食べて、フグの旨味を堪能する。
週に一度食べてもいいくらいに美味い!
エリザベスも笑いながら、同じように食べているうちに、皿がほとんど空になった。

「よし、ベスがさらえろ。楓、次のてっさの皿を持て」
「かしこまりました」

エリザベスが嬉しそうにてっさを平らげ、俺は新しい皿のてっさを突きながら、綱元に話しかけた。

「そう言えば、綱元には俺の後朝の歌を聞かせてなかったな。この部屋に金屏風を2つくらい置いて、恋歌を遙に書いてやりたい。一つは後朝の歌にするから、飽きのこない、文字が配置しやすいやつがいい。何せ、青葉城の、菊の金屏風の落書きが400年後の未来でも超有名で、遙が世界一素敵だったって感動してるから、あの程度で感動されるなら、江戸城中の襖に書き散らしてやんなきゃな。とりあえずは、この部屋が優先だな。俺の後朝の歌は、上野の阿蘇のまそむらかき抱き 寝れど飽かぬを何どか吾がせむ、だ」

綱元は心底驚いたように目を瞠った。

「政宗様がそのように、おなごを抱いても飽き足らないとは、よほどの事でございますね!!適度に歌を書くスペースを空けた屏風を作らせます」
「ああ、頼む。それから、屏風のモチーフは、つがいの鳳凰にしろ。俺と遙が一番大切にしている歌が、Eternal Flameって歌でな、永遠に燃える愛の炎の歌だから、鳳凰がぴったりだろ?縁起のいい松の木と鳳凰の柄で作らせろ。他の恋歌は、菊や枝垂れ桜の金屏風がいい。細かく恋歌で埋め尽くすからな!」
「かしこまりました!この綱元に全てお任せを!」

綱元は力強く頷いた。
遙は嬉しそうににこにこと微笑んでいる。

「ベスにも後で希望の歌を書いてやるから安心しろ。それにしても、猿飛も、後朝の歌の屏風くらい書いてやれよ。ちゃんとした料紙にもな。サンスーシ宮殿の豪華さなら、屏風一枚くらいなら似合うだろ?何か思いつかねぇのかよ?」
「後朝の歌ねぇ。なんか、なし崩しだったからなぁ」
「だったら、尚更けじめをつけてやれ。色々あんだろ?思いつかなかったら、iPhoneで万葉集と古今和歌集と新古今和歌集の恋歌を調べて、しっくり来るやつを選んで、屏風に書いてやれ。美紀もその方が嬉しいだろ?」
「え!?佐助からも後朝の歌、もらえるの!?もらってみたい!遙ほどのロマンチストじゃなくても嬉しい!金屏風一枚くらいなら、あの部屋に合う!」
「ほら見ろ。美紀も喜んでるだろ?俺はこれからてっさをつまんで、揚げ物をしてくる。箸を動かしつつ、何か考えろ」
「ああ、政宗様、分かった。2首になるけど、いい?直後の歌と、今の気持ちの2首にしたいんだ」
「いくらでも書いてやれ。遙、また一周好きなだけてっさを食べてもいいぞ?」
「わあ、政宗、ありがとう!」
「マサ、私も金屏風、いくつも欲しいわ!ロマンチックな恋歌だけじゃなくて、日本の風景美の歌もいいわね!」
「俺に任せろ!」

俺は、エリザベスに贈る金屏風を思い浮かべながら、てっさをゆっくりと味わった。
猿飛もiPhoneを器用に操作しつつ、てっさを食べながら歌を選んでいる様子だった。
やがて、猿飛は決心したように、顔を上げた。

「結局、3首になっちゃった」
「いいんじゃねぇか?三つ折りの屏風にすれば良いだけだからな。聞かせろよ」
「うん」

紫の 色に心は あらねども 深くぞ人を 思ひそめつる
なかなかに 黙もあらましを なにすとか 相見そめけむ 遂げざらましくに
相見ては 幾日を経たぬを ここだくも 狂ひに狂ひ 思ほゆるかも

