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朱檜×水甫

 人は苦手。だけど、あけびくんは好き。
 なにに憚れることもなく、彼はそう言って笑った。自信なさそうに俯きがちな顔を上げて、朱檜を真っ直ぐに見つめて破顔する。
 水甫はどういうつもりでその言葉を言っているのだろう。きっと、そこに含まれる感情は『親愛』であり『友愛』だ。もしかしたら、彼は『好き』という感情に種類があるということを理解していないのかもしれない。していたとしても、自分の中にある感情にレッテルを貼っていないのだろう。水甫が好きな人は、世界にただ一人しかいない。彼に向ける好意であれば、形も色も、水甫にとってはどうだっていいのだ。きっと、朱檜から向けられる感情の名前だって。
 一緒にいると決めたのは、朱檜だ。その答えに、水甫が心底嬉しそうに笑うから。
 水甫の腹に腕を回して、後頭部に鼻先を擦り付けて、自分よりも小さな体躯を閉じ込める。不思議そうに目を丸める彼は、本当に、何も知らないのだろう。

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