01 プロローグ
今から30年前。「天才」と呼ばれたピアニストが存在していた。美しいメロディ、涙を誘う曲。人々は彼女を「現代のモーツァルト」と呼んだ。だがそのピアニストは突然音楽の世界から姿を消した。そして次第に世界中の人間の記憶から忘れ去られた。
しかしそれから8年後の事だ。そのピアニストは交通事故によって死んだ。彼女が運転していた車がトラックと衝突してしまい、車は横転。そして車から少し離れたところで倒れていた彼女は頭を強く打ち、そして出血多量で亡くなった。
だがその事故で奇跡的に助かった人物がいた。彼女が運転していた車の後部座席に座っていた7歳の少年である。決して軽傷とは言えなかった。左目を失う大怪我であったが、奇跡的に一命をとりとめた。
その少年の名は―――“如月 龍”。あの有名な投資家、如月家のたった一人の息子である。
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