「流れ的にこの3首かな。俺、遙に恋してたのに、美紀と恋に落ちかけたから、紫の、ね。でも、忍頭は大切な人を作っちゃいけなかったから、なかなかに、だよ。でも、その後、数日で後戻り出来ないくらいに美紀に恋したから、相見ては、ね」
「いい流れじゃねぇか!新古今和歌集と、残りは古今和歌集の大伴家持か!なかなかいいセンスだぜ?おい、綱元。これに合う屏風、頼んだぜ?」
「はっ!かしこまりました!」

綱元が笑みを深めると、美紀は不思議そうな表情で猿飛の袖をくいと引いた。

「ねぇ、佐助、意味がよく分からないから、教えて?」
「ああ、いいよ。最初のは、俺の心はむらさきを染めた色ではないけれど、君をそのように深く思い初めているよって意味ね。遙への想いで決壊しそうな心にさざ波を立てたのは君だからね。2番目が、どうせなら、黙っていればよかった。どうして逢ってしまったんだろう。添い遂げることも出来ないのにって意味ね。あの頃は忍頭の業に縛られてたから添い遂げられないのに酷いことしちゃったって悩んでた。最後のは、逢ってからまだ何日も経っていないのに、どうしてこんなにも苦しくてたまらないほど、君が恋しいのかなって意味ね。どっちかと言うと、恋しいより癒されてたんだけどさ。でもこの歌がしっくり来るかなぁ」
「わぁ、佐助、ありがとう!そんな歌、私でももらえるんだ!」
「ん?君がそんなに喜ぶなら、俺も政宗様みたいに恋歌を屏風にもっと書いてあげるけど?」
「マジで!?嬉しい!!色々書いて欲しい!!」
「クッ、お前ぇらも関係改善されてるな。この調子で婚儀までにはラブラブになれよ?」
「遙と政宗みたいにはいかないけどねー」
「政宗様、俺、頑張るよ!美紀が喜んでくれるなら、俺も和歌の勉強しようかなー」

猿飛が他の意味を探している間に、俺は皮の湯引きとてっさを食べて、揚げ物をそろそろ揚げてもいいくらいには満足した。
まだ一皿てっさを食べれるなんて、幸せだ。

「和歌って素敵だわ!何か私向きのもあるかしら?」
「そうだな、1首くらい考えてから揚げ物でもするか」
「嬉しいわ!」
「そうだな、ベスに向いてるのは、かく恋ひむ ものとはわれも 思ひにき 心のうらぞ まさしかりける、だな。意味は、このようにして貴方を恋い慕うことになるのは、私もわかっていた。やはり予感の通りだったのね。という意味だ。お前とダーリンは運命の恋だろ?ぴったりだ。古今和歌集だな」
「Excellent!!やっぱりマサは天才だわっ!その歌がいいわ!せっかくならもう一つ情熱的なのが欲しいわ!」
「情熱的なやつか…。じゃあ、万葉集だなっ!恋ひ恋ひて 逢える時だに 愛(うるは)しき 言尽くしてよ 長くと思はば、だな。恋しくて、恋しくて、やっと夜伽が出来た時くらい、精一杯の愛の言葉を囁きなさいよ。この関係を長く続けたいならねって意味だな。女王のお前らしくねぇか?」
「もう、最高にExcellentよっ!!恋歌はその2つでお願いするわっ!!あとは詩季織々でお願いね!」
「ああ、任せろ。綱元、十二単と直衣の男女の絵の金屏風を用意しろ。そこにエリザベスの恋歌を書く」
「はっ!流石は政宗様でございます!」
「俺はこれから唐揚げを揚げて来る」

俺は割烹着を着て、キッチンに立ち、油をたっぷりと高温まで熱すると、衣を付け直して、一人4つずつフグの唐揚げを揚げて、十分に油を切って、懐紙を敷いた小皿に盛り付けた。
その間に、小ぶりの紅生姜のかき揚げと、菊菜の天ぷらも作り、彩りよく盛り付けると配膳させた。
みなの顔が喜びで輝いていて、俺も嬉しくなった。

