そこには登勢もいて、俺は本当に驚き、思わず大股に歩み寄った。
「登勢じゃねぇか!もう点滴を外しても大丈夫なのか!?」
「はい、政宗様!今日は城内を歩く練習もし、皆でお食事をしても良いとの許可が出ました!」
「Really?お前がそんなに元気になって、俺は本当に嬉しいぜ!じゃあ、信玄の親衛隊の接待は、お前と成実に任せたぜっ!給餌は俺のくノ一達を使うから心配すんな。ただの話し相手で構わねぇ。おいっ!お付きに9人手配しろっ!」
「かしこまりました」
襖の向こうに向かって言うと、返事が聞こえ、すぐに伝令が伝わりくノ一達も部屋に控えたので、俺は全ての俺付きのくノ一達に楓と同じ能力を願った。
「おい、小十郎。忍の長達の説得会は焔の力を借りるまでもなく済んだ。猿飛の援護で全忍がすぐに俺の配下に付いた。これからエリザベスに忍隊の選定をしてやってから、上洛前の打ち合わせを信玄と成実としたい。どうせ鍋だから、取り皿さえ持てばどこにでも移動出来るし、そのつもりで俺と遙とエリザベスがほぼ動かなくて済む座り方を手配しろ」
「はっ、かしこまりました。流石は政宗様でございます!猿飛、お前ぇ、やるな!忍頭は伊達じゃねぇな!!」
猿飛は慌てて首と手を同時に横に振った。
「俺はただお館様に色々ご報告しただけだよっ!やっぱり政宗様の治世がすっごくいいから忍達もすぐに従ったんだよ。すごいのは、政宗様!」
「そう言ってくれて本当に俺は嬉しいぜ、猿飛!では、政宗様、早速指示を出します」
俺が上座に、つまり誕生日席に着く形で座ると、俺の左斜め前に遙が座り、その向かいの席にエリザベスを小十郎が座らせた。
遙が隣に甲賀の長を呼ぶと、伊賀衆の長達もエリザベスと遙の隣に座った。
その向こう側に信玄で、さらにその隣は小十郎のために空けてあり、美紀と猿飛と焔を末席に着かせると小十郎は席に着いた。
別の列の座卓の着席の指揮は、素早く綱元が執ってみなが席に着いた。
くノ一達がテキパキとすき焼きの仕度を始め、みなが興味深く見つめている間に、徳利と盃と割り箸が配膳され、酒が注がれた。
「よし、じゃあ、乾杯だ!今日もいい一日だったぜ!信玄と忍達、親衛隊のみなも、よく江戸に来てくれた。感謝するぜ!歓迎の宴だ。乾杯!」
「乾杯!」
盃を軽く掲げて飲むといい気分になった。
今日もリハーサルは楽しかったし、色々決まって最高の気分だ!
「Wow!日本のお酒って初めてよ!美味しいわ!」
「そうか?気に入ってくれて嬉しいぜ。なあ、ベス。この宴の間だけ、日本語で話してくれねぇか?」
「それもそうね、いいわよ!」
エリザベスは忍達の視線に気付いて、日本人そのものの流暢な日本語で答えて微笑んだ。
「紹介するぜ。お忍びでイギリスから来ているエリザベス女王だ。世界最強の女王だぜ?エリザベス女王とはもう5、6年くらい前からマブダチだ。俺にイギリスの騎士団をくれる代わりに、日本の忍隊を欲しがっている。伊賀衆も甲賀衆も力を貸してくれ。俺の親友をよろしく頼むぜ!」
「おおお!世界最強の女王と親友とは、流石は政宗様でございます!いくらでもお力添え致す所存!」
百地が目を瞠って声を上げると、エリザベスは笑みを深めた。
「嬉しいわ!私のことは、陛下でいいわよ、よろしくね!ねえ、日本の忍者について、色々聞きたいわ!私もマサ、えーと、政宗みたいにカッコ良く、くノ一が使いたいし、忍法ももっと知りたいわ!日本の忍者の最高峰の長達に会えるなんて光栄よ!」
エリザベスが満面の笑みで言うと、伊賀衆と甲賀衆が大いに盛り上がり、忍術や、秘伝の技についてみなが次々と話し始めた。
その間に、皿と肉じゃがが配膳されて、すき焼き鍋が温まり、くノ一達が砂糖と醤油と酒で肉を焼き始めた。
俺が溶き卵の指示を出すと、くノ一達は素早く溶き卵を配膳して言った。
エリザベスは最高潮にご機嫌だ。
遙も笑いながら話を聞いている。
すぐに肉が焼きあがって行って、俺は遙と7年ぶりにすき焼きを食べた。
久しぶりのA5ランクの松坂牛のすき焼きはヤバいほど美味い!