「まだ熱いから気を付けろよ?添えた抹茶塩で食える」
「政宗様、これ、めっちゃ美味しそうなんだけど!」
「俺も初めてだが、美味いと思うぜ?火傷すんなよ?骨にも気を付けろ」
「政宗、彩り綺麗!流石、政宗!美味しそうだよ!」
「お前にそんなに喜ばれると俺も嬉しいな。火傷しないように食え」
「うん!」

みなは、しばらくてっさをつついて、食べ頃に唐揚げを食べて、また歓声を上げた。

「梵、これ、めっちゃ美味い!!旨味が凝縮されてる!もっと食べたい!」
「鍋と雑炊が食えなくなるからダメだ。明日も唐揚げを揚げてやるから、我慢しろ」
「明日も食べれるの!?だったら構わねぇよ。俺、超嬉しい!」
「独眼竜、これも最高に美味いぜっ!また菊菜と紅生姜が美味いな!明日も楽しみだ!」
「喜んでくれて嬉しいぜ。菊菜と紅生姜と合わせて正解だったな」
「政宗、唐揚げも天ぷらも上手!さくさくしててすごく美味しいよ!」
「お前が気に入ってくれて良かった」

みんなは唐揚げをあっという間に食べ終わり、またてっさを食べては褒め称えていた。

「おい!そろそろ鍋の準備だ。昆布から出汁を取れ。鍋は3つだ。いつでも鍋が出来るように仕度しておけ。それから、誰かに城の台所から炊き上がった米を取りに行かせろ」
「かしこまりました」

俺はIHヒーターを3つと鍋を3つシンク下に願った。

「遙、まだ食べれるか?」
「うん、フグは別腹だし、フルコースでこんなにてっさ食べるの初めて。嬉しいな」
「なら、良かった」

遙が本当に嬉しそうなので、俺まで嬉しくなる。

「小十郎の野菜とフグの組み合わせだから、楽しみにしてろよ?俺も楽しみだ!」
「うん!きっと、締めの雑炊が野菜の旨味たっぷりで美味しいだろうね!」

エリザベスも物珍しくて気に入ったのか、せっせとてっさを食べている。
しばらく経って、全てのてっさの大皿が空になったので、俺はタレの小皿にと共に片付けさせた。

「よし、ここからがメインディッシュのてっちりだぜ!フグ鍋だ!今日はフグの白子の醤油焼きもあるから楽しみにしてろよ?」
「おおお!!」

鍋が運ばれて来て、野菜を煮始めると、みんなの期待値が高まって行った。
ポン酢は俺の手作りだ。

「ねぇねぇ、政宗。ヴァチカンでの婚儀のドレスってどんなのを着るの?私、着たいのがあるな!」

美紀が成実の隣から顔を覗かせた。

「好きな衣装を着せてやるから、言ってみろ」
「うん!ディズニープリンセスの衣装がいい!」
「ディズニープリンセスかぁ。可愛いもんね!でも、美紀、ヴァチカンなのに、ディズニーでいいの?寒いし、ベルばらの衣装を着る、絶好のチャンスだよ?美紀の好きなロココ調だよ?」
「うっ、そう言われてみればそうだった…」
「政宗にお願いして、日本の婚儀の時にディズニープリンセスのドレスを着せてもらえばいいじゃない?カラードレスなら花嫁と違うし、晩餐会では控えめのにしたらいいんだよ?」
「遙、ディズニープリンセスのドレスってどんなのだ?」
「こういうの」

遙は次々にディズニー直営のドレスの写真を見せた。
確かに可愛らしいが、冬のヴァチカンには寒過ぎる。
馬車に乗る時は豪華なのを例え選んでも遙の方が華やかだし、晩餐会用にデザインが抑え気味のもある。

「遙の言う通りだな。冬のヴァチカンには寒過ぎるし、長月末の婚儀で着てもいいぜ?」
「政宗、マジで!?じゃあ、ヴァチカンではベルばらのマリーアントワネット風のにしようかな。長袖だし」
「ああ、そうしろ」
「政宗のはどんなの?」
「ドルガバのランウェイ用のみたいだったぜ。GACKTのMisérableよりも華やかで上品で、黒地に金の刺繍のマントがついてるやつだ。宮廷衣装の刺繍入りのフロックコートにお揃いのマントがついてる感じだな。遙の衣装に悩むな。宝石のネックレスが映えるやつがいい」
「梵、ずるいぞ!!俺だってマントがいい!」
「じゃあ、色違いで選べよ。色々あっただろ?ただし、ローマ法皇よりは派手にするな」
「やったぜ!」
「ねぇ、政宗、佐助はどうしたらいい?」
「普通の宮廷衣装でいいだろ?それこそフェルゼンみたいなのを選んでやれば、美紀、お前が引き立つ」
「流石、政宗!それ、いいね!」
「当日のギャラリーは、全員宮廷衣装だ。猿飛は白を選んでやったら花婿らしくて周りと被らないぞ?俺の大帝の戴冠の時は、ナポレオンみたいな衣装を着るけどな」

遙は目を瞠って溜息を吐いていた。

「はぁ、政宗って本当にすごい…」
「結構な大荷物だぜ。まあ、船もあるから心配してねぇけどな。そろそろ野菜が煮えてきたから、フグを入れるぞ」
「うん!」
「マサ、私も未来の宮廷衣装が気になるわ!貴方の倉で色々一緒に見てもいいかしら?」
「ああ、いいぜ!楽しそうだな!」

俺はごっそりとフグを鍋に入れてタバコに火を点けた。
ゆっくりと吸いながら、上等な煎茶を飲む。
最高にいい気分だ。
今日もやる事は多いが、食事が終われば少しは遙とゆっくり出来る。

タバコを吸い終わる頃に、俺は楓にフグの白子を申し付けた。
遙と美紀は大喜びをした。
焦げた醤油がとてもいい香りがする。
箸で一口大に切り分けて食べると、何とも言えずコクがあって、焦げた醤油の香りがまた良くて、本当に美味かった。

「遙が食いたがってたのもよく分かるぜ。これはマジで美味い!タラの白子なんて目じゃねぇな!」
「政宗もそう思う?フグの白子なんて本当に久しぶり!すごく美味しいよ!」

小十郎も成実も口々に美味しいと言って喜んでいる。
エリザベスをもてなすのに、こんな豪勢な食事を用意出来て本当に良かった。

「マサ、これはクリーミーで本当に美味しいわ!焦げた醤油もいい香りね!日本料理って最高だわ!また食べたくなっちゃう」
「俺もフグ料理なら何度でも食いたいぜ!またみんなでフグパーティーしような。そろそろ野菜が煮えて来たぜ?小十郎の自慢の野菜だから、絶対に美味い」

俺は鍋の野菜を取り分け、小皿で冷ましながらまた少し白子を食べて、白菜とネギを食べた。
言葉に出来ないほど、美味い!
綺麗に飾り切りされた人参と、火の通ったフグも器で冷ます。
我ながらポン酢も上手く出来ている。