この肉の旨みが何とも言えねぇ!
「政宗、私、すき焼きすっごく嬉しい!しかも、政宗とまたこうして食べれるなんて、夢みたい!」
「ああ、そうだな!俺も夢みたいだぜ!お前とこうしてまた食えて、嬉しいぜ!愛してるぜ、遙!」
「私も政宗を愛してるよ!」
周りからも、肉を食べて歓声が上がった。
みんなが美味い美味いと喜んでいて最高の気分だ!
丁度3人〜4人前ずつのすき焼き鍋を並べているから、俺は、目の前の鍋から、焼けた野菜や肉を遙の皿に取ってやった。
二人で飲みながら微笑み合い、すき焼きを食べるのは幸せこの上ない。
「マサ!このお肉も最高ね!この調味料は?いい香りね!」
「砂糖と醤油と日本酒だ。最高だろ?」
「江戸に入り浸りたいくらい、気に入ったわ!イギリスでも食べたいくらい美味しいわ!」
「日本酒を輸出してやるから、醤油はイギリスで作れ。砂糖はフィリピンで作るか」
「いい考えね、嬉しいわ!」
エリザベスはまた忍の長達との会話に戻って行った。
くノ一と忍術の事について色々聞いている。
この様子だとエンドレスに話しそうだ。
エリザベスに色々忍について学んでもらって、何なら引きこもり部屋でも長達とお茶でもさせた方が色々決まりそうだ。
俺は明日の上洛の首尾の方がむしろ気になる。
伊達三傑と信玄と焔ですぐにでも話し合いたい。
「Hey、ベス。悪ぃが、明日のスケジュールの打ち合わせがしたいから、席を代わってくれねぇか?おい!伊達三傑と信玄と焔で打ち合わせがある。エリザベスは忍の長達との話で忙しい。席替えを手配しろ」
「かしこまりました」
「いいわよ!」
すぐにくノ一達が席の移動を手配して、俺の周りに成実と信玄と焔がやってきて席に着き、綱元も小十郎も末席に着いた。
「政宗公、して、話とは?」
「ああ、俺の上洛と遙の養女縁組の段取りについて話したい。最強の軍備について、信玄は知ってるな?ハリアーという空を飛ぶ戦闘機がある。明日はそれに乗って、成実と共に上洛して欲しい。空からなら、ハリアーなら四半刻もあれば二条城に着く。四半刻もかからねぇな。二条城から馬で御所に参内すれば、上洛はあっという間だ。一人乗りだが、成実が遠隔で操作するから大丈夫だ。直垂は普通の袴で構わねぇ。長袴だと邪魔だ。それなら、ハリアーにも馬にも乗れる。しっかり帝と式部卿宮に嘆願して養女縁組の確約を得て、それで成実と日帰りで江戸に帰って欲しい」
信玄は驚きに目を瞠った。
「江戸から四半刻以内に上洛出来るとは、それは最強じゃ!それで直垂をお命じになったのだな?直垂は普通のかかと丈の袴じゃ、大事ない」
「ああ、そうだ、それは好都合だぜ。成実、お前は直衣で構わねぇ。馬で信玄と御所に行け。勅令もらってるだろ?」
「やりぃ!束帯なんて着てらんねぇよ。後ろの長ったらしい裾が邪魔でたまんねぇ。馬に乗れねぇしな。梵も参内する時、直衣にしたら?つか、俺達全員、直衣にしようぜ!遙ちゃんの晴れ舞台なんだから、華やかな方がいいだろ?花魁にも花を添えていいと思うぜ?」
成実に言われて俺は思い直した。
確かに束帯は邪魔くさいし、全員公卿だからほぼ暗い同色の束帯なのは辛気臭い。
チラ見せの控え目の色の指貫でしかオシャレ感が出ない。
成実の言う事はもっともだ。
「そうだな、確かに言えてるな。じゃあ、養女縁組本番の衣装の色は全部俺が決めるか。全員の直衣姿は俺が選ぶ。遙の十二単姿が一番引き立つように、色の合わせを考えなきゃならねぇからな。遙の衣装が決まったら、花魁の着物の色も指定するか。吉原に遣いをやらなきゃならねぇな。明日は衣装選びで一日が終わりそうだぜ。遙、束帯じゃなくてもいいか?」
「政宗の黒の束帯、きっとカッコいいと思うけど、直衣も見たいな!全員の衣装を選ぶなんて、流石は光源氏を超える伊達男!でも養女縁組なのに直衣で構わないの?」
「俺は摂関の太政大臣で、勅令も出てるから何の問題もねぇよ。つか、勅令もらってるのは、小十郎も綱元も長曾我部も同じだ。東宮の即位の時に束帯は着てやるから、両方見れるぜ?流石に即位の時くらいは正装してぇからな!俺も王になるしな!王になったら、せっかくなら王家特権の禁色を新しい帝から貰うか」
「わあ、政宗、すごい!!惚れ直した!!世界で一番カッコいいよ!愛してる!私、今、死んでもいいくらいに嬉しい!」
「だから、そんな事でいちいち死ぬなって!俺もお前を愛してるぜ?お前こそ世界で一番綺麗で可愛い、俺だけの天女だ!」
俺と遙が思わず手を取り合って、うっとりとしながら二人の世界で盛り上がると、小十郎達が爆笑した。
「相変わらず仲のよろしい事で。遙様がそのように喜ばれるのであれば、この小十郎、政宗様に衣装の事は全てお任せ致します」
「あははっ!お前ぇらのラブラブはやっぱ最高だぜ!明日の俺の直衣は適当でいいだろ?」
「季節感さえ外さなきゃな」
「そんくらいの常識はあるってば!っつか、お前より俺の方がよっぽど常識人だからな!俺、一応お洒落な伊達男だからな!直衣と指貫をどの組み合わせにするか楽しみだぜ!お前は突飛な伊達男だから心配だな」
「俺がルールブックだから、そんなのは関係ねぇな。今のところは帝と東宮の禁色さえ外せば問題ねぇ」
成実はやれやれと溜息を吐いた。
綱元がすき焼きをつつきながら口を開いた。
「ところで、政宗様。この綱元が手配する事は、何かございますか?」
「そうだな…。成実と信玄の明日の上洛の手土産に、金と小十郎の野菜を用意させて、午前中にヘリコプターで二条城入りをさせろ。成実の支配下に今からヘリコプターを念のため半分置く」
「任せろ、梵!」
俺はiPhoneでヘリコプター7機を成実の支配下に置いた。
成実は自分のiPhoneを確認して頷いた。
「野郎共に命じて、二の丸から午前中には二条城にヘリコプターを飛ばすから安心しろ」
「ああ、そうしてくれ。千両箱の個数は綱元と成実に任せた。好きなだけ使え。それから、綱元は焔の束帯を手配しろ。文を書いて、成実が明日二条城から京の公家御用達の呉服屋に遣いにやらせればいい。縫腋(ほうえき)の袍だ。裾は纔著(さいじゃく)でいい。つまり、かかと丈だ。袍の文様は一番オーソドックスな輪無唐草でいいな。無冠だから袍の色は黄の束帯だ。黄色がなかったら、黒だな。黒の輪無唐草なら在庫があるはずだ。まあ、無冠の公家の方が数は多いから黄の束帯はきっとあるだろうな。言ってみれば参内する時のあいつらの制服みたいなもんだしな。これは急ぎだから、黄色でも黒でも構わねぇから在庫のあるやつを確保しろ。一応、無冠の文官での最高位を宰相の扱いにするから、焔に武官の直垂は着せねぇ。王は君臨すれども統治せずに切り替えの時に、宰相を総理大臣に変更だ。その時に焔の世襲制を止める。今上帝の譲位の翌日か翌々日、仕切り直しで東宮の帝への即位と、俺達の即位だな!それに合わせて綱元も一度は束帯姿で上洛だ。それにはエリザベスも十二単姿で参加させるか。東宮ならエリザベスにも懐く。ヘリコプターなら1時間半みとけば綱元は京に着く。即位の後、そのまま二条城でみんなで着替えて、有馬温泉で一泊か二泊してUSJに俺達と遊びに行ってもいいぜ?」