「政宗、小十郎の野菜って本当に美味しいね!ポン酢も食べた事ないくらい美味しいよ!」
「俺が作ったポン酢だ。お前にそんなに喜ばれて嬉しいぜ」
「遙様がそんなに喜ばれてとても嬉しく思います。肥料と木酢液のお陰でもっと野菜も美味くなりますから、どうぞ楽しみにして下さいませ」
「わぁ、あの窒素系有機肥料と木酢液があれば、小十郎の野菜も、もっとすごくなるね!楽しみだなー!」
「そうだね、美紀!右目の旦那の野菜、相変わらず美味しいねー!もっとすごくなるなんて、俺様楽しみー!」
「日本の野菜って本当に美味しいわ!イギリスにも欲しいわ!」
「では、この小十郎がエリザベス女王に苗や種をお分け致します。おい、焔、イギリスに最適な野菜を教えろ」
「はっ!イギリスと日本では野菜の種類がそもそも違います。気候も違いますから。しかし、ネギやキャベツに関しましては、イギリスの方が種類豊富でございますね。カブはイギリスにはないので、小十郎様が苗をロンドン出陣の際に大量にお持ちになるとよろしいかと存じます。第二次エンクロージャーに必要ですから。土壌改良や、肥料により、小十郎様の野菜に匹敵する野菜の栽培が可能になり、イギリスの食卓も充実致します。白菜も日陰であればイギリスで育ちますし、日本のネギに似たネギもございますので、鍋は可能でございます。キノコも豊富でございますから。ですから、白菜の苗を輸出するのもよろしいと思います。後は、小十郎様ご自身がSafariでお調べになり、エリザベス女王と紫苑とお話し合いになれば、最適な苗をお選びになれると思います。もちろん、政宗様が遙様とお2人きりになりたいとお望みであれば、俺も参加して、共に策を練ります」
「頼りにしてるぜ、焔と紫苑!政宗様、いかがでございましょう?」
「多分、遙の疲れが溜まってるから、昼餉の後は休ませる。何せ甲斐では、2ヶ月もの間、ほとんど寝てなかったらしいからな。出来ればゆっくり眠らせてやりたい。昨日は遅かったから尚更だな。だから、お前ぇらでイギリスの農業戦略を立てろ」

小十郎は驚いた表情の後、痛ましげな表情になった。

「かしこまりました。遙様は、それほどまでに無理をなさってらしたのですね。どうぞ政宗様とごゆっくりお休み下さい」
「うん、ありがとう」
「ああ、そうする」
「イギリスでも鍋が出来るの!?嬉しいわ!フグは無理ね。他にはどんな具材がいいのかしら?」
「イギリスの地物で鍋と相性がいいのは、ロブスター、アンコウ、タラでございます。他には鶏が鍋と相性が良いです。味付けは塩で十分でございます。出汁となる昆布は日本ではいくらでも採れますから政宗様が輸出なさればよろしいと存じます」
「ああ、昆布なら生えすぎると育成が悪いから、いくらでも輸出してやる。それで料理の幅も広がるし、鍋も出来る。ポン酢も作ってみたらどうだ?醤油は出来たらイギリスで作った方がいいな。焔、イギリスの大豆の育成状況は?」
「イギリスでは日本よりも大豆が育ちますから、醤油も豆腐も簡単に作れます。技術さえ輸出すれば良いのでございます。政宗様のポン酢の成分は何でございましょう?」
「橙と酢とすだちと醤油と少量の砂糖だ。橙は日本でも育つが原産はインドだ。イギリスで育ちそうもなかったら、インドから橙を輸出してやる。すだちはなくても十分美味い」
「それは嬉しいわ!このポン酢ってタレ、美味しいから。それにしても豆腐って?」
「この、鍋の中の白くて四角い柔らかいのが豆腐だ。美容にいいぜ?醤油と生姜だけで食っても美味い」
「Really!?大豆はたくさんあるから、是非作らせたいわ!これ、美味しいもの」
「そんなに気に入ってくれて嬉しいぜ。じゃあ、昆布と橙は手配してやる」
「Thanks!!」
「その代わり、余った大豆を大量に分けてくれよ」
「別にいいけど、どうして?」

俺は、鍋を食いながら、日本の和牛と松坂牛と豚の飼育計画について話した。
みんな真剣になって俺の話を聞いている。

「よく分かったわ。イギリスには小麦の殻も余ってるから、マサにあげるわ。もし、大麦をもっと生産して、マサが稲わらを分けてくれるのなら、イギリスでも松坂牛が飼育可能ね。どんな味なのか、気になるわ」
「じゃあ、今から少しだけ、俺がサイコロステーキを作ってやるから、みんなで、味見だ。A5ランクのヒレ肉で塩胡椒だけのシンプルなやつな」