「承知致しました。手配の文は、今日中に仕上げます。是非、そのまま家族とUSJに行きたいと存じます!エリザベス女王の参内は前代未聞ながら全く良き考えでございます!世界最強の女王の御所訪問など、政宗様にしか手配出来ませんから。他には何かございますか?」
俺はエリザベスに御所を見せたかったし、俺の晴れ姿を見せたかったから、綱元の賛成が本当に嬉しかった。
他に取りこぼした事はないかと顎に手を当てて考える。
そして、俺は一番肝心な事を忘れていて思わず声を上げた。
「Oh, my God, dude!超大事な事を忘れてたぜ!上皇の後宮の場所を考えてなかったな…。すぐに用意させなきゃなんねぇし、なんせ30人規模だし、後宮だから寺は使えねぇ。京の町屋は作りが小さいし、規模がデカい建物は寺だらけだからな。帝は嵐山が好きだから、嵐山にするか。伊達家の別荘の一つを潰せば余裕だ。嵐山にある伊達屋敷でどれがすぐに使えそうか、明日成実に問い合わせの文を渡せ」
「えっ!?政宗、嵐山に別荘があるの!?超行きたい!!」
「遙!?お前も嵐山が好きなのか!?参ったな…。お前を連れて行くなら伊達軍の駐屯地を確保しなきゃならねぇからな。伊達家の別荘は一つも譲れねぇな。じゃあ、嵐山は止めて伏見の伊達屋敷に変更するか?」
「えっ!?伏見の伊達屋敷、私の超憧れ!!伏見稲荷も政宗と行きたい!!」
「伏見もダメなのか!?じゃあ、京は無理か…。桂離宮は小さいしな。ギリギリ比叡山辺りか。比叡山入口付近の伊達屋敷にするか。あそこはだだっ広いし、比叡山の外だから、坊主達も上皇の後宮があっても文句ねぇだろ。遙、比叡山も好きか?」
「京で好きなのは、御所、二条城、金閣、銀閣、神泉苑、三十三間堂、清水寺から八阪神社の坂と神社とお寺、下鴨神社、四条河原町、祇園、苔寺とか嵐山全部、鞍馬、伏見、あとは離れてるけど宇治だよ。比叡山はまだ行った事ないな。でも、行きたいな」
「はぁ…お前がそんなに京が好きだったなんて知らなかったぜ。改めて上洛して、ゆっくり京を見せてやる。伊達が京を押さえててマジで良かったぜ。だったら、比叡山の入口ならいいな?」
「比叡山を京から琵琶湖の方に抜けてみたいけどな。紅葉が綺麗なドライブウェイがあったはず。山を抜けたら美人湯の温泉地だ」
「分かった。ドライブウェイの遠乗りと湯治にも連れてってやる。比叡山を越えたら浅井領だが、浅井長政に頼めばいいだけだからな。それでいいか?比叡山の入口の伊達屋敷は上皇にくれてやってもいいな?」
「うん!比叡山の中じゃないならあんまり興味ないかな。比叡山のドライブウェイの遠乗りすっごく楽しみ!」
「分かった、それも必ずやってやる。一緒に遠乗りしようぜ」
「わぁい、ありがとう!他には、嵐山の苔寺で夕暮れ時に鈴虫の音を政宗と聞きたいな」
「もちろんだ、一緒に鈴虫の音を聞いたら風流だろうな」
「だったら日本での婚儀の後、秋にゆっくり京を色々回りたいな!東寺の紅葉狩りも泉涌寺の紅葉祭りも行きたいな。あ!舞妓さんいるなら、派手なお茶屋遊びもしてみたいな!やった事ない!」
「舞妓ならいる。竹中半兵衛が接待用に作ったばかりだから歴史は浅いけどな。舞妓遊びは俺の趣味じゃねぇし、やった事もねぇが、お前となら楽しめそうだ。分かった、祇園で派手に伊達男の茶屋遊びをしてやるぜっ!!成実なら茶屋につてがある。戦で荒れた祇園の再建を成実がしたからな」
「わぁい、流石は天下の政宗様!派手な茶屋遊びなんて一般人には一生出来ないよっ!惚れ直した!成実って顔が広いんだね!なんなら京の後はついでに日本海に抜けて、謙信様とかすがと一緒に春日山城で松茸狩りをして、政宗の作る松茸のフルコースと蟹とノドグロも食べたいな!」