俺はキッチンに立ち、一人100g弱の松坂牛を願い、手際よく少し大きめのサイコロ状に切ると、銅のフライパンで表面だけ焼いた、ミディアムレアよりもレアに近いサイコロステーキを焼いて、小皿に次々に取り分けて、配膳させた。
シンプルなあらびき胡椒と塩だけの味付けだ。
部屋中にとてもいい香りが漂う。

エリザベスが一口食べて、とても幸せそうな表情になった。

「Delicious!!こんな美味しいお肉なんて初めてよ!!」
「これが、日本の最高級の肉だな。美味いだろ?遙はこれをアメリカとオーストラリアで大量生産させるつもりだ」
「Excellent!!楽しみで仕方ないわ!流石、遙ね!!」

小十郎達も松坂牛を食べて、口々に美味いと言った。

「政宗様、これは大変美味しゅうございます!この小十郎、数年後が楽しみでございます!その頃は農業革命も進み、食卓が豊かになりますね!」
「独眼竜、マジですげぇな!松坂牛ってこんなに美味いのかよ!是非勝浦でも食おうぜ!尾張の大豆も是非買い取ってくれ!松坂での飼育の分は残すけどな」
「ああ、いいぜ!あとは、そうだな。イギリスはハーブ大国だから、思いつく限りの種や苗を分けてくれ。料理の幅が広がるし、見た目にもいい」
「いいわよ!醤油と豆腐と黒ビールの作り方で手を打つわ!」

俺達は盛り上がりながら、また鍋のフグに感動して、すっかり平らげた。
あとは、締めの雑炊だ。
楓はすぐにやって来て、雑炊を作り始めた。
とき卵を入れて蒸らすと、雑炊の完成だ。
九条ネギを入れて、椀に盛ってくれると、とてもいい香りがした。
冷ましながら食べると、今まで食べた事のある雑炊の中で一番美味しかった。

「政宗、このお雑炊、今までになく美味しいよ!小十郎のお野菜とフグの旨味たっぷりで。はぁ、幸せだ。でもまだ12時半なんだね。今日も一日楽しみだなー」
「ああ、そうだな、遙。今日は信玄とすき焼きだしな!俺も楽しみで仕方ねぇ!」

また、みんなで美味い美味いと盛り上がり、満腹になって、食後の茶を飲みながら、タバコをゆっくりと吸った。

「遙、婚儀の時のピアスはどうする?そのガーネットに合うピアスを考えているが。位置的にガーネットはもう少し下にして、真ん中より少し上にダイヤのピアスが妥当だな。俺もお前と揃いでダイヤのピアスを着ける。お前、下の方にもピアスの穴が開いてるからそこにガーネットのピアスを着けたら丁度いいだろ?」
「え!?政宗、お揃いでピアス着けてくれるの!?その方がいい!」
「だったら、そうしようぜ。白いウェディングドレスに合わせるなら、普通のダイヤかサムシングブルーで淡めのブルーダイヤだな。両方用意して気分で付け替えてもいいぜ?それから、ガーネットのピアスの台座はプラチナに変更だな。温泉でも外さなくて済む。キャッチの固いやつにしたら、そうそう外れねぇからな。お前はどうしたい?」
「んー、普通のダイヤも欲しいけど、婚儀は指輪よりも少し淡めのブルーダイヤがいいかな」
「じゃあ、ガーネットに見劣りしない大きさなら、2.5カラットのブルーダイヤだな。普通のダイヤはさりげなく1.2カラットにして着けやすくするか。日常使い出来るな。俺のガーネットのピアスの位置は真ん中より少し上だから、下の方に新しいピアスの穴を開けて、そこにガーネットのピアスを着けて、今までの穴に合わせて反対側にもピアスの穴を開ける。この位置なら相当大きな石も着けられるしな」
「わあ、素敵!是非そうしたいな!」
「あら、私もピアスを着けたいわ!石に悩むわ。豪華なのがいいもの。ダーリンはシンプルでいいわよ」
「じゃあ、あとでデザインの相談をしたら、俺が穴を開けてやる」
「何だよ、独眼竜!俺もお銀とお揃いでピアスをしたいぜっ!」
「梵、俺もっ!」
「分かったから、順番だ!」

いっそ、長曾我部に宝石のカット技術と道具を与えて、俺にも同じ物を願った方がいい。
イギリスではエリザベスのダーリンに技術を与えれば盗まれない。
それから、時計のメンテナンスだ。
みんなiPhoneを持っているとはいえ、時計を持っていた方が便利だし、俺も服装に合わせてもっと時計が欲しい。

「じゃあ、ピアスは後で勝浦にいる時にでもゆっくり聞いてやるから、今は希望の時計を聞いてやる。俺のはこんなデザインだ」

俺はブルガリの時計をよく見えるように見せた。

「これは、小十郎も綱元も持っていた方がいいな。俺は服装に合わせて色々持つ。メンテナンスは長曾我部と俺で共有だ。イギリスではベスのダーリンだな」
「あら、手首に時計が出来るなんて便利じゃない?」
「じゃあ、ベスは好きな時計をSafariで調べろ。俺も調べる」

みんなは、Safariで熱心に時計を検索し始めた。

「そうだな、ドレスアップする時はRolexだな。普段はApple Watchで十分だ。防水だし、通知にすぐに気付くし、音楽のストリーミングも可能だな。通話もこれで出来るからこれ一択だ。あとは、ドレスアップ用の時計をRolexの中から選べ」
「えっ!?政宗、Apple WatchはLINE通話出来ないよ?」
「通話用の電波の有効範囲が4万キロになってるから、普通の通話が可能だ。Apple Watch単体でiPhoneやApple Watchと通話が出来る。医療機器や飛行機とは干渉しない電波みたいだぜ」
「そうなの!?すごい科学の進歩だ!」
「まあ、とりあえず、茶を飲んでる間に決まらなかったら、後で俺に教えろ。ベスもシェイクスピアも眠そうだしな。みんな、決まったら、俺にスクショしてLINEしろ。そうしたら、願ってやる」
「おうよ!ゆっくりお銀と選ぶぜ!」
「Thanks、梵!」

俺はもう一本タバコをゆっくりと吸うと、茶を飲み干した。

「長曾我部、お前の部屋をくノ一達に少し貸せ。あいつらにも礼としてフグを食わせる。お前とお銀は、猿飛の部屋でX JAPANを歌って遊んでろ。猿飛に楽器とミュージシャンの知識とテクニックを今から願うから」
「おうよ!楽しみだぜ!俺の部屋はいくらでも使え」
「はい、元親様っ!」

俺は猿飛に、楽器とミュージシャンの知識とテクニックを願った。
猿飛は驚いて叫んだ。

「未来の音楽ってこんなにすごいの!?俺、パンクやりたいっ!」
「クッ、好きなので遊べよ。美紀はX JAPANがいいらしいぜ?付き合ってやれよ」
「うん、分かったよ、政宗様。じゃあ、俺達遊びに行って来るね!」
「政宗様、小十郎達も失礼致します。てめぇら、いいな?」
「おうよ。政宗様、大変ご馳走になりました。では、また遙様がお休みになられた後、合流致しましょう」
「俺は吉原に大急ぎで行って来るぜ!」
「ああ、頼んだぜ!じゃあ、みんな後でな!」
「マサ、ご馳走さま!お昼寝後にまた会いましょう!」
「政宗様、ありがとうございました!では、また後ほど!」

みなは礼を言って、下がって行った。
俺はくノ一達総出で片付けさせて、ようやくホッとした。

⇒Next Chapter

prev next
しおりを挟む
top