「よし、分かった。じゃあ、その時期に上洛して二度目のハネムーンだ。もちろん春日山城も連れて行ってやる。上杉謙信と約束したし、美紀とエリザベスも連れてな!松茸のフルコースも料理してやるぜっ!礼に上杉謙信とかすがにも振る舞わなきゃな!春日山城の台所を借りて張り切って作るぜっ!蟹とノドグロ漁は長曾我部担当だ!」
「わぁ、楽しみだな!すっごく嬉しい!謙信様も絶対喜ぶよ!」
「可愛いお前の望みなら何でも叶えてやる!ってか、お前ぇらいい加減、笑うの止めやがれっ!」
遙があれこれと京の好きな場所を挙げて行く度に、どんどん大きくなっていっていた、ギャラリーの爆笑の声にいい加減イラつき、俺は成実達を睨みつけて、更にまた笑われた。
「あははっ!だって梵、遙ちゃんにメロメロ過ぎて超ウケるーーっ!!京の伊達屋敷、全部却下かと思ったぜ!遙ちゃんなら、吉野の伊達屋敷も却下しそうだしなっ!しかも、祇園の舞妓で派手な茶屋遊びの上に、春日山城での上杉謙信との松茸狩りと、梵の作る松茸のフルコースに蟹とノドグロとかめっちゃウケるぜ、あははっ!前田夫婦を超えるグルメだぜっ!!遙ちゃん、一晩じゃそんなに食い切れねぇくせに、あははっ!!二泊は絶対必要だぜっ!!」
「はははっ!政宗様、傑作でございます!京を押さえていて誠に幸いでございましたね!かしこまりました、比叡山入口の伊達屋敷に今夜中に文を書き、成実に持たせます。それにしても、あの上杉謙信と春日山城で松茸狩りのお約束とは、あははっ!政宗様による松茸のフルコースでございますか!笑いが止まりませんっ、あははははっ!!」
「だから、成実、綱元、お前ぇらそんなに笑うなっ!!小十郎、焔、お前ぇらもだっ!!」
祇園の派手な舞妓遊びと極め付けの上杉謙信との松茸狩りで、小十郎と信玄と焔まで腹を抱えて爆笑し始めて、俺は照れ隠しに手酌で酒を何度も呷って、無言ですき焼きを食べだした。
全くもって、遙にはメロメロだし、望みは何でも叶えてやりたいだけに、何も言えねぇ。
返す言葉が全く見つからねぇ!
遙も恥ずかしそうに俯いて、酒を飲んではくノ一が焼いてくれてるすき焼きと、肉じゃがをせっせと食べ始めた。
「いや、天下一仲の良き夫婦よ!遙がそのように幸せそうで何よりじゃ。わしも嬉しいぞ!!遙は誠、可愛らしいおなごじゃ!!それにしても、政宗公、牛肉というのは誠に美味よのう!この武田信玄、これは癖になりそうじゃ!」
「ああ、遙はこれを大量生産するつもりだ。そうだ、信玄、お前に頼みがある」
俺は、火薬用の硫黄と、下水のコンクリート用の火山岩と、肉牛作りの計画を話し、協力を依頼した。
信玄は目を見開いて驚きながら聞いていた。
「そのような計画があるとは!!草津と大豆の件は幸村に任せ、トウモロコシの栽培は勝頼に任せ、この信玄がしかと全ての指揮を執るゆえ、ご安心召されよ。来年から早速始めるゆえ、大丈夫じゃ。伊達領で実験せずとも構わぬ。それに、利益は武田は要らぬ、実費だけ御負担願いたい」
「ああ、いいぜ、それは助かるぜ!これは焔が考えてくれたんだぜ?」
「いえ、全ては遙様と政宗様のおかげでございます」
焔は、知恵を得るきっかけから、どんな策を練ったか、信玄に報告した。
信玄は驚き唸りながら聞いていた。
焔の報告が終わると、信玄は感嘆の声を上げた。
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